Interview

名曲が多すぎる…声優アーティスト中島 愛、シングル網羅の30曲ベストを語る。アニソンの括りにとどまらない才能・その集大成

名曲が多すぎる…声優アーティスト中島 愛、シングル網羅の30曲ベストを語る。アニソンの括りにとどまらない才能・その集大成

2018年6月にデビュー10周年を迎え、カバーミニアルバム『ラブリー・タイム・トラベル』の発表や地元・茨城での凱旋公演など、精力的な活動でアニバーサリーイヤーを駆け抜けた声優アーティスト、中島 愛。その集大成を飾るのが、自身初のベストアルバム『30 pieces of love』だ。

彼女の30歳のバースデーにあたる2019年6月5日にリリースされる本作は、これまでの全シングル表題曲を網羅しているのはもちろん、ライブの定番曲やファン人気の高いナンバー、新曲「Love! For Your Love!」など全30曲を収録。毎回新しいことに取り組みながら常にエバーグリーンなポップソングを届けてきた彼女のキャリアを辿るための決定盤と言ってよいだろう。その10年を彩ってきたあれこれについて、じっくりと話を聞いた。

取材・文 / 北野 創(リスアニ!)


年齢というのはそれだけの期間を頑張ってきたということなので、誇っていいと思うんです

ベストアルバムの制作に際して、ご自身の過去の曲を聴く機会も多かったと思いますが、改めてこの10年の歌手活動を振り返って、シンガーとして成長できたと思う部分は?

中島 愛 自分の昔の曲を聴き返しても「今ならこういうふうに歌えるな」ということばかりを考えてしまうんですが、改めて年代順に通して聴くと、毎作品ごとにそれまでとは違った声音や表現を見せられるよう取り組んできたので、やりたいことを一つひとつ積み重ねてこられたことは実感できました。今はデビューの頃と比べて自分が何をしたいかをしっかりと意識して歌と向き合えていると思いますし、ニュアンス力も成長して……ないと困るかな?と思います(笑)。

ずいぶん謙虚ですね(笑)。今作のタイトルは『30 pieces of love』。ベスト盤の発売日にちょうど30歳の誕生日を迎える中島さんにピッタリの題名です。

中島 「love」という言葉は自分の名前にちなんでいますし、自分の年齢が30歳になることは意識的に押し出したかったので、「30」と「love」は最初から入れたいと思っていました。私は10代でデビューしたので、「えっ、もう30歳なの?」という反応をいただくと「その〈もう〉って何?」と思ってしまうので(笑)、私のほうから先に年齢をアピールしておきたかったんです。

世間的には30代になると少しネガティブに捉えられることもありますけど、年齢というのはそれだけの期間を頑張ってきたということなので、誇っていいと思うんですよ。だから今回は数字にはこだわりました。

それで全30曲なんですね。ここからは、その収録曲についてキャリア順にお聞かせください。まずは中島 愛名義での記念すべきデビュー曲「天使になりたい」(2009年)。

中島 この頃の私はまだ『マクロスF』以外のお仕事はほとんど経験がなくて、ランカ・リーとしてのアフレコやライブに全力投球していたので、まだ「中島 愛」としてのアーティスト像みたいなものをあまり描けていなかったんです。スタッフさんもそれを理解したうえで模索してくださって、結果として“ふたつでひとつのカラダを ギュッとつかまえていて”というフレーズのある歌詞も含めて、非常にランカを意識したものになりました。「『マクロスF』で培ってきたものを大事にしながら頑張っていきます!」という決意表明のような曲ですね。

それもあってか中島さんの曲としては珍しく勇ましい曲調ですよね。

中島 私自身も当時は意外に思って、「私の声質で大丈夫かな……」とドキドキしながらレコーディングしたんですよ。でも、これぐらい振り切らないと最初の一歩を踏み出せなかったと思いますし、今でもライブで歌っている、思い出深いデビュー曲になりました。

オーケストラルポップな3rdシングル「ジェリーフィッシュの告白」(2009年)はTVアニメ『こばと。』のEDテーマで、中島さんにとって初のアニメタイアップ曲でした。

中島 宮川 弾さんに書いていただいた曲がすごく好みの曲調だったので、物語を締めくくる曲を歌うことの責任を感じながらも楽しく歌えました。

でも、この後に出てくる『たまゆら』関連の楽曲もそうなんですが、自分がストレートに出せる音域よりも少し高めのキーで作られているので、当時の自分にとっては表現がすごく難しくて試行錯誤しました。自分自身の感情だけで背伸びすると無理を感じたので、タイアップ作品のキャラクターをイメージしながら歌おうと初めて思ったのがこの曲なんです。

