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flumpool完全復活! ひとりじゃない、みんながいる──隆太の想いのすべてが歌に乗る「⌘⇧Z(Command Shift Z)」東京公演速報

flumpool完全復活! ひとりじゃない、みんながいる──隆太の想いのすべてが歌に乗る「⌘⇧Z(Command Shift Z)」東京公演速報

flumpoolを諦めかけたこともありました。
みんなが待っていてくれたおかげで今日まで諦めずにやってこれました

flumpoolが5月22日に国際フォーラム・ホールAで全国ホールツアー〈9th tour「⌘⇧Z(Command Shift Z)」〉の東京公演を開催し、満員となる5,000人の観客を前に完全復活を宣言した。

改めて少しだけ振り返っておくと、かねてより喉の不調を感じていたボーカル&ギターの山村隆太が歌唱時機能性発声障害を発症したことが判明したのは、前回のツアー〈flumpool 8th tour 2017「Re:image」〉の横浜公演後だった。
その2017年12月3日のパシフィコ横浜・国立大ホールでは、アンコールの最後に「大切なものは君以外に見当たらなくて」を歌い、曲中でブレイクし、「生きていたらいろいろある。うまくいかないこともあるけど、ただ、それを救ってくれる何かがあるとしたら、ひとりじゃない、そんな想いだと思います。どんなときも、きっと、大切なみんなを見てくれている、守ってくれている、支えてくれている、そんな人が必ずいます。今はいないという人も必ず出会います。だから、倒れそうなときも、寂しくなるときも、心があったまるような、明日へのエールなような歌を一緒に歌いませんか?」と語りかけ、観客全員でのクラップと大合唱が巻き起こった。
山村の声は、張り上げれば張り上げるほど掠れてはいたが、発声障害を知らないオーディエンスのひとりとしては、より切実さを持って心に響くと感じたことも事実だった。

しかし、その3日後には、全国ツアーの残り4会場(福井、三重、広島、鳥取)での公演と大阪城ホールでのカウントダウンライヴの中止を発表し、バンドも無期限での活動休止に入った。そこから約1年間の治療とリハビリ期間を経て、2019年1月13日に彼らの故郷である大阪の天王寺公園でのゲリラライヴをもって活動を再開し、2月にはファンクラブ会員限定のツアーを行った。そして、今回のツアーは前回、中止となった4会場から始め、東京公演が5公演目となる。

山村の「会いたかったぜ! 東京!!」という甲高い叫び声からライヴはスタートし、イントロで歓声が上がった「花になれ」を歌い終え、「東京ただいま! 復活しました!!」と挨拶すると、場内からは「おかえり!」という声が上がり、彼の復帰を祝う大きな拍手が沸き起こった。なかなか鳴り止まない拍手に対し、山村は「みんなが待っていてくれたおかげで今日まで諦めずにやってこれました」と感謝の気持ちを伝え、「中断した4公演から始まり、今日で5公演目。初日のような気持ちでやっています。ここからが僕たちの新しいスタートだと思っています」と意気込んだ。

再始動に対する想いは、ツアータイトルに加え、この日リリースされた復帰後初のシングルに収録されている「HELP」「空の旅路」「HOPE」「つながり」という4曲にしっかり込められていた。

「⌘⇧Z(Command Shift Z)」というツアータイトルについては、パソコンのショートカットキーであることを明かし、山村は「一回戻って、また同じ場所から進み出すっていう意味です。このツアーが中止になった4公演からのスタートなので、一回そこに戻ってまた新たに進むっていう意味もあるし、僕の声が戻ったという意味もあります。でも、それだけのライヴにはしたくないと思いました」と語り、こう続けた。
「活動休止している間、いろんなことを経験しました。悔しいこともありました。僕もメンバーも、flumpoolを諦めかけたこともありました。それぞれの道に行かなきゃって、考えたと思います。そんな1年があったからこそ、ただスタートするっていうライヴにはしたくなくて。例えば、仕事を一回辞めて同じ職場に戻るときは、以前よりももっと強い想いがあると思います。僕らもそうです。もう一回、音楽がしたいんだっていう想いを、このツアーではちゃんとみんなに届けたいし、まだまだ伝えたい想いもたくさんあります。助けてと声を出す大切さも知りました。いろんなことをこのライヴで伝えていけたらいいなと思っています。東京のみなさん、受け取ってください!」

一度、立ち止まることを余儀なくされ、葛藤や悩み、悔しさと向き合い、再び歩みを始めた彼の歌声は、以前よりも強く、たしかな説得力を持って心に届き、バンド全体としても、強さを表現していたように感じた。

