Interview

go!go!vanillas が“最新最高”を更新。『THE WORLD』に込められた、前進し続ける彼らのハンパない熱量

go!go!vanillas が“最新最高”を更新。『THE WORLD』に込められた、前進し続ける彼らのハンパない熱量

今年1月にリリースされた会心のシングル「No.999」でバンドが前進するための強い意志とともに大きな変化を遂げつつあることを高らかに告げたgo!go!vanillasが、4作目となる新作アルバム『THE WORLD』を完成させた。全世界的にロックが低迷し、また、日本においてはある種の閉塞感や息苦しさが漂うなか、ロックはどうあるべきなのか。そんな課題と真摯に向き合った彼らは、ロックが本来持っている自由なスピリットを型にとらわれることなく、サウンドの進化へと転換。さらにリリックの面においては、日常の閉塞感や息苦しさと向き合い、攻撃的に、そしてポジティブに言葉を紡ぎだすことで、現状打破を試み、さらに音と言葉の高揚感溢れる一体感によって、go!go!vanillasの新たな世界を切り拓いた作品に仕上げている。交通事故で負った怪我の療養でベースの長谷川プリティ敬祐が一時離脱中の彼らだが、フロントマンの牧 達弥(vocal, guitar)、柳沢進太郎(guitar)、ジェットセイヤ(drums)の3人が語る言葉は、快方に向かいつつある長谷川と共にバンドが困難を乗り越えて、ベストな状態に向かいつつあることを伝えている。

取材・文 / 小野田雄 撮影 / 冨田望

ずっと作り続ける、やり続けることで、最新最高を更新できる

シングル「No.999」のインタビューでも予告していたとおり、会心のアルバムが完成しましたね。アルバムの方向性はいつ頃見えてきたんですか?

牧 達弥 シングル「No.999」を作り上げた去年の5月ですね。その時点でアルバム収録曲は、ほかに3曲くらい完成していたんですけど、今回のアルバムでは身の回りの小さなこと、日常生活において思ったこと、つまり、人間それぞれが心の中に持っている世界を自分たちの音楽に乗せて、みんなに届けたいと考えるようになりました。

牧 達弥(vocal, guitar)

アルバムを聴いた印象として、日常の閉塞感とそれを打破していくポジティブなスタンスが強く打ち出されているように感じました。

 そうですね。SNSが発達したことで、人と人が繋がり広がっていくようで、逆に人が断絶し、世界が狭まってしまっているのが事実であり、現実だと思うんです。シングル「No.999」では、そういう現状を悲観するんじゃなく、うまく活用、利用して、自分の生活をいかに楽しく、豊かなものにしていけるのかということを歌ったんですけど、最近のスマホは1週間の使用レポートがわかるじゃないですか。それを見たとき、自分はすごい時間スマホを触っていることがわかって、そこから考えるに、自分を含めた今の人の世界はスマホに詰まっているんだなって思ったんです。電車に乗っていてもそうですよね。車内はぎゅうぎゅうに混んでいるのに、それでもなお、ほとんどの人がスマホを触っていて、これは恐ろしいことだなと思うんですけど、それが今の社会における当たり前の光景なんだって。もちろん、そこには自分も含まれているんですけど、そういう日常風景を歌わないのは嘘になるし、さらにそれを肯定するためには、スマホやSNSの弊害や問題を考える必要があって、そこで考えた自分の意見を面白おかしく、ちょっとした皮肉を込めて曲に落とし込むのが、今のロックのあるべき姿だろう、と。

go!go!vanillasのメインソングライターは牧くんですけど、「ワットウィーラブ」ではもうひとりのソングライターである柳沢くんも牧くんと同じテーマで歌詞を書いているところからも、牧くんのテーマや問題意識がバンド内で共有されているんですね。

柳沢進太郎 そうですね。牧さんが書いた1曲目の「パラノーマルワンダーワールド」の歌詞を読んだとき、安っぽい言い方かもしれないけど、涙が出てしまって。自分も牧さんのように、生きづらい現代における恋や愛、夢や希望を歌いたいなと思って、「ワットウィーラブ」を書きました。

ジェットセイヤ 自分は思っていることを言葉にするのが得意じゃないから、ドラムを叩いているんですけど、自分が言葉にできない思いを言葉にしてくれて、牧には感謝していますし、言葉を扱わないなりに自分がドラムを叩く意味を考えると、ライヴやレコーディングにおけるプレイを通じて、言葉にならない根源的な喜怒哀楽の感情を表現しないといけないなって思いました。

柳沢進太郎(guitar)

日常の閉塞感とそれを打破していくポジティブなスタンスを歌詞で表現しつつ、go!go!vanillasがやっているのは音楽ですから、閉塞感は音楽の力で打破していくべきであって、今回のアルバムはサウンド面での大きな成長が作品のテーマと見事に響き合っていますよね。

 そうですね。今までも新しいことに挑戦してきたんですけど、以前は経験値が少なくて、いっぱいいっぱいな状態だったんですよ。でも、経験を重ねるなかで気持ちに余裕が生まれて、新たなことに挑む際のプロセスが考えられるようになりましたし、今までよりもいろんなアイデアが浮かんで、それを試すことができました。だから、以前と比べて苦労が減りましたし、曲の完成度も飛躍的に高まりましたね。

1曲目の「パラノーマルワンダーワールド」のたたみ掛けるように濃密なポップ感覚が作品全編にわたって貫かれている今回のアルバムは、トラックのように作り込んだ「サイシンサイコウ」に象徴されるように、ライヴでの再現性は置いておいて、スタジオワークを極めようという自由なムードに満ちています。

 楽曲を作っていくうえで、まずはスタジオワークを極めて、ライヴのことはあとから考えようと思ったんです。作品とライヴは必ずしもまったく一緒である必要はないし、作品は作品、ライヴは作品をリアレンジした新しいものとして提示できれば、楽しみは2倍になるだろうし、柔軟にリアレンジして演奏できるところがバンドの利点だったりもすると思うんです。日本ではお客さんがひとつの正解を求めがちだったりするので、作品をライヴ用にリアレンジしたものを求めてくれるかどうかは正直わからないですけど、そこは僕らが頑張ってクオリティの高いライヴをやることによって、お客さんのライヴの楽しみ方を新たに開拓して、何度も足を運びたくなるんじゃないかなって。

ジェットセイヤ(drums)

形にばかりこだわったことで世界的にロックが低迷している今、形にこだわらず、いかに自由に遊ぶかが「サイシンサイコウ」でも歌っている“最新最高のロックンロール”に通じる近道なのかもしれないですね。

 うん、そのとおりだと思います。だから、この曲に関してはスペインのサクラダファミリアのように、作品だけでなくライヴにおいても、ずっと作り続ける、やり続けることで、最新最高を更新できるんじゃないかなって(笑)。そういう面白いアプローチも考えていますね。

セイヤ 僕たちは同じところにとどまらないバンドだと以前から思っているんですけど、今回はその姿勢がさらに際立ったというか、もっと開かれていってる感覚があって、go!go!vanillasらしさは放っておいてもあとから付いてくると思うし、それより自分たちがカッコいいと思えることが最優先ですよね。だから、形にとらわれず、変わり続けながら、そのカッコよさを模索しているんですよ。

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