esゲーム記事執筆陣が令和にも伝えたい【平成ベストゲーム3選】  vol. 9

Review

私を泣かせた平成の男たち……心を震わせたゲーム3選

私を泣かせた平成の男たち……心を震わせたゲーム3選

テレビゲームが華開いた平成の30年。数多くのゲームが生まれ、目覚ましく技術が進化し、そしてたくさんのキャラクターが駆け抜けていきましたね。多感な時期にゲームに目覚めた私は、彼らに夢中になりました。文字どおり(?)、キャラクターが夢に出てきたこともあります。プレイ当時ならいざ知らず、数年経ったときに夢で再会とは……。ちょっとムフフな夢だったので恥ずかしかった覚えがありますが、しばらく会っていなかったけど、彼らは私の深層心理にちゃんといたんだなあと不思議な気持ちにもなりました。何度もプレイしたし、たくさん泣かされたので記憶に深く刻まれているんでしょうね。
今回取り上げる『METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER』、『華ヤカ哉、我ガ一族』、『幻想水滸伝II』は、いずれも私にいい涙をもたらした作品です。同時に私をすっかりゲーム好きにして、人生を変えてくれたタイトルでもあります。この3本、そしてキャラクターの魅力をぜひともあなたに知っていただきたい! すでにご存知という方は「そんな時代もあったね」と、うなずいていただけたらうれしいです。

文 / 小泉お梅

[取材・執筆記事]

レビュー高評価のドット絵シミュレーション『Kingdom』 女王になりきった奮闘の物語

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2019.02.08


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誰もが惚れる『METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER』のスネークとザ・ボス

KONAMI / PlayStation®2、PlayStation®3、Xbox 360ほか / アクションアドベンチャー / 2004年(平成16年)

『METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER』オフィシャルサイト

『メタルギア ソリッド』(以下、『MGS』)シリーズの主人公・スネークといえば、男女問わず人気のキャラクターですね。私はとくに、『MGS3』の主人公であるネイキッド・スネークの虜となりました。彼は傭兵としてソ連への潜入任務に挑むわけですが、その言動や立ち振る舞いに色気というか、人間臭さが感じられるんです。いま振り返ってみると、そんな印象を抱いたゲームキャラクターは彼が初めてだったように思います。それまでの『MGS』、『MGS2』からグラフィックが向上して表情が豊かになったこともありますが、それら2作品の主人公ソリッド・スネークよりも濃い匂いを感じるような……。
ソリッド・スネークは、ネイキッド・スネークのクローンですが、同じ遺伝子でもソリッドのほうは熱い部分もありつつサッパリとした性格、それに対してネイキッドのほうは執着も強いがお茶目な人というイメージでしょうか。『MGS3』では、ネイキッド・スネークの複雑な心境や葛藤が強く描かれているから、なおのこと濃く思えるのかもしれません。

▲グラフィックは舞台となる冷戦時代、1960年代の映像を思わせるレトロで抑えめな色調なのに、匂い立つネイキッド・スネークの存在感

▲カスタムされた銃にワクテカ。おもちゃを手に入れた少年のようです

▲内通者のEVA(エヴァ)との艶っぽいシーンもあってドキドキ

ネイキッド・スネークの葛藤とは、彼の師匠である女性兵士ザ・ボスに向けられたものでした。それというのもゲーム序盤、ザ・ボスは要人奪還の任務に就いたスネークにアドバイザーとして協力していましたが、裏切って要人を横取りしソ連に亡命するのです。対するスネークは任務失敗の汚名を雪ぐべく、ザ・ボス抹殺の任務を受けることに。とはいえ、スネークにとってザ・ボスは兵士としての自分を形作ってくれた親以上の存在です。そんな彼女をその手にかけることができるのか? コントローラーを握る私も、きっとスネーク自身もその疑問を抱えながら、ソ連の森を進んでいきます。しかし、その先にはザ・ボス直属の“コブラ部隊”が立ちふさがり……。

▲ザ・ボスは特殊部隊の母とも呼ばれるほどの功績を残した兵士で、めちゃくちゃ強いんですよね。そもそもこんな生ける伝説に勝てるのか?

