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可愛いのにハードストーリー『ハコボーイ!&ハコガール!』謎めくパズルの魅力

可愛いのにハードストーリー『ハコボーイ!&ハコガール!』謎めくパズルの魅力

体からハコを出すことができるキューブ型の男の子、“キュービィ”たちを操って、さまざまな仕掛けを解きながらステージを進むアクションパズルゲーム『ハコボーイ!』シリーズ。2015年に発売さると、テンポよく進められ、しっかり作り込まれた内容が人気を呼びました。そして2019年4月、本稿で紹介するシリーズ4作目『ハコボーイ!&ハコガール!』がダウンロード専用ソフトとして登場。シリーズ最多となる270ステージ、新たな仕掛け、新たなキュービィたちの能力が追加されたことに加え、今回はなんとシリーズ初のふたりプレイができるようになりました。これを聞きつけた筆者が「7歳の我が娘と一緒にプレイしたら楽しそうだな……」と思っていたところ、ゲームニュースで『ハコボーイ!&ハコガール!』のトピックスを見つけた娘が、私よりも先に「お母さん! わたし、気になってるゲームがあるんだ。めっちゃくちゃ絵がカワイイんだよ」と興奮ぎみにやってきました。カラフルで描き込まれた絵が並ぶトピックスのなかで、『ハコボーイ!&ハコガール!』のシンプルな画面はパッと目を引いたようです。「お母さんもプレイしたかったの。気が合うね~!」というわけで、さっそく一緒に始めてみたいと思います! 説明のまえに、独特のアクションと質感を紹介映像で把握してくださいね。

文 / 内藤ハサミ


ハコ技やアクションを駆使してゴールを目指す

本作のゲームモードは、“ひとり旅編”、“ふたり旅編”のふたつがはじめから解放されていて、ひとり旅編をクリアすると、長方形キャラクターのキューディでプレイする“たてなが編”が解放されます。まずは基本となる、ひとり旅編を紹介していきましょう。

▲キュービィたちの年齢は人間の自分からは想像もできませんでしたが、青年だったんですね。人間だったら20歳くらいでしょうか? ちなみに、ふた回りほど小さい、おそらく子どもだと思われるハコもNPCとして出てきます

体からハコを出すことができるハコボーイのキュービィ、リボンを着けたハコガールのキューシィのどちらかを使って、ステージの仕掛けを解きながらゴールのドアを目指すのが基本の目的です。キュービィとキューシィの性能はどちらも全く変わらず、見た目が違うだけ。キャラクターはワールドマップでいつでも切り替え可能ですが、ステージ攻略中に変更することはできません。

▲ハコの特性を活かしてゴールまでたどり着く!

▲リボンが可愛らしいハコガールのキューシィ。シリーズに登場していたキューシィをプレイヤーキャラクターとして使えるようになったのは嬉しい要素です

▲ひとり旅編は違ったギミックの特徴を持った16のワールドがあり、ひとつのワールドは6から8のステージで構成されています

攻略のポイントとなるハコは、ステージごとに決められた数を繋げて出すことができます。下のスクリ-ンショットを見てください。画面右上に表示された数字が、そのステージで一度に出せる最大のハコ数となります。この場合は、最大4つのハコを繋げて出せるということですね。出したハコを投げたり落としたり、持ち運んでどこかに引っ掛けたりして出来た足場を利用しながら段差を越えていくのですが、同時に2セット以上のハコを出すことはできず、再びハコを出そうとすると、前回出したハコは消えてしまいます。また、ハコは押して動かすことはできても、引っ張ることはできません。ですから、出すハコの形や置く位置を計算しなければなりません。

▲2マスぶんの穴に2マスのハコを置いてしまうと当然落ちてしまうので、こうしてずらすことで向こう岸に渡るための適切な段差を作ることができるのです。物理法則を無視した感じがちょっと気持ちいいですね

キュービィたちはステージを進めていくごとに、攻略に役立つ“ハコ技”という特技を覚えていきます。ハコを進行方向に投げたり、出したハコにつかまりながらジャンプで進んだり……。本作で初めて登場するハコ技もいくつかあり、これらを活用することでさらに効率の良い攻略方法を編み出すことができます。

