平成のゲーム 30年間の軌跡  vol. 2

Review

【平成11年~20年】ゲームの価値観が大きく揺れ動いた10年間

【平成11年~20年】ゲームの価値観が大きく揺れ動いた10年間

平成元年に生まれた子どもはいま30歳になっている。ひとりの人間が幼児期、児童期、青年期を経て、働き盛りの年齢になっているわけだ。30年間という時間に(ビデオ)ゲームがピタッと寄り添ってきた、そんな人も多いことだろう。ゲームは子どもの遊び道具でいつか卒業するもの。いまでこそまったくもって信じられないが、そんな価値観が30年の間に蔓延った時期もあったように感じる。据置・携帯といったゲーム機(ハード)やソフトの流行、その売上や販売を巡る課題に付随して、私たち一人ひとりが抱く“ゲームとは何か”という価値観も、この平成30年間のゲームシーンを語るうえで欠かせない視点になることは間違いない。
さて本記事は、平成30年間のゲームシーンをひとつの流れとして10年間ごとの全4回で読み解く企画。2回目となる今回は、平成11年(1999年)から平成20年(2008年)までを振り返る。なお前回同様、個人や世代によってゲームシーンとの関わりはさまざまあると承知したうえで、時系列での掲載をご理解いただきたい。また、数字的データの記載は極力避け、肌感覚としての歴史を述べていきたく、資料としての記事ではない点もあらかじめご了承いただければ幸いである。

文・構成 / wodnet、エンタメステーション編集部


平成11年(1999年) -世紀末にやってきた仮想世界-

まことしやかに騒がれたノストラダムスの大予言。世紀末に実際に起こったのは、コンピュータが西暦2000年を認識できないことによりシステム等に支障を来たすY2K問題だった。そんな平成11年に登場したのは、ワンダースワン(バンダイ)やネオジオポケットカラー(SNK)といった携帯ゲーム機だ。これらは子ども向けと思われがちだった携帯ゲーム機市場で、若者向け・マニア向けといった層を拡大した。

▲ワンダースワン。ゲームソフトによって縦横で持ちかたを変えることができた ※画像提供:(株)バンダイ

▲ネオジオポケットカラー。前年発売されたネオジオポケットがカラーになった。また、サイズなどをよりコンパクトにしたものを同年(1999年)に発売した

ゲームソフトでは、いまも絶大な人気シリーズを誇る『ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ』(任天堂)がNINTENDO 64で発売となったほか、『ポケットモンスター 金・銀』(任天堂)も発売され、いずれも任天堂の据置・携帯両ゲーム機でヒットを飛ばした。

▲『ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ』(任天堂)。任天堂のゲームキャラクターが一堂に会する対戦アクションゲーム

▲『ポケットモンスター 金・銀』(任天堂)。ゲームボーイおよびゲームボーイカラー専用。パッケージに伝説のポケモン(『ポケモン 金』にホウオウ、『ポケモン 銀』にルギア)が描かれたのは本作から

PlayStation®のタイトルは、シリーズで初めて8頭身のリアルなキャラクターを操作できた『ファイナルファンタジーⅧ』(スクウェア 当時/現スクウェア・エニックス 以下同)を始め、『グランツーリスモ2』(ソニー・コンピュータエンタテインメント 当時/現ソニー・インタラクティブエンタテインメント 以下同)、『みんなのGOLF 2』(ソニー・コンピュータエンタテインメント)、『バイオハザード 3 LAST ESCAPE』(カプコン)といった、人気タイトルの続編で賑わった。また、ポケピ(ポケットピープル)と呼ばれるキャラクターたちにコトバを教えることで交流を楽しむ『どこでもいっしょ』(ソニー・コンピュータエンタテインメント)もこの年に発売された。

▲『ファイナルファンタジーⅧ』(スクウェア)。シリーズお馴染みの召喚獣がガーディアン・フォース(G.F.)として登場し、ジャンクションというキャラクターの成長システムにも影響を及ぼした

▲『どこでもいっしょ』(ソニー・コンピュータエンタテインメント)。本作の登場キャラクターであるトロはPlayStation®を代表するような人気キャラクターになった

▲PocketStation®。PS本体のメモリーカード挿入口に挿せる。『どこでもいっしょ』では外でポケピと会話を楽しんだあと、家のPlayStation®でも楽しむことができた

こうした“コミュニケーション”を遊びの中心に据えたタイトルがゲームシーンに現れ出した頃に、2ちゃんねる(現 5ちゃんねる)も生まれ、インターネットの普及にともなってサイバーな世界を介した交流が身近になっていった。それを象徴するように、映画『マトリックス』が公開され、ゲームの表現するような仮想世界が現実に影響を与えるといったムードや風潮が漂い出した年だった。

<平成11年(1999年)>

【時代の出来事】
石原慎太郎さんが東京都知事に、携帯電話・PHSの番号が11桁、ジャイアント馬場さん死去、アーケードゲーム誌のゲーメストが廃刊してアルカディアが創刊、映画『スターウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』、映画『シックス・センス』、映画『鉄道員』、アニメ『ONE PIECE』、アニメ『∀ガンダム』、漫画『NARUTO』

【発売されたおもなゲーム】
『クレイジータクシー』、『パワーストーン』、『ミスタードリラー』、『餓狼 MARK OF THE WOLVES』、『遊☆戯☆王デュエルモンスターズⅡ 闇界決闘記』、『ポケモンピンボール』『ヴァルキリープロファイル』、『ディノクライシス』、『Dance Dance Revolution』、『ダービースタリオン99』、『シーマン』、『ドンキーコング64』


