LIVE SHUTTLE  vol. 350

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岡崎体育が「夢叶えにきました!」と、さいたまスーパーアリーナでワンマンライヴ。“この場所で生きた爪痕”を18,000人に熱く刻む

岡崎体育が「夢叶えにきました!」と、さいたまスーパーアリーナでワンマンライヴ。“この場所で生きた爪痕”を18,000人に熱く刻む

さいたまスーパーアリーナを埋める、18,000人のオーディエンス。3年前、「Explain」の口パクパフォーマンスで彼がイロモノ的に世に出てきたとき、<いつかはさいたまスーパーアリーナで口パクやってやるんだ 絶対>の歌詞を誰が本気にしただろうか? 7年前から夢見続けていたさいたまスーパーアリーナの大きなステージに、ひとり立つ岡崎体育。大きな夢を叶えた男の姿はたくましく勇ましく、そのステージは最高に美しくバカバカしかった。

取材・文 / フジジュン


大きなステージにひとり立ち、“夢は叶う!”を体現する男の姿はたくましく勇ましかった

大きなステージを覆う白い幕に映る、岡崎体育のシルエット。レーザーの光が彼の身体に“BASIN TECHNO”の文字を描き、1曲目「Open」で夢の舞台の幕が開くと、「岡崎体育です、よろしく! 夢叶えにきました!」の第一声に会場が大きく湧く。客席を埋め尽くすフリフライト(光の色をコントロールできるペンライト)のブルーの光がダンスビートに身体を揺らすオーディエンスの動きに合わせて、大きく波打つ海のように見える。

岡崎体育 ライブレポート

「R.S.P」では「一緒に踊ってみませんか?」と煽り、突き上げるビートで踊るオーディエンスがさいたまスーパーアリーナをゆさゆさと揺らす。「ちょっと、踊りすぎ! さいたまスーパーアリーナ、揺れてるから!」と笑顔を見せる岡崎。じゃんけんで勝った人だけ踊れるというお約束の展開でさらに盛り上げると、「ここからとても楽しい2時間をお約束します!」と力強く宣言。

MCでは、事前に公言していた“3つの面白いこと”の答え合わせとして「①花道が異常に狭い ②センターステージの飾りが花でなくエノキ ③会場スタッフに藤木直人が紛れている」の3つを上げて笑わせ、サプライズでスタッフ姿の藤木直人が登場すると大きな歓声が上がる。

岡崎体育 ライブレポート

さらに火柱が上がるド派手な演出で魅せた「感情のピクセル」、攻撃的なラップで<さいたまが俺を呼んでいるんだ>とまくし立てた「からだ」、“心の綺麗な人だけが聴こえる周波数”で歌唱したため、僕には無音に聴こえた新曲「Naked King」と続き、山盛りの演出で一秒たりとも飽きさせることのないステージ。

岡崎体育 ライブレポート

友達であるペンギンの“てっくん”と歌った「FRIENDS」では、“てっくん”の言葉を借りて7年の想いを語り、<バンドざまーみろ!>と歌い続けてきたバンドとの確執(?)の終結を宣言。1stアルバムのタイトルであり、自身を象徴する言葉である「BASIN TECHNO」を銘打ち、岡崎体育の覚悟と誇りを賭けたこの日のライヴ。これまでの集大成かつ最新型のパフォーマンス、そしてアリーナならでは演出に、前半戦を観るだけで尋常でない意気込みを感じた。

岡崎体育 ライブレポート

幕間映像のネタフリを受けて、ステージ上方からフライングで登場した第2部では、「今からそっちに行くよ!」とオーディエンスに告げると、「Voice of Heart」を歌いながら狭い花道を渡ってセンターステージへ。360度を囲まれる状況で2番の歌詞を忘れ、リフターで高く上げられるも何も歌えず、晒し者になるという演出から、友達の“てっくん”が再び登場。“てっくん”がメジャーデビューしたことを報告し、イメージとはまったく異なる大人の恋愛を歌ったデビュー曲「フェイクファー」を披露。ちなみにこの日、会場限定販売でCDリリースされたこの曲は、この日のオリコンデイリーチャートで1位を獲得。そこまで含めて岡崎の策略どおりの展開なのだから、観てるほうは楽しくて仕方ない!……と、やりたい放題だった第2部。

岡崎体育 ライブレポート

後半はメインステージに戻って、ライヴ初披露の「スペツナズ」、さいたまスーパーアリーナ公演を発表した夜に書いた「龍」を鍵盤の弾き語りで披露。たっぷり気持ちを込めた歌声を聴かせ、ミュージシャンとしての真面目でシリアスな側面を見せると、当時はほとんど客もいなかった初ライヴの1曲目に披露したという「Okazaki Hyper Gymnastic」で、バカバカしくちょっぴり感慨深く締め括った。

岡崎体育 ライブレポート

幕間映像の「なにをやってもあかんわ」MVから始まった第3部は、ヘルメット姿でスクーターに乗ってステージに登場。「京都府宇治市からやって来ました、岡崎体育です!」と改めて自己紹介すると、ヘルメットをかぶったまま「Stamp」をパフォーマンスし、「ここから最後まで駆け抜けます! 今からみんなの近くに行くからね、原付あるし」と再びスクーターにまたがってステージを後にする。しばらくすると、アリーナ席の通路にピカピカと電飾が施された、派手やかなトロッコに乗った岡崎が再登場! トロッコの上で手を振りながら歌っている聞き覚えのない曲は「トロッコにのって」と名付けた、この日に向けて作った新曲。曲中、手拍子や合唱を煽るも、この曲を初めて聴くオーディエンスは合わせることができずに苦笑い。「みんなが知ってる曲でトロッコやれや!」と自分にツッコむ岡崎だったが、トロッコ後半はモニターに映る映像を本人が解説する「オーディオコメンタリー」が流れ、曲さえ流れないという始末。「ワ~ッ!」と大きな声を出したいのに出させてもらえないオーディエンスのもどかしさを残したまま、再びメインステージに戻っていく。アリーナ会場ならではと言えばそうだが、こんな大掛かりな悪ふざけは見たことない!(笑)