▲コブラ部隊の兵士たちは、いわゆる中ボスのレベル。それぞれ振り切った個性と能力の持ち主です。私のお気に入りは、お爺ちゃんスナイパーであるジ・エンド

ザ・ボスにとってもスネークは、手塩に掛けた愛弟子です。ゲーム中ふたりは何度か接触するのですが、ザ・ボスは毅然とした態度を取りながらも、スネークを案じていることが垣間見えました。瞳のゆらぎ、切り結んだ唇……。言葉にしなくてもわかる彼女の気持ち。プレイ当初は、CGでそういった表現ができるようになったことも純粋にすごいなあと思っていたものでした。

▲ヘリで遠ざかっていくザ・ボス。スネークのほうへ伸ばした手が切ない

▲ザ・ボスと協力関係にあるヴォルギン大佐が、スネークを捕縛。大佐は、ザ・ボス自らの手で処罰するよう促すが……

数々のピンチを切り抜け、しぶとく生き抜くスネーク。動植物を片っ端から食べてサバイバルしながら、着々と任務を遂行していきます。そうして核兵器搭載戦車をぶっ壊し、戦争を企む強敵ヴォルギン大佐も撃破。しかし、目標を達成するたびに少しずつ焦りが募ってきます。残るはもう、ザ・ボスとの師弟対決しかないのです。「戦争の脅威は去ったし、もうザ・ボスを倒さなくていいよね? 何とかなるよね?」と願うように思っていたのですが、やっぱりそうはいきませんでした。スネークのまえに姿を現したザ・ボス。彼女の言葉と穏やかな表情から伝わる覚悟。もはやこの戦いが避けられないことは明らかでしたが、「『MGS』シリーズだもの、何か仕掛けがあるんじゃないか」と頭はフル回転でした。コブラ部隊らこれまでのボスたちにはスタミナキル、つまり麻酔銃などでスタミナを奪う方法でも勝てたので、「もしかしたら」とも思いましたが淡い期待は砕かれました。
スネークはあのとき、どう思っていたのでしょうか。私は本当にザ・ボスとは戦いたくなかったし、彼女に生きていてほしかった。強くて気高い彼女に憧れていたからです。ザ・ボスについてはゲームプレイ中の、ほんのわずかな時間しか知らないのに。でも、同じようにつきあいは短いはずのEVAも、ザ・ボスに心動かされたひとりだったんですよね……。最後に、EVAからザ・ボスの本当の任務の内容が明かされる場面は、平成の、いやゲーム史に残る至高のシーンではないでしょうか。EVAの「帰還報告(デブリーフィング)」のひと言で、私の涙腺は決壊しました。

▲戦いの舞台は花畑。こんなに美しい場面は見たことがありませんでした

『MGS』シリーズはすべてプレイしていますが、このエンディングの見事さ、それまでの話の運びが巧妙な『MGS3』がいちばん好きです。初回プレイ時は目から水分という水分を出しきってしまい、しばらく何も考えられなかったのですが、あとからふつふつと「ゲームってすごいな、やっぱりゲームが好きだな」という気持ちが沸き上がったのを覚えています。こんなにも彼らが愛おしく思えたのも、やはり自分の手でスネークを操作し、彼と同調していたからなのかもしれません。
シリーズの原点であるMSX版『メタルギア』が1987年発売ということでまだ昭和だったわけですが、そこから平成というひとつの時代を走り切ったスネークたち。彼らはいまも私のなかにいます。

©Konami Digital Entertainment


私に乙女ゲーの道を示した『華ヤカ哉、我ガ一族』の正様

アイディアファクトリー / PlayStation®Portable / 女性向け恋愛AVG / 2010年(平成22年)

