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夢も希望もない終末世界『Days Gone』それでも生きる人間の物語

夢も希望もない終末世界『Days Gone』それでも生きる人間の物語

暖かくなり、うっすらと汗ばむような日も増えてきました。気持ちのいい初夏の陽気ですね。こんなときは、やっぱりバイクに乗って風を感じたくなります。どうせなら緑豊かな森のなかをスピードを気にせずバビューンと走り回りたいですね! ……というわけでさっそくやってきたのは『Days Gone』(デイズ・ゴーン)。いらっしゃいませ、ここは謎のウイルスが世界に蔓延し、“フリーカー”と呼ばれるゾンビのような姿の感染者が蔓延してしまった混沌の世界です! こちらのムービーでその惨状をご確認ください。

「騙したな!」ですって? いやその、バイクで緑豊かなオープンワールドのフィールドを駆け巡ることができるというのは、決して嘘ではなかったでしょ? 秩序の失われた世界ゆえ、フリーカーだけでなく人間も襲ってくるような世界でのサバイバルも必須というだけのことですから……。さあ、先の見えないこの世界で生きる意味を見つけるため、あらゆる手を使って戦い、生きのびましょう。本作はオフライン専用でマルチプレイの要素はありませんから、だれの力も借りることはできません。頼れるものは自分だけなのです。

文 / 内藤ハサミ


バイクで駆け回る、人類が希望を失った終末世界

作品の舞台は、アメリカ・オレゴン州。主人公は最愛の妻・サラを亡くした失意のなかで、生きる意味を探すディーコンという男です。冒頭のムービーシーンでは、パンデミックの混乱で負傷したサラを医療ヘリに託し、ディーコンは相棒のブーザーとふたりで危険な地域に留まることになったという場面が描かれます。ヘリコプターには定員があり、全員乗ることができなかったからです。2年後、ディーコンとブーザーが賞金稼ぎとしてバイクで駆け回るシーンからがゲーム本編となります。サラはあのあと輸送先で死んだらしいことがディーコンに告げられていますが、未だ妻の亡骸とも対面できていない様子です。現在の状況へ対するやり場のない恨みや諦めなどさまざまな思いを抱え、ディーコンは賞金首を探し今日も愛車を走らせているのです。

▲混乱のなかで別れた愛する妻・サラ。ディーコンは妻の写真をいつも大事に持ち歩いています。辛い別れを忘れられるわけがないですよね

この悲惨な世界での敵はフリーカーだけではなく、同じく世界への不安に駆られ、パンデミック以前とは生きる道を大きく変えた人間たちも含まれます。秩序が失われた世界で野盗となった者たち、フリーカーを信奉するカルト集団“リッパー”、目的不明で敵か味方かもわからず謎に包まれた組織“NERO”……。何を信じていいかも不確かなこの世界で、プレイヤーは自分の進む道を判断していくことになるのです。自分は何をすべきか? 世界に起こったことの真実とは? その末にたどり着くエンディングは数種類用意されています。

▲野盗たちとの闘い

▲同時に発生するストーリーもあり、進めかたはプレイヤー次第です

エンディングに至るまでの道のりは、主軸のストーリーミッションを進めることで刻まれます。黄色い三角のマークが付いているストーリーが主軸となるストーリーです。そのほかに、主に報酬が手に入るサブストーリーも用意されており、これらの内容をすべて網羅するには少なくとも100時間以上はかかるのではないでしょうか。こういう場合、筆者はサブストーリーや物集めに夢中となり、メインストーリーそっちのけで遊んでしまうことがたびたびあるのですが、本作に関してはメインストーリーの先が気になって、サブ要素とどちらを優先させるか悩みながら進めています。それくらい本作のメインストーリーはドラマティックな面白さです。筆者とディーコンは性格が違いすぎるため、個人的にはあまり感情移入できないのですが、終末世界を一緒に生き延びる仲間のような気持ちでディーコンのサバイバル生活を共にしています。

▲一瞬一瞬が真剣勝負。やるかやられるかの戦場です

ゲームタイトルの『Days Gone』は、“過ぎ去っていった日々”という意味。それから、メニュー画面には“735 Days gone”などのように、パンデミックからの日数をカウントする表示があります。きっと『Days Gone』とは、“パンデミックで失われた人間(ディーコンたち)の人生”そのものを表すタイトルなのでしょう。サバイバルの日々を過ごしていくごとに増えるカウンターの日数は、先の見えない不安の蓄積が可視化されたものでもあるのではないでしょうか。

