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古田新太、早乙女太一、清野菜名、須賀健太ら出演、劇団☆新感線39興行・夏秋公演『けむりの軍団』。笑いあり衝撃あり(!?)の会見レポート

古田新太、早乙女太一、清野菜名、須賀健太ら出演、劇団☆新感線39興行・夏秋公演『けむりの軍団』。笑いあり衝撃あり(!?)の会見レポート

劇団☆新感線が旗揚げ39周年にあたり行っている“39(サンキュー)興行”の夏秋公演 いのうえ歌舞伎《亞》alternative『けむりの軍団』が7月15日(月・祝)から東京・TBS赤坂ACTシアターにて開幕する。先日、その製作発表記者会見が行われ、脚本の倉持 裕、演出のいのうえひでのり、そして出演の古田新太、早乙女太一、清野菜名、須賀健太、高田聖子、粟根まこと、池田成志が出席。新感線らしい笑いたっぷり、さらに取材陣も言葉を失った衝撃の事実が明かされた会見の一部始終をレポートする。

取材・文 / 横川良明 撮影 / 冨田望


今の新感線だからできる骨太な本格時代劇

まずは本作の構想と、「いのうえ歌舞伎《亞》alternative」に込めた想いを、倉持といのうえが説明。

倉持 裕 今回、いのうえさんから「黒澤(明)監督の映画『隠し砦の三悪人』と太宰 治の『走れメロス』を合わせたかたちで何かできないか?」と言われまして。出来上がったのが、この古田さんと成志さんがふたりで清野さん演じるお姫様を守るお話です。
執筆の最中にたまたま古田さんとお会いする機会がありまして。その際、古田さんから「激しいアクションは若い俳優さんに任せなさい」と勧められましたので、言われたとおり激しいアクションは早乙女さん清野さん須賀さんに担当していただくよう書きました(笑)。
前回書き下ろした『乱鶯』では古田さんを本当に出ずっぱりにしてしまい。そのせいで古田さんから「一服する暇もねえじゃねえか!」と叱られたので(笑)、今回は古田さんの出番が終わったあとは必ず一服できるインターバルを置くよう細心の注意を払いました(笑)。

いのうえひでのり 我々のやっている「いのうえ歌舞伎」というのは(座付き作家の)中島かずきくんが書く少年ジャンプ的アクションドラマが多くてですね。それを30年近くやってきたわけですが、なにぶん劇団員の高齢化が進んでおりまして(笑)、ちょっとこのスタイルでやるのがキツくなってきました。
そこで今回みたいに倉持くんだったり別の作家に頼んで、今の劇団員の年相応な「いのうえ歌舞伎」をつくっていこうというのが、この「いのうえ歌舞伎《亞》alternative」のコンセプトです。新しい路線というか、新古典みたいなイメージを込めて「alternative(もうひとつの)」と付けました。
今回はできるだけ時代劇をちゃんとやりたいな、という気持ちが僕の中にあります。黒澤映画へのオマージュでもありますので、骨太な人間ドラマを僕らなりに描ければ。

古田さんは、今が倒しどきなんじゃないかと(笑)

さらに出演者もそれぞれに意気込みをコメント。
まずはお姫様を守る浪人・真中十兵衛(まなかじゅうべえ)役の古田新太。

古田新太 (劇団生活35周年になるが)いまだに僕がやりたいお芝居に手が届いていないまま35年経っちゃった。いつも僕は「代表作は次回作です」って言うんですけど、これが代表作になればいいなと思っております。(横にいる早乙女、須賀をちらりと見て)太一くんとか健太くんと舞台で一緒になるのは初めてで。もうだいぶ付き合いは長いんですけど、彼らに「舞台にコンプライアンスはない」ということを教えていきたいと思います(と、含みのある笑顔)。

