Interview

「天国に肉球は置いてきた」その歌に涙する人続出!! 泣けると話題の猫アーティスト・むぎ(猫)って?

「天国に肉球は置いてきた」その歌に涙する人続出!! 泣けると話題の猫アーティスト・むぎ(猫)って?

おそらく世界初であろう猫ミュージシャン、むぎ(猫)をご存知だろうか。2009年に一度は天国へ旅立つも、その5年後、カイヌシであるゆうさくちゃん手作りのカラダに舞い戻ったハイブリッドなハチワレ猫だ。

もともとミュージシャンであるカイヌシからアドバイスを受けて始めた音楽活動が、次第に全国的な話題となり、あのフジロックフェスティバルをはじめ、数々の有名イベントに出演。今年3月にはアルバム「君に会いに」でメジャーデビューも果たした。

木琴を叩きながら歌う姿は無表情なのに(猫だから)とてもかわいく、普通の人間に比べてもやたらでかいけど(猫だから)とてもかわいく、だから行く先々で老若男女にめちゃめちゃかわいがられている時の人、いや時の猫。

取材中、流行りのタピオカを一気に吸い込めそうなぶっといストローをペットボトルにさして水分補給している姿は、確かにビミョーに猫っぽくないけど、それでもとにかくかわいいむぎにみんな夢中!

そんなむぎ(猫)の魅力をたっぷりお伝えすべく、6月20日から始まる初の全国ツアーを前に今回のインタビューとなった次第です。どうぞお楽しみください。

取材・文 / 斉藤ユカ 撮影 / 森崎純子


天国から戻ってすぐは、猫好きの人がたまに寄ってきてくれるぐらいで、ほとんどスルーでしたよ。

唐突ですがむぎちゃん、暑くないですか(取材当日は真夏日)。

暑いです。今までライブをやっても、暑くなかったことはないです。でも、むぎの天敵は無風なんです。去年は外のフェスで、気温は29度だったんですけど、天国帰りの身にはキツくて。ふたたび天国に行っちゃいそうでした(笑)。

むぎちゃんは天国から戻ってきたとき、何かをしようと思っていたんですか?

何かをしようとは思ってなかったし、カイヌシも何かをさせようとは思っていなかったみたいです。でも、天国から帰ってきてすぐに「街に繰り出そうぜ!」ってカイヌシが言ったので、お散歩によく出かけましたね。那覇の国際通りに行ったり、中部の方にも足をのばして美浜の街を歩いたりもしました。

いずれも有名な観光地ですよね。人が寄ってきませんでした?

それがそうでもないんです。みんな大きい猫を見慣れているのかわからないけど(笑)、猫好きの人がたまに寄ってきてくれるぐらいで、ほとんどスルーでしたよ。なんかいるな〜ぐらいの感じだったと思います。その頃はむぎも喋れなかったので、寄ってきてくれる人には文字を書いたりしてコミュニケーションを取っていました。

むぎ(猫) エンタメステーションインタビュー

いつから喋り始めたの?

ライブを始めた日です。お散歩して過ごしていたら、あるとき、猫のイベントに出ないかと誘われて。小さいカフェでのイベントだったんですけど、ただ突っ立ってるわけにもいかないからライブをやろうと思って、曲を作ったりしたんです。それでその日、はじめて人の前で喋ったんです。

カイヌシのゆうさくさんはミュージシャンなんでしょう?

そうです。ゆうさくちゃんはもともとバンドマンで、いろんな人のサポートをしたりもしてました。むぎがイベントに呼ばれることになって、いろいろ教えてもらいました。1回目のライブも、ゆうさくちゃんに教わったことを頑張ったら、みんな喜んでくれたんです。感動したとか、おもしろかったとか。そこからあちこちに呼ばれるようになったんです。

2017年にはあのフジロックフェスティバルにも出演!

本当に夢にも思っていなかったんですけど、出演できてうれしかったです。音楽をやり始めてからは、猫ミュージシャンとして責任を持ってみなさんに見て聴いていただけるものを作ろうと頑張ってきたので、それをおもしろいと思ってもらえた結果なんだなって。フジロックに出たときもうれしかったんですけど、そのあとの評価のほうがうれしかったかも。だって、ふだん音楽に慣れ親しんでいる人たちにも、むぎの歌を楽しんでもらえたってことがわかったから。

むぎは天国から帰ってきて、体質が変わっちゃったんです。

音楽は共同作業でつくっているんですよね。

むぎとゆうさくちゃん、お互いができることをやりあいます。むぎはギターを弾くと指の毛が弦にはさまってミュートしちゃうので、そういう苦手な部分はカイヌシがやってくれます。