▲特に“NERO”についてはわからないことだらけの序盤。こうして彼らを尾行し、会話を盗み聞くイベントもあります

疫病や核兵器で世界が壊滅するという、いわゆる“世界の終末”をモチーフにしたオープンワールドゲームは、今となってはスタンダードなジャンルのひとつとなっていますが、本作で特に特徴的なのはバイクでの移動がプレイに大きく関わってくることです。単に移動手段として存在するだけではなく、ファストトラベルの起点となったり、戦闘時の逃走手段に使ったりと活躍の場が多いです。ミッションによってはバイクの使用が必須というものがあり、ときにはターゲットを追ってチェイスが始まることもあります。

▲敵を振り切ったり、轢いたりもできるという……。フリーカーが活発に活動する夜間の移動にも役立ちます

バイクの操作に関しては、ゲーム内で乗り物を大破させることが大得意な筆者でも、特に問題なく行うことができました。もちろん、アクセルベタ踏みで急なハンドル操作をすればバイクの挙動も雑になってしまい満足に動かせませんが、特にブレーキを意識せずともアクセルの踏みかたを調節し、チェイスなどの際は〇ボタンで発動するドリフトを使っていくことでクール&スマートな走りが実現するでしょう。高らかなエンジン音とともにオフロードをカッとばす気持ちよさはこたえられません! ただ、あんまり音を立てているとフリーカーや野党などに気づかれて襲われやすくなりますし、バイクに乗っていても高所からの落下や敵からの攻撃でダメージを受けたり、雑な運転により横転してしまうこともありますから、気は抜けないのです。

▲ガソリンがポリタンクからバイクの燃料タンクに注がれるトットットッ……という音がとても気持ちよくて、補給が毎回楽しみです

バイクには燃料補給と徐々に壊れていくパーツのメンテナンスが必要です。無限に乗り回すことができない仕様はリアルですね。バイクの燃料は、もちろんガソリン。赤いポリタンクが拠点や道端に落ちているのを見つけたらラッキーです。タンクをバイクまで運んで給油しましょう。ガソリンはすぐに減ってしまいますから、特に長距離移動の場合は道中での給油手段も考えながら行動することも重要になってきます。もちろん、ガス欠の場合はバイクを動かすことはできなくなります。バイクを引っ張って移動するか、ガソリン入りのポリタンクを探して持ってくるか……どちらも可能ですが、敵に襲われることを考えると非常にリスキーです。特定のミッションをクリアするごとに解放されていくキャンプや拠点が複数あるので、マップの画面からバイクの回収依頼をし、そこで燃料補給をするといいでしょう。

▲ゲーム内の通貨である“クレジット”は、フリーカーを倒すことで手に入る耳、動物の皮や肉、植物などと換金できます。これは、動物の皮を剥ぐときに少し嫌そうな顔をするディーコン。動物を捌く手元は配慮により(?)毎回画面外なので、プレイヤーはこのディーコンの顔を眺めながら、捌き終わるのを数秒待ちます……

バイクはキャンプにいるメカニックに依頼することで、カスタマイズが可能です。依頼には、ミッションクリア報酬やフリーカーの耳などを換金することで得られるクレジットが必要になります。グレードアップするとニトロブーストが付けられたり、燃費効率が上がったりといいことだらけ。ミッションを進めていくうえでは、強化は必須だと感じます。後述する戦闘に関しても同様なのですが、序盤はちょっと攻略が難しいですね。難易度は最初に解放されているEASY、NORMAL、HARDからNORMALを選びましたが、油断するとすぐに弾も回復キットも切れ、敵もそれなりに強いので簡単に死んでしまいました。しかし、序盤を乗り切ればできることもカスタマイズの幅も広がって、どんどんプレイが勢いづいてきます。ぜひそこまで進めて本作の面白さを味わってほしいですね。

状況を利用し戦いを制すのが基本

フリーカー、リッパー、野党などとの戦闘を有利に進めるには彼らの特徴を知り、有効な対策を講じることです。ストーリーを進めてクラフトができるようになるまでは、そこらへんに落ちている耐久性に難がある武器を拾って使うしかありません。すでに述べたとおり、序盤は特にやりくりが厳しいですから、ポイントを押さえて戦っていきましょう。