『華ヤカ哉、我ガ一族』オフィシャルサイト

いまや一大ジャンルとなった乙女ゲーム。平成が始まったころにはまだ影すらなかったのに、ここまで隆盛を誇るとは誰が思ったでしょうか。そんな群雄割拠する乙女ゲームのなかでも名作と謳われた『華ヤカ哉、我ガ一族』は、大正時代を舞台に財閥・宮ノ杜家の6人兄弟と恋するアドベンチャーゲームです。主人公は宮ノ杜家に勤めはじめた使用人。ここではデフォルトネームの“浅木はる”から、おはるちゃんと呼ばせていただきますが、本作は彼女の波乱の1年間を描く奮闘記でもあるのです。というのも宮ノ杜家のご兄弟たちのなかには、お育ちゆえか使用人を人とも思わなかったりする方も……。「ゴミ」とか「クズ」とか、まあヒドイ言われようです。ご兄弟全員がそうではないのですが、使用人と仕える相手という一定の線引きというか距離があるわけです。マイナスからのスタート、よくてもゼロからですよね。それまで乙女ゲームといえば、最初から周囲の男性から好意を持たれがちというイメージがあったので、この始まりは新鮮に映りました。ゴミクズ呼ばわりは極端だとしても身分の差を考えれば納得できますし、初対面でチヤホヤされるよりも現実味があります。

▲私がお慕いする長男の正(ただし)様。ゴミからのスタートです

▲温和な四男・進(すすむ)様だって、やはり使用人としてしか見ていないんですよね、そりゃそうか……

しかし、ゴミクズ呼称はジャブ程度だとしても、これにアクションがともなうとけっこう重たいパンチになってきます。せっかく作ったお弁当をわざとブチまけられたり、「自害したほうがいい」とまで言われるとさすがに……。そんなところへ、初めて手を差し伸べてくれたのが長男・正様でした。やさしい言葉ではないかもしれませんが、おはるちゃんを落ち着かせ、気持ちを整理する手伝いをしてくれました。正直、正様はいちばん冷たい人だと思っていたので、この不意打ちにはしてやられました。

▲末っ子の雅(まさし)様は、誰に対しても辛らつでイジワル。次男の勇(いさみ)様は、軍人だけあって物騒な物言いをされます

▲成長を促すような、いい上司の励ましかたなんですよね。さすがは銀行の頭取といったところでしょうか

正様に諭されたこともあり、使用人のお仕事をがんばるおはるちゃん。本作には、毎週のお仕事スケジュールを組みつつ、おはるちゃんの各種パラメータを伸ばすという育成要素もあります。2ヶ月ごとに使用人審査が行われ、一定の数値に達していないと解雇&ゲームオーバーとなってしまうのですが、サボらず万遍なくお仕事をしていれば問題なく合格できるようになっています。手間はかからないけれど、自分のがんばりがパラメータとして反映されるというのが、いい塩梅ですね。

▲選んだ仕事により上下するパラメータが異なります

おはるちゃんがどのご兄弟と恋愛関係になるかは、選択肢で上昇する好感度が影響します。ふたりの仲が深まってきたころ立ちはだかるのが身分の違い、そして宮ノ杜家の当主&ご兄弟の母上たちです。ここが本作の異色なところでもあるのですが、まず彼らの父親である宮ノ杜家当主。彼は物語の序盤で、次期当主の座を息子たちに争わせることにしたのですが、裏でいろいろと画策し、あえて息子たちが苦労するように仕向けます。それがどんどんエスカレートしていくのです。また、母親たちのなかには、ふたりを引き裂こうとする人も。なぜ“母親たち”と複数形かというと、6人兄弟はそれぞれ母親が別なのです。当主は男児が生まれたら夫人と離婚するというのを6回くり返したとか。もちろん夫人も了承のうえでのことなのですが、お金持ちの考えることはよくわかりませんね……。