▲ハコを足場の上部に引っ掛け、上にスルスルと上がることができるハコ技“ハコフック”は、多用する技のひとつです

ステージをクリアするだけなら、難度は易しい部類に入ると思います。また、1ステージのボリュームも少なく、無駄なくスムーズに操作すれば数秒でクリアできるステージも多いですね。ある程度パズルゲームをプレイした覚えがあれば、ひとり旅編は5時間もかからずすべてのステージをクリアできてしまうでしょう。しかし本作には、直接のクリアには関係ないやり込み要素として、ステージに点在する“王冠”をゲットしてクリアする“王冠ミッション”と、使ったハコ数を少なく抑えることでメダルが貰えるという“ハコ数ミッション”があります。これらをコンプリートしようとすれば話は別です。ハコ数ミッションは各ステージ3つあり、それぞれに設定されたハコ数以下でクリアするのがメダルゲットの条件。特にワールド後半は、王冠を全部取りながら少ないハコ数でクリアするということが難しくなってきますが、ここがこのゲームの最も頭を使うところであり、面白いところなのです。先ほど説明したとおり、ハコをずらして置くことで出すハコ数を節約したり、ハコを使わずにジャンプできるギリギリの距離を果敢に攻めたり、別の場所に置いたハコを使い回したりという方法を考えるのが、こんなに燃えることだとは。“出しかけのハコは引っ込めることができ、しかもそれは出したハコ数にカウントされない”という性質を利用すれば、ステージによってはハコ数ゼロでのクリアも可能です。つまり、“ハコの性質をどう活かすか”が、ステージクリア、2種類のミッションクリアにとって非常に大事な要素となるのです。次の項で紹介するふたりプレイでは、おそらく使うハコ数をもっとダイナミックに削減できるでしょう。現在は子供と楽しむことを優先したプレイなのであまり厳密に動くことができませんが、ストイックな『ハコボーイ』プレイヤーといつか究極のハコ節約プレイをしてみたいものです。

▲すべてのステージをミッションコンプリートするには、アクション要素とパズル要素の両方が必要となります

筆者はもうクリアをしてしまったので、今は何度も同じステージをプレイし、ハコ数ミッションの規定数よりも少ないハコ数でクリアを狙う最も難しいプレイにハマっています。ハコの出しかたや自キャラの動かしかたを失敗してしまっても、LボタンとRボタン同時押しで失敗の直前からすぐにやり直しができる“クイックリトライ”があるのでやり直しの待ち時間はありません。繰り返しのプレイが億劫にならないポイントのひとつですね。基本的には失敗をしながら攻略方法を編み出していくゲームなので、やり直しにかかるストレスがゼロというのは非常に大事なことだと思います。ちなみに、穴に落ちるなどでキュービィが倒れて失敗となってしまっても自動的にクイックリトライの状態になり、直前からすぐにやり直すことができます。

▲たてなが編の主人公、キューディ

ひとり旅編をクリアすると、体がキュービィやキューシィ2体ぶんの長さであるキューディを主人公にした、たてなが編が解放されます。今までの攻略法に長方形をしたキューディの体を活かした戦略が加わることで、新鮮なプレイを楽しむことができるでしょう。キュービィたちよりも高いところにある王冠に届きやすい、逆に体が大きすぎて通りにくいなど長方形の体の特徴が強調されるので、そこを考慮して今までとは違った進みかたをする必要が出てくるのです。使用キャラの形が違うだけで、さらなる面白さが加わるんですね。

協力プレイでゴールを目指す新要素

さてさて、本作初の試みであるふたりプレイのふたり旅編を7歳の娘と遊んでみました。ふたり旅編にも丁寧なチュートリアルが用意されているので、娘もそこを見ながら問題なく「カワイイ~!」と嬉しそうにキューシィを動かしています。操作は単純明快ですし、ステージを追うごとに段階的に難しさが増していくので、子供でも問題なくルールを受け入れることができているようです。

▲このステージでは、お互いに出せるハコ数は2個まで。この制約でクリアを目指します

▲キュービィとキューシィが分かれて始まるステージ。下の王冠を取りつつ、娘が操作するキューシィをゴールの扉まで導くにはどうしたらいいでしょう……

▲「ハコをつなげて下に落とせばいいよね」と娘は横に並べた3個のハコを下に落とし、王冠を取りました

▲「あれっ、ここからどうやって上に行けばいいのかな?」 今度はお母さんこと筆者の出番。階段状に繋げたハコを娘が置いたハコの上に少しずらして乗せ、登れるようにしました。カンペキな連係プレイです!

