Interview

ちゃんみな 大人になったからこそ気づけた感情や心の深い部分を描いた曲が並ぶというニューアルバムについて訊く。

ちゃんみな 大人になったからこそ気づけた感情や心の深い部分を描いた曲が並ぶというニューアルバムについて訊く。

昨年9月にリリースした移籍第一弾シングル「Doctor」はアジアを中心に海外で高い評価を受け、続く「PAIN IS BEAUTY」では20歳直前の胸中を吐露。今年に入って発表した「I’m a Pop」では自身の音楽表現の在り方を力強く宣言し、話題を集めたちゃんみなが、約2年ぶりとなるニューアルバム『Never Grow Up』を完成させた。サウンドは現在のUSのヒップホップ/R&B/ダンスミュージックのトレンドをバッチリ押さえた仕上がり。その上で20歳になった彼女が、以前よりエモい感情を吐き出している。「I’m a Pop」から第二幕がスタートと語る彼女はどのようにGrow Upし、どう変化したのか。本作に込めた思いをたっぷり語ってもらった。

取材・文 / 猪又 孝 撮影 / 持田薫


このアルバムは私が本当に大事にしている人に向けて作りたいと思ったんです

ちゃんみな エンタメステーションインタビュー

アルバム完成おめでとうございます! リリースは先の8月7日ですが、今回のアルバム制作はどうでしたか?

ちゃんみな 今回は慎重になりました。もっとこういう表現をしたいんだよなとかって書き直すことも多かったし。若干皮を脱ぐじゃないですけど、藻掻いた感じがします。

それはメッセージをちゃんと届けたかったから?

ちゃんみな そういうことですね。このアルバムは私が本当に大事にしている人に向けて作りたいと思ったんです。仲間だったり、好きな人だったり、ファンだったり。あとはライバルみたいな人だったり、嫌いな人だったり。とにかく愛がある人にしか書きたくないと思って。地元の話を書いたり、親友の話を書いたり、自分が大事にしたい感情を書いてる。他にもたくさん曲は書いたんですけど、愛がある作品だけを選んで詰め込んだんです。

先行シングル「Call」は、好意を寄せてる相手が自分より可愛らしい子に気移りしてることを歌ったラブソングですね。

ちゃんみな そうです。私はこんな感じなんで。どうせ黒髪で可愛い子がいいんでしょ、みたいな(笑)。

テーマにした感情は嫉妬ですか?

ちゃんみな 嫉妬もあるし、私は自分の気持ちを上手くはっきり言えない人なんで、だからこその悔しさもあります。不甲斐なさもあるし。

自分の恋愛感情をうまく伝えられないっていうのは、ちゃんみなのラブソングにずっとあるテーマですよね。

ちゃんみな そう、はっきり言えないんですよ、私。この曲は(プロデューサーの)JIGGさんから幾つかトラックをもらって、まずはいろいろ書いてみるという期間のときに、実際こういうことが起こったんで、「これは書かないとヤバイ」と思って。家までの帰り道に家の近くのバス停で座って書きました。

私はポップだし、私はロックだし、私はヒップホップだって。私は韓国語も歌うし、英語も歌うし、日本語も歌う。だからよろしく!みたいな曲です

ちゃんみな エンタメステーションインタビュー

2曲目「I’m a Pop」は先行シングルとして発売されていましたが、この曲で“I’m a Pop”と宣言した思いを教えてください。

ちゃんみな ジャンルに囚われたくないなっていうのがいちばんです。私はポップスだって言われがちなんですけど、私自身は別にそれを悪い風に受けとめてないんですね。でも、セルアウトだとかバッシングのように言われるのが嫌で。それに囚われて音楽をするのも嫌だったんで、もう宣言しとこうって。私はポップだし、私はロックだし、私はヒップホップだって。私は韓国語も歌うし、英語も歌うし、日本語も歌う。だからよろしく!みたいな曲です。

それをTrapという、いちばんにヒップホップなトラックに乗せて歌ったところが皮肉めいていて面白かったです。

ちゃんみな そうですね(笑)。そもそも音楽って何でもありじゃないですか。私はそこが好きだから。特にヒップホップなんてルールにハマるのが嫌な人がやってる音楽だと思うし。

B-BoyのBはBreakのBだから。

ちゃんみな 本当そう。音楽はいろんなことができる。私はそういうところが好きなんで。楽しもうと思って自分の感情をインプットしながら音楽というものを作ってるだけなのに、「こうであるべきだ」とか、デビューしてからずっと押しつけられていたので。

