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有澤樟太郎が舞台初主演。和田琢磨、北村 諒、赤澤 燈らも出演の“言葉”をテーマにしたTXT vol.1『SLANG』開幕

有澤樟太郎が舞台初主演。和田琢磨、北村 諒、赤澤 燈らも出演の“言葉”をテーマにしたTXT vol.1『SLANG』開幕

すべての人に向けて“言葉”の力を問う舞台。
TXT vol.1『SLANG』が6月20日(木)よみうり大手町ホールにて開幕した。高橋悠也×東映 シアタープロジェクト“TXT”の第1弾企画。注目の若手俳優・有澤樟太郎が舞台初主演、井上小百合(乃木坂46)がヒロインを務めるほか、和田琢磨、北村 諒、赤澤 燈、岩永徹也、谷口賢志といった魅力的なキャスト陣が集結した。
各登壇者のセンスと表現力が溢れ出た囲み取材のコメントと、ゲネプロの模様をレポートする。

取材・文・撮影 / 片桐ユウ


作品の大きなテーマである“言葉”というものが皆様に届けばいい

囲み取材には、作・演出の高橋悠也、キャストの有澤樟太郎、井上小百合(乃木坂46)、和田琢磨、北村 諒、赤澤 燈、岩永徹也、谷口賢志の8名が登壇した。

TXT vol.1『SLANG』 エンタメステーションレポート

本作が舞台初主演となる有澤樟太郎は「稽古場では強力なスタッフ陣、そして素晴らしいキャストの皆さんとイチからつくるつもりでやってきました。その熱意と、この作品の大きなテーマである“言葉”というものが皆様に届けばいいなと思っています。稽古場でもがいた痕跡を舞台の上で思いきりぶつけたいなと思います!」と意気込み。

井上小百合(乃木坂46)は「この作品はとても“言葉”を大事にしている作品です。最後には“言葉”でぶつかるシーンもありますし、私は作中の『言葉で人を殺すことができる』という言葉がとても印象的なので、ご覧になる方にも印象に残る“言葉”があったらいいなと思います」と、あらためて本作のテーマを語る。
そして「SNSが多様化しているこの時代に、この作品をやる意味がすごくあると思っています。若い子たちにたくさん観て欲しいです。そして“言葉”を通して、たくさん拡散していただければ幸いです」と呼びかけた。

TXT vol.1『SLANG』 エンタメステーションレポート

和田琢磨は「“TXT”の“vol.1”ということで、いろんなところで挑戦している舞台です。千穐楽まで『SLANG』という舞台を成長させていって、より多くの方にこの世界観を知っていただけるように頑張りたいと思います」とコメント。

北村 諒は「作・演出の高橋悠也さん含め、このメンバーで、新しくオリジナルでイチからモノをつくるということがとても刺激的でした。早くお客様にこの作品を届けたいという気持ちでいっぱいです!」とワクワクした気持ちを明かし、役どころについて「(赤澤)燈とのコンビも楽しみにしていただければと思います」と赤澤を振り返る。

そんな赤澤 燈は北村のコメントを受けて「北村 諒とのコンビは、稽古一発目の勢いのまま劇場まで乗り込んだ感じがあります(笑)」とはにかみつつ、「そのフィーリングを大事にしてやっていければと思います!」と宣言。
見どころには衣裳と主演俳優を挙げ、「ここまでカラフルで、つくり込まれた衣裳というのもなかなかないと思いますので、その独特な世界観を見ていただきたいなと思っています。座長の(有澤)樟太郎とは3度目の共演になりますが、僕が今まで見たことのない、もがく姿や役と向き合う姿を見ているので、知らない方はもちろん、これまでの樟太郎を知っている方にも楽しんでいただけると思います」と胸を張った。

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岩永徹也は、作・演出の高橋悠也と2度目の仕事ということで「1度目にご一緒した『仮面ライダーエグゼイド』では檀 黎斗という役を演じたのですが、黎斗のようにまた好きになってもらえるキャラクターを生み出せたらいいなと思っています」と、その怪演ぶりで名キャラクターとなった役に触れつつ、今作に意欲を見せる。

