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松崎祐介(ふぉ〜ゆ〜)や林 翔太(ジャニーズJr.)らが“信念”を貫く。舞台『デルフィニア戦記〜獅子王と妃将軍〜』開幕

松崎祐介(ふぉ〜ゆ〜)や林 翔太(ジャニーズJr.)らが“信念”を貫く。舞台『デルフィニア戦記〜獅子王と妃将軍〜』開幕

東京ドームシティ シアターG ロッソにて上演中の舞台『デルフィニア戦記〜獅子王と妃将軍〜』。
作家・茅田砂胡の代表作「デルフィニア戦記」を、2017年1月に児玉明子の演出・脚本により「放浪の戦士」として舞台化、昨年12月には第2弾「動乱の序章」が上演され、どちらも大ヒットを記録した。その3作目にあたるのが、本作「獅子王と妃将軍」だ。
主演は前作から引き続き、デルフィニアの国王・ウォル 役を松崎祐介(ふぉ~ゆ~)、王妃・リィ 役を佃井皆美が演じる。さらに、シェラ 役を林 翔太(ジャニーズJr.)、ナシアス 役に石田 隼、イヴン 役に横井翔二郎、ヴァンツァー 役には小松準弥など、注目の若手俳優からベテランまでが揃う鉄壁の布陣。
壮大なスケールの物語を紡ぎ出す舞台『デルフィニア戦記〜獅子王と妃将軍〜』のゲネプロと囲み取材が行われた。

取材・文・撮影(囲み取材のみ)/ 竹下力


本当に隙のないプロットに、緻密な演出

“勝利の女神”。そんな言葉が生まれたのはいつのことだろう? 時代はつねに変わり続け、誰も同じままでいることはできない。まさに盛者必衰の理を表す。彼女に微笑んでもらった者が古来から時代を築き上げてきた。彼女が微笑めば、負け戦もたちまち勝利に変わる。そっぽを向かれればあっという間に負けだ。たった一瞬の機転のきいた判断が、気の迷いが、女神をどちらかに微笑ませる。女神は気まぐれだ。そんな女神にどうやったら微笑んでもらえるのだろう? リィ(佃井皆美)ならぶっきらぼうにこう言うかもしれない。「そんなことは自分で考えろ」と。

舞台は、不退転の男・ウォル(松崎祐介)と異世界から来た美少女・リィが結婚式をあげている最中、隣国のタンガの軍勢がデルフィニアになだれ込もうとし、彼らがそれを阻止するところから始まる。タンガのナジェック王子を捕虜にすることで一応の決着をみるが、隣国同士の諍いや謀略が止むことはなかった。デルフィニアの西側に位置しているパラスト、そして東側のタンガ、その両国に挟まれたデルフィニアに不気味な影が忍び寄る……。

前作のレポートでも“女性の強さ”と書いたけれど、今作でもその強さは輝きを放っていた。本作ではリィがその役割を担っており、彼女がこの舞台の肝になっている。いわば彼女が“勝利の女神”になって、動乱の時代や戦局を動かし続けるのだ。たったひとりの女性の行動が、言葉が、世界を動かし続ける。原作でも感じたけれど、自立した女性が確固たる“信念”を持ちながらイキイキと躍動しているのは爽快だった。

演出・脚本の児玉明子は原作を読み込み、そこから女性の芯の強さを、リィの立ち姿やアクションでしっかりと見せていた。今作に関するインタビューで石田 隼が作品に対して「児玉さんがこだわった言葉の選び方が大きい」と言っていたけれど、研鑽の重ねられた脚本にある言葉が立体化することで、とても力強い舞台に仕上がっていたと思う。本当に隙のないプロットに、緻密な演出だ。本作の特徴のひとつでもある、歌舞伎的な見得も舞台を彩り、殺陣は迫力満点で、演出家と殺陣師、さらにはすべてのスタッフ、キャストが手を携えあってつくり上げた、その成果を肌で感じさせる。舞台をスクリーンに見立て映像を映し、様々なシーンをダイナミックに見せる手法も、シアターG ロッソという天井が高い舞台の特徴を掴んで存分に活かされていたと思う。

