Interview

『コードギアス』『おそ松さん』でも人気の実力派声優が…“意外にも初” 福山潤、ソロアーティストとして腕をふるったアニメ主題歌を語る

『コードギアス』『おそ松さん』でも人気の実力派声優が…“意外にも初” 福山潤、ソロアーティストとして腕をふるったアニメ主題歌を語る

2019年4月から放送中のTVアニメ『真夜中のオカルト公務員』。本作は、新宿区の職員として、区内に生息する人間ならざる存在のアナザー(本作で悪魔や天使、妖怪といった、人ならざる者たちの総称)が起こす事件と対峙していく主人公・宮古 新を中心に、魅力的な同僚たち、そして個性豊かなアナザーたちの巻き起こす日々のことを描く物語だ。

そんな『真夜中のオカルト公務員』のオープニング主題歌「dis-communicate」を歌うのは作中の主人公・宮古 新を演じる福山 潤。自身が主演するアニメ作品に、劇中で演じている宮古 新としてではなくアーティスト・福山 潤として向き合い制作した楽曲について、そして『真夜中のオカルト公務員』という作品について話を聞く。

取材・文 / えびさわなち


アナザーとの対話には、元々人間の中にもあった根源的なものが存在している

アニメ『真夜中のオカルト公務員』のOPテーマになっている「dis-communicate」ですが、福山さんが個人名義でアニメタイアップ曲を歌うのは意外にも今回が初めてですよね。キャラクターとしてではなく、福山 潤としてアニメ主題歌を歌われるということでしたが、いかがでしたか?

福山 潤 自分がアニメで主人公をやったうえにオープニング曲を歌うという、なかなか経験することのないことで。しかもずっとアーティスト活動を主軸にやっている人ならありえることなんでしょうけれども、このキャリアと年齢で、こういったポジションでやらせてもらうことはまったく考えていませんでしたが、今まで以上に作品を背負う感じにはなりますよね。だからプレッシャーや気負いではなく、作品をよりちゃんと理解しなければ、とは今まで以上に思いましたね。

楽曲に向き合うときのお気持ちもこれまでとはだいぶ変わりましたか?

福山 今までとやっていることは変わらないんですが、提示するやり方として客観的にプレゼンしていかなきゃな、という思いはありましたね。

そんな『真夜中のオカルト公務員』の印象を教えてください。

福山 僕が原作を読んでとても面白いと思ったのは、変なことをいっさいやっていないところ。たとえばオカルト的な要素があるものは今までにもいっぱいあったと思うんですけれども、主人公たちがそんなに大きな権限のない地方公務員で、しかも新宿区担当なので区を跨いでしまうと別の区の担当になる、ということですごくミニマムなところにある中で描かれているというのが第一。取り扱っている事件も大小さまざまあって、そのバランスが一話完結モノとしても楽しい。

あと、そこから踏み込んだ先にアナザーとコミュニケートができることが果たしていいのかどうか、という問題も出てくるんです。物語の中でも、言葉がなまじわかるから、同じ価値観で同じ目線で交渉についてしまうことの恐ろしさということが描かれているんですが、おそらくこれって人間関係とほぼ同じだろうなと感じるんです。

たしかにそうですね。

福山 現在の日本は、基本的に平和になってひとつの国になって、形としてはみんな平等で、言葉も通じるからそこの心配はいらないんですけれど、これがもし戦国時代や江戸時代のように、違う藩で立場も身分も違う相手だと成り立たないんですよね。元々僕ら人間の中にもあった根源的なものが、このアナザーとの対話には存在しているんだなって思うんです。

「人」と「人ならざるもの」との関係性は、この作品では切っても切れないですし。

福山 あと、原作のたもつ葉子先生が「何故人間の価値観に沿わなきゃいけないの?」っていうところをブレさせないのもいいなと思いました。「こっちは神様だし」って。それを今、原作で見ているととてもその人たちが子供っぽく感じるんです。駄々っ子じゃなくて理解を示さない。でも文化レベルでは「人間の社会ってこうでしょ」とか「人ってこうしなきゃいけない」みたいな人間の営みとして、子供でもわかっていること。

それって文化レベルとしてかなり上がっているからこそだと思うんですが、そのぶん、そんなことを意識しなくてもいい存在は子供だよねってことで。『真夜中のオカルト公務員』では、ウェウェコヨトルというアナザーが出てきますが、彼は、楽しいとか興味が深いことに動く。彼らのような、死ななければ寿命もないし、物を食べたりという人間の生命活動に必要なものが必要ではない存在にとって、コミュニケートも含めていっさい必要のない感情や配慮なんですよね。そういう存在とコミュニケートを取ることがどれだけ危険であるか。「神様ってどういう存在なんだろう」というところまで踏み込んで、そういった想いに触れることができるというのが、この作品の面白さだしすごいところだなと思います。