次に、大名・目良家の家臣で侍大将を務める飛沢莉左衛門(とびさわりざえもん)役には、6度目の新感線登板、そして古田とは舞台初共演の早乙女太一。

早乙女太一 いつかは古田さんと刀を合わせたいとずっと思っていたので、やっと一緒にできることが何より嬉しいです。古田さんももう初老の域に入ってきているので、今が倒しどきなんじゃないかと(笑)。テクニックでは絶対勝てないですけど、若い体力でついていきたいと思います。

次に、目良家の正室であり厚見家当主の妹である紗々姫(ささひめ)役には、『髑髏城の七人』Season花(2017年)の沙霧 役で新感線の仲間入りを果たした清野菜名。

清野菜名 本格的な時代劇は初めてで。台本を読んでも言葉がわからなくてなかなか進まなかったりとか、ちょっと苦戦しそうなので、皆さんに学ぶ姿勢で勉強させていただきたいなと思います。新感線は本当に楽しんだ者勝ちだなという印象だったので、今回もとにかく楽しんでいきたいと思っています。

次に、紗々姫を守る厚見家家臣・雨森源七(あまもりげんしち)役には、『髑髏城の七人』Season月<上弦の月>の兵庫 役で新感線に初参加した須賀健太。

須賀健太 今回は劇団員の皆さんがほぼオールメンバーということで、より僕の観ていた新感線に出られるんだなっていうのがあって、すごく幸せです。清野さんとは舞台は初めてですけど、映像では何度かご一緒させていただいていて。今日も打ち合わせなしでふたりとも衣裳が同じ茶色。ここからちゃんと心が繋がっていっているんではないかと思います(笑)。

次に、女ボス的な存在の<嵐蔵院(らんぞういん)>役には、劇団員の高田聖子。

高田聖子 39(サンキュー)公演って響きが軽いというか明るい感じだし、てっきり次はネタモノだと思っていたので、本格的な時代劇というのは意外でした。でも、脚本はすごく面白いし、ちょっと落語的な楽しさがある感じがして。かなり老成してきた(笑)今の我々なりのネタモノというのが、もしかしたらこういうかたちなのかもしれないなと思っています。

次に、怪しげな夭願寺の住職・残照(ざんしょう)役には、同じく劇団員の粟根まこと。

粟根まこと 私の役は屁理屈担当です。屁理屈で煙に巻こうと思っています。(「『けむりの軍団』だけに?」というMCのツッコミに)そのとおりです(笑)。

そして、主人公・真中十兵衛の相棒である美山輝親(みやまてるちか)役には、なんと13回目の新感線出演となる池田成志。

池田成志 台本の厚さが電話帳ぐらいあるんですよ。これは長いなと思って読み始めたんですけど、非常に面白くてですね。どこかカットする方向で考えようと思っていたのに、意外にきっちり入り組んでいて。ここをカットするとここの伏線が飛ぶとか、ここをカットするとこの人がこういう行動ができなくなるっていう、非常に悪辣な本になっていました(笑)。テンポを上げないと面白くないですし、テンポを上げると体力を非常に消費する(笑)。今から戦々恐々としています。

古田くんの言うことは信用しないでください(笑)

さらに、取材陣から策士である真中十兵衛の役柄にちなんで、「翻弄したこと/されたことは?」という質問が。まず関係者の肝を冷やすギリギリの答えで笑いをとったのが、いのうえだ。

いのうえ わりと喫緊だと、やっぱりステージアラウンド(IHI STAGE AROUND東京)をやらなきゃいけないはめになったのが翻弄されたなあ、と。「回る劇場に興味ありますか?」と聞かれて「もちろん。楽しそう」とお答えしたら、「その代わりやるのは4年ですよ」と言われまして(笑)。それをなんとか2年で許してもらって、ずっとあそこでつくっては稽古し、つくっては稽古しをやってきたこの2年は、なんか翻弄されていたなあっていう感じですね(笑)。

