Interview

flumpoolが活動再開を告げるシングル「HELP」。休止から今にいたる心模様、楽曲について4人が語る

flumpoolが活動再開を告げるシングル「HELP」。休止から今にいたる心模様、楽曲について4人が語る

ボーカル&ギターの山村隆太が歌唱時機能性発声障害を発症したために2017年12月から活動を休止していたflumpoolが、2019年1月13日に地元である大阪の天王寺でのゲリラライヴをもって活動を再開した。同年2月にはファンクラブ会員限定のツアーを行い、5月からは公演中止となった4会場を皮切りにした全国ホールツアー〈flumpool 9th tour「⌘⇧Z(Command Shift Z)」〉をスタート。そして、5月22日には復帰第1弾となるシングル「HELP」をリリース。この作品では、山村が療養中の心の葛藤や助けを求めたかった心情を正直に吐露している。無期限の活動休止の発表から1年半。バンドにとってどんな日々だったのだろうか。

取材・文 / 永堀アツオ


みんなが言ってくれたように、やっぱり嬉しい。何度も諦めかけたこともあったので

まず、活動を再開した心境から聞かせてください。

阪井一生 もちろん嬉しいですね。正直、こんなに早く活動再開できると思ってなかったんですよね。一時は、もう終わったかもって諦めていたほうなんで。だから、本当に良かったですし、僕の中では思っていたより早かったなという感想です。

尼川元気 そのうち絶対戻ると思ってたけど、もうちょっと長く休みたかったなっていうか(笑)。

小倉誠司 僕は休止もなんとなく1年か2年くらいだろうなぁと思ってはいて……それが早いか遅いかは感覚的にはわからないですけど、隆太の努力があったうえで、今回こうやって再開できるのは本当に喜ばしいことですし、またみんなで音楽できたり、ライヴができたり、何よりファンと会えるっていうのが一番嬉しいですね。

山村隆太 みんなが言ってくれたように、やっぱり嬉しいです。何度も諦めかけたこともあったので。またこうやって取材を受けられることもそうですし、ライヴもそうですし、一個一個の活動がまたできるんだなっていう嬉しさはありますね。

約1年間の休止期間中はどう過ごしてました?

阪井 それぞれ違うことをしてたよな? でも、結構リハーサルには入っていて。月1は必ずやっていましたし、最後のほうは週1とかで入っていたので、会ってはいたんですよね。

小倉 ちょっとのんびりしたいなっていうのはありましたね。10年間やり続けてきたので、バンドとしても個人的にも疲れが蓄積されていたのかなっていうのを、立ち止まってみて感じたので。逆にいい機会をもらったというか。そういった意味でも個人的にそれまでできなかったことをやりたいなって思っていたので、今さら免許をとりに行ったり(笑)、海外に行ったり、地方でボランティアしたり、いろいろしましたね。

尼川 僕は長期でイギリスに行ってたんですけど……どこでもなんとかして生きていけるもんだなって思いました。5ヵ月くらい滞在してたんです。2ヵ月は学校に行って、後半3ヵ月は旅行とかして。やっぱり、2ヵ月くらいだといっさい喋れるようにならないし、聞き取ることもできなくて。だけど、3ヵ月のその旅行では喋れなくてもべつに不便はまったくなかったんですよ。たまにホテルの部屋の鍵が閉まって入られへんとかはありましたけど、まあなんとかなんねんなってことだけはわかりました(笑)。

今だから笑い話になりますけど、あのときは自分としては「もう終わった」と思いましたから

(笑)山村さんは、2010年にポリープを手術したときとは全然違う感覚でしたか。

山村 そうですね。今回は原因がわかっていないものだったので、ずっと手探り状態でリバリビをしていて。最初、お医者さんには「3ヵ月休んだら声が出るかも」って言われたんですよ。それで、3ヵ月目にリハをやったんですけど、なんならちょっとひどくなってるくらいで(苦笑)。もう喋り声すらつらいっていう状況でしたね。

阪井 3ヵ月間歌ってなかったから余計声も細くなってるし、っていうか、全然治ってないし、みたいな(笑)。こちらとしてはより心配になるというか。

山村 だから、休めば治るものじゃなかったんですよね。

尼川 あのときはさ、声を出すのも諦めてるみたいな感じやなかった? 出ないというより、「ああ、もうええわ」みたいな。

阪井 そう、10分くらいで帰ったもんな(笑)。

小倉 「花になれ」を2〜3回やって。

阪井 「よし帰ろう!」って(笑)。

尼川 「今日はじゃあ!」って(笑)。

山村 いやいや、今だから笑い話になりますけど、あのときは自分としては「もう終わった」と思いましたからね。

そこから復帰までの道のりというのは?

