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糠信泰州や猪野広樹らが繋ぐ走りを熱く体現する。舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇~制・限・解・除(リミットブレイカー)~レポート

糠信泰州や猪野広樹らが繋ぐ走りを熱く体現する。舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇~制・限・解・除(リミットブレイカー)~レポート

渡辺航によるロードレース漫画を原作に、西田シャトナー独自の演出と、役者たちの全力疾走で表現されるレースシーンが話題の人気シリーズ最新作、舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇~制・限・解・除(リミットブレイカー)~。公演を重ねるたびに魅力を増す“走り”と衰えぬ“熱量”、そして一瞬たりとも気が抜けない展開は、これまでの“ペダステ”を観てきた人も、観たことのない人も必見!
初日直前に行われたゲネプロのレポートと、オフィシャル会見のコメントをお届けする。

取材・文・撮影 / 片桐ユウ


すべてがブラッシュアップされ、なおかつパワーアップしている

冒頭、ステージに現れて一礼するのはパズルライダーの面々。舞台装置のスロープをメインで動かし、様々な場面でサブキャラクターを演じる、舞台『弱虫ペダル』に欠かせないメンバーたちだ。

次いで、本作から小野田坂道を演じる糠信泰州が、ママチャリを引きながら登場して客席へ向かい深々とお辞儀をする。小野田坂道 役のお披露目として恒例となってきた場面だ。張り詰めた様子がヒシヒシと伝わってくる役者の緊張と強い覚悟。それが客席からの温かい拍手によってパッと輝き、前向きな意気込みが溢れだす瞬間を見ることができる。

舞台『弱虫ペダル』の初演は2012年。2.5次元舞台の中でも長期の人気を誇るシリーズとして知られている。 今回でシリーズ13作目、舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇~制・限・解・除(リミットブレイカー)~が描くのは、前作から続く2日目インターハイレースのクライマックスだ。

2日目レースの前半、不調に陥った鏑木一差(原嶋元久)を救出に向かった青八木一(八島諒)や、箱根学園のクライマー・真波山岳(杉山真宏)とデッドヒートを繰り広げた手嶋純太(鯨井康介)の疲労により、散り散りとなってしまった総北高校自転車競技部のメンバーたち。しかし、まったく諦めていなかった小野田によって、最後の山岳を前にして再び総北メンバーの集結が叶う。

前作で描かれたここまでのシーンはダイジェストで綴られていくが、全員の本気の走りによってたちまち熱気の渦に観客を引き込んでいき、あっという間に会場の空気を「インターハイレース・2日目の中盤」へと変えてしまう。

特筆したいのは、シリーズを重ねるごとにレースシーンの魅力が増していることだ。見飽きるどころか、いつまでも見続けていたくなるほど。
素早い舞台装置の動き、「ここぞ!」というタイミングで降り注ぐ照明、そしてハンドルを手に持ち前傾姿勢となり、足を漕ぐように走らせる“ペダリング”……「すべてがブラッシュアップされ、なおかつパワーアップしている」と毎回感じるのだが、シリーズが2桁台に突入し、続く今作となっても新鮮な驚きと感動が味わえる。

つねに挑戦し続ける西田シャトナーの演出、「繋げよう」「走り続けていこう」という役者の熱量、そして観客の応援。この3つが揃い続けるのは、簡単な話ではない。

初演から『弱虫ペダル』を追求し続けている西田シャトナーと、その演出に食らいつき、リクエストを超えるものを表現してきた続投キャストたちが屋台骨となっていることも大きいだろう。

河原田巧也はシリーズ2作目から泉田塔一郎としてシリーズを支えており、走りの安定感が凄まじい。銅橋正清 役の兼崎健太郎は迫力を見せつけ、山口紀之 役の一瀬悠は切なさを醸し出し、総北を率いる“チームふたり”である手嶋純太 役の鯨井康介と青八木一 役の八島諒は、緩急の付いた芝居で引きつける。