さらに、『髑髏城の七人』Season月<上弦の月>で同じ釜のメシを食い、公私ともに親交の厚い早乙女と須賀からは、そんな仲の良さをうかがわせるやりとりが。

早乙女 (<上弦の月>の)本番中に健太がまったく自分の台詞じゃないところで急に自分の台詞を言い始めたんですよ。後ろで目立とうとしてちょこちょこやっていたせいでわからなくなったのか、急に「ふざけんじゃねえ!」って全然違うタイミングで出てきて。あれは最近の中で一番翻弄された時間でしたね(笑)。

須賀 いや、ちゃんとお芝居でちょこまかしてたんですよ。そしたら、いきなり間があって、舞台上がすごい静かになって。で、「俺の番だ!」と思って大きな声を出したら、舞台上が全員お客さんみたいな顔で僕のことを見てきました(笑)。
ちなみに僕が翻弄された相手は太一くん。よくご飯に誘っていただくんですけど、僕しか呼ばれていないと思って喜んで行くと、だいたい柄本時生くんがすでに横にいて。「あ、俺は二番目なんだ……」って(笑)。

そして、思わず取材陣も絶句のエピソードを披露したのが、池田成志だ。

池田 昔、公衆電話から留守番電話の内容を聞けましたよね。それで自宅に電話したら、渡辺いっけいが記事にできないような下ネタをずっと喋っていたんですよ。もうテープが終わるまで、いやらしい話を延々と。私、非常に怒りまして、それからいっけいさんと一時絶交をしておりまして。
それでまあ、何十年か経って、そんな話を古田くんにしましたら、古田くんがニヤッとしたんですね。なんと留守電に吹き込んだのは、いっけいさんの声真似をした古田くんだったんです(ここで取材陣からどよめきが沸く)。
そのことが20年以上経って判明しまして。私といっけいさんは同い年で仲が良かったんですけど、その友情を壊し、そのことを俺に何も告白しないという、非常に根の深い翻弄をされた記憶があります(笑)。ということなので、記者の皆さんも古田くんの言うことは信用しないでください(笑)。

古田 (渡辺いっけいの声真似で)もしもし、成志~? 渡辺です(笑)。

出番も少なくて台詞も少なくてギャラは同じなのが一番嬉しい

その後の囲み会見でも古田節は絶好調。「アクションをさせるな」と事前に忠告したにも関わらず、出来上がった台本を見るとアクションシーンがしっかり盛り込まれているようで、脚本の倉持に「全然言うこと聞いてねえじゃねか」とチクリ。クライマックスは早乙女太一演じる飛沢莉左衛門との対決も待っているようで「50オーバーの人間に何をさせたいんだっていうね。もうそろそろ枯れた演技とかやりたいですね。やらないですけど」と文字どおり取材陣を“煙”に巻いた。

これまで何度も新感線に出演しながら、古田との共演がなかったことに対し、早乙女は「古田さんに嫌われているのかなと思ってました」と告白。古田は「キャラがかぶるんじゃない?」と応酬し、取材陣を笑わせた。

清野は古田の攻略法について「飲みに行く」と即答。古田は「俺はほとんど稽古しないから」と宣言し、「稽古はなきゃないほうがいい。出番も少なくて台詞も少なくてギャラは同じなのが一番嬉しい」とニンマリ。長い台本についても「(どうして削っていこうか)当然考えています。みんな倉持の台本は巧妙で切りにくいって言ってるんですけど、バッサリいっちゃえばいいんですよ」と臆する素振りはいっさいなし。

映像作品でも今や欠かせない存在だが、古田がどこよりも色っぽく、どこよりも華やかに輝くのはホームであるこの新感線の舞台。53歳の古田新太が築く新たなヒーロー像とは……? 『けむりの軍団』の初日が今から待ち遠しくなる会見だった。