▲カレの母親が出てくる乙女ゲー自体が、かなりレア……

そんな障害に苦しむおはるちゃんたちを支えてくれるのが、素敵なサブキャラクターたちです。使用人の同僚であるたえちゃんはわかりやすいツンデレで、憎まれ口を叩きながらもおはるちゃんを心配してくれます。彼女とのスチルも一枚あるのですが、よくぞ描いてくれたと思ったものです。たえちゃんで確信したことがあるのですが、それは「いい女友だちが登場する乙女ゲーは良作」という持論です。そしてもうひとり、使用人頭の千富(ちとみ)さん。彼女はいわゆるお局で、使用人を取りまとめる立場上きびしいことも言うのですが、それはすべておはるちゃんを想ってのこと。「しっかりしなさい」とダメなところはちゃんと叱ってくれる千富さんは、おはるちゃんやご兄弟の“もうひとりのお母さん”でもあります。この頼もしいふたりの言葉に、何度ウルッとさせられたかわかりません。

▲何だかんだ、おはるちゃんには甘いふたり

正様とおはるちゃんの話に戻りますが、次第にお互いがなくてはならない存在となり、自分の恋心に気がつきます。しかし、ここで例の当主の嫌がらせが発生。「とある令嬢との縁談を受ければ、次期当主にする」という提案が出されたのです。これまで宮ノ杜家を継ぐためだけに生きてきた正様にとっては、またとない話。でも、おはるちゃんと出会ってから、正様は彼女のために当主を目指すようになっていたのです。それでも正様はこの提案を飲みます。そして、おはるちゃんは田舎へ帰ることに……。離れ離れとなるふたりが思い出すのは、ともに海辺を歩いたり、雪合戦をしたりと楽しかった出来事ばかり。
と、ここでエンディングテーマが流れます。エンドロールを見ながら、「ああ、やっぱり結ばれない運命なんだ」と泣けてきました。好感度も十分高いはずだけど、ふたりにとってはこれがベストの結末なのか……と。

▲歌手のAnnabelさんが歌う『キネオラマ』という楽曲が、もうこの状況にドンピシャで余計に切なくなりました

で・す・が! 本当に裏切られましたね。詳しくは述べませんが、まさか、ご兄弟たちが動いてくれるとは思いませんでした。仲のよい兄弟ではなかったのに、見事な連携プレー。最高か! 土壇場だからなのか、それぞれの役割や人柄がよく出ていて、これでご兄弟のことが一気に大好きになりました。『華ヤカ哉、我ガ一族』、ひいては乙女ゲームが好きになった瞬間でもありました。

▲三男・茂(しげる)様が作戦の発起人!? こんなときに頼りになるうえ、面白いコト大好きなところが素敵です

これまではあまりゲーム性がないとか、都合よくお話が進むとか、ネガティブなイメージがあってそれほどプレイしてこなかったのですが、本作のおかげで乙女ゲームもやってみれば楽しいということに気づかされました。絵とテキスト、音楽というシンプルな構成でもそこにはプレイヤーの心を動かすための工夫がたくさん詰まっていたんだ、とも。声優さんのお芝居がすばらしいことも忘れてはいけませんね。ここ十数年で一気に乙女ゲーム市場が成長したのは、やはりフルボイス仕様が標準になったことも大きく影響しているのではないかと思います。いま、乙女ゲーム業界は成熟してきており、今後どう発展していくのか楽しみでもあります。ですが、『華ヤカ哉、我ガ一族』のような名作も時代に置くだけではなく、どんどん語り継いでいってほしいとも思います。正様たち宮ノ杜家のご兄弟に出会えて本当によかったと思っていますし、そう思ってくれる人がこれからも増えてくれるといいなと思っています。
さて、そんな『華ヤカ哉、我ガ一族』ですが、Nintendo Switch™に対応した新作がまもなく登場します。『~モダンノスタルジィ』『~幻燈ノスタルジィ』の2本。愛すべきご兄弟たちは、10年近く経っても私の心を震わせてくるようです。あの冷たいあしらいでさえ、いまでは待ち遠しくてソワソワ。ちなみに『~モダンノスタルジィ』は、今回紹介した1作目のストーリーに後日談などが追加されたもの。『~幻燈ノスタルジィ』は、ファンディスク2作品を収録。こちらもイラストギャラリーなどが追加されています。テレビの大画面で麗しいご兄弟たちにお会いできる日が楽しみですね。