平成12年(2000年) -ミレニアム・ムーブメント-

ミレニアムとなったこの年の3月、PlayStation®2(ソニー・コンピュータエンタテインメント)が発売され、ゲームはさらなる表現力の高みを獲得した。

▲PlayStation®2。ゲームにDVDメディアが採用され、これまで以上に高画質・大容量のタイトルが続々リリースされた。ゲーム以外の機能も備えており、DVDプレーヤーとして普及した側面もあった

DVDプレーヤーとしての需要もあいまって、ゲーム機はもはやゲームを遊ぶだけでなく、マルチメディア総合機としての機能も併せ持ち始めた。こうしたゲームシーンの変化のなかで起こった動きがCEDEC(Computer Entertainment Developers Conference)で、ゲームや映像コンテンツなどのコンピュータエンタテインメントについて、開発技術やビジネス情報を共有する場として始まった。
ほかにも、セガ(当時/現セガゲームス 以下同)がドリームキャスト向けにクラシックゲームタイトルを配信販売するサービス“ドリームライブラリ”を他社に先駆けて開始、国際的eスポーツ大会のWorld Cyber Games(第1回)が韓国で開催されるなど、かつてないムーブメントが次々に起こった年でもあった。
この年のゲームシーンは、作品の全体的なテイストがリアルになっただけではなく、見た目にはリアリティを感じなくとも物理演算やモーションなどの面で、より一層現実世界をシミュレーションする傾向を強めていった時期だったのではないだろうか。ゲームは“遊んで楽しいもの”という価値は、おそらくこれまでもこれからも変わらないであろうが、“見て楽しいもの”でもあるという意味で、映像表現のひとつとして認識され始めた時期でもあったのかもしれない。

<平成12年(2000年)>

【時代の出来事】
シドニーオリンピック開催、BSデジタル放送開始、2,000円札が発行、サザンオールスターズの『TSUNAMI』の売上が歴代1位、株式会社アスキーから株式会社エンターブレインが分社化、ゲーム『MOTHER3』の開発中止、映画『バトルロワイヤル』、ドラマ『相棒』、ドラマ『仮面ライダークウガ』、アニメ『はじめの一歩』

【発売されたおもなゲーム】
『CAPCOM VS. SNK MILLENNIUM FIGHT 2000』、『ドラゴンクエストⅦ エデンの戦士たち』、『ファイナルファンタジーⅨ』、『スーパーロボット大戦α』、『遙かなる時空の中で』、『ジェットセットラジオ』、『リッジレーサーⅤ』、『決戦』、『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4 最強決闘者戦記』、『ポケットモンスター クリスタルバージョン』、『ポケモンスタジアム金銀』


平成13年(2001年) -世界が恐怖に包まれたからこそ-

第一次小泉内閣が発足したこの年、世界を震撼させる出来事が起こった。それはまるで映画のワンシーンのようで、いまだに映像が脳裏に焼き付いて離れない方もいるだろう。アメリカ同時多発テロが9月11日に起こった。
ハイジャックされた旅客機がニューヨークの世界貿易センタービルに突撃した。のちにPlayStation®2で発売された『メタルギア ソリッド2 サンズ・オブ・リバティ』(KONAMI)では、世界貿易センターが映し出されるシーンをカットするなど、事件の衝撃はゲーム業界にも波及した。

▲『メタルギア ソリッド2 サンズ・オブ・リバティ』(KONAMI)。シリーズの主役であるソリッド・スネークを操るタンカー編と、新たな主役・雷電を操るプラント編の2部構成

世界中にテロの恐怖を知らしめた年であったが、ゲームシーンに目を向けると、次世代ゲーム機を始めとする3つのハードが投入された年でもあった。3月にゲームボーイアドバンス(任天堂)、9月にニンテンドー ゲームキューブ(任天堂)、11月にはアメリカでXbox(マイクロソフト)が発売された。

▲ゲームボーイアドバンス。ワイドな画面で見やすくなり、性能も格段にアップした。これまでのゲームボーイやゲームボーイカラーのタイトルも遊べた

▲ニンテンドー ゲームキューブ。任天堂のゲーム機では初めてとなる、DVDをベースにした光ディスクを採用したハード

▲Xbox。発売と同時にXbox Liveのサービスも開始。ネットワークを活用したゲームプレイはもちろん、コミュニケーションやオンラインでのゲーマーコミュニティの創成につながった

ほかにも、ゲーム機ではないがNTTドコモがiアプリをスタートさせた年だった。携帯電話上でJavaのアプリケーションが動かせるようになり、これを機にゲームは携帯電話にも展開されていく。
一方、セガがドリームキャストの製造を中止し、ハード事業から撤退した年でもあった。来る者あれば去る者もある。いま振り返ると、こうした時代の趨勢が残酷に映ることもあるが、各メーカーの弛まぬ努力がゲームシーン全体を活気づかせ、恐怖に包まれた世界に僅かでも元気を送り出していたのではないか。そう考えると感慨深いものがある。

<平成13年(2001年)>

【時代の出来事】
東京ディズニーシー開園、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)開園、狂牛病(BSE)問題発生、映画『ハリー・ポッターと賢者の石』、映画『千と千尋の神隠し』、アニメ『フルーツバスケット』、アニメ『地球少女アルジュナ』

【発売されたおもなゲーム】
『機動戦士ガンダム 連邦vsジオン』、『鉄拳4』、『バーチャファイター4』、『斑鳩』、『式神の城』、『戦国伝承2001』、『逆転裁判』、『太鼓の達人』、『ICO』、『グランド・セフト・オートⅢ』、『ファイナルファンタジーⅩ』、『鬼武者』、『デビルメイクライ』、『シャドウハーツ』、『サクラ大戦3 〜巴里は燃えているか〜』『ルイージマンション』、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』、『どうぶつの森』、『ピクミン』

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