むぎちゃんの担当は木琴ですが、おじょうずですね。叩いている姿もとってもかわいいです。

ありがとうございます。木琴はカイヌシがもっとも得意とする楽器なんです。猫が木琴を叩くっていうのが、むぎが作ろうとしているショーにぴったりだったので、たっぷり特訓してもらいました。カイヌシがメインでやってきたことがここに繋がっているんだなと思うと、むぎもうれしいです。

むぎ(猫) エンタメステーションインタビュー

今年3月にリリースされたメジャーデビューアルバム「君に会いに」もそうですが、むぎちゃんの音楽はシンプルだけど胸を打つメロディと言葉が特徴的で、時にホロリときちゃいます。

そう言ってもらえるとうれしいです。わかりやすいっていうのをとにかく目指して作っているんです。むぎもカイヌシも音楽を雰囲気で好きになることはよくあるんですけど、やっぱり歌詞がわかって気持ちに届いたときに、ぐっと心が動くんです。だから、音と言葉がすっと入っていく音楽、ステージを作りたいなと思っています。

むぎちゃんのライブはいつも大盛況です。お客さんの心が動いていることを感じますか?

実はそれがあまりわからないんです。ごめんね。ライブでは会場が暗いじゃないですか。むぎは天国から帰ってきて、体質が変わっちゃったんです。ふつう、猫は暗いところでも見えるんですけど、むぎはよく見えないんです。だから、みんなに声を出して欲しいなぁって。「むぎちゃーん」って呼んでくれたりとかすると、とってもうれしい。もちろん、腕組んで見てくれている人もうれしいですけどね。

じゃあ、ライブ会場ではみんなが声を上げてくれたら、むぎちゃんにより熱気が伝わるんですね!

そうです! 声を出していただけたら、むぎも盛り上がっちゃうなぁって。

おもしろい猫だったなって思ってもらえるライブにしたいですね。そういうライブをずっとやっていきたいな。

ちなみに、むぎちゃんがいつも斜めがけしているバッグには何が入っているの?

日によって入っているものが違うんですけど、ライブで使う小道具が入っています。まずはお友達のチュー太ちゃん。“君を見ているだけでよだれが出てくるんだ”っていう歌(「友達は食べちゃダメ」)に出てくるネズミくん、IKEA出身です(笑)。

むぎ(猫) エンタメステーションインタビュー

あとは、お客さんにプレゼントする小さなものたち。むぎの視界がよくないがゆえに、ライブではいろんなトラブルが起こるんです。例えばバチを落っことすとか、チュー太ちゃんが転がっちゃうとか。それを前列のお客さんが拾ってくれたりするんです。そのときのお礼としてあげるものが入ってたりします。

いつもはお風呂に浮かんでるアヒルちゃんの小さいやつにサインを書いたものを入れているんですけど、今日はそれを切らしてて、今は沖縄のピンバッヂが入ってます(笑)。あとは沖縄の空港でやったガチャガチャのカプセル。

でも、ボール状のものを見たら前足でちょいちょいしたくなるのが猫でしょう?

ちょいちょいしちゃいたくなるんですけど、これはみんなのやさしさへのお返しの品だからと思って、むぎは自制してます(笑)。

むぎちゃんのお手てがちょっと汚れているのは、おしごとを頑張っている証拠ですよね?

そうなんです。サインとか握手とかしてるうちに汚れちゃって。頻繁にお風呂はいれてもらってるんですけどね。

むぎ(猫) エンタメステーションインタビュー

むぎちゃんは天国に肉球を置いてきたそうですが、おひげもないんですね?

あらゆるものをそぎ落としています(笑)。

あと、むぎちゃんはニャーと言いません。

それはね、たとえばアニメとかで猫が「オナカすいたにゃん!」みたいに言うことがあるけど、本当はどんな猫もそうは言わないじゃないですか。むぎはこうして日本語を習得したので、ニャーは必要ないんです。だからみんなと普通におしゃべりできますよ。

6月20日の名古屋を皮切りに初の全国ツアーが開催されますが、歌もおしゃべりもたっぷり楽しめますね。

もちろんです! ツアーするのもはじめてだし、アルバムを引っさげて全国ツアーなんてもちろんはじめて。ミュージシャンっぽいなぁって(笑)。どういうお客さんが待っていて、どういうライブになるのか、楽しみですよね。まさに未知の「君に会いに」行くツアーなんです。はじめてむぎに出会う人が、おもしろい猫だったなって思ってもらえるライブにしたいですね。そういうライブをずっとやっていきたいな。

むぎちゃんのライブといえば、物販のグッズがかわいすぎて、いつも争奪戦!

ねー、かわいいですよね(笑)。今回のツアーも新しいグッズを用意しています。かわいいものいっぱいなので、楽しみにしていてください!