尼川 はっきり見えたのは去年の秋くらいですかね。準備はずっとし続けていたので、あとは山村自身が「行ける!」って判断するタイミング待ちみたいなところではあって。

山村 ちょうど僕らが休止した頃にボイストレーナーを始めた山森隼人さんに出会ってから変わっていけたというか、一緒にリハビリを積み重ねていって。

尼川 そうだね、山森さんに出会ってからはすごい前向きになって、声も劇的に変わったし。そうは言っても、最初は前のように歌えていたわけではなくて。ただ、山村が前向きになっていたので、そこからは復活に向かえるなって感じはしてましたね。

山村 本当は100パーセントで復帰して、昔以上に歌えるっていうのが理想でしたけど、そうはいかなそうだったんですよね。それを待っていたら一生歌えない気もしていて。そのときに、自分はひとりじゃないなっていうのを改めて思ったというか。たとえ50点の声だとしても、それを及第点として、次の日に51点が取れればいいし、その1点をみんなが喜んでくれる。バンドみんなで100点を取れればいいんじゃないかというふうに、ひとりで抱えることに対して踏ん切れたというか。だから、その頃には早く人前で歌いたいって気持ちにはなっていましたね。

ひとりっていうものをプラスに考えられるようになっているかもしれない

復帰第1弾シングルには新曲4曲が収録されています。どの曲から制作を始めたんですか?

小倉 曲はずっと作ってましたけど、「HELP」は最近ですね。

山村 最初は「つながり」じゃない?

尼川 「HOPE」はめっちゃ前からあったよね?

阪井 たしか「つながり」と「HOPE」が同時期くらいかな。2018年のロシアのワールドカップの頃くらいから山村の調子も良くなってきて。今の時期に復帰できたらいいなみたいなのが見え始めてから、作り始めましたね。

再出発の1歩目となる「つながり」にはどんな思いを込めましたか。この曲はファンクラブ先行で配信した曲でもありますよね。

山村 「HELP」ともちょっと似てる部分はあるんですけど、「ひとりじゃないな」ってすごく感じてたんですよね、メンバーもいたし。でも、やっぱり結局、人間は孤独だと思うし、ひとりだとも思ってる。だからこそ、ひとりひとり手をつなげるというか、何かを共有できたときの喜びとか、悲しいときに互いを支えられる気持ちがあるんだろうなとも思って。すごくひとりよがりで強がっていた自分がどんどん変わっていった時期だったので、その変化した気持ちみたいなものをこの曲には書きましたね。

小倉 隆太の1年間の心情を素直に言葉にした歌だなって思いますね。愚痴るわけでもないし、弱音を吐くわけでもないし、ただ純粋に思ったことを歌にしたんだなというか。

繰り返しになってしまうんですが、この曲では、メンバーやスタッフ、ファンとの“つながり”を感じながらも、“個”であることを強調していますよね。本作に収録された4曲にはすべて“一人”“孤独”というワードがあるので気になってしまって。

山村 ああ、そうですね。でも、だからこそ得るものがあるなと思うんですよ。ひとり同士だからこそ抱き合えるっていうか、深めていけるっていうか。そういう意味では、ひとりっていうものをプラスに考えられるようになっているかもしれないです。

光があって闇があって、そういう対比があるから、こういう曲も際立ってくる

同じ時期に作ったという「HOPE」には“いつものように一人泣いてる”“いつものように一人笑ってる”というフレーズがあります。

山村 この曲は、ラブソングの反対、失恋ソングではないけど、なんか届かないものというか……ほかの曲が前向きな曲ばかりだったので、ちょっと違うエッセンスを入れたかったんですよね。愛するということは、救いだけど悲しいことよねっていうような感じですかね。

愛は救いでもあり、悲しみでもある

山村 そうですね。いくら嫌われたり、自分が認められなかったりしても、自分が誰かを愛せるってことはきっと救いなんじゃないかなって。

小倉 他の3曲に比べると尖ってるなって感じがしましたね、言葉選びだとか、皮肉っぽい感じとか。やっぱり、全部が全部前向きで、希望しかない歌だと響かないと思うんですよね。光があって闇があって、そういう対比があるから、こういう曲も際立ってくるのかなって感じています。