谷口賢志は「高橋悠也さんが演劇でやりたいことのすべてを吐き出した内容になっていると思います。稽古場では僕たちに自由を与えてくれる、明確な答えを決めつけない方なので、僕たちは何がすごいのか、面白いのかと全員で頭をかきむしりながら切磋琢磨してつくってきました」と振り返り、初日を迎えた心境について「誰も知らない国の、誰も見たことのない名物料理を出すレストランを開店する気分です。お客様の口に合うかどうかはわかりませんが、みんなでつくり込んでしっかり煮込んできた自信はあります」と述べた。

作・演出の高橋悠也は「今回は“言葉”がテーマ。脚本家としてずっと“言葉”と向き合い続けて、放送に乗ったコンプライアンスの言葉や日常会話、そもそも、なぜ“言葉”というものが存在するのか?など、様々な“言葉”と向き合ってきました。いろんな物語をつくってきた人生の中で、どのメディアにも出せない自分の想いを舞台なら出せるのではないかと思い、今回『SLANG』というタイトルで作品をつくらせてもらいました」と、本作への想いを明かし、「これだけ魅力的な主役級のキャスト陣が揃って、しかも二役を演じます。僕自身も脚本家でありながら、演出家という二役目にチャレンジして、この作品を世の中にぶつけていきたいという意気込みでここまできました。ぜひ楽しみにしていただけたらと思います」とコメントした。

TXT vol.1『SLANG』 エンタメステーションレポート

高橋が言及したとおり、キャストは二役。囲み取材時に着用している衣裳は、劇中で登場する、夢を配信する人々“夢人(ユメジン)”のものであり、キャストたちはこのほかにモノクロの衣裳に身を包んだ“もう一役”を演じる。

有澤は「それぞれ二役を演じているので、今まで見たことのない新しい一面を見られると思います」とアピール。北村も「それぞれが演じる二役のコントラスト、人と人の関係性、虚構と現実のコントラストを見ていただきたいです」と“コントラスト”というワードを使って、本作の世界観を表現していた。

見どころについてのコメントは、和田が「いろんな場面で台詞を掛け合うところがありますので、“ラップバトル”さながらです!」と言い表したり、岩永が「言いたいことを忘れちゃった……あ! 思い出した~!」と頭部のライトを点滅させたりと、各自の個性が光る。
谷口は「これからの演劇界を背負っていくであろう、有澤樟太郎くんと井上小百合ちゃんが見どころです」と真面目にコメントしたかと思いきや、最後に「誰も言ってくれないので……僕が見どころです!!」と付け足し、会場の笑いを誘っていた。

TXT vol.1『SLANG』 エンタメステーションレポート

そんな個性豊かなキャスト陣の魅力について、高橋がコメント。

主演のふたりについては「樟太郎くんは、アクセルを踏んで加速するまでちょっと時間がかかるんですけど、スピードに乗ったらどこまで伸びていくんだろう?と思うくらい、底知れない馬力を感じました。井上さんは繊細でキュートに見えるけれども、中には鬼のような徳とエネルギーが詰まっています」と絶賛。

続けて「和田さんはキュートでお茶目。北村さんはキャラクター的にはドSですが、良い意味で人間味がない感じがします。赤澤さんは逆に人間味が溢れている人という印象。徹っちゃんこと岩永さんは、思った以上に変なヤツでした(笑)。(『仮面ライダーエグゼイド』では)あんな演技をしておきながら穏やかな人というイメージでしたが、発想やセンスを知るうちにヤバイ一面がかなり見えてきて。まだまだわからない人です。谷口さんは一見、尖っていてアウトローな人ですが、中身はすごく情熱的。真摯に芝居に取り組んでいて、作品の核心をつくような演技をされる」と、各キャストに対して独自の表現で、高橋から見た人柄の色味を伝えてくれた。