歌詞にも出てきますが、そんな状況が息苦しかったと。

ちゃんみな デビューしてから急に「ラップ辞めたんですか?」とか言われたり。「J-POPになりたいんですか?」とか「洋楽っぽいのをめざしてるんですか?」とか「何目指してるんですか? ブレすぎじゃないですか?」とか(笑)。いろいろ言われたんですけど、私1個もブレてるつもりなくて。むしろ、これがブレると取られるんだっていうことに驚いて。だからと言って、みんなの理想としているちゃんみなに向かうのは、私じゃなくなるから違う。それこそブレだと思うんで。私は好きなタイミングで好きな音楽をやるから、っていう感じで作った曲なんです。

「PAIN IS BEAUTY」で第一幕は終わり。「I’m a Pop」からが第二幕です

この曲をリリースしてしばらく経ちますが、周囲からの反応は変わりましたか?

ちゃんみな この意図をわかってくれるアーティストさんが意外といたことにびっくりしました。「わかる」とか「ずっと言えなかったことを言ってくれてありがとう」とか言われて。すっごいゴリゴリのラッパーの人でもAqua Timezが好きとか、AKB系が好きとか、嵐が好きとか、あるじゃないですか。反対に超J-POPな人がすっごいヒップホップ好きっていうこともあるし。こういう息苦しさを感じてる人は多くいるんだなって。

「I’m a Pop」のプレス資料に寄せたインタビューでは「ここから第二幕の幕開け」と語っていました。前曲「PAIN IS BEAUTY」では二十歳を迎える直前の気持ちを歌いましたが、そこに境界線があるということですか?

ちゃんみな 「PAIN IS BEAUTY」で第一幕は終わり。「I’m a Pop」からが第二幕です。

第二幕はどのようなことをしていきたいと考えていますか?

ちゃんみな もっと深いところを音にしていきたいと思っています。第一幕はわりと表面的な、私はどういう人間でどういう経験をしてきて、みたいな曲をたくさん作ったと思うんです。

自己紹介的な曲が多かったですよね。

ちゃんみな それって何故なのかな?と振り返ってみると、「私を知って!」っていう気持ちが強かったんですよね。で、そういう曲をいろんな人に聞いてもらえることによって、自分の過去が全部昇華されたんです。実際、当時悩んでいたことも全部アウトプットしたんで。

前までは「私はこういう人間だから……」っていう書き方をしていたけど、今はそういうところを省いて本当に心の中だけを出して行く、みたいな

ちゃんみな エンタメステーションインタビュー

その究極が「PAIN IS BEAUTY」だった。

ちゃんみな はい。でも今回のアルバムの曲は、言葉を選ばずに言うと、ちゃんみなが歌わなくてもいい歌っていうか。第一幕では私の外側を見せてたけど、今はここ(と自分の胸部を指す)。もっと深いところに行ってる。あと、みんな私のことを知ってるでしょ?と思って書いてるんです。前までは「私はこういう人間だから……」っていう書き方をしていたけど、今はそういうところを省いて本当に心の中だけを出して行く、みたいな。うまく言えないんですけどね。シーズン1を見てないとわからないシーズン2みたいな(笑)。

あはは。

ちゃんみな シーズン1で全部説明してるから、シーズン2はその続きから話すみたいなイメージなのかな。

ちゃんみなのパーソナルな経験をベースにして書くのは変わらないけれど、ストーリーじゃなく感情にフォーカスするようになった。そういう変化のような気がします。

ちゃんみな そう。今回は感情を書いてるんです。

ゆえに共感度がグッと増したと思うんです。たとえば「Call」で書いた、自分より可愛い女友達に好きな人を取られた、みたいな経験をしている人は多いと思うけど、そのときの事象を具体的に綴るのではなく、そのとき感じた思いをクローズアップする。だから、「あるある」的な共感度が増すっていう。

ちゃんみな 言葉選びもちょっとだけ今回変えてるんです。昔の私が「Call」みたいな曲を書いたら、私みたいな金髪な女の子じゃなくて黒髪がいいんだろ?って書くと思うんです。そこで今は「付き合っちゃいなよ」「浮気されろ」になるっていう。

その「浮気されろ」がポイントですよね。その言葉に嫉妬と悔しさが入り交じった感情が表れてる。加えて、ちゃんみなの人柄も伝わってくるっていう。

ちゃんみな そう。今回は説明する必要がないからより伸び伸び書けた気がします。私のことを知ってる友達に話してる感覚でしたね。

高いところの電球とか変えられるし、全然ひとりで生きていけるじゃん、みたいになって

今作には、Marlon “Chordz” Barrowと作った「Can U Love Me」が収録されていますね。彼はスヌープ・ドッグとウィズ・カリファによる「Young, Wild & Free feat. Bruno Mars」という世界的ヒットを持つソングライターです。

ちゃんみな 彼の方から「気になる」って声を掛けて頂いて、一緒に作りましょうという話になったんです。去年の9月、LAに制作に行ったタイミングで彼のスタジオに行って作ってきました。

歌詞は、モテない女の嘆きですか?