「わたしたち、なかなかやるね!」と言いながら娘とハイタッチ。親子のコミュニケーションとしてもいいゲームですね。そのあともどんどん難しくなっていくステージをふたりで知恵を絞りつつプレイし続けたのですが、投げだしたくなるほど難しくなく、だからと言って簡単すぎることもないという絶妙な難易度で、諦めることなく続けることができました。ふたり旅編は、キャラクターを切り替えてひとりで遊ぶこともできます。しかし、同時にキャラクターを動かすことができないので、タイミングを合わせてギミックを動かすなどの技は使えず、やや攻略法が限定されるでしょう。

可愛いキャラとハードなストーリーの魅力

ステージの前後に挿入されるムービーは無声映画のようにセリフは一切ありませんが、どうやらキュービィたちの住処である星に大きい隕石が接近しており、すでに細かな石が飛来してきている状態だということがゲームを進めるとわかってきます。キュービィたちはそれを解決するため、苦難の道を突き進んでいるようなのです。

▲飛来物を避け、助け合い寄り添うハコたち。ここでは太陽がまださんさんと照っていますが……

▲ステージが進むごとに、どんどん不思議な雰囲気になっていきます。ここがどこなのかは、ぜひゲーム中で確認を!

具体的なことは説明されませんし、その隕石が自然によるものなのか、何らかの陰謀によるものなのかも含めて「こうだ」と断定することはできないものの、本作には可愛らしい絵柄からは想像もできないストーリーが存在することは確か。これは筆者が大好きな、“考察の余地がたくさんある”というヤツですね! そもそもこのハードな世界設定は、シリーズ1作目である『ハコボーイ!』から同じで、エンディングを迎えた筆者は「こういう終わりかたは想像もできなかった!」と衝撃を受けたことを思い出しました。まさか、ずっとプレイヤーと共にあったキュービィが、あんなことになってしまうなんて……。衝撃の結末はぜひぜひ『ハコボーイ!』をプレイしてご確認を。それにしても、おそらく同じ世界での話であろう前作までと今作のストーリーは直接繋がっていないように感じるのですが、起こったことやその結末も含め、まったく無関係だとはとてもいいがたいんですよね。これはメタ的な視点での考察が必要になるのでは……。「そもそも、前作までのキュービィと今作のキュービィは同じハコなのか?」という疑問を筆者はずっと持っているのですが……ブツブツ……。はっ、自分の世界に入ってしまい、大変失礼しました。でも、この謎に満ちたストーリーが気になりませんか? 今作は3つのモードそれぞれ別のエンディングを楽しむことができますから、ぜひ最後まで物語を見届けて、あなたなりのストーリー考察をしてみてください。

ところで……今まで紹介したキュービィたちのスクリーンショット、たびたび衣装が違っていることに気づいたでしょうか? これは、ステージクリアの際に貰えるメダルを使って、ゲーム内ショップで引けるガチャガチャの景品コスチュームなのです。ゲットしたコスチュームはショップ内の試着室で着脱でき、そのままプレイを進めることができます。

▲ガチャといっても、ダブリ一切なしの親切設計!

▲頭、目、口、体のパーツをそれぞれ付けることができます。もはやハコというよりもUFO紳士に……

前作では衣装に固有の能力が付与されていましたが、今作は衣装が変わることによって能力の変化は一切ありません。ぜひ好きな衣装を自由に組み合わせ、気分を変えて楽しみましょう。組み合わせかたによってはかなり笑える見た目になったり、元の面影がまるで残らなかったり……。一緒にプレイをした娘は、可愛いキュービィたちをカスタムできる楽しさにハマって、この試着室でだいぶ時間を費やしていました。

シンプルで静かな画面に込められた熱量に圧倒される『ハコボーイ!&ハコガール!』。アクション性とパズル性が独特のバランスで成り立っていて、ほかにはない魅力があるゲームです。1ステージがかなり短いので気軽にプレイを始められますし、時間がない人にもゲームの時間が決められているキッズたちにも向いた作りです。ライト感覚で始められますが、用意された270ステージは手ごたえ抜群で、このボリュームからするとダウンロード料金の1200円(税込)は正直言って安すぎるくらいだと筆者は感じています。ひとたびプレイすれば奥深い面白さにハマること間違いなし。未体験であればぜひおすすめしたい一作です。

フォトギャラリー

■タイトル:ハコボーイ!&ハコガール!
■メーカー:任天堂
■対応ハード:Nintendo Switch™
■ジャンル:パズルアクション
■対象年齢:全年齢
■発売日:発売中(2019年4月26日)
■価格:ダウンロード版 1,111円+税


『ハコボーイ!&ハコガール!』オフィシャルサイト

© 2019 HAL Laboratory, Inc./Nintendo