若い子から親子連れ、年配の方まで、とにかく幅広い層のオーディエンスが集まっていたこの日、子供たちを大喜びさせたのはTVアニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』のテーマソングである「ポーズ」~「キミの冒険」のメドレー。「Voice of Heart 2」でもうひとりの自分に茶化されながら「みんな、愛してるよ」とキザな台詞を決めると、「何度も言ってるけど、これしか言えないです。ありがとうございました」と感謝の言葉を伝え、「XXL」で自身のスタンスやアイデンティティを改めて表明。

いよいよ迎えた本編ラストは、最新アルバム『SAITAMA』のラストでもある「The Abyss」。会場を包み込む壮大なトラックに乗せて、美しくエンディングを飾ったこの曲で、<この場所で起きた出来事 この場所で生きた爪痕>、<誰かの記憶の奈落に潜むように ここに立つ 僕はここに居た>と、この瞬間、この風景を思い浮かべて書いたであろう歌詞を確認するように丁寧に歌う。「ラスト、一緒に踊りたいです!」と始まったEDMパートでは、18,000人が身体を揺らし、笑顔が溢れる会場は多幸感に包まれた。

岡崎体育 ライブレポート

アンコールでは、インディーズ時代のまだ何者でもなかった頃の気持ちを真正直に歌った「鴨川等間隔」と、この日のために歌わず温存してきたという「エクレア」を披露。<想像上のステージと 想像上のオーディエンス やれるとこまでやろう>と歌うこの曲に当時を思い出すように、そして想像を現実とした現在の喜びを噛みしめるように、気持ちいっぱいに歌う岡崎。夢を夢で終わらせないために戦い続け、すべてが報われたこの夜。大きなステージにひとり立ち、“夢は叶う!”を体現する男の姿は本当にたくましく勇ましかった。

さらにダブルアンコールで、「この場をもって、この歌を歌うのは最後となります」と宣言して始まったのは、岡崎体育の代表曲のひとつと言える「Explain」。ライヴやフェスでは人気と話題を集めながら、まだ一般層まで届いていなかった約3年前。音楽番組の口パクパフォーマンスで、その名を世に広めるキッカケとなった曲。<いつかはさいたまスーパーアリーナで口パクやってやるんだ 絶対>の歌詞どおり、さいたまスーパーアリーナでの口パクを現実のものとし、夢の大舞台をフィニッシュ! 18,000人の拍手と大歓声に包まれてのエンディングは、“岡崎体育 第一章”の終幕にふさわしい感動的な光景だった。

岡崎体育 ライブレポート

終演後、次なる目標として、2020年2月にエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)でワンマン公演を行うことを発表。「大阪府立体育会館で、岡崎体育がやらなくて誰がやんねん!」と意欲を語った岡崎。再びトロッコに乗り込み、ゆっくりと会場を周りながらオーディエンスに手を振り、感謝と喜びを伝えて、彼の夢の舞台であるさいたまスーパーアリーナ公演が終演した。大きな夢を叶えたからこそ見えるであろう、次の夢に向かって歩み始める岡崎体育の新章に大きな期待を抱きつつ、誰も真似できないやり方で大きな夢を叶えた岡崎体育に心から敬意を表したい。

JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート「BASIN TECHNO」@さいたまスーパーアリーナ 2019年6月9日(日)

SET LIST

【第1部】
M01. Overture
M02. Open
M03. R.S.P
M04. 感情のピクセル
M05. からだ
M06. Naked King ※初披露
M07. FRIENDS
M08. Horoscope
【第2部】幕間映像①岡崎体育とバーチャル食事デート体験
M09. 今宵よい酔い ※初披露
M10. MUSIC VIDEO (short version)
M11. Voice of Heart
M12. フェイクファー ※初披露
M13. スペツナズ ※初披露
M14. 龍
M15. Okazki Hyper Gymnastic
【第3部】幕間映像②「なにをやってもあかんわ」MV
M16. Stamp
M17. トロッコにのって ※初披露
M18. オーディオコメンタリー ※初披露
M19. ポーズ~キミの冒険 (medley)
M20. Voice of Heart 2
M21. XXL
M22. The Abyss
<ENCORE 1>
M23. 鴨川等間隔
M24. エクレア ※初披露
<ENCORE 2>
M25. Explain

岡崎体育(おかざきたいいく)

京都在住の男性ソロプロジェクト。2016年4月に公開した“ミュージックビデオあるある”を題材にした「MUSIC VIDEO」のMVが大きな話題を呼び、同年5月発売のメジャーデビューアルバム『BASIN TECHNO』は、オリコンウィークリーチャート初登場9位、iTunesのJ-POPチャートで最高1位を獲得。その「MUSIC VIDEO」は「第20回文化庁メディア芸術祭」エンターテインメント部門新人賞を受賞。また2017年6月発表の2ndアルバム『XXL』ではオリコンウィークリーチャート2位を記録。2018年4月にはデビュー以前より手がけてきたタイアップ曲や提供曲などをコンパイルした企画アルバム『OT WORKS』をリリース。数々の大型フェスティバルやイベントにも精力的に出演。2019年1月に3rdアルバム『SAITAMA』を発表後、6月9日(日)に自身が夢と公言してきた“さいたまスーパーアリーナ”でのワンマンコンサートJINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート「BASIN TECHNO」を開催した。

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