阪井一生のギターが終始歌い続け、ベースの尼川元気がハモで支え、ドラムの小倉誠司がシンプルながらもたしかなビートを刻む「空の旅路」では王道のギターロックサウンドを響かせ、ピアノのリフとバイオリンから始まる「HOPE」はサスペンスフルなアレンジで、これまでにない一面を見せてくれた。そして、場内から大きなシンガロングが沸き起こった「HELP」では、病気療養中の素直な気持ちを綴った歌詞に込めた想いを語った。

「この歌詞が出来て、メンバーに見せたときに『いい歌詞だね』って言ってくれたことが僕にとってはものすごく救いだったんです。声が出なくなって、もっと早く伝えておけばよかったなと後悔することもあるけど、やっぱり無駄じゃなかったって思えた。それは、僕がひとりじゃなかったからだと思います。このメンバーがいて、待っていてくれたみんながいて、こんなに素晴らしい時間ができた。今こそ、本当に無駄じゃなかったんだなって思えます」

山村はMCで何度も「ひとりじゃなかった」と繰り返し話し、「みんなの存在がいたから諦めずにこれた」と感謝の気持ちを伝えていた。そして、この日のライヴでは、代表曲でもある「星に願いを」を<東京のひとりひとりのために>と歌詞を変えて歌い、待ってくれていたファンに向けた「つながり」では<一人の“君”と“僕”で>繋がろうと呼びかけた。
ひとりじゃないから頑張れるんだという想いと、その想いを音楽を通してしっかりと伝えていくという姿勢は、前回のツアーや今回のツアーはもちろん、バンドの根底にある揺るぎのないテーマである。

ライヴの後半には「つらさや苦しみ、時には弱音もちゃんと伝え合っていこう。自分の素直な気持ちからは逃げずに、みんなとちゃんと向き合っていこうと思っています」というメッセージを送り、「デビューのときよりももっと大きな夢を見ています」とデビュー10周年を迎え、未来への想いを語った。

声の不安がなくなったことはもちろんだが、MC中のメンバーの肩の力の抜けたやりとりを見て、安心した人も多かったのではないかと思う。ありきたりな言葉になってしまうが、10年間のキャリアと様々な経験を持って原点に立ち返ったような彼らのこれからが楽しみでならない。flumpoolの旅はまだまだ続いていく──。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 岸田哲平

flumpool シングル「HELP」
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2019.05.28

flumpool 9th tour「⌘⇧Z(Command Shift Z)」

5月4日(土・祝)広島・広島上野学園ホール
5月5日(日・祝)鳥取・米子市公会堂
5月11日(土)三重・NTNシティホール(桑名市民会館)
5月12日(日)福井・福井市文化会館
5月22日(水)東京・東京国際フォーラム ホールA
5月25日(土)静岡・静岡市民文化会館 大ホール
6月2日(日)新潟・新潟県民会館 大ホール
6月28日(金)群馬・ベイシア文化ホール(群馬県民会館) 大ホール
7月6日(土)岡山・倉敷市民会館
7月7日(日)愛媛・松山市民会館 大ホール
7月12日(金)兵庫・神戸国際会館 こくさいホール
7月14日(日)奈良・なら100年会館 大ホール
7月20日(土)福岡・福岡サンパレスホテル&ホール コンサートホール
8月8日(木)大阪・フェスティバルホール
8月9日(金)大阪・フェスティバルホール
8月17日(土)宮城・仙台サンプラザホール
8月18日(日)福島・けんしん郡山文化センター 大ホール
8月24日(土)長野・長野市芸術館 メインホール
8月25日(日)茨城・ザ・ヒロサワ・シティ会館 大ホール
8月31日(土)愛知・名古屋国際会議場・センチュリーホール
9月20日(金)北海道・カナモトホール
9月28日(土)神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール

flumpool(フランプール)

山村隆太(vocal)、阪井一生(guitar)、尼川元気(bass)、小倉誠司(drums)。 2008年10月にダウンロードシングル「花になれ」でデビュー。2009年10月に日本武道館2デイズ公演を開催以降、ホールやアリーナツアーをはじめ、台湾・シンガポール・香港公演なども行う。2017年5月の3度目の日本武道館公演を皮切りに全国ツアーをスタートさせたが、その途中で山村の病気療養を発表。12月よりバンド活動を休止。2019年に入り活動を再開し、2月よりファンクラブツアーを開催、5月22日にシングル「HELP」をリリース。現在、全国ツアー〈flumpool 9th tour「⌘⇧Z(Command Shift Z)」〉を敢行中。

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