濃厚な台詞の応酬と、「夢」を媒介にして現実と虚構を行き来する物語

この後は、ゲネプロの模様をレポートする。

ステージいっぱいに置かれた、大きく開かれた本を模したセットの上で、バク(有澤樟太郎)が目を醒ます。
ユーザーに様々なジャンルの夢を公開する“夢人(ユメジン)”のカリスマであるバクは、客席=ユーザーのみんなに呼びかけて、今日も元気よく配信をスタートする。

ここは誰もが個人チャンネルを持ち、睡眠時に見る夢を世界中に配信できる世界。“夢人”たちのキャラクターは様々だ。

TXT vol.1『SLANG』 エンタメステーションレポート

ニュースを子供向けに配信する「正夢のお姉さん」ことオネム(井上小百合)と「逆夢のお兄さん」ことムネオ(和田琢磨)。タチの悪いドッキリで悪夢を仕掛けるゴズ(北村諒)とメズ(赤澤燈)のコンビ。予知夢を配信するヨチムジン(岩永徹也)など、個性豊かな“夢人”メンバーが、プロデューサー・レム(谷口賢志)のもとで夢を提供していた。

冒頭から、それぞれに強烈な衣裳とキャラクターで、ユーザーを世界観に引っ張り込んでいく。「配信」システムなど現代に置き換えやすく、SNS社会を彷彿とさせる設定が、ある種の馴染みを感じさせる。ファンタジックに見えて、どこか不気味さが漂うシュールな世界だ。

この“夢人”たちのつながりは、ある事件をキッカケにして混沌が入り交ざる。そこからは凛としたモノクロの場面。現実と虚構が交錯し、物語は思いがけない真実へと繋がっていく。

TXT vol.1『SLANG』 エンタメステーションレポート

囲み取材のコメントで述べられていたように、それぞれが二役で見せるギャップは大きな注目ポイント。

有澤樟太郎は、愛嬌たっぷりに陽気なオーラを振りまいたかと思えば、憂いを帯びた眼差しで、優しさや激しさ、絶望にうずくまる様子など、様々な感情の揺れ動きを体現する。穏やかさと華やかさを併せ持ちながら、その時々の感情にしっかりと沈み込む強さがある役者だ。 清楚な落ち着きと愛らしさを持つ井上小百合(乃木坂46)のヒロイン力も要。ファンタジックな色合いに負けない迫真の演技で、ガッツリと場面をつないでいる。

キャスト全員、それぞれの能力、個性、役者魂を感じられる場面が随所に散りばめられている。目が離せない展開と相まって、息を呑み込みっ放しのまま怒涛のクライマックスまで見届けることになるだろう。

TXT vol.1『SLANG』 エンタメステーションレポート

濃厚な台詞の応酬と、「夢」を媒介にして現実と虚構を行き来する物語の中で、自然と“言葉”の持つ怖ろしさに思考が及ぶ。

昨今“言葉”の伝達力はすさまじい。端末と電波、それを扱うためのちょっとした知識があれば、ほぼタイムラグなしで世界中に発信することも、好きなものを好きなだけ受信することも可能になった。
相手に伝書鳩を飛ばしたり、命がけで機密書を隠して運んだり、海を渡る際の紛失に備えて報告書を何枚もしたためたり、そんな時代があったことを考え出すと目眩がしてしまうぐらい、今の情報伝達手段は手軽である。

TXT vol.1『SLANG』 エンタメステーションレポート

その軽さに反して、「WWW」の勢いに乗った“言葉”が強烈な重みを持つことも増えた。「#」で結ばれた共通言語のもとに人々が団結していく様子、誰かの不用意な発言があっという間に燃え上がる様を見ていると、誰もが“言葉”を重要視しているように思える。
だが一方で、消費スピードに応じるように“言葉”がエンタメ化されているだけのようにも感じる。共感と共有が氾濫していて、もうその“言葉”が誰のものであったのかも曖昧になっていく。同じコメントが増殖していく姿は映画『マトリックス』のエージェント・スミスのようだ。