2019年劇団☆新感線39興行・夏秋公演
いのうえ歌舞伎《亞》alternative『けむりの軍団』

東京公演:2019年7月15日(月・祝)~8月24日(土)TBS赤坂ACTシアター
福岡公演:2019年9月6日(金)~9月23日(月・祝)博多座
大阪公演:2019年10月8日(火)~10月21日(月)フェスティバルホール

<チケット一般発売日>
東京公演:2019年5月19日(日)〜
福岡公演:2019年7月20日(土)〜
大阪公演:2019年7月28日(日)〜

STORY
大名・目良家が統治する、とある国のお話。
軍配士として様々な主君のもとで目良家と戦ってきた <真中十兵衛(まなかじゅうべえ)/古田新太> は、今は仕官する先もなく浪人として暮らす日々を送っている。ある日、賭場でテラ銭泥棒騒ぎを起こした <美山輝親(みやまてるちか)/池田成志> のとばっちりで、彼とたまたま同行していた十兵衛は子分二人をヤクザに人質にとられてしまう。五日の間に捕まえて戻らないと子分の命はないと脅され、仕方なく輝親を探すハメになる十兵衛。
一方、目良家の城内では、同盟を組む厚見家を守るために当主・則治(のりはる)のもとに正室として嫁いでいた <紗々姫(ささひめ)/清野菜名> が、その同盟を反故にされたとして厚見の家臣である <雨森源七(あまもりげんしち)/須賀健太> らと共に目良家を出ようとしていた。それを阻むのは則治の母であり、目良家で一番の権力者でもある <嵐蔵院(らんぞういん)/高田聖子> と、目良家家臣で侍大将の <飛沢莉左衛門(とびさわりざえもん)/早乙女太一> 。源七以外の厚見家家臣は莉左衛門らに斬り殺されるが、紗々姫と源七はなんとか城外へと逃げていく。
とある木賃宿で十兵衛は輝親を発見するが、そこに紗々姫と源七も居合わせたことで、目良家の追っ手たちと一悶着を起こす。その場にいた百姓、浪人たちが皆、目良家に恨みを持つ者ばかりだったことも功を奏し、十兵衛の機転、輝親の口八丁ぶりと無謀な行動で追っ手を追い払うことに成功。その様子を見た紗々姫から厚見の城まで自分を送り届けてほしいと頼まれ、悩む十兵衛。
その頃、一向一揆を扇動していると言われていた夭願寺(ようがんじ)では、厚見家の蜂起を知った住職の <残照(ざんしょう)/粟根まこと> が、もともと目良家から目をつけられている自分たちが生き延びるためには紗々姫を亡き者にするのが得策として、十兵衛たちが潜む酒屋の蔵を襲う。目良家の兵に変装した僧兵たちが姫に刀を向けることに違和感があった十兵衛は、村祭りの男衆たちが蔵の裏手に大勢集まっていたことを利用して援軍が来ていると思わせ、僧兵たちを退却させる。またもや、十兵衛のとっさの働きに感心する紗々姫。
その直後、夭願寺を疑って残照のもとを訪れていた嵐蔵院ら目良家一行。この時のいきさつを聞いた莉左衛門は、紗々姫を守っているのは煤煙党(ばいえんとう)ではないか、との考えを口にする。煤煙党とは目良家に激しい敵意を持つ集団だが、とっくの昔に滅んだはずだと言い、信じようとはしない嵐蔵院。互いに腹に一物がありながらも、目良家と夭願寺は共に協力して姫を追うことにする。
無事に城まで姫を送り届けることができれば、厚見家の軍配士として仕官させると言われて十兵衛の心は揺れ動く。しかし子分の命の刻限まであまり時間が残されていないため、すぐにでも輝親をヤクザのもとに連れて行かなければならないのだ。さあ、どうする、十兵衛!!

作:倉持 裕
演出:いのうえひでのり

出演:
古田新太/
早乙女太一 清野菜名 須賀健太  高田聖子 粟根まこと/
池田成志
ほか

オフィシャルサイト