Interview

『進撃の巨人』と主題歌が“リンク”し続ける理由とは? Revo(Linked Horizon)が明かす、最新作「真実への進撃」への思いと覚悟

『進撃の巨人』と主題歌が“リンク”し続ける理由とは? Revo(Linked Horizon)が明かす、最新作「真実への進撃」への思いと覚悟

諫山 創による大人気漫画を原作とし、2013年にアニメ化された『進撃の巨人』。以降、2017年にSeason2、2018年にSeason3 Part.1が制作され、現在Season3 Part.2が放送されている本作、このすべてのクールと劇場版アニメの主題歌を担当(Season 3 Part.1のみEDテーマを担当)しているのが、Linked Horizonだ。幻想楽団Sound Horizonの主宰として人気を誇るRevoが他作品とのコラボレーションで音楽活動をする際のプロジェクトであるLinked Horizonは、その名の通り作品と「リンク」した楽曲を作り続けており、作品のファンからも多大な支持を得ている。

現在放送中のSeason3 Part.2のOPテーマ「憧憬と屍の道」を収録したシングル「真実への進撃」が2019年6月19日にリリース。カップリングには『進撃の巨人』にミカサ役で出演する石川由依がボーカルとして参加。アニメ『進撃の巨人』との「リンク」がさらに深くなった本作について、じっくり話を伺った。

取材・文 / 冨田明宏


僕の音楽活動の中に『進撃』があるというより、『進撃』の隙間を縫って僕の音楽活動がある、とも言える

「憧憬と屍の道」、素直に申し上げて最高です。

Revo ありがとうございます(笑)。

これまでに『進撃の巨人』と共に歩みを進めてきたLinked Horizon(以下LH)でなければ生み出すことの許されない、集大成的な1曲でもあって。

Revo この形にしたかったというエゴもありますが、もっとも相応しいと思えた形がこの「憧憬と屍の道」でしたね。とはいえ、ここまで直球で集大成感を出すというのは、ある種の覚悟が必要というか、横綱相撲的と言えるのかもしれないね。真正面からぶつかってそのまま押し切る、そんな『進撃』の主題歌になっていると思います。

これまでの主題歌と同じフレーズを出したり、メドレー的な構成にするのも、連続するシリーズ作品に携わり続けるからこそできる仕掛けなわけで、こういうことを僕たちにやらせてもらえることの幸せを改めて感じました。この「憧憬と屍の道」という曲は間違いなく僕たちにしか生み出せない曲です。この曲を聴くことで、ここまで繋がってきた道、「『進撃の巨人』とは何たるか」の一端を思い出してもらえると嬉しいです。

「あの日 人類は思い出した」で、まさに『進撃』の世界に帰ってくることができました。Revoさんの『進撃』への取り組みは、ライフワークに近いというか。

Revo すでにそうなっている気がしますね。気づけば、僕の音楽活動の中に『進撃』があるというより、『進撃』の隙間を縫って僕の音楽活動がある、とも言えるからね。

それはもはや、『進撃』に対する“責任”?

Revo 責任というほど重荷には感じてはいないけど、“使命”ではあるとは思っているかもね。「これはRevoがやらねばならない」という気持ちで1曲ずつ作り上げてきた、その“道”を振り返ると、すでに使命にはなっているような気はします。

とはいえ、ここまで集大成的な意味合いを含ませた主題歌を作ってしまったことで「この先どうする?」という怖さも実は感じてはいます。ただ、次のことを考えて今全力を出さないというのは横綱相撲ではないかな。

無気力相撲はしない、ということですね。やはりそれくらいの思いをこのSeason3 Part.2には込めたかった?

Revo そうですね。いうなれば「ここを目指してみんな屍を越えてきたんだ」と言えるようなSeasonなわけだから。もっと言えばこの先を越えてしまうと、誰もが想像していなかった未知の領域が広がっているわけで。

「憧憬と屍の道」において、エレンやアルミンたちの顔も浮かんできますが、やはりエルヴィンの存在が大きく感じられました。

Revo ただ、1人のキャラクターだけに絞ってしまうのもよくないだろうとは思ったんですよ。もっと言えば、主人公要素が薄くなってしまうのは良くないのではないかと。なので少し軌道修正をした結果、このような歌詞になりました。最初に構想した時はもっとエルヴィン要素が強い歌詞でしたね。

