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佐藤大樹&増田俊樹が、歴史を、絆を、夢を、そして作品を、“繋ぐ”。舞台『錆色のアーマ』 -繋ぐ- 開幕!

佐藤大樹&増田俊樹が、歴史を、絆を、夢を、そして作品を、“繋ぐ”。舞台『錆色のアーマ』 -繋ぐ- 開幕!

漫画、アニメ、ゲームなどを原作とした“2.5次元舞台”。その流れとは逆に、舞台版を皮切りにして、コミカライズやアニメなどのメディアミックス展開を図っていく“逆2.5次元”プロジェクトの起点となったのが、2017年に上演された舞台『錆色のアーマ』だ。
戦乱の世で天下統一を夢見た男たちの生き様を史実に基づいたオリジナルストーリーで描く舞台『錆色のアーマ』シリーズの新作『錆色のアーマ』 -繋ぐ- が、6月6日(木)に東京・天王洲 銀河劇場で開幕した。
初日公演前には、前作に引き続きW主演を務める佐藤大樹(EXILE / FANTASTICS from EXILE TRIBE)、増田俊樹、演出・上演台本を手がけた元吉庸泰が登壇した初日会見が行われ、本作への意気込みを語った。その後行われたゲネプロを、会見のコメントを交えながらレポートする。

取材・文 / 松浦靖恵 撮影 / 畠中彩


気持ちや心や人生を“繋ぐ”

“逆2.5次元”プロジェクトの重要な起点となった舞台『錆色のアーマ』(2017)は、戦乱の世を舞台に、“アーマ”と呼称する個性的な武器を携えた最強の傭兵集団・雑賀衆(さいかしゅう)の頭である孫一(まごいち)〈佐藤大樹〉と、天下統一を企む織田信長〈増田俊樹〉の関わりを軸にした物語だった。そして、家臣の明智光秀が謀反を起こして信長を襲撃したと言われている“本能寺の変”へと集結していく物語のエンディングに『錆色のアーマ』というオリジナルストーリーのその後を大いに期待させてくれた舞台だった。

今回、2年ぶりとなる舞台『錆色のアーマ』 -繋ぐ- では、織田信長と孫一を頭とする雑賀衆たちが炎によって分断された“あの日”の本能寺から、新しい物語が動き始める──。
燃え盛る炎の中で、瀕死の重傷を負った織田信長の前に、妖しげなる影が現れたのは、よからぬ出来事の前触れなのだろうか。

増田俊樹が演じる織田信長は、前回から2年という月日が経っていても、まるで時空を一気に飛び越えてしまったかのように、観る者を一気に『錆色のアーマ』の世界へと引き込んでしまう。彼は圧倒的な存在感を持った織田信長をつくり上げたと言っていいだろう。

増田俊樹「今回は前作の続きから始まります。(自分が演じる)織田信長が孫一と出会って、変わらなかった信念が揺らぎに揺らいだその後を描くわけですから、孫一やほかの出演者とのからみというところでも、気持ちや心や人生を“繋ぐ”という意味も含まれていると思いますので、殺陣のシーンも、彼らはなぜ戦うのか、なぜいがみ合うのか、なぜ人は手を取り合うのか、というところも注目していただきたいです」

一方、孫一が率いる最強の傭兵集団・雑賀衆の面々は、本能寺から帰還したあと、それぞれの思いを持って自分の故郷を目指すことになる。雑賀衆チームは、前回に引き続き同じキャストが務めていることもあるが、それぞれが演じる役の個性を新作の中でより輝かせていた。

異国の血を引き、青い目を持つ孫一を演じる佐藤大樹は会見で「堂々と舞台に立てるようになりました」「雑賀衆の頭という自分の居場所がひとつ新たにできたので、居心地もとてもいいです。まわりのキャストにも本当に支えてもらっているので、孫一としての立ち位置や見え方は2年前と変わったんじゃないかと思っています」と言っていた。おそらく、孫一を演じるのは自分しかいないんだという自信を持つことで、自分がつくり上げる孫一をより感情豊かに表現でき、孫一は情が熱く、仲間思いで誰からも愛される雑賀衆の頭なのだと、確信を持って演じられたのだと思う。

佐藤大樹「今回は雑賀衆それぞれのバックボーンだったり、今、何を目的にこの場に立っているのかだったり、この人とこの人が対峙したときにどのような思いになるのかだったり。それぞれがイチから自分の役を考え直して、どうつくり上げていくのかを考え続けた1ヵ月間の稽古でした。ひとりひとりの生の人間に注目していただきたいです」

普段は天真爛漫な笑顔を見せる孫一だが、亡き姉のことを心の中でずっと思い続けていること。槍にもなる長尺のアーマ「鳳凰落とし」を扱う鶴首(つるくび)〈荒木健太朗〉とアクロバティックに小型の二丁拳銃の「烏天狗封じ」を使う蛍火(ほたるび)〈永田崇人〉のふたりが、まるで親子のように慕い合い、固く結ばれた絆で繋がり合っていること。また、短刀のアーマ「朱雀惑い」を使う妖艶な美少年・アゲハ〈神里優希〉が殺された双子の姉への思いを抱き続けていることなど、彼らのバックボーンが次々と明らかになっていく。