コミカルな芝居を開花させた古賀公貴 役・本川翔太や、貫禄さえ漂わせる葦木場拓斗 役・富永勇也の成長ぶりも見逃せない。舞台『弱虫ペダル』シリーズは、“ペダステ”初心者とも言える新キャストたちが、次作では見事に殻を破り、“ペダステ”先輩としての顔を見せてくるのも魅力だ。

卒業生として登場する巻島裕介と東堂尽八を演じる栁川瑠衣と秋葉友佑も新キャストだが、この場面に至るまでに築き上げられてきた存在感、そしてクライマーのふたりならではの走りを体現しており、お互いへ呼びかけた瞬間、ブワッと「あのふたり」が帰ってくるのを感じた。

ちなみに“ペダステ”初参戦キャストたちも自身の役と同時に愛すべき“モブキャラクター”を演じており、強烈な個性をもって登場する「顔見世」とも言えるシーンがある。そんな温かい配慮を感じる部分にも、シリーズが長く続いてきた理由がうかがえる。

名前を列挙しきれないため割愛するが、全キャストが「受け継ぎ、次へ繋ぐ」のだという意識で真摯に役と向き合い、作品を担っていこうとする決意を感じた。

物語は、小野田・今泉による全力の追い上げで山岳ライン2km手前にして先頭集団に追いついた総北と、箱根学園、そして京都伏見による三つ巴の闘いとなる。
山頂をトップ通過した選手に与えられる栄光の印“赤ゼッケン”の行方と、その先のゴールを最初に駆け抜ける選手が誰になるのかを追いながら、舞台は選手たちのエピソードを明かしていく。

猪野広樹の演じる今泉俊輔が受け取る“バトンタッチ”、飯山裕太が演じる新開悠人が吐露する想いと覚醒、林野健志の演じる御堂筋翔が心の内で巡らせる、走る理由。

白熱のレースシーンの合間に観るそれぞれの回想には、こちらを感情移入させて「彼にゴールを取って欲しい!」と思わせる、心を動かす生きた感情がある。
だが、2日目ゴールを決める勝者はひとり。こちらが揺さぶられ尽くした先にあるリザルト(結果)と、インターハイ3日目に続く展開まで、すべてを見届けて欲しい。

まさに今この瞬間が“リミットブレイク”

以下は、ゲネプロ前に行われたオフィシャル会見の模様。
小野田坂道 役の糠信泰州、今泉俊輔 役の猪野広樹、鳴子章吉 役の百瀬朔、新開悠人 役の飯山裕太、御堂筋翔 役の林野健志、東堂尽八 役の秋葉友佑、巻島裕介 役の栁川瑠衣、7名のキャストの意気込みコメントを届ける。

今作が初舞台・初座長となる糠信泰州は、タイトルに合わせた「自身が“リミットブレイク”するときは?」という質問に「今回“ペダステ”のステージに立たせていただいて、今まで経験したことのない未知の世界を歩いているので、まさに今この瞬間が“リミットブレイク”しています。これから経験を積みつつ“ペダステ”をさらに良くできるように頑張ります!」と回答。
観客へ向けて「舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇~制・限・解・除~は今回で13作品目となり、たくさんの偉大な先輩方が今まで築き上げてきたものがあります。僕もそれを次に繋いでいくために、小野田坂道という役を大切にして、“リミットブレイク”して、全力で千秋楽までやりきりたいと思います」とメッセージを送った。

続く猪野広樹は「総北、箱根学園、京伏のエース同士が戦うのですが、それぞれの“勝たなければいけない理由”と“走らなければいけない理由”が明確に描かれている回だと思います」と見どころを明かし、「今作ではレースシーンに参加します。“ペダステ”の洗礼をきちんと受けて、ほかのキャストやカンパニーのメンバーに支えられながら、死にものぐるいで走っています! それぞれの役の見せ場がたくさんございますので、それを楽しんでいただければと思います」と、“ペダステ”ならではの熱さを語った。