佃井皆美はシリーズを経て、おてんばだった女の子が幾多の困難を経て、徐々に母性を獲得し、母なる強さを感じさせる女性へとリィを成長させていた。彼女はアクションが魅力の女優でもあり、殺陣での身のこなしも軽快で感動的だったけれど、ウォルと友情を交わし、ナイーブなシェラ(林 翔太)を勇気づけ、他の男性たちをを鼓舞する姿も板についていたのが印象的だった。「お前のことはお前で決めて、あとは信じるだけだ」と彼女に正々堂々と言われたら、素直にひれ伏して生きることを決意する。リィはまさに本作における母親だった。

そんなリィに勇気づけられながら生きるウォルを演じる松崎祐介は、何者にも負けない力強い佇まいを身体中から滲ませ、まさに国王然としていて、とにかくかっこよかったし、縦横無尽の殺陣も見どころ。リィを“同盟者”として対等に見て受け入れている度量の広さも、その堂々とした芝居から垣間見えるが、 “勝利の女神”に微笑んでほしいという健気な振舞いには、心の底では“母親”を求めているとも感じさせる。今作において言えば、ウォルは男性の象徴でもあると思う。それでいて、どんなにピンチに陥っても揺るがない“信念”を持つことの大切さ、誰かのために行動する勇気の意味を教えてくれた。

ふたりに、女性の姿に変装してリィの侍女となっているシェラが絡んでくると、男性原理というものをつくづく考えさせられる。男性が本質的に持っている甘えん坊具合というか、「自分の決断に自信が持てない。勇気がなくて行動ができない。いつだって誰かの指示を待っている」といった煮え切らなさを。ただ、それがリィや仲間によって、少年から大人に成長していく過程にカタルシスがあった。そんなどこにでもいるやるせない少年性を持ったシェラを演じる林 翔太(ジャニーズJr.)は、前作もそうだけれど、身のこなしは美しく、立ち姿もより中性的になっていて、艶やかな“女形”の風合いを出していた。

彼に対峙するファロット一族のヴァンツァー 役の小松準弥も、細身で長身の体躯を活かした演技が素晴らしかった。こちらは男性的で、シェラとはあくまで正反対の佇まいを見せる。不気味な存在で、心の奥に何をしまっているのかわからない。ただ、己の行動のみを肯定し、ゼロか100、生か死、二者択一のどちらかの世界で生きている一匹狼だ。本作はキャラクターたちの内面がストレートに吐露されるところも醍醐味であるのに、黙して語らずの風情を貫き、舞台を彩る小松の姿に“役者魂”を見た。

アクションとは対極の、物語のストーリーテリングを巧みに操っていたのが、横井翔二郎演じるイヴンだろう。彼が登場するだけで何か事件が起こる。その結果、ウォルを中心に対応に追われる。そして、リィの登場によってさらに物語に拍車がかかるという具合に、彼が物語の起点となることで、ストーリーが円を描いて展開していく。今作でのキーパーソンはリィであると同時に、彼でもあると言えるかもしれない。そもそも言葉が重要な作品の中で横井の台詞量は今作においてかなり多かったが、彼は今作のエンジンとして、舞台の屋台骨となって『デルフィニア戦記』の面白さを支えていた。

ナシアス 役の石田 隼は思わず「頑張れ」と応援したくなるような切ない演技を見せていた。今作では立場上いろいろな要素に絡め取られて悩みが多い役どころだが、何があろうとウォルを信じるという一点において、彼の台詞や所作からは“信念”の意味を肌で感じることができたし、“信念”という言葉に生きる男を、静かにそれでいて胸に秘めた覚悟さえ感じさせる熱い芝居をしていた。

