TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』1年6か月の記憶  vol. 5

Interview

【TVアニメ最終話直前・特別企画】語ろう、『新幹線変形ロボ シンカリオン』! TVシリーズ1年半を見届けた3人が振り返る、名シーン・神回・そして…

【TVアニメ最終話直前・特別企画】語ろう、『新幹線変形ロボ シンカリオン』! TVシリーズ1年半を見届けた3人が振り返る、名シーン・神回・そして…

実在の新幹線をモデルにした変形ロボット・シンカリオンとその運転士となる子どもたちが、人々を守るために強大な敵に立ち向かう姿を描く、TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』。2018年1月の放送開始から、メインターゲットとなるキッズはもちろん、大人の視聴者の心もしっかりと掴んで人気を獲得し、結果として1年半に及ぶ長期シリーズとなった本作が、2019年6月29日放送の第76話「終着!!シンカリオンと新たなる出発」でついに最終回を迎える。

そこで、今回はTVアニメ完結記念としてファン座談会を企画。参加メンバーは、これまで『シンカリオン』を雑誌上でたびたび取り上げてきた「CONTINUE」編集部の林 幸生、そしてTVアニメ化以前から玩具を展開するタカラトミーのSNS担当者で、アニメ放送時には毎週リアルタイムでの盛り上げに貢献する「タカラトミー公式Twitterの中の人」。ホストをつとめたのはエンタメステーションで1年半にわたり『シンカリオン』を推してきたライターの柳 雄大だ。それぞれの立場で『シンカリオン』という作品に向き合ってきた3人が、改めてその魅力について語り尽くす!

取材・文 / 北野 創(リスアニ!) 構成 / 柳 雄大


座談会参加者プロフィール

林 幸生(太田出版「CONTINUE」編集部)

ポップカルチャー誌「CONTINUE」編集部所属。GAINAXやTRIGGERなどが手がける“アニメにしかできない表現がある”作品をこよなく愛し、『シンカリオン』については「現実のエッセンスとSFとしての物語がすごくいいバランスで成り立っている」「ロボットアニメの系譜とファミリー向けアニメの系譜がうまく混ざっている」と評価する。

タカラトミー公式Twitterの中の人 ※以下「タカトミ」

フォロワー26万人を超える、タカラトミーの名物SNS担当者。毎週土曜朝の『シンカリオン』放送時にはTwitterで(自主的に)リアルタイム実況を行い作品の盛り上がりに貢献している。なお “中の人”ではありつつも、TVアニメ『シンカリオン』の制作には関わっておらず、あくまでいちファンとして楽しんでいることから今回の座談会に参加。『シンカリオン』は、「お世辞抜きで一番好きなアニメになった」とのこと。

柳 雄大(フリーランス編集者・ライター)

『新世紀エヴァンゲリオン』直撃世代で、エンタメステーションでアニメ周辺の企画・取材を担当しているライター。幼少期から特撮ヒーローや「ベタなロボットアニメ」が大好きで、『シンカリオン』は1990年代に放送された『絶対無敵ライジンオー』や「勇者シリーズ」に近い魅力を感じながら楽しんでいる。

全てはここから始まった。“最初の神回”第1話を語ろう!

 本日はよろしくお願いします。『シンカリオン』の魅力を、名シーンの数々とともにじっくり振り返っていきたいと思うんですが……まずは、何はともあれ第1話「出発!!シンカリオン E5はやぶさ」。物語の導入として、とても重要かつクオリティーの高い回でしたよね。

 実在する新幹線がそのまま出てきてロボットになることがまず良すぎるんですが、何より1話の冒頭から登場する作業員の保線シーンがすべてを表していて。普通のロボットものというのは、搭乗者や子どもと大人の関係は描きますけど、それを支えている人のことはあまり描かない。でも、『シンカリオン』は保線シーンを最初に描くことで、保線する人たちがいないことには新幹線、ひいてはシンカリオン自体がどこにも行けない、という大前提を示した。そうすることで、その後の無茶な設定やファンタジックな話も許される説得力ができたと思うんです。

それともう一つ、しっかりと大人が出てくる。最初から大人をちゃんと描いているので、子どもの好きなものや夢を、大人と子どもの両方の目線で観ることができるんです。なので大人の視聴者は信頼できるアニメだと思うし、子どもから見たらものすごく夢に溢れた作品に見えると思うんですよ。新幹線だけではなくて、新幹線にまつわるいろんなものを重要なパーツとして周りに配置しているから、逆に新幹線が引き立つし、新幹線を軸にいろんな人が繋がっていく。この第1話は大正解だと思いました。

 ロボットのバトルシーンに至るまでの過程が、すごくていねいに描かれていましたよね。タカトミさんは第1話からTwitterでリアルタイム実況されていましたが、当時の反応はいかがでしたか?

タカトミ 第1話から3週くらい、放送中にハッシュタグを付けてツイートしてくださった方にプレゼントを差し上げるキャンペーンを行いまして、そのときに使ったのが今でも投稿時に付けている「#みんなでシンカリオン見ようぜ」というタグなんです。その効果もあってか、第1話から想像以上に反応が大きくて、特に新幹線が変形するシーンはCGがカッコよく描かれているといった反響を多くいただきました。自分も最初のシーンに登場する作業員のヘルメットにJRさんのマークがついていたり、JRさんとしっかりコラボした公式感のあるアニメであることを感じられて、感動しました。

 鉄道をモチーフにしたロボット作品はいろいろありましたが、“JR公式”はこれが初めてでしたからね。ちなみに僕が『シンカリオン』を観るようになったのは、第1話のストーリー展開に『エヴァンゲリオン』を感じたことが出発点でした。いろんな要素が詰まっていますけど、最初に観たときは「なんだ!? この親子関係を良好にしたエヴァは!」というのが真っ先にあって、とにかく「そのことをみんなに伝えたい」と思ったんです(笑)。ラストに新幹線から変形した「シンカリオン E5はやぶさ」が登場して、さあ戦いだ! というシーンで次回に続くところも『エヴァ』を感じましたし……。作品の深い魅力についてはこのあとに気づいていくことになるんですが、まずはこの第1話からチェックしておかなければ、という気になりました。

 『シンカリオン』と『エヴァ』の描き方が近い理由のひとつには、どちらも特撮からの影響があるからだと思うんですよ。特撮ドラマの多くは、『ウルトラマン』に科学特捜隊がいるように、「怪獣と戦う人たち」を描いてきた。『エヴァ』も、エヴァンゲリオンという謎の存在を中心にいろんな人たちの人間関係を描いている。で、『シンカリオン』も新幹線やシンカリオンを支えている人たちの話なんですよね。

どちらもSFだし、巨大兵器だし、血沸き肉躍るエンターテインメントなんですけど、描いているのは人間関係で、それがネガかポジかの違いというか。人をちゃんと描き切った作品という共通項はあると思います。

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