Interview

名曲が多すぎる…声優アーティスト中島 愛、シングル網羅の30曲ベストを語る。アニソンの括りにとどまらない才能・その集大成

名曲が多すぎる…声優アーティスト中島 愛、シングル網羅の30曲ベストを語る。アニソンの括りにとどまらない才能・その集大成

「とうめいにんげん」は、活動休止から時間が経って、すごく可能性に満ちた曲だと思うようになりました

また、2ndアルバム『Be With You』からは「金色~君を好きになってよかった」をチョイスされていますが、こちらは今でもライブの終盤で必ず歌われている、ファンにとっても思い入れの深い楽曲です。

中島 「金色」はここまでライブの定番曲になるとは思っていなくて、本当にライブで育てていただいた曲なんです。打ち合わせのときにスタッフが「金色」は入ってないとみんな怒るでしょ、と言っていたんですけど、その通りだなと思いまして(笑)、満場一致で収録することにしました。

アナログ盤(『8 pieces of love』)のほうにも収録するのはそういうことで、シングル曲以外にもこちら側から自信を持って「この曲を聴きたいですよね」と提示できる曲があるのは、すごく幸せなことだと思います。

そして活動休止前の最後の作品となった3rdアルバム『Thank You』(2014年)からは、シングル曲のほかに「愛の重力」「とうめいにんげん」がピックアップされています。

中島 「愛の重力」は私のライブのバンマスを長らく務めてくださっている西脇辰弥さんに作っていただいた曲でして、生音のフュージョンで私の好きな曲調ですし、参加されてるミュージシャンの皆さんもすごく豪華なので、私の楽曲にはそういうワークスもあること知ってほしくて収録しました。

「とうめいにんげん」はコトリンゴさんと初めてタッグを組ませていただいた曲で、しかもふたりでスタジオに入って、お互いガラス張りのボーカルブースとピアノブースで目を見合わせながら、クリックを使わずに「せーの」で録ったんです。そういう音楽的に豊かな現場だったこともあって、ベスト盤にも残しておきたかったんです。それに「もう戻ってこない」ということを歌った寂しい曲ではあるんですけど、今聴くとこれからのチャレンジが見える曲だなと思ったんです。

「とうめいにんげん」は『Thank You』のラストに収められていた曲で、なおかつ中島さんが休止前のラストライブで最後に歌った曲でもあります。そのとき以外ではライブでも一度も歌われていませんし、ある種、不可侵な曲というイメージがあったのですが、ご自身のなかで楽曲の捉え方に変化があったんですね。

中島 「とうめいにんげん」はさすがに休止中は辛くて聴くことができなかったんですけど、発表から時間が経って自分の受け止め方が変わって、すごく可能性に満ちた曲だと思うようになったんです。

多分、当時から応援してくださった方の中には、私と同じようにすごく辛い気持ちでこの曲を受け止めてくださった方もいると思いますけど、このベスト盤を期に「この曲は次に繋がるためにすごく必要なステップだったんだ」というふうに切り替わってくれたらと思います。この機会がなかったら私もずっと寂しいままで捉えていたと思いますし、披露する場所を選ぶ曲ではありますが、いつかまたライブで歌いたいですね。

自分の歩みと楽曲が連動している感覚が自分の中にもあります

復帰第1弾シングルとなった「ワタシノセカイ」(2017年)は爽やかなギターロックで、しかも中島さんがヒロイン役で出演していた『君のいる町』と同じ瀬尾公治さん原作のTVアニメ『風夏』のEDテーマでした。

中島 『風夏』がバンドを描いた作品ということでこういう曲調にしていただいんですが、自分の中では「天使になりたい」のイメージと重なる部分もあって、再デビューという気持ちが強かったです。瀬尾さんには歌詞も書いていただいて、『風夏』がアニメ化するタイミングで復帰できたのはすごく縁を感じましたし、復帰前にお世話になった方とまたご一緒できるありがたさを感じました。

続く11thシングル「サタデー・ナイト・クエスチョン」(2017年)もフジファブリックの楽曲提供によるチャレンジングなナンバーになりました。

中島 メンバーおひとりではなく演奏を含めてバンドの皆さんから楽曲をいただいて、これも転機になった曲です。

難易度が高い曲だったので歌い方もすごく迷ったんですけど、山内(総一郎)さんにご指導いただいて、今まで挑戦したことのないようなちょっと気だるげな表現に恵まれて、新しい雰囲気を開拓できたのがうれしかったです。パワフルやエネルギッシュという、それまで自分の声質からは遠いと思っていたタイプの表現に、食わず嫌いせずに向き合っていくきっかけになった曲でもあります。