タイアップ曲としての成分と、個人の活動の成分を半々にした

その『真夜中のオカルト公務員』のオープニングを作ることになったときに、どんなことをいちばん表現したいと思われたのでしょうか。

福山 まずこの作品がタイアップになると聞いて、その段階では曲もなかったですし、オープニングかエンディングかもわからなかったんですが、その前に漠然と、共同作詞の松井洋平さんと「次の作品はどんなものにしましょうか」という話をしていたんですね。その時点では「サビは疾走感のある曲にしましょう」なんて話をしていて。「それならどんな描写で表現をしていきましょうか」とアーティスト・福山 潤の次のコンセプトは決めていたんです。それにタイアップがついて、曲もあがってきた。

割り合いとしてはアニメのタイトルバックもつくタイアップ曲としての成分と個人の活動の成分を半々にしましょう、ということで、半分の要素は先だって打合せしていた要素にしましょう、と。歌詞としては制作サイドから入れて欲しいワードをいただいて、「アナザー」「真夜中」「新宿」などがある中で、どうやって入れる?というパズルを組むようなところから始まりました。どこをアニメに寄せて、どこまで寄せないで、というさじ加減は僕に委ねていただく形で作業に入っていって、ワンコーラス目が出来た時点でタイトルを決めた感じでした。

歌詞を拝見していると、縦に読むと浮かんでくる文字があったり、遊び心も満載で。

福山 それは松井さんが入れたパズルなんです。言葉としては歌詞に入れられないけれど、歌詞カードには入れられたので、縦読みすると「しんじゅく」と読めるところがあるんですけど、新しいという言葉には僕が演じる宮古新の名前もある。松井さんはそういうことをやらせるととてもうまいんですよね。

その松井さんに対して、僕からは、そのまんまやるのではなく別の要素を入れようと思って、ワンコーラス目はタイトルバックもつくので作品全体の枠組を説明するセクションにして、コミュニケートの部分の根幹を歌うことにして、2コーラス目はドラマにしよう、と、言葉を硬くするだけではなく構成としてオープニングに入らない部分では原作の中の、榊(京一、新宿区役所「夜間地域交流課」リーダー)のエピソード部分をここに落とし込もうということでやった、というのはあります。

MVでは、スローなのがもったいないくらいにアクロバティックなことをしてくれている

そんな「dis-communicate」。MVも非常に印象深いものでしたが、制作されていかがでしたか?

福山 今回、アナザーをフィーチャーしているんですが、そのアナザーを象徴してくれた方たちがパルクールの達人でして。スローなのがもったいないくらいにアクロバティックなことをしてくれているので注目してもらいたいです。

メイキングも相当面白いと思います。だって今回、僕はすごく楽でしたからね。止まっているか、歩いているか。あとはパルクールで魅せていただいていますから。デジタルなものとアナログなものを織り交ぜながら。しかも僕が歩いていて、アナザーが姿を見せる場面はカメラを一回しでやっているんです。あの人たちの身体能力と勘の良さが光る、すごいパフォーマンスなのでぜひ楽しんでもらいたいですね。

では最後に読者へ向けて「dis-communicate」をレコメンドしてください。

福山 今までは自分の中でのテーマを元に作ってきた楽曲ですが、今回は作品のテーマ、作品の内容、いろんなものを混ぜた中でまた今までとは違った角度で作詞をさせていただきましたし、曲も大変カッコいいものになっています。そんな楽曲を歌わせていただき、大変面白い作品になったなと感じております。またカップリングの「Mooving」も表題曲とは全然違い、今できる、肩の力の抜けた楽曲として作らせていただきましたので、MVやメイキングも含めて楽しんでいただけたら幸いです。よろしくお願い致します。

TVアニメ『真夜中のオカルト公務員』

放送中

【スタッフ】
原作:たもつ葉子(KADOKAWA「コミックNewtype」連載)
監督:渡邊哲哉
シリーズ構成:樋口達人
助監督:大石康之
オカルト考証:三輪清宗
キャラクターデザイン:伊藤依織子
アナザーデザイン:伊藤依織子 鈴木勘太
プロップデザイン:伊藤依織子 江上夏樹
美術設定:青木智由紀 イノセユキエ 泉 寛
美術監督:三原伸明
色彩設計:小野寺笑子
撮影監督:田村 仁 姫野めぐみ
編集:吉武将人
音響監督:鶴岡陽太
音響効果:山谷尚人
音楽:Evan Call
アニメーション制作:ライデンフィルム

【キャスト】
宮古 新:福山 潤
榊 京一:前野智昭
姫塚セオ:入野自由
仙田礼二:遊佐浩二
狩野一悟:櫻井孝宏
ウェウェコヨトル:土岐隼一
ユキ:山本和臣

©2019 たもつ葉子/KADOKAWA/「真夜中のオカルト公務員」製作委員会

福山潤アーティストオフィシャルサイト
TVアニメ『真夜中のオカルト公務員』オフィシャルサイト