20人を超すキャストが舞台を所狭しと動きながら、原作に宿る言霊を伝えていたことに感心する。彼らを支えるスタッフワークも見どころだ。なにより、舞台から伝わるメッセージが力強く、我々を勇気づけてくれる。人は運で生きているわけではない。でも、その運がなければ、成功も、失敗もあり得ないかもしれない。そのためには、ちょっとした思いやりを抱いて誰かのために行動してみる。そうすれば、いつか“勝利の女神”が現れるはずだ。「そんなに難しいことではないよ」とリィなら優しく言ってくれるだろう。「誰だって出会うことができるチャンスがあるんだ」と。どんなにつらいときも、どんなに楽しいときも、真剣に己を信じ、仲間を信じ、恋人を愛し、他者を慮る。そして前を向いて生きる。そんな大切さを訴えてくる真摯な舞台だった。

集大成と言っても過言ではないぐらい、見応えのある作品

このゲネプロの前に囲み取材があり、松崎祐介(ふぉ~ゆ~)、佃井皆美、林 翔太(ジャニーズJr.)が登壇した。

まず、前作から約半年のスピードで第3弾が上演されることについて、松崎祐介は「とにかく感無量です。前作が初めての単独初主演でしたが、今作も国王ですから緊張しないようにしたいと思います」と意気込んだ。

林 翔太はシェラの役どころを聞かれ「上からの命令で動いていた女の子に扮したシェラが、自分の意志で行動して成長していく姿を見て欲しいです。実は女子力向上のために、人生で初めてネイルをしにネイルサロンに行きました」と取材陣を笑わせた。

今作の見どころを聞かれた佃井皆美は「前作以上に『デルフィニア戦記』の良さがギュッと詰まっています。ウォルが囚われの身になりますが、みんなが彼を助けようとする場面で、それぞれの役の心境が表れます。私が演じるリィも、思いっきり気持ちを吐き出すシーンがあるので、注目してください。今作で3作目ですが、集大成と言っても過言ではないぐらい、見応えのある作品になっています」と語った。

最後に松崎が「一日一日を大事にしながら、『デルフィニア戦記』という世界をひとりでも多くの方に知ってもらえるように、カンパニー一丸となって頑張りますので、応援よろしくお願いします」と囲み取材を締め括った。

公演は東京ドームシティ シアターG ロッソにて6月23日(日)まで上演される。

本作についての石田 隼&横井翔二郎&小松準弥インタビューはこちら

石田 隼&横井翔二郎&小松準弥が、理解を深め世界を広げる。舞台『デルフィニア戦記〜獅子王と妃将軍〜』いよいよ開幕

石田 隼&横井翔二郎&小松準弥が、理解を深め世界を広げる。舞台『デルフィニア戦記〜獅子王と妃将軍〜』いよいよ開幕

2019.06.17

舞台『デルフィニア戦記~獅子王と妃将軍~』

2019年6月19日(水)~6月23日(日)東京ドームシティ シアターG ロッソ

原作:茅田砂胡(C★NOVELS/中公文庫)
演出・脚本:児玉明子

出演:
ウォル 役:松崎祐介(ふぉ~ゆ~)
リィ 役:佃井皆美
シェラ 役:林 翔太(ジャニーズJr.)

バルロ 役:伊阪達也
ナシアス 役:石田 隼
イヴン 役:横井翔二郎
ジル 役:星 智也
ボーシェンク 役:すがおゆうじ
ブルクス 役:大原康裕
ヴァンツァー 役:小松準弥
オーロン 役:高橋克明

レティシア 役:湯浅雅恭
グラハム 役:五味良介
ビスチェス 役:大澤信児

声の出演:
ファロット伯爵役:速水 奨
ルゥ役:深町寿成

ほか

企画・製作:舞台「デルフィニア戦記」製作委員会2019
企画協力:茅田砂胡プロジェクト

オフィシャルサイト

©茅田砂胡(C★NOVELS/中公文庫)・舞台「デルフィニア戦記」製作委員会2019