Interview

納谷 健&池田純矢&鈴木勝吾が、ミュージカルでも音楽劇でもない、新たな芝居と音楽の融合に挑戦! エン*ゲキ#04『絶唱サロメ』

納谷 健&池田純矢&鈴木勝吾が、ミュージカルでも音楽劇でもない、新たな芝居と音楽の融合に挑戦! エン*ゲキ#04『絶唱サロメ』

池田純矢が“演劇とは娯楽であるべきだ”という理念のもと、自身の脚本・演出により誰もが楽しめる王道エンターテインメントに特化した作品上演のために立ち上げた企画「エン*ゲキ」シリーズ。その最新作『絶唱サロメ』が10月に東京と大阪で上演される。
主演に歌手で俳優の松岡 充を迎え、共演にはミュージカル『アニー』(アニー 役)でデビューし数々のミュージカルに出演する若手注目株・豊原江理佳。また、舞台『刀剣乱舞』など2.5次元舞台を中心に活躍する納谷 健、俳優・お笑い芸人・ダンサーなど幅広いジャンルで活躍する“芋洗坂係長”こと小浦一優、声優・女優・人気アニメ主題歌でアーティストとしても活動する吉田仁美、「エン*ゲキ」シリーズ皆勤賞にして多くの演出家が信頼を寄せる実力派俳優・鈴木勝吾。そして、『レ・ミゼラブル』や『ショーガール』など数々のミュージカル作品で卓越した歌唱力と秀逸な表現力を魅せるシルビア・グラブが参加。
期待が高まる本作への意気込みや芝居への想いを、池田純矢、鈴木勝吾、納谷 健に聞いてみた。

取材・文 / 近藤明子 撮影 / 冨田望


「これは“彼”にしかできない役」と思ったので、声をかけました

最初に、オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』を今回の題材に選んだ理由から伺えますか?

池田純矢 『サロメ』という作品については知っていましたし、読んでもいましたけど、センセーショナルな内容だからなのか、演劇で『サロメ』が上演される機会って、今はほとんどないんですよね。実は以前から「音楽を使った演劇をつくりたい」という発想は自分の中にあって、ミュージカルではない、音楽劇でもない、心情を歌い上げるわけでもない、音楽を使った新しい演劇のかたちを表現したいと考えていました。そんなときに松岡 充さんとの出会いがあり、お話をしているなかで「『サロメ』だ! 音楽だ! 松岡さんとだったらこの物語をつくることができる!」ってストーンと腑に落ちた瞬間があったんです。まさに運命だなって思いました。そんな様々な偶然が重なったことが、『絶唱サロメ』を書くきっかけとなりました。

『絶唱サロメ』池田純矢 エンタメステーションインタビュー

池田純矢

聞いたところによると、主演の松岡さんを口説くために、いろいろ根回しをして“断れない状況をつくった”とか?

池田 いやいや、そんなことはないです!(笑)ただ何も準備していない状態でオファーをするのは失礼だと思ったので、お願いするにあたって台本を渡せるように準備をしました。それが僕にできる一番の誠意だと思いましたし、「こういうことをやりたいと思ってるから、やらせて欲しい」なんて僕みたいな若輩者が言っちゃいけないというか、「役者という存在は、そんなに軽くない」と僕は思っているので、まずは台本を書き上げて、劇場のスケジュールも押さえた状態で松岡さんにお会いして、「こういうことをやりたい。こういう内容だから主役がアナタじゃないとダメなんです」というお話をさせていただきました。

そこまで言われたら、やっぱり断れない(苦笑)。

池田 いやいや、断れますよ。僕なんて若造ですから、全然断っていただいても(笑)。断わられたら僕はまた新しい作品を書いて、その役に合った別の方に出演をお願いする。そうすればいいだけの話でもありますから。

もしも松岡さんに断られていたら『絶唱サロメ』は世に出なかった?

池田 そうなりますね。『絶唱サロメ』は松岡さんのために書いたお話ですから、松岡さんに断られたから他の方に演じていただこうなんて思いません。

『絶唱サロメ』鈴木勝吾 エンタメステーションインタビュー

鈴木勝吾

そして共演に、「エン*ゲキ」出演皆勤賞の鈴木勝吾さん。さらに「エン*ゲキ」初参加の納谷 健さんに声をかけた経緯も伺えますか?

池田 勝ちゃん(鈴木勝吾)に関しては、台本を書き上げた時点で「この役はイチもニもなく鈴木勝吾だな!」「彼にしかできないだろう」と思ったので声をかけさせてもらいました。あの……今まで「エン*ゲキ」に出てもらっているなかで勝ちゃんの演じた役って、どちらかと言うと損な役回りが多かったと思うんですよ(苦笑)。体力も使うし、エネルギーも使うのに、なかなか評価されがたい!

鈴木勝吾 あはは! 今それ言う?(笑)

池田 『絶唱サロメ』のキャラクターは勝ちゃんの一番魅力的な部分をストレートに出せるキャラクターだなと思ったので、今までの「ありがとう」と「これからもよろしく」の気持ち、そして何をおいても、やっぱり勝ちゃん以外にこのキャラクターを演じられる人はいないだろうなと思ったのでお願いしました。納谷さんは、信頼するキャスティングスタッフからの提案もあって、実際に納谷さんが主役を演じられていた舞台(「DIVE!!」The STAGE!!)を劇場で拝見しまして。お芝居が上手で、可愛いくて、キラキラしているけど、どこか泥くささや男くさい部分を感じて。それが今回の役のイメージにはまっていたのでオファーをさせていただきました。

『絶唱サロメ』納谷 健 エンタメステーションインタビュー

納谷 健

鈴木さんは、今まで演じた役は「損な役回り」と言われてしまいましたが、ご自身ではどう思っていましたか?

