future×feature  vol. 23

Interview

演技未経験だった関水 渚、映画『町田くんの世界』ヒロインを生きた。「本当に幸せで、感謝の気持ちでいっぱい」

演技未経験だった関水 渚、映画『町田くんの世界』ヒロインを生きた。「本当に幸せで、感謝の気持ちでいっぱい」

映画『舟を編む』で日本アカデミー賞最優秀監督賞を最年少で受賞した石井裕也監督の最新作『町田くんの世界』(6月7日公開)。岩田剛典、高畑充希、前田敦子、太賀、池松壮亮、戸田恵梨香、佐藤浩市、北村有起哉、松嶋菜々子という主役級の俳優陣が集結した本作のヒロインの抜擢されたのは演技経験ほぼゼロの新人である関水 渚。1000人越えのオーディションを勝ち抜き、日本を代表する監督と豪華キャストと対峙する大役を任された彼女に率直な心境を聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 荻原大志


“リミッターをはずす”。振り切ったお芝居に苦戦

まずはオーディションに合格した時の心境からお伺いできますか。

3回目のオーディションが終わった時に、「もう1回あるから」って言われて。そのあと、(町田くん役の)細田くんと一緒にお芝居をやらせていただいたんですが、それを見ていた監督が「いいんじゃない?」って仰って、その場で決定したんです。

そういう決まり方もあるんですね。「後日電話でお知らせします」とかではなく。

私も本当にびっくりしました。すごく嬉しかったんですが、その晩から撮影が始まる前まではプレッシャーや不安が大きかったです。

豪華な共演者を聞いた時はどうでしたか? 

本当にびっくりして固まったんですけど(笑)。びっくりして固まること自体が初めてで。スーパースターの皆さんの名前がどんどん挙げられて、その中でヒロインですって言われて、頭の中が真っ白になってしまって。プレッシャーもあって、あの時は不安で泣いてしまいました(笑)。

ずっと不安と緊張の中にいたんですね。

リハーサルに行くのも緊張していました。リハーサルでいろいろなことが明確になっていくんですが、それでもどんどん疑問は生まれてきて…。とにかく撮影が始まるまでは不安でした。

撮影が始まってからは不安や緊張がなくなりました?

不安や緊張を感じている場合じゃなくて…初日からなくなりました(笑)。実際にカメラがある状況に緊張したり、〈どうしよう。あと何日で撮影が始まる……〉とか、〈1ヵ月後、ちゃんと生きてるかな〉とか思ったりしましたが、始まったらやるしかないかなと思って。石井監督もリハーサルからずっとお芝居を見ていてくださっていましたし、細田くんもいたので、安心できて。初日から切り替えることができました。

その切り替えの早さは素晴らしいです。

いままでグズグズしてたのは何だったのかって思いますよね(笑)。3月に決まって7月から撮影だったので、それまでずっと寝る前に毎晩、〈ああ、どうしよう〉って思っていたので。始まってからも不安はたくさんありましたが、グズグズはしなくなりました。

関水さんと同じく新人で主演を務めた細田さはどんな存在でしたか。

お互いに自分の役に集中することに精いっぱいで、そんなにお話は出来ませんでしたが、細田くんがいてくれたから最後までできたんだろうなって思います。年下なんですけど、頼りになります。

博愛主義者の町田くんに、とても個人的な心の状態である “恋”に気づかせる猪原さんという役柄に関してはどう捉えてました?