百瀬朔は「僕が演じている鳴子章吉は、前作でチームを置いてひとりで先頭集団に追いすがっているというところで終わりました。そこからの展開が鳴子を含めてとても熱いのでぜひご注目ください!」とアピール。
「自身が“リミットブレイク”するときは?」という質問には「僕は納豆が苦手なのですが、それをリミットブレイクして、克服したいと思っています。でも前回公演のときから、猪野広樹くんが納豆を5パックぐらい買ってきて楽屋で食べているんです(笑)。それをやめさせたい気持ちもあるので……僕が納豆をリミットブレイクするか、猪野くんの習慣をリミットブレイクするか、どちらかですね!」と暴露し、会場から笑いを起こしていた。

飯山裕太も「新開悠人が兄・隼人へのコンプレックスをどう乗り越えて成長していくかが見どころです。そして、様々なキャラクターの人が本役以外でもたくさん出てきます。そこも“ペダステ”の魅力のひとつだと思うので、注目して見てもらえればと思います」と、自身が演じる役と同時に、それぞれの活躍ぶりに言及。
「“これがペダステだ!”と、満足していただける作品になったと思います。皆さんの五月病を吹っ飛ばす勢いで僕らも一生懸命走っていきますので、劇場でお待ちしております!」と、自信を見せた。

「御堂筋を演じているときは、自分のリミッターがかなりはずれている」と明かす林野健志は「2年生になった御堂筋としては、2年目のゴールの結果を楽しんでいただければと思います。そして“ペダステ”としては、前作、前々作からタスキを繋いでいる2年目のレースがゴールを迎えるので、いろんな想いが詰まったゴールで何かを感じていただけたらと思います」と感慨深げにコメント。

栁川瑠衣は「OBとなった先輩たちが久しぶりに出る作品となります。クライマーふたりの熱いレースシーンもあるので、ぜひそこを見ていただければと思います。一秒ごとの全シーンが熱くて楽しいので、どのシーンもぜひ見逃さずに楽しんでください!」と微笑み、秋葉友佑も「初めて“ペダステ”に参加させていただくのですが、稽古場でかなり走る体力や脚力などが“リミットブレイク”しました(笑)。僕たち自身もこの作品を盛り上げるために全力で走っていきたいと思います!」と意気込んだ。

東京公演は北千住・シアター1010にて上演後、大阪公演が5月25日(土)~26日(日)浪切ホールにて上演される。大千秋楽公演である5月26日(日)17時からは、ニコニコ生放送にて独占生放送されることが決定した。詳しくは、こちらにて。また、本公演のBlu-ray/DVDが9月18日(水)に発売。

舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇~制・限・解・除(リミットブレイカー)~

東京公演:2019年5月10日(金)~5月19日(日)シアター1010
大阪公演:2019年5月25日(土)~5月26日(日)浪切ホール

原作:渡辺航「弱虫ペダル」(秋田書店『週刊少年チャンピオン』連載)
演出・脚本:西田シャトナー
音楽:manzo

出演:
〈総北高校〉
小野田坂道 役:糠信泰州
今泉俊輔 役:猪野広樹
鳴子章吉 役:百瀬朔
手嶋純太 役:鯨井康介
青八木一 役:八島諒
鏑木一差 役:原嶋元久
古賀公貴 役:本川翔太
〈箱根学園〉
泉田塔一郎 役:河原田巧也
葦木場拓斗 役:富永勇也
黒田雪成 役:伊藤澄也
真波山岳 役:杉山真宏
銅橋正清 役:兼崎健太郎
新開悠人 役:飯山裕太
〈京都伏見高校〉
御堂筋翔 役:林野健志
水田信行 役:阿部大地
岸神小鞠 役:天羽尚吾
山口紀之 役:一瀬悠

卒業生:
巻島裕介 役:栁川瑠衣
東堂尽八 役:秋葉友佑

パズルライダー:
監督:一瀬悠
河野智平
伊藤玄紀
長瀬真夏

主催:マーベラス、東宝、アルテメイト

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@y_pedalstage)

©渡辺航(週刊少年チャンピオン)/弱虫ペダル04製作委員会
©渡辺航(週刊少年チャンピオン)/マーベラス、東宝、アルテメイト