ちゃんみな ホンットに悩んでたことなんです。本当に私はモテなさ過ぎるって。本当に恋愛出来てないし、出会いもないし、好きな人もできないし、みたいな感じだったんですよ。その話をスタッフにもしていたら「日本人男性って、できる女が嫌いだからね」って言われて「確かに」みたいな(笑)。 

おまけに、ひとりでいることにも慣れてくるし。

ちゃんみな そう。高いところの電球とか変えられるし、全然ひとりで生きていけるじゃん、みたいになって。これじゃたぶんダメだなみたいな。そう思って書いた曲です。

歌詞には、好意を寄せてる人に「誰か紹介して」って言われる場面も出てきますね。それも切ない話です。

ちゃんみな そうなんですよ。この曲はJIGGさんのところでレコーディングしたんですけど、レコーディングしたあとにJIGGさんが「紹介してって言われるのは、気になってるってことだよ。探り入れてるんだよ」って励ましてくれて。それもそれで逆に傷つくみたいな。「ちょっとJIGGさん、やめて」みたいな(笑)。

本作には「Never Grow Up」というタイトル曲が入っていますが、曲とアルバムタイトル、どちらが先なんですか?

ちゃんみな 両方です。アルバムのタイトルを「Never Grow Up」にしたいというのはファーストアルバムの頃から言ってたんです。ハタチになったタイミングで、そういうタイトルのアルバムを出したいって。で、そういうタイトルの曲も作りたいとその頃から思ってたんです。

この言葉にはどんな意味を込めているんですか?

ちゃんみな アルバムタイトルの方は「子どもの心をそのままに」みたいなポジティブな意味でつけました。曲の方は逆にネガティブなNever Grow Upっていうか。心地いい関係だけど成長できてないカップル模様みたいなのを書いたんです。

くっついたり離れたりを繰り返しながらステップアップできない二人。

ちゃんみな そう。実は「LADY」「OVER」「CHOCOLATE」で書いた人は全員同じ人なんですけど、「Never Grow Up」はその人に向けて最後に書いた曲です。

「あれ? 私、昔の方が幸せだったかもしれない」って思っちゃった瞬間があったので、その思いをそのまま書いたんです

ちゃんみな エンタメステーションインタビュー

Grow Upと言えば、「君が勝った」には心の成長を感じたんです。この曲で歌われる“君”は、過去の自分のことなんじゃないかと思ったんですよね。

ちゃんみな 深読みしましたね。言われてみれば、そう思いながら書いたところもあります。いろんな曲で、「私が勝った」ってよく言ってるんですよ。I’m a winner and you’re loserとか。逆にI’m a loserとも言ったこともある。でも「君が勝った」とは言ったことがないんですよ。諦めじゃないけど、相手を認める感情ってすごく大事なことだと思ったんです。

僕もそこが成長の証だと思ったんです。

ちゃんみな まだまだ未熟ですけど、なにが幸せかっていうことが最近わかってきたんです。お金があることが幸せじゃないって昔から言われてるけど、確かにそうだなと思ったり。人気があるとか、インスタにコメントがたくさん来るとか、そういうことでもない。昔の私……夢を追いかけて何か一つに夢中になって頑張っていたときの私の方が勝ってるなとか、別に幸せとか安定を求めてるわけじゃないけど、一般の平凡な暮らしの方が幸せなんじゃないかって思ったり。「あれ? 私、昔の方が幸せだったかもしれない」って思っちゃった瞬間があったので、その思いをそのまま書いたんです。

「アーカイブに保存した曲」も過去を思い出している曲ですね。

ちゃんみな これは完全に地元の曲です。久しぶりに地元に帰って歩いてたら、歌詞がふと浮かんで来て。地元を離れたんで、だからこそ書けた曲だと思うんです。逆に言えば成長したっていうこと。Grow Upしないと気づけなかった素敵なモノがたくさんあるんだなって。

大人になったからこそ気づけた感情ですからね。

ちゃんみな そう。本当にウワーッと思って。歩いてると昔の自分が見えるんです。ちっちゃい自分がそこにお化けみたいに立ってる。初めての彼氏とキスした広場も歩いたんですけど、「あ!」みたいな。見えるんですよ、その光景が。今まで思い出しもしなかった彼との会話とか、そういうのが甦ってきたんで書きました。でも、それを消去はしたくないからアーカイブに保存しようということで、この曲名にしたんです。

大事なチームの人たちに曲を書きたいっていう思いもあったから「じゃあ、ウチのバンドでやっちゃえばいいじゃん」と思って

ちゃんみな エンタメステーションインタビュー

今回のアルバムの中で自分的に新しさ満載な曲はどれですか?