そして4thアルバム『Curiosity』(2018年)からは「サブマリーン」と「愛を灯して」を収録。前者はポルノグラフィティの新藤晴一さんの歌詞提供でも話題になりました。

中島 「サブマリーン」の歌詞は、復帰を祝ってもらったあとに、もう一回沈み、でもなんとか立ち直る、みたいな流れがよくて、歌詞を見るたびに自分の人生のテーマ曲のように思います(笑)。

私、辛いときには「サブマリーン」を聴くんですよ。歌詞を見て「そうだよねー」と思いながら。明るい曲調なのに訥々と「わたしは辛い」「沈んでいたい」「ここにいたい」という矛盾を歌っているのが自分らしいなあと思って。

中島さん自ら作詞された「愛を灯して」の歌詞も、この先の道の希望を感じさせる素敵な内容です。

中島 いやあ、「元気な歌詞を書いてみれば」と言われたので頑張って書いたんですけど、1年経った今自分で読み返してみると、すごく空元気だなあと思って(笑)。でもその空元気がいいなあと思うんですよ。頑張って前向きになろうとしている自分の意志が見えますし、それが非常に自分らしいと思いますし。

この曲の歌詞では、そういう「頑張ってる自分」や「青さ」のようなものを20代のうちに書き記せましたし、それをベスト盤の締めくくりに持ってくるのが美しいのかなと思いました。

また、本作には、北川勝利さん提供によるディスコ調の新曲「Love! For Your Love!」も収録されています。こちらはどのようなこだわりを持って制作されたのですか?

中島 北川さんには、とにかく「100パーセント前向きな曲」で「私を励ましてください」とお願いしました(笑)。今の自分のモードとしては、無理やりにでも前を向いておきたいと言いますか、もう一度デビュー当時みたいな「未来は明るいよね!」という曲を歌っておきたかったんです。なおかつアニバーサリーソングなので、今までの楽曲やアルバムのタイトルを言葉遊び的に入れていただけたら、という自分の願いを、北川さんが120パーセント応えて書いてくださった曲になります。

励ましてほしい気持ちがあったんですね。

中島 30代にこだわっているとはいえ、実感があるわけでも、今後どう変わるのか予想があるわけでもなく、むしろどうなるのかわからないので(笑)、先輩に「大人って楽しいよ」と言ってほしくて、信頼をしている北川さんに楽曲をお願いしました。

北川さんとは、私が音楽活動を休止していた頃に、Negiccoさんのライブで何度かお会いしたことがあるんです。そのときのことは今でも覚えているんですけど、ロビーでNegiccoさんに贈られたお花を眺めながら「いいなあ」と思っていたときに、いつものボーダーを着た北川さんが声をかけてくださって、世間話をするようなテンションで当たり前のように「書きたい曲があるんだよね」と言ってくださって。それが本当にうれしくて、そのときは正直無理だと思っていましたけど、でも諦めずにいてくれる人がひとりでもいるのかなあと思えるきっかけをもらえたんです。

そういう意味では、収録曲のそれぞれから中島さんの活動のドキュメントが浮かび上がってきますし、この10年の歩みをしっかりと刻んだベスト盤になりましたね。

中島 そうですね。自分の歩みと楽曲が連動している感覚が自分の中にもあると言いますか、歌わされていると感じる曲が1曲もなくて、自ら望んでこういう道を歩んで、こういう歌を歌おうとしていることを、こうしてベスト盤にまとめてみることで初めて気づけたと思うんです。いい10年だったんだなと思いますし、このタイミングでまとめられて幸せです。

フォトギャラリー

ライブ情報

中島 愛 10th Anniversary Live~Best of My Love~

2019年7月21日(日)
開場:16:00 開演:17:00
会場:恵比寿ザ・ガーデンホール
チケット代:全席自由 ¥6,800(税込み)※オールスタンディング
ドリンク代:¥500《別途必要》
一般発売:6月8日(土)10:00~

中島 愛オフィシャルサイト

< 1 2