さらに、自分の身体にアーマを仕込んでいる黒氷(くろひょう)〈平田裕一郎〉や、大筒のアーマ「玄武砕き」をぶっ放す怪力の持ち主・木偶(でく)〈章平〉の抱える心模様なども繊細に描かれ、雑賀衆を演じる役者ひとりひとりが自分の中で役を育み、成長させてきた姿を舞台上にしっかりと体現していることに『錆色のアーマ』という作品のシリーズ感への期待を大いに膨らませることができる。

雑賀の里を含む紀州惣国を仕切る八咫烏(やたがらす)の筆頭・藤白(ふじしろ)を演じた石渡真修は、藤白が紀州惣国の平和を繋ぐためには何が必要なのか、そのためには誰と組めばいいのかを、つねに考えている冷静沈着な人間として捉えながらも、実は柔軟な考えも兼ね備えている男だということを、立ち振る舞いの変化や台詞まわしの中でその両面を見事に表現していた。石渡もそうだが、新キャストの参加は新たなキャラクターと孫一たちとの新しい関係性から派生する物語を生み出しており、これこそがオリジナルストーリーの強みだとも思った。

それにしても、新キャストたちが演じた役はどれもが強烈なキャラクターだった。
信長亡きあと、信長の地盤を継ぐ羽柴秀吉が天下取りへの道筋を作るため手を組んだ、闇で暗躍する陰陽師・賀茂在昌(かもありまさ)を演じる丘山晴己は、”サイコパスな陰陽師”という摩訶不思議なキャラクターを怪しくもきりっとした立ち姿や優雅で美しい身のこなしのなかに、在昌の孤独や傲慢さといったものも増幅させ見せていた。この賀茂の独特な話し方や声色は観劇後も耳に残る印象的なものなので、観劇される方はそこも味わって欲しい。

そして、在昌によって封印を説かれた伝説の兄弟鬼の兄・酒呑童子(しゅてんどうじ)〈田中しげ美〉と対の妖剣「十握剣(とつかのつるぎ)を操る弟の茨木童子(いばらきどうじ)〈佐藤永典〉は、兄弟ではあるけれど、性格や考え方や体型の違いなどの対比がアクセントになり、ふたりのやりとりには笑いが起こる場面も。

さらに、秀吉の養子・羽柴秀勝〈玉城裕規〉は、幼い頃から病弱なため、実の親のように育ててくれた秀吉の期待に沿うことができず、上手に生きられないもどかしさ、複雑な感情と葛藤に縛られた人生を送っている。今の時代に生きる私たちにも重なり合う感情を、玉城は時に切なく、時に激しく表現していた。だからこそ、生まれも育ちもまったく異なる秀勝と孫一が、少しずつ距離を縮めていく様を描いたシーンには心が和らいだ。

『錆色のアーマ』の見どころのひとつでもある殺陣も、それぞれがよりパワーアップした姿を見せていた。舞台のあちこちで繰り広げられる激しいバトルや演者たちが縦横無尽に舞台を走り回る姿は、どこに視点を置いていいのかわからなくなるほどスピード感があった。
心情と重なり合う歌やダンスなど、エンターテインメントな演出を盛り込みながらも、繊細で、物語性の高い本作。前作から引き続き演出を手がけている元吉庸泰も、この“逆2.5次元”プロジェクトの可能性を広げるうえで、前作とはまた違う、新たな演出に挑んでいる。

元吉庸泰「まだ見ぬ地平というか、誰も見たことがないものをつくろうという思いから始まった前作がどこまで伸びていくのかというのを、キャストと共に稽古場で「どうなるんだろう」「どう繋がるんだろう」と考え抜いた稽古期間でした。演出面では前作とまったく拵(こしら)えを変えており、前作を観た方が驚かれるんじゃないかって思うところがたくさんある作品になっています。演劇としてそれが良い演劇として走っていける形になったと信じております」

登場人物たちの過去があらわになるにつれ、互いの関係性が深く掘り下げられていく。そこで役者がどれだけ自分が演じる役に対して人間味を出せるか、どれだけ自分を投影していけるか。『錆色のアーマ』の面白さの一因は、役者のみならず、観る者にも“もし自分がこの時代に生まれていたら、どんな思いで、誰を信じて生きていたのか”を問いかけているからだろう。

果たして『錆色のアーマ』 -繋ぐ- が、どんな結末を持ち、その結末がまたどんな新しい物語へと繋がれていくのか。これからの展開も大いに楽しみになる。今作が、令和という新しい時代の始まりに上演されたというのも、何か大きな意味があるように思える。

自分が原作なので、そこは誰にも譲りたくない

さらに、会見では『錆色のアーマ』のアニメ化が発表となり、声優を舞台版と同じく孫一 役を佐藤大樹、織田信長 役を増田俊樹が務めることに。

佐藤大樹「僕は声優をやったことがないので、未知の世界とはまさにこのことで。ただ、自分が原作なので、そこは誰にも譲りたくないと思っています。アニメ化は舞台が始まったときからひとつの目標として置いていたことなので、叶うことができて嬉しいです」