サウンド的にも他の3曲とは違う新しさがありますよね。

阪井 だいぶ新しいと思いますね。もともとは「reboot 〜あきらめない詩〜」みたいな曲というか、“reboot 2”みたいな感じやったんですよ。もっとストリングスがガーッと入った、まさに“ザ・flumpool”っぽい曲だったんですけど、初めて本間(昭光)さんと一緒にやることになったので、“ザ・flumpool”感をぶっ壊したアレンジでやってみようってなったんです。まあ、いろいろありまして、ぶっ壊れましたけど(笑)、こういうものもありだなって思うし、ライヴ映えする曲になったなと思います。

オルガンがフィーチャーされた打ち込みのR&Bっぽい感じがありますからね。ギターが際立ったバンドサウンドの「空の旅路」は「Innovative Brewer SORACHI1984」のドキュメンタリームービーのテーマソングということで、書き下ろしなんですね?

阪井 そうですね。そのムービーを観させていただいて、そこからイメージを膨らませていったんですけど、『プロフェッショナル』のテーマ曲「Progress」みたいなイメージでした。ギターから始まる曲にしようっていうのは最初にありました。

キャンペーンソングの書き下ろしとはいえ、歌詞はほかの3曲と共通する部分がありますよね。

山村 そうですね。テーマソングというところにあんまり寄せすぎずに、自分たちが今思ってることに近づけて書いたところがありました。自分らしさとか個性を貫く難しさとか、その大事さを歌いたいなって思っていたので。

“残された声を『自分らしさ』と呼ぼう”と歌ってます。

山村 人々との関わりの中で生きるうえで捨てなきゃいけないもの……間違っていないのに頭を下げてできるだけ丸く収めるとか、誰かに気を遣い続けるとか、生きていくうえでは大事っていうことがありますけど、そうやって誰かのために生きていると、自分たちが路地裏で忘れられてるビニール傘のように見えたりもして。そのなかで残ったものが、今の自分なんだろうなって思った……まあ、歌詞そのまんまですけど(笑)、そこに対して悲観することはないっていうことかな。

小倉 4曲の中で一番リアルなのかなとは思います。歌詞からすぐに心境や絵がイメージできるじゃないですか。1番の歌詞の“日陰を愛する一人より 群れの中で耐える孤独のほうが”とかって、わかる人や共感できる人がたくさんいるんじゃないかな。結構そういうふうに我慢をしている人って多いと思うので。それを良しとするのか悪とするのかはわからないですけど、そういった意味では、みんなにとって身近な曲なのかなと思いました。あと、“あのロックスターは 今もきっと 名もない街角で 真実を叫んでる”っていう歌詞も、それこそ僕らも売れなかったらこういうことを叫んでるだろうなって感じましたし。今でこそたくさんの人に応援してもらっているので届く言葉がありますけど、届かない言葉もある。すごくリアルだなって思いますね。

この1年半でいろいろ経験したなかで、すごく大きなテーマだなって思った、“伝える”ことの大切さが

そして、表題曲ですが、このタイトルが……。

阪井 まず、この「HELP」っていうタイトルが出来てたんですよね。

山村 タイトルが先に出来るってなかなか珍しいよね?

阪井 うん。それに、詞先で曲を作るっていうのも、うちらにはめったにないことで。歌詞からイメージを膨らませていったんですけど、リード曲になるっていうのもあったので、めちゃめちゃハードル高かったですし、なかなか難しかったですね。いい歌詞やなと思ったし、これをさらに良くするにはってイメージは湧くんだけど……アレンジや世界観はすぐに思いついたんですけど、メロディはギリギリまで悩んで、何度も書き直しました。最終的には、力強いものを見せたいっていう思いがありましたね。

「HELP」というタイトルやテーマはどんなところから生まれましたか。

山村 自分自身がこの1年半でいろいろ経験したなかで、すごく大きなテーマだなって思ったんです、“伝える”っていうことの大切さが。それはべつに、自分の夢や希望じゃなくて、悩みや不安。そういうことを人に伝えるのはすごく怖いことだけど、伝えられる、助けを求められる、その強さっていうのもあると思うんです。僕自身、そこに気づかずに強がってきたところが大きいので、援助を求める強さもあるんだぞって伝えたかったというか。それは過去の自分に対してもそうですし、今の世の中も「助けて」と素直に言える世の中であるのかって問われるとそうじゃないなって思うところもあったりするから。助けを叫ぶことは大事だし、それを察知して手を伸ばすのも大事だろうなって。だから、僕たちが今、歌うとしたら「HELP」しかないんじゃないかなって思いました。

