Interview

神様、僕は気づいてしまった 待望の1stアルバムリリース。濃密に描かれたバンドの独創性に迫る!

神様、僕は気づいてしまった 待望の1stアルバムリリース。濃密に描かれたバンドの独創性に迫る!

神様、僕は気づいてしまったが1stフルアルバム「20XX」をリリースする。
2017年5月にシングル「CQCQ」(ドラマ「あなたのことはそれほど」主題歌)でメジャーデビューした彼ら。「UNHAPPY CLUB」(「ドラマ「警視庁ゼロ係〜生活安定課なんでも相談室〜」THIRD SEASON」主題歌)、「匿名」「ストレイシープ」(映画「オズランド 笑顔の魔法おしえます。」挿入歌)を含む本作には、高度な音楽知識とアレンジセンスに貫かれた楽曲、メンバー個々の優れたプレイヤビリティ、孤独、ディストピアの感覚をポジティブに転化するような歌詞の世界など、このバンドの独創性が濃密に描かれている。メンバーの東野へいと(G)、和泉りゅーしん(B)、蓮(Dr)に本作の制作、バンドの現状、初の東名阪ツアーなどについて聞いた。

取材・文 / 森朋之


“ふたつの孤独”みたいなことを考えていたんですよね(東野)

東野へいとさんに前回エンタメステーションに登場してもらったのは、1stミニアルバム『神様、僕は気づいてしまった』(2017年7月)のときでした。

東野へいと(G) そんなに前なんですね。

(Dr) 2年前くらいかな?

メジャーデビューから約2年、ついに1stフルアルバム『20XX』が完成しました。感慨深いものもあるのでは?

 「ようやくできた」というのはありますね。ずっと作っていたので。

東野 「TOKIO LIAR」は、以前から公開していた曲でしたからね。新曲は8曲書き下ろしていて、2ndシングル(「ストレイシープ/匿名」)とか配信限定の曲(「UNHPPY CLUB」)も収録されているし、「そろそろアルバムを出そう」と決まってから書いた曲もあって。

全体的なテーマは何かあったんですか?

東野 僕ひとりが曲を書いているわけではないのですが、自分のなかでは「こういうテーマがいいかな」というのはありました。“ふたつの孤独”みたいなことを考えていたんですよね。孤独って英語で表すと“Alone”と“Solitude”があって。“Alone”はひとりでいるが故の閉塞感、寂しさ、寂寥(せきりょう)みたいなニュアンスで、“Solitude”はひとりでいることで人間性を高められる、成長できるという意味合いがあって。その両方をテーマにしたいなと考えていました。
結局、“自分次第”というのがもともとの神僕のコンセプトなので、それも意識しています。

『20XX』というアルバムタイトルについては?

東野 それはメンバー全員で話し合って決めました。

和泉 みんなで衝突しながらかなり話し合いましたね。

東野 僕は最初、“Sink or Swim”という英語にタイトルを考えてたんですよ。“のるかそるか”という意味なんですけど、それも“自分次第”というテーマにつながるかなと。でも、ボーカルのどこのだれかが、神僕で英語のタイトルは違う気がするって言ってたんです。自分たちが求められているものを提供するなら、その英語のタイトルは違うんじゃない? って。それで、考え直して“20XX”になったんです。

和泉 腑に落ちた感じがありましたね。

アルバムが出来上がってみたら、この曲が全体のテーマにもマッチしていて。偶然というか、無意識だったんですけどね(東野)

「20XX」という楽曲自体は、アルバムの軸にしようと思って作ったわけではない?

東野 そうですね。メンバーには好評で、MVも撮影したんですけど、僕の中ではリード曲っていう感覚はあまりなくて。最後まで「どの曲でMV撮る?」って話してたんですよ。結構勘違いされちゃうと思うからあえて言っておきたいんですけど、「20XX」に、アルバムで伝えたいメッセージがあるわけではないんです。

和泉 他のメンバーは「20XX」をかなり推してたんですけどね。

 そうですね。

東野 アルバムが出来上がってみたら、この曲が全体のテーマにもマッチしていて。偶然というか、無意識だったんですけどね。

さっきの話でいうと、ネガティブな孤独を表現した曲なんですか?

