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なぜ、いま『私立ベルばら学園』なのか? 胸キュンすぎるきらめく世界の理由

なぜ、いま『私立ベルばら学園』なのか? 胸キュンすぎるきらめく世界の理由

日本において有名な少女漫画のひとつといえる、『ベルサイユのばら』(以下、『ベルばら』)。1972年に週刊マーガレットで連載が始まったこの作品は、伯爵家の末娘、オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェを中心として、マリー・アントワネットやルイ16世、デュ・バリー夫人など、フランス革命の激動の時代を駆け抜けるように生きた登場人物たちが魅力的に描き出され、多くの読者がフランス革命に、そしてとりわけ悲劇の王妃マリー・アントワネットに関心を寄せるきっかけとなりました。
筆者は『ベルばら』の大ファンです。子供の頃に出会った漫画とアニメですっかり『ベルばら』の世界に魅了されてからというもの、自分にとって本当に特別な漫画だと思っています。年末年始、入学式や入社の前日などには必ずコミックスを読み返して初心を取り戻すなど、人生のバイブルとしても大事な一作なんです! なかでも好きな登場人物はというと……。主人公のオスカルをはじめ、本当にすべての登場人物が魅力的でそれぞれに愛があるんですけれど、やっぱりオスカルをずっと隣で支え、愛し続けたアンドレ・グランディエですね! マリー・アントワネットと道ならぬ恋に落ち悲劇の最期を遂げたスウェーデン貴族のハンス・アクセル・フォン・フェルゼン伯の情熱や優雅な物腰にも若いころは惹かれたものですけど、成人してからはずっと、幼いころから従者として、友として、家族として、そして最後は恋人・夫として等身大のオスカルを見守り愛し抜いたアンドレがしみじみ素敵だなって思うのです。オスカルとアンドレは実在の人物ではありませんが、彼らを通して、また彼らが加わって紡がれるエピソードの数々には、令和となった現在も人々の心を掴んで離さない普遍的な魅力が備わっているのです。
というわけで前置きがかなり長くなりましたが、どちらかというと原作至上主義、保守派ファンの部類と言える筆者。正直なところ『私立ベルばら学園 ~ベルサイユのばらre*imagination~』という本作のタイトルを初めて見たときは脳が大混乱しました。『ベルばら』の学園モノ……いったい、どういうこと? いくら考えても答えは出ずにいたところ本作の原稿を書く機会に恵まれ、こうして目の前にゲームのパッケージがあるというわけなのです。ベルばら学園とは何なのか? まずはその世界に飛び込んで……のまえに、プロモーションムービーを一緒に見てみましょう!

文 / 内藤ハサミ


キラキラネームのオタク女子がキラキラの学園生活!?

トレーラーを最後まで見てびっくり。原作を知っている方だったらわかっていただけると思うのですが、どのキャラクターが原作の誰をイメージしているのかが、非常にわかりやすいんです。原作をおぼろげにしか知らなくても、オスカル、アンドレ、マリー・アントワネットを元にしたキャラクターはきっとわかるはず。さらに原作を知っていれば、「あの王子様のようなキラキラ男子はフェルゼン? おっとり男子はルイ16世? あの黒髪の子はジャンヌかな?」とさらに楽しめるはずです。やっぱり本作は『ベルばら』の異世界転生モノなのでしょうか。しかし、ゲーム冒頭で主人公の苗字を決めるとき、それは違うのかもと思い直しました。それというのも主人公の名前が“オスカル”なのに、オープニングムービーにも、オスカルっぽい人物が出ているのです。ふたりのオスカル。この点、実に興味を惹かれますね。

『私立ベルばら学園 ~ベルサイユのばらre*imagination~』 エンタメステーションレビュー

▲筆者はゲームのプレイヤーキャラクターに“毒蝮(どくまむし)”と名付けることが多いので、今回も同じようにしたのですが、苗字と名前の相乗効果でかなりのインパクトネームになってしまいました。とても気に入ってはいますが、要らぬ注目を浴びてしまう自分の名前にコンプレックスがあるという設定の主人公にとっては、あまり嬉しくない命名だったかしら……?

