Interview

石田 隼&横井翔二郎&小松準弥が、理解を深め世界を広げる。舞台『デルフィニア戦記〜獅子王と妃将軍〜』いよいよ開幕

石田 隼&横井翔二郎&小松準弥が、理解を深め世界を広げる。舞台『デルフィニア戦記〜獅子王と妃将軍〜』いよいよ開幕

舞台『デルフィニア戦記〜獅子王と妃将軍〜』が、6月19日(水)より東京ドームシティ シアターG ロッソにて上演される。
シリーズ累計335万部を突破し、第1巻の刊行から25年が過ぎた今でも新作が発表される作家・茅田砂胡の代表作「デルフィニア戦記」。2017年1月に児玉明子の演出・脚本により「放浪の戦士」が舞台化され評判となり、昨年12月には第2弾「動乱の序章」が上演、こちらも大ヒット。早くも続編を望む声が上がっていた。
主演は前作から引き続き、松崎祐介(ふぉ〜ゆ〜)がデルフィニアの国王・ウォル 役を、佃井皆美が王妃・リィ 役を演じる。さらに、人気キャラクターであるシェラ 役を林 翔太(ジャニーズJr.)が続投し、壮大な冒険ファンタジーを圧倒的なスケールで甦らせる。
そこで、こちらも前作から出演している、ナシアス 役の石田 隼、イヴン 役の横井翔二郎、ヴァンツァー 役の小松準弥に話を聞いた。稽古場での苦労、役づくり、役者としての新しい発見まで、仲良し3人組の鋭い省察ありのやりとりをご堪能ください。

取材・文 / 竹下力


舞台上にVRのようにリアルな“デルフィニア”の世界が立ち上がっていた

まず、前作の『デルフィニア戦記〜動乱の序章〜』を振り返ると、いかがでしたか。

石田 隼 稽古のときに演出・脚本の児玉明子さんから「言葉の一文字一文字を大事にして欲しい」と言われ、台詞の立ち方を重要視して演じていました。すると、それが『デルフィニア戦記』の世界に見事にマッチして。しかも言葉だけでなく、舞台装置も原作の世界観を緻密に表現していて、妖艶で美しい舞台になったと思います。

横井翔二郎 (石田)隼が言ったように台詞に関しては、僕はこの仕事を続けてきて初めて台詞一行でダメ出しをもらったし、句読点にたどり着くまでに何度もダメ出しをもらい続けたほどで。ただ、それが僕の経験にとっては新鮮でしたし、児玉さんのおっしゃることに対して挑み続けたら、結果として作品の一部にきちんとなっていて感情が高ぶりました。この台詞にはこんなバックボーンがあるということを、児玉さんと座長の松崎さんと一緒に綿密につくっていったので、まさに“演劇”をしているという意識が芽生えました。そのおかげで、人間の血の通った舞台になりましたし、お客様にも喜んでいただいたので、楽しかったですね。

小松準弥 前作に入るときに原作を読ませていただいて、途方もない分量の原作をどうやって2時間の舞台にまとめていくのかと思っていましたが、児玉さんはもちろん、スタッフの皆さん方の力で、完璧に『デルフィニア戦記』の世界が表現されていて感動しましたし、そこに飛び込んでいく先輩方の背中を見て大いに学ばせていただきながらヴァンツァーとして生きることができて嬉しかったです。彼は心に思っていることをあまり表に出さないタイプなので、どうやって感情を動かしていこうかと試行錯誤をしていたのですが、稽古をしていくうちに、頑張って心を表に出そうとしなくても、役として自然に成立させることができるんだってことを肌で感じさせてもらえて。林くん(林 翔太)が演じるシェラと対峙するシーンの面白さや、ファロット一族が持つ危うさをお客様にも感じてもらえたと思うし、そのおかげで、ヴァンツァーが存在する意味を、原作を読んでなかったお客様にも理解していただけたんじゃないかと思います。

ナシアス 役:石田 隼

原作も含め、『デルフィニア戦記』がここまで愛されるのはどうしてだと思いますか。

小松 まず、人物が緻密に描かれています。心の動きも突然レベルアップするように変化するわけではなく、いろいろな事件が積み重なって少しずつ変わっていく様子が丁寧に表現されています。そんな原作のおかげで、登場人物たちのそれまでに何があったのか、そこからどう変わっていくのかをしっかり汲み取ったうえで役に挑むことができたと思います。

石田 公演中は時間が経つのをあまり感じなくて、それすらも忘れて一瞬一瞬を生きていたような気がしますよね。“デルフィニア”という世界には、時間という概念が存在していないような感覚になりました。

横井 隼がそんな感覚を覚えたのは、原作がシリアスとユーモアのメリハリがついているからだと思います。“デルフィニア”の日常生活に人間の濃密なドラマが描かれ、そこに“恋バナ”が展開されるようなほのぼのするシーンや笑いもあるから、まったく非現実的ではなくて、実際にその世界に生きているような気持ちになる。活字で書かれた原作でこれほど頭の中に勝手に世界が広がった経験は初めてで。ひとりでにイメージが湧いて、登場人物たちが会話をしている様子が浮かんでくる。思わず泣いてしまうシーンもありました。

