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佐藤流司&仲 万美が一目惚れの恋を貫く。新感覚で楽しめるRock Opera『R&J』開幕レポート

佐藤流司&仲 万美が一目惚れの恋を貫く。新感覚で楽しめるRock Opera『R&J』開幕レポート

“悲劇”というには眩しくて、“ラブストーリー”とするには痛烈だ。
そんな力強い輝きに満ちた、Rock Opera『R&J』が開幕した。先鋭的な作品づくりで知られる脚本・演出の鈴木勝秀が、ウィリアム・シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』を新たな世界観で構築。ロミオを演じるのは、2.5次元ミュージカルにてカリスマ的人気を誇る佐藤流司。ジュリエットは、2015年にマドンナワールドツアーのバックダンサーを務めるなど、世界的に活躍する仲 万美。唯一無二のオーラを纏うふたりを中心に、ロレンス神父 役の陣内孝則、AKANE LIVやコング桑田が歌声を響かせ、藤田 玲、諸星翔希、田淵累生といった注目のキャストたちがロックに暴れ回る!
6月14日(金)の初日前日に行われたゲネプロと囲み取材の模様をレポートする。

取材・文・撮影 / 片桐ユウ


ふたりには“自ら決断していく強さ”が漲っている

舞台は14世紀のヴェローナではなく、AIがほとんどの労働を担い、人々が退屈している近未来。落書きだらけの鉄筋で組み上げられた、3階建ての無骨なセットがRock Opera『R&J』の世界観を表現している。

Rock Opera『R&J』 エンタメステーションレポート

若者たちは、社会に反発する“グルッパ(不良)”と、現体制を称賛して従う“ビアンカズーリ(警察)”に分かれて対立していた。
白い衣服に身を包んだ“ビアンカズーリ”に対して、“グルッパ”の青年たちはロックテイストの黒い服を着ており、冒頭で口上を述べていたダモン(オレノグラフィティ)とピノキオ(山岸門人)、そして音楽・大嶋吾郎が奏でるミュージックに乗って、さっそく抗争を繰り広げる。

Rock Opera『R&J』 エンタメステーションレポート

戯曲の『ロミオとジュリエット』やミュージカル『ロミオ&ジュリエット』、あるいは映画『ウエスト・サイド・ストーリー』と同様に、このオープニングシーンもまた、閉鎖的な社会に苛立ち、握りしめた拳で簡単には突き破れない壁を内側から叩く代わりに、その拳を互いに向け合っているような、若者たちの鬱積したエネルギーに満ちている。

Rock Opera『R&J』佐藤流司 エンタメステーションレポート

そこへ登場するのが“グルッパ”のリーダー・ロミオ(佐藤流司)なのだが、このロミオが一風変わっている。恋に焦がれたり、終わらぬ抗争に憂いている様子はまったくない。今までのロミオ像だと、中心を避けたがっているうちにいつの間にか真ん中へと押し出されてしまうイメージだが、Rock Opera『R&J』のロミオは華々しく、堂々とセンターへ躍り出てくる。
そして哺乳瓶に入れたドラッグ入りのミルクを握りしめたまま、もう片方の手でマイクを持って歌いまくるのだ。

Rock Opera『R&J』 エンタメステーションレポート

仲間たちとの会話の中で、ロミオは恋にも愛にも興味がなく、刹那的な人生観で生きていることが明らかになる。ただ面白い暇つぶしを求めて、死ぬまで生きるだけ。
そんなロミオだから、ロレンス神父(陣内孝則)から差し出された招待状も軽く受け取り、敵対しているはずの警察側のパーティーへもノリノリで赴く。

そして、そのパーティーで警察長官の娘・ジュリエット(仲 万美)と出会うのだ。

Rock Opera『R&J』仲 万美 エンタメステーションレポート

このジュリエットもまた、これまでのジュリエット像とはかけ離れている。まず登場シーンで世界レベルのダンスをキメられるジュリエットはそうそういない。
すこぶるキュートでクールなきらめきも発しながらジュリエットは歌い踊り、ダンスが終わると他人を顎で使いながら不機嫌に寝そべる。ジュリエットも恋や愛には興味がなく、そんなことは“ダサい”と切り捨てているタイプ。