マルティン・ルターの「宗教改革」は、グーテンベルクの活版印刷術によって拡散力を得た。逆に、時の権力者にとって都合の悪い思想や歴史を排斥したい場合には「焚書」が巻き起こる。人は「文字」に記された“言葉”によって目を覚まし、“言葉”が書かれた「書物」を失うことで目を覆われる。
かつては紙とインクを必要とした“言葉”たちが、一見手軽なデータになって次々と量産されている現代社会。言葉は決して無力ではないが、空虚な言葉は有害にもなる。実は、これまでの歴史よりもっともっと恐ろしいことが、何気ない“言葉”から起こっているのかもしれない。

TXT vol.1『SLANG』 エンタメステーションレポート

そんな恐怖を覚えるなか、「本」に綴じられた“言葉”より剥き出しの姿勢で投げかけられる“言葉”の世界、観客と直に向き合った役者が“生の声”で届けようとする舞台という場所で、この物語が綴られることに意味と意義を感じた。

作・演出の高橋悠也がテーマに掲げた“言葉”のすごみが伝わる作品である。

本作は6月30日(日)まで上演中。千穐楽公演はニコニコ生放送での独占ライブ配信が決定している。Blu-ray/DVDは12月4日(水)に発売予定。

バグ / 新堂 紡 役・有澤樟太郎さんのインタビューはこちら
有澤樟太郎が、誰かの夢を共有できる世界を描くTXT vol.1『SLANG』で舞台初主演。彼がよく見る夢とは

有澤樟太郎が、誰かの夢を共有できる世界を描くTXT vol.1『SLANG』で舞台初主演。彼がよく見る夢とは

2019.06.18

高橋悠也×東映 シアタープロジェクト
TXT vol.1『SLANG』

TXT vol.1『SLANG』

2019年6月20日(木)〜6月30日(日)よみうり大手町ホール

<ライブ配信>
6月30日(日)16:00開演の千穐楽公演をニコニコ生放送でライブ配信
ニコニコ生放送https://live.nicovideo.jp/watch/lv320531591

STORY
進化か。退化か。
言葉は常に変化し続けている。
我々はまるで暗号のように新しい言葉を創造し、特定の集団でのみ共有する。
使い古されたものを嫌い、創造者であろうとする。
彼らも例外ではない。
彼らの言葉を鵜呑みにしてはならない。
彼らの言葉は真実にして虚構。
それは彼らにしか通用しない『スラング』だからだ。
そこは現代か、それとも近未来か。
誰もが個人チャンネルを持ち、睡眠時に見る夢を世界中に配信できる世界。
日夜、ユーザーに様々なジャンルの夢を公開する『夢人』たちがいた。
睡眠時間すらも有効活用される世の中。
人々は好きな夢人を登録し、同じ夢を共有し、夜の快楽を求める。
夢の中で繰り広げられる物語は、ただの作り話なのか、それとも、現実なのか。
現実と虚構、異なる物語が交錯し、思いがけない真実の世界へと繋がっていく。

作・演出:高橋悠也
音楽:坂部 剛

出演:
バグ / 新堂 紡(しんどう・つむぐ)役:有澤樟太郎
オネム(正夢のお姉さん)/ 町野伊都(まちの・いと)役:井上小百合(乃木坂46)
ムネオ(逆夢のお兄さん)/ 町野 櫂(まちの・かい)役:和田琢磨

ゴズ / 有栖川 正(ありすがわ・ただし)役:北村 諒
メズ / 牟田 衛(むた・まも流)役:赤澤 燈
ヨチムジン / 茨木有希人(ばらき・ゆきひと)役:岩永徹也
レム / 筧 流司(かけい・りゅうじ)役:谷口賢志

スーヤ / 安 高生(やす・たかお)役:黒川一樹
コクリ / 栗子 蘭(くりこ・らん)役:勝亦利恵
グーグー / 最上紋右門(もがみ・もんえもん)役:的場祐太

制作:プラグマックス&エンタテインメント・東映
制作協力:QueenB
企画・プロデュース:東映

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@project_txt)

©TXT・東映

DVD&Blu-ray 発売

発売日:2019年12月4日(水)