増田俊樹「メディアは変わりますけれど、僕ら芝居をする人間としては、やることは変わらないと思っています。大樹もマイク前で演技をするということで、景色は変わるとは思うけど、舞台でやったこと、心の動きはまったく変えずにやっていけばいい。僕も大樹の背中をしっかり見て、突き進んでいくのは変わらないわけだから、アニメも大成功する!という気持ちでいっぱいです」

舞台『錆色のアーマ』に登場するキャラクターたちが、アニメという場所でより大きく羽ばたいていくことが楽しみでしょうがない。また、この舞台『錆色のアーマ』 -繋ぐ- のために書き下ろされ、 “繋ぐ”をテーマにした「Tie and Tie」(FANTASTICS)も、とても心に残る楽曲になることだろう。キャストの想い、カンパニーの想い、観客の想い、そのすべてが繋がり、拡大していく『錆色のアーマ』から今後も目が離せない。

佐藤大樹「 “逆2.5次元”という世界初のプロジェクトとして駆け出したこの作品は、自分たちが原作になるので、稽古段階から役者と演出の元吉さんの全員でたくさん話し合ってきました。初演のときに「必ず次もやりたいね」と全員で話していたので、2年越しに叶って本当に嬉しいですし、きっと待ってくださっていた方もたくさんいらっしゃると思います。何より新キャストのみなさんが個性豊かで、豪華で、稽古場で見ていても全員の芝居が本当に面白くて、ひとりひとりに魅了されてばかりでした。いろんな要素が詰まった新作公演、ぜひ楽しみにしていただきたいです」

増田俊樹「2年ぶりということで、前作を超える勢いのある作品をつくりたいという強い意志が伝わってくる作品になっています。前回は信長と孫一の関係性を描いていましたが、今回は孫一がずっと走り続けているような……僕も出ていないシーンのときに“頑張れ、大樹!”、“後ろを振り向かずに前を向いて走れば大丈夫!”と思いながら臨んだ稽古期間でした。その結果、本当に素晴らしい初日を迎えられたと自負しております。最高の作品に仕上がっていますので、ぜひたくさんの方に『錆色のアーマ』を知っていただきたいと思っています」

舞台『錆色のアーマ』 -繋ぐ-

東京公演:2019年6月6日(木)~6月16日(日)天王洲 銀河劇場
愛知公演:2019年6月22日(土)~6月23日(日)岡崎市民会館 あおいホール
大阪公演:2019年6月27日(木)~6月30日(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

STORY
そこは、あの時。あの場所。
本能寺、織田信長と雑賀衆たちが炎に分断された直後。
炎の中、ひとり佇む信長の元に、妖しげなる影が現れる。
そこから繋がり始める、新たなる錆色の物語。
本能寺より帰還した最強の傭兵集団、雑賀衆の孫一たち。
そこへ雑賀の里を含む紀州惣国を取り仕切る男、藤白が孫一に呼び出しをかける。
それは紀州惣国の恒久の平和を繋ぐためであった。
一方で天魔王・織田信長の死は瞬く間に広がり、戦国の世は新たな局面を迎える。
信長の地盤を継ぐ羽柴秀吉の裏には、この世の理を喰らい尽くさんとする陰陽師、賀茂在昌の姿があった。
在昌に唆され、秀吉は最愛の息子秀勝の命を繋ぐため、アーマを、孫一を手に入れようとする。
そして全てを奪われた信長は、薄れていく意識の中で、孫一の青い瞳の記憶を辿る。
孫一を中心に全てが繋がっていく、真実の歴史の物語。

原案:『錆色のアーマ』プロジェクト
脚本:高殿 円
演出・上演台本:元吉庸泰
音楽:田口囁一
振付:當間里美

出演:
孫 一 役:佐藤大樹(EXILE / FANTASTICS from EXILE TRIBE)
織田信長 役:増田俊樹

鶴首 役:荒木健太朗
蛍火 役:永田崇人
黒永 役:平田裕一郎
木偶 役:章平
アゲハ 役:神里優希

茨木童子 役:佐藤永典
藤白 役:石渡真修
酒呑童子 役:田中しげ美

賀茂在昌 役:丘山晴己

羽柴秀勝 役:玉城裕規

今井 稜
大沼優記
西田健二
橋本有一郎
服部 悠
冬川耕佑
宮垣祐也
若宮 亮

主催:東京・大阪公演:ネルケプランニング
愛知公演:岡崎市民会館 指定管理者 一般社団法人 岡崎パブリックサービス

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@rusted_armors)

『錆色のアーマ』メディアミックスプロジェクト第3弾 アニメ化決定!

舞台に続き、孫一 役:佐藤大樹(EXILE / FANTASTICS from EXILE TRIBE)、織田信長 役:増田俊樹が、同キャラクターの声優を務める。

詳細はこちら

『錆色のアーマ』 -繋ぐ- 公演DVD発売決定!

発売日:2019年12月中旬(予定)