僕たちは『進撃』の世界よりも平和な世界に生きているけど、そんな僕たちだってそれぞれの現実にいろいろな問題があると思うし「夢や希望って何だろう?」と考える。僕もファンのみなさんから「新曲が楽しみで、それを希望に生きています」「今は辛いことがあるけど、あと一か月後にライブがあるから頑張って生きていけます」とか、そういうお手紙をもらうことがあります。

みんなにとっては僕の存在が希望であり、僕にとってはその言葉が希望や励みになる。Season3 Part.2のキャラクターたちが突き動かされている原動力には、間違いなくそんな夢や希望があって、今はそれを僕なりに言葉にしたいと思った……そんな感じです。『進撃の巨人』が最終回を迎え、すべての“憧憬と屍の道”を振り返ったときに、何か別の物語がそこに生まれているかもしれないね。

「憧憬と屍の道」はこれまでの主題歌と同様にすさまじい情報量が1曲の中に凝縮されています。制作はいかがでしたか?

Revo まずTVサイズを作ってからフルサイズに広げていったんです。イメージとしては、クライマックスまで一直線に駆け抜ける曲であること。これ以上の駆け抜け方をすると聴く人どころか、演奏するプレイヤーたちがついてこられなくなってしまうから、現状ではこれが限界かなと。

そのTVサイズが100メートル走の全力疾走なら、フルサイズはもう少し緩急や駆け引きのある長距離、いや中距離走くらいのイメージかな。そしてTVサイズはSeason3 Part.2の主題歌としてこの曲が流れた瞬間「『進撃』が帰ってきた!」と思ってもらいながら、この『進撃』がどのような物語だったかを思い出してもらいつつ駆け抜けるように物語へと想いを馳せてもらえるような曲を目指しました。

フルサイズを聴いて「ここまで言及するんだ」という驚きもありました。

Revo エレンたちが追い求めている真実の中にも“憧憬と屍”が存在しているんだよね。彼が生まれる前から物語ははじまっていて。あの世界はすでに憧憬と屍でできているともいえる。

エルヴィンとリヴァイの関係性というのは本当にすさまじいなと思います

改めてSeason3 Part.2の魅力を、Revoさんはどのように捉えていますか?

Revo 最初はすべてを奪っていった巨人に対して人類が戦いを挑んでいく物語だったわけですが、Season3 Part.1でその戦いの対象がどうやら人間になってしまった。しかしそこに一つ決着をつけた上で、Part.2ではもう一度巨人と相対する。でも以前の対巨人戦時とはすでに状況が変わってきていて、そこにはもっと複雑な思惑が絡み合ってくる。

それは「白夜」に顕著でしたが、味方である調査兵団の中にも対立する要素が存在していた。仲間ではあっても、守りたいものや憧憬は一人として同じものはない。Season3 Part.2はその価値観の対立のようなものが初めて分かりやすく表出していましたね。キャラクターたちの本当の意味での心の葛藤があって、改めて恐ろしい物語だと思いましたね。

Revoさんはエルヴィンをどのように捉えていますか?

Revo 諫山(創)さんが作り出したキャラクターではありますけど、改めてすごい男ですよ。エルヴィン団長が焦っている描写なんか見たことがなかった。地獄のような状況の中で常に冷静で的確な判断をくだしていたように思います。数々の登場人物たちが死んでいきましたが、エルヴィンの死はやはり重いと思います。

エルヴィンを生かさない選択をしたのはリヴァイ兵長ですが、その選択はエルヴィンに対する救いであり、その一方で別の誰かを地獄へと誘う行為でもある。彼はそのすべてを背負う覚悟を決めたのだと思います。この2人の関係性というのは本当にすさまじいなと思いますね。

アニメのOP映像をご覧になった感想はいかがでしたか?

Revo 曲に集大成的な意味を持たせると、おのずと映像も集大成的なものになるんだなって。曲と映像が同じ場所を目指して駆け抜けてきた記憶、そこにも道を感じました。

OP映像のメドレー部分、時間にすると数秒の間ですが、すさまじい情報量がぎゅうぎゅうに詰まっていて。もはやサブリミナルとでも言うべきレベルですが。

Revo 曲も同じような情報量だったから、相乗効果でとんでもないですよね。歌詞やメロディだけではなく、アレンジやバックのフレーズ、その瞬間に鳴っている認識できるかわからない楽器に至るまで、僕もすべてに意味を持たせていますから。

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