今起こっていることのほとんどが本当に予期しないことばかりだけど、それが楽しいなぁって。

なお、むぎちゃんは差し入れやプレゼントは遠慮されていて、どうしてもという方には現金をお願いして猫の保護施設に寄付しているとか。

カイヌシと相談して、そう決めました。手作りの小物や、今もカバンにつけてるバッヂとかはもらうんですよ。でも、食べ物の差し入れは遠慮してねって。全部食べきれないともったいないからね。

どうしてもという方にはそのやさしい気持ちを、むぎの仲間達を救うための保護活動に使わせてくださいってことなんです。今は猫だけじゃなくて、ワンちゃんの保護施設にも分配されるようになっています。小さいお友達がいっぱいいますから、みんなが好きなおやつとか、清潔なトイレを保つためのペットシーツとか、そういうものにお金を使ってもらいたいなぁと思っています。

むぎ(猫) エンタメステーションインタビュー

そんな話を聞くにつけ、ゆうさくさんの動物を愛する気持ちが伝わってくるから、むぎちゃんのかわいらしさも痛いほど感じるんだなぁって思います。

わぁ、そんな言葉をかけてもらったら、カイヌシが大喜びします。帰ったらヨシヨシしてあげます(笑)。

ゆうさくさんは、むぎちゃんを見送ったあと、新しい猫ちゃんを迎えなかったんですってね。

カイヌシはむぎに対する執着がすごくて、いわゆるペットロスの状態になっちゃったみたいなんです。普通だったら蘇ることのない命ですから、こうやって呼び戻してくれたことはうれしいですし、カイヌシの家族も喜んでくれているんです。というのは、一度天国に行ったむぎが、悲しい話題ではなく、明るい話題として家族の中で語られるからなんですよね。次のライブはいつなの? みたいなね。

でも、フジロックに出て、メジャーデビューまでしたむぎちゃんは、本当にカイヌシ孝行だと思います。

ビクターエンタテインメントからデビューできるのもすごくうれしかった。むぎは“ニッパーマイスター”っていう、会社のトレードマークの犬のニッパーくんのことや、音楽の楽しさを伝える役目をもらったんです。ニッパーくんは蓄音機に耳を傾けているけど、あれは亡くなったカイヌシさんの声を聞いているんですよ。そこもなんとなく、むぎと繋がるなぁって思って。でも、今起こっていることのほとんどが本当に予期しないことばかりだけど、それが楽しいなぁって。みんなかわいがってくれるしね。

だってかわいいもん(笑)。

ありがとうございます! こうやって取材を受けていても、かわいがってもらえるのでうれしいです(笑)。

むぎ(猫) エンタメステーションインタビュー

ツアー楽しみにしていますね。すべての猫の星だから、むぎちゃん、頑張ってね!

むぎがやることなすこと、猫界初! ってみんな言ってくれるから、それはうれしいことですね。でも逆に、人間界にとってもはじめてだから、人間界初でもあるんですよね。それで驚いたり喜んだりしてもらってるんだなって。せっかくこうして蘇ることができて、みんなライブの後に「やさしい気持ちになれた」って言ってくれたりもするから、これからも頑張りたいです。いろんな場面で、輝けるだけ輝きたいと思っています。

ライブ情報

むぎ(猫)

『むぎ(猫)TOUR~君に会いに~』

6月20日(木) 愛知・名古屋TOKUZO sold out
6月23日(日) 東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
7月06日(土) 広島・HIROSHIMA BACK BEAT
7月07日(日) 福岡・福岡ROOMS
7月10日(水) 宮城・仙台darwin
7月12日(金) 北海道・札幌クリエイティブスタジオ
7月20日(土) 京都・磔磔
7月21日(日) 大阪・Music Club JANUS
7月28日(日) 沖縄・桜坂劇場ホールA

ライブの詳細は、オフィシャルサイトをご確認ください!
https://www.mugithecat.com/live

むぎ(猫)

1997年7月東京生まれ。2002年沖縄に移り住み、2009年1月に永眠。5年間の天国暮らしの後、2014年3月にカイヌシのゆうさくちゃんによる手作りの新しい身体を手に入れ、再びこの世に舞い戻った。「天国帰りのネコ」として新しいニャン生(人生)を満喫し、ニンゲンの皆さんたちを楽しませるために歌い、踊り、楽器(主に木琴)を演奏する。2017年に念願のFUJI ROCK FESTIVALに「猫界初」となる出演を果たす。坂田明、DRAMATICS(勝井祐二、ササキヒデアキ)、七尾旅人などライブなどで共演した著名アーティストからも高い評価を得ている。本ニャン(本人)自慢の決めポーズは「あっちょ☆」である。

オフィシャルサイト
https://www.mugithecat.com/
オフィシャルTwitter
@mugithecat

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