中島 愛を前面に出すよりも、主人公の(花戸)小鳩ちゃんの気持ちを代弁するように歌ってみたら、キーの高さも忘れて作品を良くすることに集中できて。タイアップ曲を歌う難しさと楽しさを一度に教えてもらえた楽曲です。

『たまゆら』との出会いは本当に大きかったですね

そして1stアルバム『I love you』(2010年)からは、ご自身が作詞で関わられた「Sunshine Girl」「Raspberry Kiss」がセレクトされています。

中島 この2曲と「Be MYSELF」(1stシングル「天使になりたい」のカップリング曲)は、表現方法や溌溂さが10代当時の雰囲気を纏っていて、このときだからこそ歌えた楽曲という印象があるんです。それと単純に曲調が好みなのでチョイスしました。当時は自分がフレッシュだなんて思っていなかったですけど、今振り返ってみると相当フレッシュですよね(笑)。

2010年、中島さんは先ほども話題に上がったアニメ『たまゆら』と出会われて、その後のシリーズも含めて多くの主題歌・挿入歌を担当されました。本ベスト盤には、4thシングル「メロディ」「夏鳥」(2010年)、5thシングル「神様のいたずら」(2011年)、9thシングル「ありがとう」(2013年)が収録されています。

中島 『たまゆら』は特に視聴後の後味が大事な作品なので、歌い方のテンションに関してすごく考えさせられましたし、自分の成長にも繋がったと思います。

北川(勝利)さんと出会ったのもこの作品がきっかけでしたし(北川は「メロディ」で初めて中島に楽曲を提供)、まさか大江(千里)さんや清水(信之)さんとお仕事ができるとも思っていなかったですから(「神様のいたずら」は大江が作詞・作曲、清水が編曲を担当)。私の音楽性の幅を広げるために、スタッフの皆さんがいろいろと提案してくださって、緊張感のあるなかベテランの方々とお仕事をできたのはすごく楽しかったです。

『たまゆら』とのタイアップで生まれた一連の楽曲は、中島さんの音楽性の魅力のひとつにニューミュージック的な世界観があることを、強く印象付けたように思います。

中島 私自身、ニューミュージック的な大人っぽい世界観は好きなんですけど、それまでは好んでキャピキャピした曲を歌っていたこともあって、当初はあまり自分が踏み込んでいける場所ではないと思っていたんです。でも、皆さんが早い段階からそれを受け入れてくださったので、その後もいろんな方向に音楽性を広げられるようになったというか、自由度を高めてくれた気がしていまして。

例えば「バラードが好きです」と言ってくださる方が増えたことで「私はこういうところが強みなのかな」と肯定してもらえた気持ちがあったので、「ここを土台にしておけば、どこに行っても帰ってこられるから大丈夫」という自信が少しずつついた時期なんです。なので『たまゆら』との出会いは本当に大きかったですね。

さらに2012年にはTVアニメ『輪廻のラグランジェ』とのタイアップで多くの楽曲を制作されて、今作にも6thシングル「TRY UNITE!」「Hello!」、7thシングル「マーブル」「忘れないよ。」、そして挿入歌「Flower in Green」(いずれも2012年)が収められています。

中島 私にとって2012年は革命が起きたような時期だったんです。2ndアルバム『Be With You』を発表したのもその年ですし、「TRY UNITE!」で初めてラスマス(・フェイバー)さんとタッグを組んで、バラードシングルの直後にハウスを歌うという振れ幅を持つことができて、当時は自分で自分を面白がっていたと言いますか。

「TRY UNITE!」はすごく間口を広げてくれた楽曲ですし、『輪廻のラグランジェ』は自分の音楽性を高めてくれた、未知の世界に連れて行ってくれた作品だと思います。

ここからダンスミュージック路線の楽曲にも取り組まれるようになりましたものね。同年には、今回のベスト盤にも収録されているlivetune adding 中島愛「Transfer」、ラスマス・フェイバー「Ame (Rain)」でゲストボーカルを務めました。

中島 「TRY UNITE!」からとんとん拍子でkzさんとの出会いがあったり、ラスマスさん自身のアルバムに参加させていただいて、新しくダンスミュージックやデジタルなサウンドに触れる年になったので、「今年の私は持ってるなあ」と思っていました(笑)。その頃は、歌い方の引き出しがあまり多くないことに悩んでいたんですけど、ラスマスさんやkzさんがまた別の方向に導いてくださって、新たな土台ができました。

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