尼川 本当に強いテーマですよね。曲もメロディもアレンジも、何から何まで強いというか。ちょっと強すぎるかなって思ったくらいで。

小倉 もちろん力強さはテーマとしてあるんですけど、ドラムアレンジでは繊細さも残したいなっていうのはあって。1番のハイハットワークは繊細で、それがあるからサビの力強さが生きるようにしています。自分の弱音を吐くだけじゃなくて、ちゃんと希望も歌ってるので、強い歌になったなって思いますし、自分のためだけじゃなく、聴いてる人の歌にもなっていますよね。

声が出ないっていう伝える手段がなくなったバンドとして、伝えられることのありがたみを感じながら、届けられる

自身が救いを求めるだけでなく、聴いているあなたも自分を守るために声を上げて欲しいっていうメッセージがしっかりと込められていますよね。

山村 そうなっていって欲しいなとは思います。自分は運よく声が出せて差し出される手をつなぐことができたけど、振り絞った声を上げたとして、周りから無視される人もいると思うし、報われなかった人もいると思う。僕も、運が悪かったらそのひとりになっていたかもしれない。でも、諦めるのはもったいない気がするんです。声を上げること、その声に反応すること。誰かに何かを“伝える”ことによって救われた自分がいるからこそ、伝え続けていかなきゃなっていう思いがあります。

バンドとして伝えたいことがまだまだたくさんある?

山村 そうですね。伝え合う大切さというのは、ずっと歌ってきたことかもしれない……「君に届け」もそうですし。けど、思いを伝えるのが苦手な人間だからこそ思う、その重要性みたいなものは、この10年間でも身にしみてわかりましたし、活動休止中にもすごく気づかされたことだったので。すごくわかりやすく、声が出ないっていう伝える手段がなくなったバンドとしては、もう一度、伝えられることのありがたみを感じながらみんなに伝えたいことを届けられると思うし、またより一層、そういうことをしっかりと伝えられるバンドになっていけたらいいなと思いますね。

flumpool 9th tour「⌘⇧Z(Command Shift Z)」
5月22日(水)東京国際フォーラム ホールA レポートはこちら
flumpool完全復活! ひとりじゃない、みんながいる──隆太の想いのすべてが歌に乗る「⌘⇧Z(Command Shift Z)」東京公演速報

flumpool完全復活! ひとりじゃない、みんながいる──隆太の想いのすべてが歌に乗る「⌘⇧Z(Command Shift Z)」東京公演速報

2019.05.28

flumpool 9th tour「⌘⇧Z(Command Shift Z)」

5月4日(土・祝)広島・広島上野学園ホール
5月5日(日・祝)鳥取・米子市公会堂
5月11日(土)三重・NTNシティホール(桑名市民会館)
5月12日(日)福井・福井市文化会館
5月22日(水)東京・東京国際フォーラム ホールA
5月25日(土)静岡・静岡市民文化会館 大ホール
6月2日(日)新潟・新潟県民会館 大ホール
6月28日(金)群馬・ベイシア文化ホール(群馬県民会館) 大ホール
7月6日(土)岡山・倉敷市民会館
7月7日(日)愛媛・松山市民会館 大ホール
7月12日(金)兵庫・神戸国際会館 こくさいホール
7月14日(日)奈良・なら100年会館 大ホール
7月20日(土)福岡・福岡サンパレスホテル&ホール コンサートホール
8月8日(木)大阪・フェスティバルホール
8月9日(金)大阪・フェスティバルホール
8月17日(土)宮城・仙台サンプラザホール
8月18日(日)福島・けんしん郡山文化センター 大ホール
8月24日(土)長野・長野市芸術館 メインホール
8月25日(日)茨城・ザ・ヒロサワ・シティ会館 大ホール
8月31日(土)愛知・名古屋国際会議場・センチュリーホール
9月20日(金)北海道・カナモトホール
9月28日(土)神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール

flumpool(フランプール)

山村隆太(vocal)、阪井一生(guitar)、尼川元気(bass)、小倉誠司(drums)。
2008年10月にダウンロードシングル「花になれ」でデビュー。2009年10月に日本武道館2デイズ公演を開催以降、ホールやアリーナツアーをはじめ、台湾・シンガポール・香港公演なども行う。2017年5月の3度目の日本武道館公演を皮切りに全国ツアーをスタートさせたが、その途中で山村の病気療養を発表。12月よりバンド活動を休止。2019年に入り活動を再開し、2月よりファンクラブツアーを開催、5月にシングル「HELP」をリリース。現在、全国ツアーflumpool 9th tour「⌘⇧Z(Command Shift Z)」を敢行中。

オフィシャルサイト