石田 舞台が素晴らしかったのも児玉さんがこだわった言葉の選び方が大きいと思います。原作の言葉の大切さを掴んでいたから、舞台の情景も実在しているような感じになったのかもしれないね。

横井 そうだと思う。見たことのない世界のはずなのに、舞台上にVRのようにリアルな“デルフィニア”の世界が立ち上がっていたよね。

小松 舞台も原作もファンタジーの要素がありながら、しっかりと人間ドラマが描かれているのが魅力のひとつだと思います。

児玉さんが使う言葉が『デルフィニア戦記』の世界には大切

では、前作から引き続き演じることになる、石田さんのナシアス、横井さんのイヴン、小松さんのヴァンツァーの役どころを教えてください。

石田 ナシアスはデルフィニア国のラモナ騎士団の団長で、親友で激情家のバルロ(伊阪達也)とは正反対の性格。冷静な部分があるけれど、ヴァンツァーの冷酷なところと似ていて、バルロよりも非情になるときがあります。お菓子で例えると、焼き菓子のフォンダンショコラみたいな(笑)。

横井 原作ファンに怒られるかもよ(笑)。僕の演じるイヴンはタウという山脈の山賊の副頭目で、国王ウォルの良き理解者ですが、基本的に一匹狼です。それは生まれも育ちも関係しているせいですが、とても頭が切れるので、わざと楽天家に見えるように振る舞ったり、腹の中で何を考えているのかわからない男です。

小松 ヴァンツァーはファロット一族の暗殺者で艶やかな容姿を持つ腕利きの青年です。でも彼は死ぬべきときになぜか死ぬことができず、孤独と闇を抱えていて。そこで同じ境遇のなか、死を選ばなかったもうひとりの暗殺者シェラと出会い、ヴァンツァーは自分が死ねなかった理由をシェラを通して見出せるかもしれないという可能性を感じ、彼に執着し続けるんです。

イヴン 役:横井翔二郎

みなさん前作と同じ役になりますが、心境の変化はありますか。

石田 変わったかどうかはわからないのですが、あえて変えようとはしていないです。それ以上に、前作を経験しているからこそわかったナシアスを、児玉さんたちと意見交換しながら共有できるようになりました。

横井 去年に比べたら格段に準備できている気がします。

小松 僕も稽古に入って、児玉さんが表現したい方向性が理解できるようになったのかなって嬉しい気持ちになりました。求められていることができているかどうかは別として、この作品ではどういうふうに解釈し、表現すればいいのかわかるようになりました。ブラッシュアップできたらいいですね。

今作にあたって児玉さんに言われたことはありますか。

横井 基本的にすべてのシーンにダメ出しをいただきます。ただ、去年と何が違うかといえば、「僕らのお芝居はこういうイメージですか?」と確認したときにそれが間違っていないことが多くなって、自然とキャッチボールができるようになったこと。イヴンの向き合い方として正しい方向に一歩踏み出せている。ですから、これからはその次の一歩、また次の一歩を大事にしていきたいです。正直言うと、去年は台詞に関してはかなり絶望することが何回かあって(笑)。

石田 僕も絶望しました(笑)。脚本の読み合わせをしたときに、どの言葉が正解か見つからなかったことがありましたね。

小松 僕は迷走していました(笑)。

石田 (笑)。たとえば、ナシアスは「思慮深さを出して欲しい」と言われたら、「思慮深さとは何か?」というところからスタートするんです。だから辞書が手放せなかった。僕の思っている言葉の意味と児玉さんの思い描いている意味が違うと思って、すべての言葉を調べ尽くしました。それだけ児玉さんが使う言葉が『デルフィニア戦記』の世界には大切だということなのですが、今作ではそういった齟齬があまりないよね。

小松 うん。台詞をより大切にできるようになったよね。

ヴァンツァー 役:小松準弥

そんな言葉同士がせめぎ合う座組みで座長の松崎さんはどのようにまとめていたのでしょうか。

石田 良い意味で座長感はなくて、優しいお兄ちゃんみたいな感じです。

横井 そうだよね。無理に引っ張ろうとしなくて、座長らしくないところが良かったと思います。

小松 僕は松崎さんの明るくて飾らない感じが、一緒にいて嬉しいですね。ついて行きたくなるんです。

『デルフィニア戦記』らしい座組みに仕上がっているんですね。

石田 そうですね。児玉さんともコミュニケーションがうまくとれていて、キャスト同士の横の関係も良好で雰囲気がいいです。

小松 あと、ON・OFFの切り替えができるようになりました。

石田 うん。前作はずっとONの状態だったけれど、OFFの状態になれるようになった。

横井 「それでは稽古を始めます」となったら緊張できる場所になっているってことだよね。

石田 そう。緊張してお芝居ができる稽古場は大切だと思います。

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