Interview

溝口琢矢が新たなピースとなって旅に出る──ミュージカル『リューン~風の魔法と滅びの剣~』

溝口琢矢が新たなピースとなって旅に出る──ミュージカル『リューン~風の魔法と滅びの剣~』

6月5日(水)からミュージカル『リューン~風の魔法と滅びの剣~』が日本青年館ホールにて上演される(*6月1日〜2日はプレビュー公演)。
今作は、昨年2月に上演され、藤原丈一郎と大橋和也(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)がW主演を務めた公演の再演にあたる。劇作を篠原久美子、演出をウォーリー木下、作詞を森 雪之丞、音楽を和田俊輔という日本屈指のクリエイターが手がける本作は、“滅びの剣”を巡るふたりの少年の成長を描くオリジナルミュージカル。
W主演のふたり以外にも、音楽活動のほかミュージカル『ミス・サイゴン』(16)に出演したことが記憶に新しいダイアモンド✡ユカイ、東京パフォーマンスドールの浜崎香帆、ダンサー兼コリオグラファーでありミュージカル界には欠かせない俳優・大澄賢也も出演。さらに、現在注目を集めている若手俳優・溝口琢矢、舞台俳優としても数多くの作品に出演している歌手の泉見洋平といった初参加の出演者を迎え、バージョンアップしたミュージカル『リューン』を届ける。
そんな舞台で、ファンルン役の溝口琢矢にインタビューをした。今作のことやW主演のふたりのこと、ミュージカルの原体験、自らの出自まで大いに語ってもらった。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 冨田望


“愛”のある作品だと感じたので、楽しみが強くなりました

ミュージカル『リューン~風の魔法と滅びの剣~』は、2018年2月に初演され、早くも今年には再演が決まるほど大ヒットしました。まずは、その作品に出演されるお気持ちから聞かせてください。

オファーをいただいたときは、ちょうど、舞台『宝塚BOYS』(18)に出演していて、初演で僕と同じファンルンを演じた永田崇人くんと共演していたんですが、そこで今作のことを嬉しそうに話してくれたり、かっこいい曲を口ずさんだりしてくれて、“愛”のある作品だと感じたので、ワクワクや期待もあって、楽しみが強くなりました。

稽古場の雰囲気はいかがですか。

稽古が始まれば皆さん集中しますが、休憩中はひたすら和気藹々としています。初日から丈くん(藤原丈一郎)も和也(大橋和也)も気さくに話しかけてくれて、「溝口さんのことをどう呼んだらいいですか? 普通だとつまらないから、“たっくん”で」と和也に言われて、ツッコむかどうか悩んでいるところです(笑)。稽古はまだまだこれからですね。今の段階は初演を思い出しながら動きを確認しつつ、新たなキャストも加わっているので、初演から変えていくところを共有しています。これから徐々に再演の『リューン』を構築していくでしょうし、特にファンルンは後半によく動くので、頑張っていこうと気を引き締めています。

W主演の藤原さんと大橋さんの印象はいかがですか。

丈くんは僕と性格が似ていますね。僕もよく喋るのですが、丈くんのファンの方から「本当に喋るから気をつけてください」とメッセージをいただいたほどで(笑)。それでいて、大人な感じもしますし、関西のノリがあるから一緒にいてとても楽しいです。カンパニーに英語を喋る方がたくさんいらっしゃるので、いきなりよくわからない英語で会話をしたりするんですよ(笑)。和也は、最初は“和也くん”と言っていたのですが、いつの間にか“くん”が取れるほど親しみやすくて可愛らしいです。ストレッチをしていると隣りに来て同じ動作を始めたり、何も言わないでニコニコしながらひたすら体幹を一緒に鍛えたり、思わず「いい子!」と言ってしまいましたね(笑)。