ちゃんみな 新しさ満載という言い方だったら「SAD SONG」だと思います。

バンドサウンドのロックに初挑戦しましたね。

ちゃんみな 大事な人に向けてアルバムを作りたいと考えたときに、現状で本当に大事なものってチームだなと思ったんです。ダンサーもそうだし、バンドメンバーもそうだし、スタッフもそう。で、「I’m a Pop」の取材を受けてるときに、バンドでロック系の曲をやりたいとふと思ったんです。で、大事なチームの人たちに曲を書きたいっていう思いもあったから「じゃあ、ウチのバンドでやっちゃえばいいじゃん」と思って。バンドメンバーが家に来て、本当に組みたてのバンドみたいな感じでデモを作っていきました。

ちゃんみなが言い出しっぺになってチームのスタジャンを作る、みたいなことですよね。

ちゃんみな まさにそういうのがやりたいと思って。やったことがない曲調なんで結構苦戦しましたけど、手作り感があって好きな曲になりました。

そもそも私、夏フェスはワンマンくらい大事にしてるので

今年の夏は、すでに「SUMMER SONIC」や「ROCK IN JAPAN」への出演が決まっていますが、「夏フェス」ってどのようなものですか?

ちゃんみな 夏フェスは私の活動の一部になってきてますね。なんだろ、お正月みたいな感覚があります。

夏なのに?(笑)

ちゃんみな 季節の切り替えみたいな。大体、私、夏フェスの時期が終わると、寒くなってるんですよ。フェスくらいしか夏を感じない。なんで、「あぁ、もう今年も終わりにかかってるんだな」みたいな感覚になるんです。

でも、今年はこのアルバムのリリースが夏だから、始まりの季節になるんじゃないですか。その先にはワンマンライブも期待したいですし。

ちゃんみな 夏フェスではこのアルバムの曲が聴けると思います。そもそも私、夏フェスはワンマンくらい大事にしてるので。今年の夏フェスでは新しい私というか、今後の動きも予想させるライブを見せたいなって思ってます。

Hair & Make Up / Yuko Nozaki
Stylist / Tetsuya Nishimura

その他のちゃんみなの作品はこちらへ。

ライブ情報

【ちゃんみな “PRINCESS PROJECT 4”】

11月14日(木) NHK大阪ホール 
開場18:30 / 開演19:00
Info:キョードーインフォメーション

11月22日(金) LINE CUBE SHIBUYA(旧・渋⾕公会堂)
開場18:30 / 開演19:00
Info:CREATIVEMAN PRODUCTION

チケット代:全席指定¥5,800(税込)
オフィシャルHP 1次先行受付:7/1 (月) 12:00 (抽選)

ちゃんみな

日本語、韓国語、英語を巧みに操るミレニアル世代のトリリンガルラッパー/シンガー。
幼少期よりピアノやバレエ、ダンス、歌を始める。作詞作曲のみならず、トラック制作、ダンスの振り付けなど全てをセルフ・プロデュースで行い、アーティスト活動をスタート。
高校2年生時に制作した「未成年feat. めっし」、「Princess」が高く評価され一躍注目を集め、2017年2月に「FXXKER」でメジャー・デビューし、MVの再生回数は700万回を突破。
代表楽曲にもなった「LADY」と「CHOCOLATE」は、iTunes HIP HOP / RAPチャート1位、LINE MUSICで1位を獲得した。
その後、Girls Award、ULTRA JAPAN、ROCK IN JAPANや2年連続でSUMMER SONICへの出演を果たした後、2018年9月にワーナーミュージック・ジャパンへ移籍。
同月に発売した移籍第一弾シングル「Doctor」は、LINE MUSICで最高2位を獲得し、その風刺的な歌詞と独特な振り付けで、国内外から称賛を受けた。
同年11月には、自身が20歳になる直前の想いを綴った「PAIN IS BEAUTY」を発売し、LINE MUSICで最高3位を獲得。
2019年に入ると、日本語、英語、韓国語での歌唱に初挑戦した「I’m a Pop」をリリースし、キャリア初となる東阪Zeppツアーを行う。
同年4月、国内女性ソロアーティストとして初、「モンスターエナジー」とスポンサーシップを締結し、同年5月には、MTV Asia制作、アジア版「Yo! MTV Raps」に日本人アーティストとして初めて出演を果たす。
国内外問わず、同年代から圧倒的な支持を受ける、今最も注目すべき若手アーティストの一人である。

オフィシャルサイト
http://chanmina.com