山口洋のSeize the Day/今を生きる  vol. 60

Column

レジェンドに受け継がれたもうひとつの雨の歌、Creedence Clearwater Revival / Who'll Stop The Rain

レジェンドに受け継がれたもうひとつの雨の歌、Creedence Clearwater Revival / Who'll Stop The Rain

2001年から毎年開催されている東北地方最大の野外フェス“ARABAKI ROCK FEST.”。
今年4月27日、19回目となるそのステージに日本のロック・シーンを牽引してきた伝説のバンドマンが集結した。
チャック・ベリーから連綿と続くロックの潮流と、個のミュージシャンが放つミラクルな光と、それらが一体となって生み出す奇蹟のグルーヴと。
山口洋が限りないリスペクトを込めて書き下ろす“Rock’n’Rollの魔法”に包まれた夜。

メイン写真 / Mariko Miura
©YOSHITOMO NARA


そのロックフェスのステージには日本のロックンロール・レジェンドのみなさんが立っていた。その真ん中で歌わせてもらうことは、光栄で、身に余ることだったのだけれど、どうせなら、この瞬間を存分に楽しまなければ失礼だと思えるくらいに、僕も図々しくなっていた。

前後左右からサラウンドに降り注いでくる音の粒たち。確かで豊かなグルーヴ。そのひとつひとつに、みなさんのこれまでの人生を感じとって、胸が熱くなる。揺さぶられ、鼓舞される。それぞれの人生模様がパイのように幾重にもかさなりあって、融合して、ひとつの大きなエネルギーになって渦を巻いていく。

すごい光景だったなぁ。

photo by Mariko Miura ©YOSHITOMO NARA

CHABOさんのギターは鋭くて、柔らかくて、やさしくて、気高い。そして歌には無数の襞(ひだ)を感じる。早川岳晴さんと池畑潤二さんのグルーヴは無敵感満載。たぶん、どんな荒波でも沈没せずに乗り越えていくだけの推進力がある。しなやかで確かな力。土屋公平さんの62年型のギターから放射される絶妙なリズムとオブリガード。ギターを抱えたときの圧倒的な佇まい。花田裕之さんはそこに立っているだけで絵になる。そんな中、細海魚はトビウオのように水面を跳ねながらオルガンを弾いていた。いつもより飛距離が高かったのは嬉しかったからだろう。笑。

見事なまでのロックンロール・マナー。チャック・ベリーが生きていたら見て欲しかった。受け継がれてますよって。

photo by Mariko Miura ©YOSHITOMO NARA

背後の大きなキャンバスに奈良美智さんのライヴ・ドローイングが映しだされている。この場で起きていることが不思議すぎて、咀嚼するのに時間がかかったけれど、急に頭の中に湧いてきたのは「命は時間」って言葉だった。命は時間のこと。たいせつにしなきゃ。たいせつなものを。きっと、みなさんがそうやって生きてきたから、絵と音楽があいまって、あの空間が生みだされたんだ、と。

photo by Mariko Miura ©YOSHITOMO NARA

全員で最後に演奏されたのは1970年にCreedence Clearwater Revivalによって歌われた「Have You Ever Seen The Rain?」(邦題 : 雨をみたかい?)ではないもうひとつの雨の歌、「Who’ll Stop The Rain」。

原曲ではベトナムでのナパーム弾が、林立する高層ビルが、69年のウッドストックでの光景が雨に例えられた。ここで歌われた雨が、かつて一度も降り止んだことはない。

さぁ 見上げてごらん 夜空の星を
雨を止めてくれるのは どんな神様

CHABOさんによる名訳。平成の終わりにみちのくでレジェンドたちに受け継がれたこの曲。ほぼ50年の時を経て、ドリーミーに示唆的で、胸に迫るものがあって、そして覚悟の上での希望に満ちていた。

海を越え、時を超えて。

感謝を込めて、今を生きる。

photo by Mariko Miura ©YOSHITOMO NARA


Creedence Crearwater Revival / クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル
「Who’ll Stop The Rain / フール・ストップ・ザ・レイン」

1971年にシングル・カットされ、日本でも大ヒットした「Have You Ever Seen The Rain? / 雨を見たかい?」はあまりにも有名だが、CCRのもうひとつの雨の歌として知られるのがこの曲。1970年に発表したCCRの5thアルバム『Cosmo’s Factory / コスモズ・ファクトリー』(全米1位)に収録され、シングルとしては「Travelin’ Band / トラヴェリン・バンド」のB面としてリリースされた(全米2位)。歌詞に出てくる雨は、ベトナム戦争中にアメリカ軍が行っていたナパーム弾による絨毯爆撃、その一方で林立する高層ビルに象徴される経済成長、さらに1969年のウッドストック・フェスティバルで降り続いた雨を象徴していると言われる。


著者プロフィール:山口洋(HEATWAVE)

1963年福岡県生まれ。1979年にHEATWAVEを結成。1990年、アルバム『柱』でメジャー・デビュー。1995年発表のアルバム『1995』に収録された「満月の夕」は阪神・淡路大震災後に作られた楽曲で、多くのミュージシャン、幅広い世代に現在も歌い継がれている。2019年2月公開の映画『あの日のオルガン』(監督:平松恵美子、主演:戸田恵梨香、大原櫻子)でアン・サリーによるカヴァー「満月の夕(2018ver.)」が起用されたことでも話題に。3月に始まったソロ・ツアー“山口洋(HEATWAVE)the boy 40 tour”が全12会場でのライヴを終えたばかり。2018年ツアーのライヴCD『日本のあちこちにYOUR SONGSを届けにいく』、2018年12月22日HEATWAVEライヴを収めた『The First Trinity』がHEATWAVE OFFICIAL SHOPにて発売中。6月5日には今年2回目となるHEATWAVEの実験的ライヴ“HEATWAVE SESSIONS”、6月28日には2011年東日本大震災後から続けている“MY LIFE IS MY MESSAGE”を仲井戸“CHABO”麗市と横浜サムズアップで開催する。また、7月に“山口洋(HEATWAVE)the boy 40 tour”の追加公演が決定、8月にはRISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZOに出演。

オフィシャルサイト

ライヴ情報

HEATWAVE sessions 2019 ②
6月5日(水)横浜 THUMBS UP(サムズアップ)
詳細はこちら

MY LIFE IS MY MESSAGE 2019
Brotherhood

6月28日(金)横浜THUMBS UP(サムズアップ)
出演:山口洋(HEATWAVE)×仲井戸”CHABO”麗市
詳細はこちら

VORZ BAR & GROOVE COUNCIL presents MIX UP&BLEND vol.3
7月13日(土)仙台市 市民活動サポートセンター B1F シアター
出演:山口洋(HEATWAVE)/ 藤井一彦(THE GROOVERS)/ 大江健人
Opening Act:堀下さゆり&佐山亜紀
詳細はこちら

山口洋(HEATWAVE)the boy 40 tour
7月21日(日)水戸 Jazz Bar BlueMoods
7月26日(金)佐賀 Restaurant & Cafe 浪漫座
7月28日(日)福岡ROOMS
詳細はこちら

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO
北のまほろばを行く-石狩編- powered by ARABAKI ROCK FEST

8月16日(金)・8月17日(土)石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
出演:BAND:山口洋(G)・細海魚(key)and more
GUEST:仲井戸”CHABO”麗市 and more
詳細はこちら

vol.59
vol.60
vol.61