(笑)。W主演ということで、ふたりの座長と対峙すると思いますが、どのように接していこうと思っていますか。

今回の作品の柱は、丈くんがいて、彼と共に和也と(浜崎)香帆ちゃんがいるというイメージがあって。ふたりの座長と接していこうという気持ちはそれほどないですね。座長であってもなくても、僕の思ったことは話していきたいですし、丈くんたちもみんなで相談しながらつくっているので、お互いフラットな関係なんです。ただ、座組みの温かい空気をつくっているのは絶対に丈くんと和也のふたりだと思います。

初演とは違うピースの形になるのも楽しみ

脚本をお読みになられた感想はいかがですか。

最初に脚本を読んだときは、初演を観ていなかったせいか、舞台でどうなるのかわからない部分が多くて……どのようにドラゴンといった架空の生物や魔法を表現するのか疑問に思っていました。ただ、現場は僕のそんな気持ちの上をいく連帯感で、架空の生物や魔法、波や風といった自然をリアルに表現しています。みんなが稽古場で動いているのを見るとエネルギッシュで、そんな溢れるエネルギーに興奮させられています。

スタッフの方々に錚々たる人たちが集結している印象があります。脚本に篠原久美子さん、演出をウォーリー木下さん、作詞を森 雪之丞さん、音楽を和田俊輔さんと多才なクリエイターとご一緒しますが、楽しみな点はありますか。

どの現場でも、楽しみよりもチャレンジャーのような気持ちになりますね。今作であれば、再演になってファンルンはどう変わったのかという想いからスタートしていると思うので、しっかりとそれに応えたいです。

キャストも豪華ですが、役者同士の関係性はいかがですか。

僕はプレッシャーを感じないように努力しているのですが、周りのキャストもそういう空気をつくってくれるので嬉しいです。僕は今回からの出演で、座組みにすでにアットホーム感が出来上がっていると、ディスコミュニケーションの元にもなってしまいますが、そういうことはまったくないですし、稽古の初日に新しいカンパニーが出来上がったという感覚です。

お話にあったように、再演からの出演になると思いますが、心がけていることはありますか。

初演の評判も良くすぐに再演が決まったので、初演の面白さを最低ラインとして超えないといけない気持ちはありますが、あまり重圧は感じていないです。僕にとっては今作が初演ですから、いろいろ試したいこともありますし、試していけば初演とは違うピースの形になるのも楽しみなので。それでも、あくまでカンパニーには迷惑をかけないようにしたいと思っています。

ファンルンは可愛らしくもあり、切ないキャラクター

演出のウォーリー木下さんから言われて印象的な言葉はありますか。

今作はミュージカルで、胸に響く音楽が流れるなかで台詞を言うことが多いので、稽古ではわりと声を張っていたのですが、ウォーリーさんが「世界に向かって台詞を言うような壮大な感じではなくて、普通にお芝居としてやってくれればいいよ」と丁寧におっしゃってくださって。ただ、「表現の幅を広げるために、音楽に対して強く意識を持って欲しい」とは言われましたね。

『怜々蒐集譚』でインタビューをしたときに、積極的に演出家にお話しされると聞いたのですが、これまでの稽古で何かご自分でアプローチしたことはありますか。

これからですね。先ほどもお話ししたように、稽古は、確認事項が終わって「これからどのようにしていこう」という段階で、つくり上げていくのはこれからになりますので、そのときには積極的にお話を聞きにいこうと思います。

溝口さんが演じるファンルンの役どころを教えてください。

“滅びの剣”に心を乗っ取られてしまった、和也の演じるリューン・ダイを助けに行くのが物語の主軸で、彼を救いに行くリューン・フロー(藤原丈一郎)と旅に出るメンバーのひとりです。ただ、彼自身にも目的があるのですが、その目的は……本番まで楽しみにしてください(笑)。ファンルンは可愛らしくもあり、切ないキャラクターです。劇作の篠原さんから彼の背景や育った環境を聞くと、その想いがさらに募ります。決して愛情深く育てられた子供ではないのに、あえて明るく振る舞っているので、そういう複雑な心理を踏まえながら演じていこうと思っています。なので、面白いギャップを見せたいですね。ファンルン自体がそういう役ではあるのですが、ちょっとだけネジがはずれた、真面目に狂っている人間をつくり上げたいです。

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