©2010 IDEA FACTORY/Vingt et un Systems Corporation


少年たちの色褪せないドラマ『幻想水滸伝II』はオーパーツ!?

KONAMI / PlayStation®、PlayStation®Portable / RPG / 1998年(平成10年)

『幻想水滸伝II』オフィシャルサイト

108星(人)のキャラクターを集めるRPG『幻想水滸伝』シリーズ。そのなかでも最高傑作と名高いのが『幻想水滸伝II』です。本作は主人公の少年(名前は自由入力)と、幼なじみで親友のジョウイが戦いに身を投じるなかで袂を分かち、いつしか刃を向け合うようになってしまうというストーリーで多くのファンの心を鷲掴みにしました。もちろん私も心を掴まれたひとりで、そのおかげで数年周期で『幻想水滸伝II』をやりたくなる症状が出る身です。しかし、これまで何度もプレイしてイベントは網羅しているはずなのに、毎回いろいろな発見があることに驚かされます。それほど本作が綿密だということですが、冷静になって考えてみると108人もキャラクターが出るって尋常じゃないですよね。それに加えて敵キャラクターたちもいるわけですから……。本作はドット絵のグラフィックなのですが、じっくり見るとキャラクターの向きや動きに応じて何パターンも用意されているのがわかります。本当に細かいんですが、瞬きや体の震えなんかも描写されていたり。このドット絵の高い表現力が、少年たちのドラマを後押ししているのは言うまでもありません。

▲魔法を扱えるようになる“紋章”のなかでも特別な紋章を受け継いだことから、主人公とジョウイの運命は大きく回り出します

▲お酒を酌み交わす、戦士・ビクトールと女性市長であるアナベル。お酌をしたり、おちょこで味わうという動きがこんなに滑らかに描かれているなんて

▲“ガンナー”のエルザと、彼女を追うクライブとの因縁の対決。滑らかに身をひるがえすアクションがかっこいい

先ほど少年たちのストーリーと言いましたが、正確に言うと本作は少年ふたりとひとりの少女の物語です。主人公の義姉・ナナミもジョウイと幼なじみであり、家族同然に育ってきた仲なのです。だからこそ、主人公とジョウイが決別したこと、ふたりが戦うことに心を痛めています。ふだんは元気いっぱいの明るい女の子なのですが、主人公たちへの心配や不安がぽろりと出てしまうことも。

▲殿(しんがり)を務めたジョウイの帰りを待つシーン。主人公の義姉・ナナミの目線が雄弁に語っていました

▲本作にボイスはありませんが、静かに語るナナミの言葉から彼女の気持ちが痛いほど伝わってきます

その一方で、ナナミはプレイヤーの代弁者でもあると思います。主人公とジョウイは親友どうしなのに、どうして戦わなければならないのかと声をあげるナナミ。主人公はプレイヤーの分身ではありますが、ゲームをプレイしていると主人公を取り巻く環境を客観的に見る時間もあるのではと思います。ナナミの言葉はまさに、そのときに感じることと同じだったりするのです。
そもそもふたりが戦うようになったのは、“戦いをなくすため”でした。事の始まりはハイランド王国という国が、“都市同盟”の諸国に侵略を開始したことでした。主人公とジョウイはハイランドと戦うことを決意したものの、身を置いていた都市同盟の各国の足並みはバラバラ。ジョウイは、強いひとつの国が統治すれば争いは起きないと考え、ハイランドに仕官。やがて皇王にのし上がります。しかし、彼が見限った都市同盟は主人公の活躍で結束し、勢いを取り戻していき……。こうして、ふたつの勢力が対立することになったわけです。