▲囲まれると不利なのは言うまでもありません

野盗などの人間は日中、フリーカーたちは日没後に活動が活発化しますから、それも視野に入れて自分が活動する時間を考えていきます。フリーカーはあまり視力が優れないかわりに聴力が発達していますから、大きな音を立てながら動いているとすぐに見つかってしまいます。基本的に知性を持たず、生き物であればなんでも襲うので、野党やリッパーとぶつかるよう誘導して共倒れを狙う作戦も使えますね。フリーカーに限らず、どんな敵でも大勢を相手にするより一対一に持ち込むほうが断然戦いやすいです。〇ボタンで草むらなどの物陰に隠れ、機を狙います。そっと敵の近くに寄って△ボタンを押すことでステルス攻撃をキメましょう。敵が単体であればこれでOKなのですが、フリーカーも野党も大抵徒党を組んで現れることが多いので、この技が使えない場合のほうが多いかもしれません。というわけで、何人もの敵を相手に戦う方法の一例を紹介します。

▲双眼鏡をうまく使えれば、戦いを半分制したも同然!

敵拠点を襲撃する場合は、敵の集団を見渡せる位置から双眼鏡で現場を確認。敵には、R2ボタンでマーカーを付けることができます。ひし形のマーカーは警戒度だけでなく、敵の体力残量も確認できる優れものです。マーカーを付けてしまえば遮蔽物を通して敵の位置や動きを知ることができるので、できる限り漏らさずマーカーを付けるようにすると、思わぬ場所からの敵襲に対応できますね。あとは、ここから銃、クロスボウなどで敵を減らしつつ、向かってくる敵を近距離武器や格闘などで倒していきます。

▲クロスボウは使用時に音がほとんどしないので、こっそり敵の数を減らすのに使えます

この場合も茂みに隠れて隙あらばステルス攻撃をキメたり、石を投げて敵の注意をそちらへ引き付けたりと、現在の状況を分析して最大限利用するのがポイント。その場にあるものを使って臨機応変に立ち回り、何とか危機を乗り越える……これぞ、サバイバルの醍醐味と言えるでしょう。もちろん、戦いかたのパターンはこれだけにとどまりません。立ち位置を工夫しながらステルス攻撃だけを使いナイフ一本で窮地を乗り切る、敵の正面に躍り出て誘導しグレネードで一網打尽、というようなことも可能。攻略方法の自由度は魅力です。筆者はいろいろな戦略を試している最中で、今はステルス攻撃のみでスマートに敵を制圧することと、初期装備であるブーツナイフでコツコツと敵を倒していくことにハマっています。どちらも弾や武器の耐久度が減らない節約作戦ですね。また、ヘッドショットで一発撃破を狙うのも弾薬の節約になりますから、敵拠点の攻略などでチャレンジすることもあります。いつでも弾薬を拾えるとは限らないですからね……ってあれ? すっかりサバイバルの考えかたが身についてしまったようです。戦闘時の操作はすぐに慣れることができるシンプルさで、独特のクセはあるものの動かしやすいと感じました。特殊武器や薬類などはL1ボタンで表示されるホイールからすぐに選ぶことができますし、全体的にストレスの溜まらない作りです。こういう点も、戦闘への没入感を邪魔しない良い設計ではないかと思います。

▲ときには、フリーカーの大群に遭遇することも……。その場では勝算がなさそうなら、ひとまず逃げるのも手です

“荒廃した世界でのサバイバル&戦闘”という一見ありふれた題材ながら、攻略の自由度とダイナミックな演出はやり込むほどプレイヤーに興奮を与え、ゲームを進めていくほどに自由度の高い戦闘の魅力が実感できるはずです。実際、発売から1ヶ月近く経った現在までにも口コミで人気が高まっている模様。新鮮な体験の虜になる人は、これからも増えていくでしょう。

パンデミックによって人類が失ってしまった日常は、もう二度と帰って来ることはないのでしょうか。ストーリーを進めていくと、もしかしたらサラは生きているかもということがわかってきたりなど、事態はどんどん面白くなってきます。発売まえはホラー要素も強いのではないかという印象を勝手に持っていましたが、凄惨な描写はあるもののホラー度は低めでした。フリーカーのおどろおどろしい不気味さより、極限状態でハラハラする状況の体感が顕著でした。さて次回は、立ち回りの選択肢をより豊かにするスキルや武器を用いた、更なるプレイ内容について紹介していきます。

フォトギャラリー

■タイトル:Days Gone(デイズ・ゴーン)
■メーカー:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
■対応ハード:PlayStation®4
■ジャンル:オープンワールドサバイバルアクション
■対象年齢:18歳以上のみ
■発売日:発売中(2019年4月26日)
■価格:パッケージ版 6,900円+税、ダウンロード版 7,452円(税込)


『Days Gone』オフィシャルサイト

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