Rock Opera『R&J』仲 万美 エンタメステーションレポート

だが、ひとりになったジュリエットのところへロミオが現れ、「一目惚れって信じる?」と問いかけるところから、一気に“ラブストーリー”が走り出す。

ふたりの出会いは“一目惚れ”という直感(インスピレーション)。

Rock Opera『R&J』 エンタメステーションレポート

その一点のみで突っ走っていくふたりだが、そこにあるのは“若さゆえの勢い”だけではない。このロミオとジュリエットは、社会の圧に従ったり、世間の言葉に迎合することを良しとしない。ふたりには“自ら決断していく強さ”が漲っているのだ。

Rock Opera『R&J』仲 万美 エンタメステーションレポート

だからジュリエットは、乳母であるヘレナ(AKANE LIV)の長話を「聞き飽きた」とバッサリ切り捨て、父親のキャピュレット(コング桑田)が進めようとする結婚話も直にキッパリ断る。
そしてロミオも、つるんでいた仲間たちとの友情の間で中途半端に揺らぐような真似はせず、“グルッパ”を抜けるための制裁を真正面から受け止める。

Rock Opera『R&J』佐藤流司 エンタメステーションレポート

そんなロミオ 役の佐藤流司と、ジュリエット 役の仲 万美の強さがひたすらに美しい。
ロミオとジュリエットの似た者同士感に、ふたりの確固たる個性がシンクロしており、役の性格にも役どころにもすべてピッタリとハマっている。ロミオの男気と愛らしさは佐藤流司ならではの色であるし、仲の初舞台とは思えぬキリッとした立ち振る舞いと説得力は本作のジュリエットそのものだ。

Rock Opera『R&J』 エンタメステーションレポート

恋に落ちたときのデュエットは微笑ましく、後半で絶望に襲われたあとはゾクリとするほどの気魄(きはく)を見せる。どんな壁にぶち当たっても衰えないばかりか、すべてを力に変えて輝きを増すふたりのファイティング・スピリットが、この物語の核だと感じた。

Rock Opera『R&J』佐藤流司 エンタメステーションレポート

ロミオとジュリエットは、ロックテイストというバイクに2ケツして、原作のレールをはずれ自由の道を飛ばしていこうとする。だが、その道自体を、ロレンス神父をはじめとする大人たちが不気味に囲っており、原作のルートへジワジワと導いていくような仕草をしてみせる。

Rock Opera『R&J』 エンタメステーションレポート

もしロミオとジュリエットの強さに周りが感化されていく物語だったなら、きっとこの世界軸の近未来は救われるのではないかとすら思うのだが、ロミオの仲間たちもジュリエットの身内も、一方向に定めたところからは逃れられない。そしてふたり以外の登場人物たちもまた、確信犯的に“意志を持って”何かに流されていくのである。

Rock Opera『R&J』 エンタメステーションレポート

しかし、それはただの“原作どおり”ではない。もともと、かの戯曲はミュージカルや映画でも、その時代と場所においての社会問題を映し出してみせるものではあったが、本作では設定を近未来にしたことで、現代社会への皮肉的なメッセージがより強固になった。
所々に漂う強烈な風刺のインパクト、そして“死”を飾り立てずに呆気ないほどの無機質さで描くところからも、“この作品を『ロミオとジュリエット』の枠には収めさせないぞ”という、強い意志を受け取ったように思う。

Rock Opera『R&J』 エンタメステーションレポート

Rock Opera『R&J』は、ロックの気骨とオペラの壮大さで、甘く切ない恋愛に風刺を込めてハードに仕上げた、新しい『ロミオとジュリエット』だ。

お客様以上に自分自身が楽しみ。皆さんとどっちが楽しめるか勝負

この後は、ゲネプロ前に開催された囲み取材のコメントを届ける。
会見に応じたのは、ロミオ 役の佐藤流司、ジュリエット 役の仲 万美、ロレンス神父 役の陣内孝則、そして脚本・演出を手がけた鈴木勝秀の4名。