主人公のデフォルトネームは、“山田凰寿華瑠(オスカル)”。『ベルばら』ファンの母親に付けられた名前です。愛情が込められた子供の名前にケチをつける趣味はありませんが、テストなどでの記名に時間がかかって毎回大変そうですね……。主人公の名前はゲーム中で重要な意味を持つので、変更できません。カスタムできるのは苗字のみとなります。誰もが憧れる有名私立高校のベルローズ学園に通うこととなった少女漫画オタクの凰寿華瑠は、学内の演劇部である劇団・ソレイユが行った入学式公演で、他生徒から“オスカル様”と呼ばれている“真輝望(まきのぞみ)”の凛々しさに一目惚れ。

『私立ベルばら学園 ~ベルサイユのばらre*imagination~』 エンタメステーションレビュー

▲凰寿華瑠の気持ち、とってもわかります。だって望さんったらこんなにきらめいていて、かっこいいんですもの

『私立ベルばら学園 ~ベルサイユのばらre*imagination~』 エンタメステーションレビュー

▲一瞬でハートを鷲掴みにされた、恋する乙女の顔

『ベルばら』ファンでなくても予想はついたと思いますが、この望さんは男装の麗人。『ベルばら』のオスカルと一緒です。すぐに彼女は女性と判明するものの、本作は同性同士のカップリングも……!? トキメキのままにソレイユの見学に行った凰寿華瑠は、望が立ち上げた新劇団ルミエールへと勧誘され部員となり、激動の学校生活を送ることになります。演劇に恋に友情に……。どういう学園生活を送るかはプレイヤーの行動次第なのです。

『私立ベルばら学園 ~ベルサイユのばらre*imagination~』 エンタメステーションレビュー

▲望さんと肩を並べられるように、強く宣言。精進しますッ!

基本的なゲームの流れは、テキストを読み進め、たびたび現れる選択肢を選んでいくシンプルなもの。プレイヤーの選択によってシナリオは分岐し、主人公がキャラクターたちと恋愛をするストーリーの他に、キャラクター同士の恋愛を応援するストーリーにも発展させることが可能です。筆者の狭い観測範囲内ではありますが、乙女ゲームのユーザーには「登場人物同士の恋を手助けし、優しく見守りたい!」という需要がかなりあると思うんですよね。筆者もそのなかのひとりです。特に本作は、ルイ16世とマリー・アントワネット、オスカルに想いを寄せるアンドレ、下級貴族のアラン・ド・ソワソンたちをモチーフにした人物同士の恋愛が成就するルートもあります。原作では報われなかった彼らが、もし現代で幸せになれたら……なんていうストーリー、原作の展開を至上と考えている筆者ですがワクワクするものです。

『私立ベルばら学園 ~ベルサイユのばらre*imagination~』 エンタメステーションレビュー

▲選んだ場面に選択肢があるかどうかを教えてくれているのが、細かいことですが非常にありがたい……

プレイヤーの多くが全シナリオルートのコンプリートを目指すかと思うのですが、そこで役に立つのがメニューからいつでも確認できるフローチャート。現時点がシナリオのどの部分なのかがわかりやすく表示されています。また、ここからだけでなく会話のログからでも任意の場面に戻れるので攻略に便利なだけでなく、「あの場面をもう一度見たい」ということも気軽にできるのがいいですね。テキストのオート再生や強制スキップする速度も選べますし、痒い所に手が届く作りと言えます。それから、各キャラクターとの好感度もメニューの“ハート”から確認できます。

『私立ベルばら学園 ~ベルサイユのばらre*imagination~』 エンタメステーションレビュー

▲上部に恋愛ルートが用意されているキャラクター、下部にカップリングに主人公が入らない組み合わせが表示されています。隠しキャラの存在も……!?

各キャラクターとの好感度はバラの開花具合で表されています。好感度はクリア後も引き継がれるので、周回プレイを続けるとすべてのバラを咲かせることができます。エンディングムービーやスチル以外にも、プレイを積み重ねた実績が見えるのはいいですよね。

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