原作のマンガを読んだ時から、ちょっと不器用なところは私に似ているなと思いました。猪原さんは人との距離感の掴み方が苦手な子だと思ったので、そういう不器用さを丁寧に表現しようと思いました。あと、石井監督に「リミッターをはずして。振り切ってお芝居をしてほしい」って言われたんです。それがなかなかできなかったんですが、リミッターを外すことを一番に意識して演じました。

どこかではずれたなっていう瞬間はありましたか。

川べりで町田くんと追いかけっこするシーンがあるんですが、あの時は本当にはずれてました。そのシーン以外でも意識はしていましたが、走っていたこともあって、何も考えられないくらい振り切れてたと思います。

好きな子の家の前で貧乏ゆすりして待ってたりしたら嫌われちゃいますよね(笑)

猪原さんの町田くんへの感情はどう考えてました? 最初は人嫌いで、誰とも深く接することを避けてました。

人の言動によって人のことが苦手になったり怖くなったり…私もその気持ちはすごくわかりました。でも、そこから救ってくれるのも人であり、それが猪原さんの場合は町田くんだったっていうこともすごくよく理解できたので、自分の気持ちと重なる部分はありました。

猪原さんの気持ちの変化はどう作っていきましたか。

石井監督と、いつ町田くんのことを好きになるのかということをいろいろ話し合いました。人を好きになる時ってある程度その人のことを知ってから好きになるんじゃないかと思ったので、このあたりかなと自分なりに考えていたところがあったんです。でも、実際に撮影が始まってみると、けっこう序盤にあって。町田くんの目がすっごい綺麗だったんです。まっすぐ見つめられた瞬間から気持ちがガラッと変わってしまって。

それはどこですか。町田くんはのちに、保健室の扉を開けた瞬間に恋してたんだっていうことに気づきますよね。猪原さんはどこで?

保健室を出て、追いかけっこをして、最後にまた保健室の前に戻ってきて。ふてくされて、「何なの?」って言った時に、町田くんがこっちをまっすぐに見つめて、「ありがとう。ちゃんと返すから」って言った表情を見た時に、〈あ、好きになった〉と思いました。

じゃあ、かなり序盤の段階で本当は両想いになってたんですね。

はい。ちょっと不器用なのでなかなか時間がかかりました(笑)。

先ほど不器用な部分は似てるとおっしゃってましたが、逆に自分にはないなって感じた部分はありましたか。

私も不器用ではありますが、人の家の前で逆ギレすることはまだしたことないです(笑)。

あのイライラした顔は良かったですね(笑)。

ありがとうございます。あそこまで人前を気にせずできたら楽かもしれないですよね。しかも、貧乏ゆすりまでして。今考えてみたら、女子高生は貧乏ゆすりなんてしないんですよね。でも、あの時は必死だったので、〈イライラしたら貧乏ゆすりするよな〉って思いながらしてて。普通は気になってる相手に対してあんなことしたら嫌われるじゃないですか(笑)。でも、町田くんはそれを受け入れてくれるからやさしさがある。どうして怒ってるんだろうって一生懸命に考えてくれるんです。

あの逆ギレも含めて、「人は恋をしたらどうなるか」っていうことと、「人はなぜ恋をするか?」ということが本作のテーマになってました。大切なひとと恋の違いはなんなのか? っていう町田くんの問いに対する答えは出ました?

彼氏がいる友達から、いろいろ話を聞いたりしますが、答えは出なくて。いくら悩んでも相手の気持ちもありますし……本当に難しいです。出会いも全部、奇跡だと思いますし、かけがえのないものなんだろうなと思います。ひと言では表せないです。

プールと河原は2人にとってはどんな場所だと思いますか? 2人にしか行けない、2人だけの世界のようにも感じました。

私もそう思います。いつも言い合いになってしまうんですが、二人にとっては、素敵な空間で、かけがえのない時間でしたし、羨ましいなと思います。ただ、撮影を思い返すと、プールでも、川べりでも、いっぱい怒られましたし、いっぱい悩みました。すごい暑い日にプールの撮影があって、石井監督が丁寧にお芝居を見てくださったんですが、なかなかOKがもらえなくて。「全然ダメ。全然ダメ」って、もう一生やり続けるんじゃないかってくらい、何回も何回も2人でやり直したことがあって、それはすごく覚えています。

撮影を進めていくうちに、監督からお褒めの言葉はありましたか。

ささいな時に、「あ、いいね~」って言ってくださるんです。それがすっごい嬉しくて。怒られることも、教えていただくこともいっぱいありました。よく見てくださってるからこそ、褒められることが……誰に褒められるより一番うれしかったです。

どのシーンで褒められたか憶えてますか?