Rock Opera『R&J』佐藤流司 仲 万美 陣内孝則 エンタメステーションレポート

佐藤流司は「通し稽古を15回やったので準備は万全。あとは本番を楽しむだけだと思っています」とコメント。
今作が初舞台となる仲 万美は「不安になるかと思いきや、劇場入りした際にものすごく興奮してしまいました!」と微笑んだ。

記者からの質問で「どのようなジュリエットか?」と聞かれたが「自分自身で言うのもあれですが、すごく可愛いんです!」と答え、隣りにいた佐藤が「本当に“自分で言うのはあれ”だね(笑)」とツッコミを入れて、会場が笑いに包まれる一幕も。
は改めて「性格の悪いワガママ娘が初めて人を好きになって、どんどん女の子になっていく姿がとても可愛いんです。私は私なりに演じられたらいいなと思っています」と、意気込みを語っていた。

陣内孝則は役どころについて「原作では、比較的作品の“良心”なキャラクターですが、今回はエキセントリックなロレンス神父をやらせていただいています」と明かし、「スズカツ(鈴木勝秀)さんの演出によって、自分自身の新たな一面が引き出されたような気がしています。きっと皆さんがビックリするような面白い作品になっていると思いますし、これを機に若い女性のハートをガッチリつかみたいと思っています!」と、笑いを誘った。

鈴木勝秀は「設定を近未来にするなど、好き勝手に変えさせていただいております。難しいことはいっさいないようにしました! 出てくるのは基本的には馬鹿者ばかり。でも最後にはかなりグッとくるようになっています」と物語について解説を入れる。
見どころとしては「ハートの強い役者たち」を挙げ、「こんなに強いハートを持っているやつらに負けちゃいけないなと、稽古場でも一生懸命に見る日々でした。いらしたお客様には、その熱いハートを受け止めていただきたいです」と断言。
さらに合わせて、自身が着ていたTシャツを示し「これはスタッフ用なのですが、もっと明るいトーンのカラーで、グッズにあります。そういったものも揃えてお待ちしています(笑)」とアピールした。

Rock Opera『R&J』 エンタメステーションレポート

最後は佐藤が締め括りのコメント。「演劇界の重鎮であるスズカツさんが舵をとり、世界的ダンサーの万美ちゃんがヒロイン、そして僕が役者を目指したキッカケのドラマに出演されていた陣内さんと共演。そのほかにもたくさん魅力的な役者さんが出演しています。お客様以上に自分自身が楽しみな今回の公演です。皆さんとどっちが楽しめるか勝負だと思っています!」と思い入れを明かしつつ、観客の期待を煽った。

東京公演は6月23日(日)まで日本青年館ホールにて上演。大阪公演は7月4日(木)~7日(日)森ノ宮ピロティホールにて上演される。 さらにDMM.com にて大千穐楽公演のライブ&ディレイ配信、TBSチャンネル2にてテレビ初独占放送、公演DVDの発売も決定している。

Rock Opera『R&J』

東京公演:2019年6月14日(金)~6月23日(日)日本青年館ホール
大阪公演:2019年7月4日(木)~7月7日(日)森ノ宮ピロティホール

Rock Opera『R&J』

原作:ウィリアム・シェイクスピア
脚本・演出:鈴木勝秀
音楽:大嶋吾郎

出演:
佐藤流司 仲 万美
藤田 玲 諸星翔希 田淵累生 オレノグラフィティ 山岸門人
平井琴望 寺山武志 冨田昌則
AKANE LIV コング桑田
陣内孝則

岩崎大輔 片山浩憲 小山銀次郎 野呂昂大 矢内康洋
武田莉奈 露詰茉悠 平野茜子 藤田笑美

主催:ネルケプランニング

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@rockopera_rj)

DMM.comにて大千秋楽公演のライブ&ディレイ配信

ライブ配信日時:2019年7月7日(日)18:00〜
販売期間:2019年6月23日(日)19:30〜7月7日(日)ライブ配信終了まで
ディレイ配信期間:2019年7月20日(土)18:00〜7月26日(金)23:59まで
詳細はこちら

TBSチャンネル2にてテレビ初独占放送

放送日時:2019年7月27日(土)20:00〜
詳細はこちら

DVD発売決定

発売日:2019年12月中旬予定