鈴木 そんなことはないと思うんですけどね(苦笑)。

池田 勝ちゃんが演じるから、魅力的なキャラクターになったんだけど。

鈴木 ありがとう(笑)。でも前作『池田屋』のときは、純矢がラスボス的なポジションで、久々に純矢と板の上でしっかり芝居をするのが楽しかったけど、「これは食われたら嫌だ!」と思ったよ。俺が一番汗かいて必死に台詞を言っているのに、ちょいちょい美味しいところに出てきて笑いをかっさらっていくし(笑)。

池田 出番が少ないのに、ビジュアル的にも一番インパクトがあった役だからね(苦笑)。

鈴木 そのときに、華があって、芝居もうまくて、誰も文句が言えない役者、池田純矢はスゴイって思いました。板の上で目を合わせたときに自然と通じ合うものがあるんですよ、彼との芝居には。特に最後に斬り合うシーンはすごく楽しくて、そういう意味で、損な役割でも頑張れたというか……とはいえ、さっき言われるまで自分ではそうは思っていなかったけど(笑)、言われてみれば損な役回りだったかもしれない。

『絶唱サロメ』納谷 健 池田純矢 鈴木勝吾 エンタメステーションインタビュー

今回は、どうでしょうね?

鈴木 今回は、さらに個性の強いキャストが揃っていますからね。たくましい演者に囲まれて滾(たぎ)ると同時に、ちょっと怖くもあるけれど、歌にも芝居にも秀でた方々と舞台の上で“やりあう”のは今からすごく楽しみです。

『絶唱サロメ』納谷 健 池田純矢 鈴木勝吾 エンタメステーションインタビュー

納谷さんは、初めて「エン*ゲキ」に参加する気持ちは?

納谷 健 もちろん「エン*ゲキ」のことも知っていましたし、ミュージカル『薄桜鬼』出演キャストの先輩として池田純矢さんのことも鈴木勝吾さんのことも存じ上げていたので、今回お芝居でご一緒できるのが嬉しくて。とにかく今の自分にできることを精一杯やるだけだと思っています。

さきほど池田さんは「『絶唱サロメ』はミュージカルでもなく音楽劇でもなく“歌を歌としてちゃんと届ける”ことがテーマ」とおっしゃっていましたが、歌に関しては、主演の松岡 充さんはもちろん、豊原江理佳さん、吉田仁美さん、そしてシルビア・グラブさんという最強のキャストが揃っていますね。

鈴木 僕は今、怖さとヒリヒリ感とワクワク感がせめぎ合っている状態です(笑)。30歳になって、怖いこともなくなってきたなと思っていたけど、まだまだありましたね。今回もいろんなことを楽しみながら模索していきたいです。

『絶唱サロメ』納谷 健 エンタメステーションインタビュー

それぞれ演じる役についても伺いたいのですが。

納谷 台本を読んだ印象だと、今の僕の全力を出してぶつからなければ演じられない役だと思いました。さきほど純矢さんが「僕の舞台を観て、男くささや泥くささを感じた」と言ってくださいましたが、今までそこまで男らしい役を演じたことがないんですよ。なので、この役をいかに理解して、魅力的に舞台で“生きる”ことができるかが、この作品での自分の課題です。台本を読み込んで、ちゃんと自分の中に落とし込むこと、そして悩んで悩んで、楽しみながら立ち向かっていきたいなと思います。もちろん稽古場での共演者の皆さんとの“からみ”も楽しみです。

『絶唱サロメ』鈴木勝吾 エンタメステーションインタビュー

鈴木さんは今回の役について、台本を読んだ印象は?

鈴木 なんというか「すごく寂しい人だな」という印象を受けました。ぶっ飛んでいるし、悪役といえば悪役っぽいところもあるキャラクターですが、内に寂しさを抱えているような……なので、観たあとに憐(あわ)れんでもらえたらいいかなと思っています。

『絶唱サロメ』池田純矢 エンタメステーションインタビュー

役者の方々にお話を聞くと「悪役のほうが楽しい」とおっしゃる方が多いように思うのですが、鈴木さんはどう思われますか?

鈴木 「悪役が楽しい」っていうのは、おそらく変身願望だと思うんです。だって普段生活しているなかで人を貶めたり殺したりはできないじゃないですか。それがお芝居の中でならできる。そんな別の人格になれるのが“楽しい”のかなと思うんですよね。僕自身は、まず脚本が面白いことが一番で、次に登場するキャラクターたちが魅力的であること、そして優れた演出家と仕事がしたい。「エン*ゲキ」はそのすべてをクリアしているし、それ以前に人間として池田純矢を信用しているので、毎回声をかけてもらうたびに「また楽しい芝居の世界への“旅”が始まるんだ」とワクワクしています。

『絶唱サロメ』納谷 健 池田純矢 鈴木勝吾 エンタメステーションインタビュー

全面的な信頼を寄せているんですね。

鈴木 もちろん、根本的に違う部分はあるんですよ。でも純矢といろんなことを話すなかで「これだよね!」って合致したときは、その喜びはひとしおなんです。

1 2 >