▲ふたりが目指すものは同じ、でも、やりかたが違う……。なんともやるせないことです

そんな戦いが続くさなかにある事件が起こるのですが、そこは同時に『幻想水滸伝』シリーズならではの見せ場でもありました。シリーズでは仲間を108人集めることがひとつのポイントになっているのですが、そのご褒美とも言えることが起きるわけです。これは1作目の『幻想水滸伝』からある伝統ですが、何度体験しても胸アツですね。

ちなみに『幻想水滸伝II』には、1作目から引き続き登場しているキャラクターや地名があります。また、1作目のクリアデータをコンバートすることで1作目の主人公と共闘できるという、うれしい要素も。でも、それらの特典がなくても1作目あっての『幻想水滸伝II』だなと思える部分もあるのです。108星を集める以外にも、本拠地やバトルなどおもだったシステムは1作目からすでにできあがっていて、それに磨きをかけたのが『幻想水滸伝II』。ただ、大きく違うなと感じたのは、当然かもしれませんがストーリーでした。1作目は主人公が苦難や相手を乗り越えるというテーマだったように感じますが、『幻想水滸伝II』はいろいろな人の想いを受け継ぐ物語だと感じるのです。そのためか随所に人々のドラマがあり、群像劇という一面も垣間見せていました。また、名台詞が多いんですよね。余すところなく、見どころ尽くしというのが『幻想水滸伝II』を傑作と言わせる所以かもしれません。

▲ぼっちゃんこと1作目の主人公、そして従者のグレミオ登場。これは前作からのファンにはたまりませんね

▲学生のニナが、自己犠牲を示そうという市長代行のテレーズに飛ばす檄。ハッとさせられました

▲料理対決や釣りなど、本作からミニゲームも大幅に追加

『幻想水滸伝II』は発売から20年が過ぎますが今回改めてプレイしてみて、古臭さはまったく感じないどころか、「ドット絵でここまで表現できるのか、すごい……!」と震えることしきりでした。しかし、そのスゴさに慣れちゃうのが怖いところで、もう純粋にドラマとして没入している自分がいました。それとプレイのすこぶる快適なことが、逆に困惑するところでもありました。当時はPlayStation®でしたし、『幻想水滸伝I&II』として移植されたのもPlayStation®Portableなのに、このサクサク進むバトルは何なんだ……。よくオカルトめいた話として、その時代には製作不可能であろう物体・オーパーツなんてのがありますが、『幻想水滸伝II』はもはやその域であった気もします。平成のオーパーツ。とにかく、『幻想水滸伝II』というものすごいRPGが存在したことは確かなのです。再び、現行ハードで手軽にプレイできることを祈っています!

©Konami Digital Entertainment


さて、私を泣かせた平成の男というテーマで3本をお届けしましたが、フタを開けてみると男性キャラクターに限ったことではなかったようです。むしろ、女性キャラクターに思い入れがあったかも……? それでもこの3本が平成に名を刻んだ作品であり、令和の世にも語り継いでいきたいゲームであることは間違いありません。本稿を書くに当たり、3本ともまたイチからプレイし直してみましたが、やっぱりまた泣いてしまいました。結末も全部知っているのにね……。読んでくださった方のなかには、「えっ、ゲームで泣いたことないんだけど」という人もいらっしゃるかもしれません。私もゲームにこれほど心を動かされるとは思っていませんでした。しかし、この30年で楽しいとか達成感のほかにも、いろいろな感情を抱かせてくれるようになったゲームたち。その進化を肌で感じられる時代に生まれてよかったと思っています。令和ではどんなゲームが飛び出すのか、楽しみですね!


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