東野 いや、別にネガティブというわけでもなくて。

この歌詞は……最近、感じていることを書いた感じですね。人っていうのは、「わかり合える」と思っている人が多いじゃないですか。僕はそうじゃないと思っていて。人はわかり合えるものではないから、「この人の悩みや苦しみは自分には想像できないかもしれない」という相手の気持ちを予想してバッファ(余白、ゆとり、緩衝材)を持つ。そこから生まれてくるのが優しさだと思うんです。「わかり合えないという前提で話が出来ないなら世も末だな」という歌詞ですね、「20XX」は。

この曲には東野さん自身のリアルな思いも反映されているんですね。

東野 最初からそうしようと思っていたわけじゃないですけどね。

東野さんの歌詞、すごく共感できますけどね。「この街が潰れる様を見たい」(「TOKIO LIAR」)とか。

和泉 その歌詞、カッコいいですよね。アポカリプス(キリスト教における黙示を表す言葉。「最後の審判」「人類の滅亡」に近い終末論的なニュアンスも)があるし、それはCDの特に通常盤ジャケットビジュアルにも現れていると思います。

いままでの神僕になかったアプローチをやってみたいなと(和泉)

アルバムには和泉さんの曲(「沈黙」)、どこのだれかさんの曲(「破滅のオレンジ」)も収録されていて。

東野 両曲ともかなり良いんですよ。

和泉 いままでの神僕になかったアプローチをやってみたいなと。ちょっとシャッフルが入っていて、大人っぽいサウンドになっていると思います。

東野 それが良かったんですよ。神僕にはバンドらしい化学反応的な部分が弱いなと思っていたんです。せっかく曲を書けるメンバーがいるんだから、新しいテイストの曲を出してほしかったので。

和泉 メンバーの話し合いのなかでも、「コンセプト作りだったり、曲を書いたり、もっと主体的に関わろう」みたいな話をしていて。そこで化学反応が生まれたらいいなと。

東野 「CQCQ」の頃は、メンバーが「こうしたい」というアイデアを持ってきても、用意したデモの範囲でやっていたということが多かったので、そこはだいぶ違いますね。「沈黙」みたいな曲も自分からは出てこないだろうし。100%のシャッフルじゃないところが良いんですよ。ちょっとレイドバックしていて、渋谷系みたいな感じもあって。

 分析してる(笑)。

和泉 狙ってるわけじゃないから、それが自分のグルーヴなんでしょうね。

東野 理由を求めちゃうんですよね。作曲者の意図がわからないと、音楽を聴いた達成感がないというか。

和泉 アルバムの最後にインスト(「Endpoint(Instrumental)」)が収録されているんですけど、曲のタネは僕が作って、それを東野に渡して仕上げてもらったんですよ。そしたらアルバムが完成した後になって、「あのコード進行にはどういう意図があるのか知りたい」って(笑)。

 音楽に対する精査がすごいよね。

和泉 音楽の理論がしっかりしてるんですよね。どこのだれかと僕は感覚と感性で作ってみることが多いんだけど、東野に毎回大いに感化されてます。

僕は(ブラックミュージックの)専門ではないから、思い切りそれっぽくはならなくて。それもバンドっぽいのかなと(蓮)

「沈黙」のリズムのアレンジも、メンバー同士で話してたんですか?

 そうですね。録音当日にアレンジをすり合わせる時間を作って録りましたね。

和泉 その場でベースを弾いて、説明しながらRECしました。

 確かにブラックミュージックの要素もあるんだけど、僕は(ブラックミュージックの)専門ではないから、思い切りそれっぽくはならなくて。それもバンドっぽいのかなと思いますね。どこのだれかが歌うと、ポップになるし。

東野 うん。キメラ(ひとつの個体に遺伝子の違う複数の組織が接して存在している状態)みたいになるのがバンドらしさだと思うんですよ。作曲家がひとりで方向性を決めてしまったら、それはバンドの音楽ではなくて、プロダクトになってしまうので。

和泉 どこのだれかのボーカルに対しても、僕からは何も言ってなくて。ハモリも全部任せてるんですよ。

東野 ある程度は統帥することも必要ですけどね。曲を良くするためには、嫌われたとしても言わなくちゃいけないことがあるので。

和泉 僕も東野に手を加えてほしいし、共同作業することで、曲が良くなりますからね。

東野 メンバーのフォロワーシップのおかげで成り立ってる部分もありますね、このバンドは。

 少しずつスタンスも変わってるんですよ。ドラムに関していえば、1stミニアルバム(『神様、僕は気づいてしまった』/2017年)の頃は、東野のデモに対して、「自分はどうしようか?」という意識だったんです。でも、今回のアルバムは「いっそ染まってみよう」という感じが強くて。フレーズを変えることで自分らしさを出すというより、ビートそのもので自分を出すというか。全体的にシンプルになってますね。

