モリコメンド 一本釣り  vol. 123

Column

近藤利樹 現役中学生・12才のウクレレ奏者。今年のFUJI ROCKに史上最年少で出演

近藤利樹 現役中学生・12才のウクレレ奏者。今年のFUJI ROCKに史上最年少で出演

ハワイアン・ミュージックを象徴する楽器、ウクレレ。ポルトガルからの移民が持ち込んだブラギーニャを祖先に持つこの4弦の弦楽器は、ボディの小ささ、独特の軽やかな高音が特徴だ。牧歌的で穏やかな楽曲で使用されることが多いが、ヨーロッパからハワイに伝承されたことからもわかるように、様々な民族音楽の要素を感じさせる楽器でもある。ウクレレを弾くことで知られるミュージシャンとは、サーフ・カルチャーを代表するジャック・ジョンソンをはじめ、エディ・ヴェダー(パール・ジャム)、テイラー・スウィフトなどじつに様々。このことからも、ウクレレの持つ豊かな魅力がわかってもらえるだろう。

現在、もっとも有名なウクレレ奏者はおそらくジェイク・シマブクロだろう。ハワイ出身、日系5世のアメリカ人である彼は、ハワイアン、ブルース、ブルーグラス、フォーク、ジャズなどのエッセンスを吸収した音楽性、正確無比なテクニックと奥深い表現力を兼ね備えた演奏によって、世界中の音楽ファンを魅了した。筆者が初めて彼のステージを見たのは2007年のFUJI ROCKだったが、速弾きを交えた高揚感のある演奏は、ウクレレという楽器のイメージを気持ちよく変えてくれたと同時に、この楽器のさらなる可能性を感じさせるに十分だった。

そして現在、新しい才能を持ったウクレレ奏者が注目を集めている。2007年3月、大阪生まれ。現在中学1年生(!)の近藤利樹だ。

5才のときに家族でコストコに行ったときにウクレレを初めて見た彼は、なぜかこの楽器に強い興味を持ったという。両親に頼みこんで、ウクレレを買ってもらったのが7才のとき。ウクレレの教室に通い始まると同時にウクレレの練習にのめりこみ、その技術を磨いていった。

近藤利樹の名前が世に知られたのは、10才のとき。「コーヒー・ルンバ」をウクレレ1本でカバーした動画がYouTubeにアップされ、その凄まじいばかりの演奏テクニック(そして、あどけない笑顔の可愛さ)が国内外で注目を集めたのだ。10才当時の演奏はいまもYouTubeに残っているが、まさに百聞は一見に如かず。この映像を観てもらえれば、ウクレレ奏者としての彼の才能(と可愛さ)を実感してもらえるだろう。ベネズエラの国民的歌手ポジョ・ブリートが彼の演奏を絶賛したことも、ブレイクの大きなきっかけとなった。

その後、“天才ウクレレ少年”として数々のテレビに出演してきた彼は、2017年ソニーミュージックレーベルズと契約。2018年にはNHK Eテレ「ムジカ・ピッコリーノ」にレギュラーで出演し、ジェイク・シマブクロ——もちろん、近藤少年の憧れの存在だ——のプロデュース による「ソーラン節」、NHK「みんなのうた」で放送された「デッカイばあちゃん」などを収録した1stミニアルバム『UKULELE DAYS』をリリース。 ジェイク・シマブクロの大阪公演のオープニングアクトに出演したことも話題となった。

2019年3月に“小学校卒業記念”として制作されたミニアルバム『Let’s! ウクレレ—ション!!』では、「Around The World feat.MONKEY MAJIK」、「ハリハリハリネズミ feat.石丸幹二」で、MONKEY MAJIK、石丸幹二とコラボレーション。少しずつ活動の幅を広げてきた。さらに初のワンマンライブ“近藤利樹 First Tour 2019「小学校卒業記念ライブ」”を東京・Shibuya duo MUSIC EXCHANGEと大阪・Music Club JANUS)で開催。両公演ともソールドアウトを記録するなど、ライブの規模も確実に拡大している。

12才になった近藤利樹の最新作は、「VOLARE」のカバー。ルンバ、フラメンコ、ラテンなどをクロスオーバーさせたジプシー・キングスの名曲を彼は、解放感のあるウクレレ・サウンドで見事に表現している。夏の夕暮れの憂いを感じさせるようなイントロからスタート。飛び跳ねるようなパーカッションとともに、軽快にしてしなやかなメロディを描き出す。耳なじみのあるサビにはコーラスも加わり、心地よい解放感を演出している。超絶な速弾きや表情豊かなフレーズも織り込み、ウクレレ奏者としての魅力を存分に味わるナンバーに仕上がっている。様々なアーティストとの共演によって、彼の演奏センスはさらに向上しているようだ。

この夏には、FUJI ROCK FESTIVAL ’19への出演も決定(12才での出演は史上最年少)。最近はオリジナル曲の作曲、ボーカルなどにも取り組み始め、アーティストとしても成長著しい近藤利樹。奥深さと瑞々しさを同時に表現する彼のウクレレ・ミュージックはこれから、世界中の音楽ファンを魅了することになりそうだ。

文 / 森朋之

その他の近藤利樹の作品はこちらへ。

オフィシャルサイト
http://www.kondotoshiki.com

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