プールでひとりで妄想したあとに目が覚めて、「あ、やばい。すっごい変なこと考えてた」ってむにゃむにゃするところをすごい褒めていただきました(笑)。うれしかったですね。

をもっともっと大事にしようって思える作品

ほかのキャストの方はどうでした? 何か印象的なことはありましたか。

みなさん、ほんとに優しいんです。皆さん気さくにお話してくださいました。特に覚えているのは、前田敦子さんに「私、すごい焼けやすくて」っていう話をしたら、翌日に、「これ、すごく効く日焼け止めなんだよ」って持ってきてくださって。本当にやさしいですよね。すごく嬉しかったです。

撮影の中で何か印象に残ってるシーンはありますか。

本当に毎日が濃い時間で、毎日1個は印象に残っているところがありました。特に楽しかったのは、池松さんとのシーンです。ネタバレになるので言えませんが、お芝居もすごく楽しかったですし、池松さんの舞い上がり方はもう最高だな!って思いました。一緒にキャーキャー言ったのも楽しかったです。

完成した作品をご自身で見てどうでしたか。

先輩たちのお芝居が本当に魅力的で、終始面白くて、最高の作品だと思いました。見終わったあとに、人のことをもっともっと大事にしようって思える。ちょっと悲しいことがあった人にもこれを観ていただけたらあったかい気持ちになって、世界に希望を持てるんじゃないかなって思います。あと、一生懸命な町田くんが『猪原さん!』って言いながら、自転車をこいだり、木に登ろうとしたりするシーンがあって。細田くんと別々に撮影していたので、実際に本編を初めて観て、〈こんなに一生懸命向き合っててくれたんだ〉って考えると、私としても猪原さんとしてもとても嬉しかったです。

では、最後に今後の目標を聞かせてください。

たくさんあります(笑)。撮影が始まるまではけっこうウジウジしていましたが、たくさんいろんなことを教えていただいて、先輩たちの背中も見させていただいて、自分的にも強くなったと思える部分がありました。これから成長して、今回やさしくしてくださったり、話しかけてくださった先輩たちのように自分もなりたいなと思います。あと、石井さんといつかまたご一緒させていただきたいです。ドラマにも出てみたいし……いっぱいあります(笑)。無限です。何でも挑戦してみたいです。いろんな役にも挑戦してみたいです。

スクリーンデビュー作が石井監督の『町田くんの世界』だったことについては、今はどう考えてますか?

本当によかったです。ワークショップ以外のレッスンも受けたことがなくて、映像作品も初めてだったので、何もわからなかった私を、石井監督は一切見捨てることなく、教えてくださって。横には細田くんがいてくださって、しかも共演のみなさんはスーパースターばっかりで、本当に幸せだったなと思います。感謝の気持ちでいっぱいです。


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関水 渚

1998年、神奈川県生まれ。「第40回ホリプロタレントスカウトキャラバン」のファイナリスト。2017にはアクエリアスのCM出演を果たし、注目を浴びる。映画『町田くんの世界』で1,000人を越えるオーディションの中からヒロイン・猪原奈々役に抜擢。映画初出演にして初主演を飾る。2020年に映画「カイジ ファイナルゲーム」が公開予定。

オフィシャルサイト
https://www.horipro.co.jp/sekimizunagisa/

フォトギャラリー

映画『町田くんの世界』

6月7日(金)全国公開

監督・脚本:石井裕也
脚本:片岡 翔
音楽:河野丈洋
企画・プロデュース:北島直明
原作:安藤ゆき「町田くんの世界」(集英社マーガレットコミックス刊)
出演:細田佳央太、関水 渚、岩田剛典、高畑充希/前田敦子、太賀、池松壮亮、戸田恵梨香、佐藤浩市、北村有起哉、松嶋菜々子
©安藤ゆき/集英社 ©2019 映画「町田くんの世界」製作委員会

『町田くんの世界』原作

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