「破滅のオレンジ」は最近の洋楽のトレンドも感じられて。打ち込みを取り入れたアレンジも新鮮でした。

 おもしろかったですね。最初は全編、生ドラムで叩いてみたんですよ。いろいろ試すなかで、結局、サビ以外は全部打ち込みになって。

東野 実際にやってみて、最適なアレンジを選んだということですね。僕らは頭脳労働しているので、知的探求心が大事だと思っていて。やってみるということ自体に意味があるんですよ。

時代の変化も伺いつつ——迎合するわけではないですけど——自分たちも変わっていけたらなと(東野)

音楽的な幅も広がってるとおもいますが、ジャンルみたいなものは意識してない?

東野 個人的にはあくまでバンドで表現することに意味のあるアレンジを意識してますけど、それをほかのメンバーに強いているわけではなくて。ただ、音楽は日々、変わっているし、それには対峙したいですけどね。「ほかのことは知らない、俺たちは俺たち」ではなくて、時代の変化も伺いつつ——迎合するわけではないですけど——自分たちも変わっていけたらなと。特にドラムとベース、ビート回りですよね。

 そうですね。

和泉 3曲目の「Troll Inc.」は、まさにそうですね。

東野 「Troll Inc.」は蓮にパーカッション、キック、スネアを別々に録ってもらって、ビートメイクみたいな感じで作っていて。個人的に得た知見をバンドに活かせたのは良かったですね。洋楽的な引き出しをそのままやると結局向こうの世界での“よくある曲”になるので、要素の要はどこにあるのかを考えて、それをバンドで再現するにはどうしたらいいかというか。そこは思考停止にならず、やっていきたいですね。

和泉 その通りですね。しかも「Troll Inc.」のメロディはかなり日本っぽいんですよ。

 そこが新しいよね。

6月には初の東名阪ツアーも開催。まさに待望のツアーですね。

 いままでは音楽フェスにしか出演したことがなくて。自分たちのファンだけのライブは1回もやってないから、「どうなるんだろう?」と。ちょっと不安だったんですけど、予想以上に反響があったみたいで、良かったです。

和泉 演出でもおもしろいことができそうだし、我々らしいライブを見てもらえるんじゃないかなと。

東野さんはどうですか?

東野 ライブは絶対に唯一無二の価値があるっていうのは理解している一方で、ライブには来たい人が来て、楽しんでもらえればっていうドライな気持ちもありますね。

和泉 ライブの話をしていたときに、東野が「もしやるんだったら、ちゃんと演出して、冗長でなく、短時間でも没入感のあるもっと観たいと思わせるようなステージにしたい」と言っていて。それを実現するために準備してるので、楽しみにしていてほしいですね。

 そうですね。「ライブやらないんですか?」という声もたくさんもらっていたので、会場に来てくれた人が満足できるようにベストを尽くしたいです。

ライブ情報

神様、僕は気づいてしまった
1st Tour “From 20XX”

チケットCD封入シリアル先行実施決定!
5/14(火)12:00~5/19(日)23:59迄
ライブ会場限定!!神僕オリジナルグッズが当たる抽選券がCDに封入!

2019.06.04 (Tue) Zepp Tokyo
OPEN 18:00/START 19:00
1Fスタンディング
2F座席指定

(INFO)
クリエイティブマン
平日12:00-18:00

2019.06.07 (Fri) Zepp Nagoya
OPEN 18:00/START 19:00
全自由

(INFO)
サンデーフォークプロモーション
10:00-18:00

2019.06.08(Sat) Zepp Osaka Bayside
OPEN 17:00/START 18:00
全自由

(INFO)
キョードーインフォメーション
10:00~18:00

TICKET
前売り:¥4,500 (税込)
※未就学児入場不可、ドリンク代別途必要

神様、僕は気づいてしまった

どこのだれか(Vocal / Guitar)、東野へいと(Guitar)、和泉りゅーしん(Bass)、蓮(Drum)。
2017年5月、シングル「CQCQ」でメジャーデビュー。

オフィシャルサイト
https://sp.wmg.jp/kamiboku/