Interview

山崎育三郎 “ミラーボール”をテーマにヒャダインと仕上げたカバーアルバムは、育三郎だから描けたアレンジのぶっちぎり感も楽しい1枚

山崎育三郎 “ミラーボール”をテーマにヒャダインと仕上げたカバーアルバムは、育三郎だから描けたアレンジのぶっちぎり感も楽しい1枚

ミュージカルやドラマ出演だけでなく、今年4月には尾上松也&城田優との演劇プロジェクト“IMY(あいまい)”の旗揚げコンサートを行うなど、まさに八面六臂の大活躍。その山崎育三郎が、今度は新しいカバーアルバム『MIRROR BALL’19』をリリースする。
カバーアルバムとしてはこれまでも2作を発表。世代を超えて愛されてきた名曲の数々を見事に育三郎カラーに染め上げ聴かせてくれていたが、今回の染め上げ方はとんでもない。インドのポップ感とラップ+タップまで盛り込んだ美空ひばりの「お祭りマンボ」、現役高校生のラップが挿入されヒップホップになった舟木一夫の「高校三年生」、城田優とのデュエットによるビューティ・ペアの「かけめぐる青春」……。ヒャダインをプロデューサーに迎え“ミラーボール”をテーマに、すべてダンスチューンにアレンジメント。それも50年代以降の各年代を代表するスタイルのダンスチューンになっているのだから、ただただ驚かされる。
誤解を恐れずにいうなら、これまでが素晴らしい歌手・山崎育三郎だとするなら、今作は楽しく面白い歌手・山崎育三郎。縦横無尽にエンタテインメント界で活躍するこの人ならではの、ぶっちぎり感も楽しいカバーアルバムだ。

取材・文 / 前原雅子 撮影 / 荻原大志


“ミラーボールな感じ”の音楽にアレンジするというのがテーマ

山崎育三郎 エンタメステーションインタビュー

今作は、どんなことがきっかけだったのですか。

今回はプロデュースにヒャダインさんが入ってくださることになって、そういう形での制作は初めてだったんで何か面白いことができるといいなと思って。それで漠然とですけど、ミラーボールがテーマのカバーアルバムを作ろう、みたいに話が進んでいきました。

なぜミラーボール?

山崎育三郎にミラーボールが似合うんじゃないかっていうところから(笑)。もともと僕はミュージカル俳優から始まったので、ペンライトを振ったり立ち上がったりすることに慣れていないお客様も多かったんです。でも今年のツアーくらいから、そういうこともだいぶ変わってきて。そんななかで次の自分らしいエンタテインメントを考えたとき、ミラーボールっていうものが出てきたというか。

すると選曲はミラーボールをテーマに。

そうですね。といってもミラーボールな雰囲気の楽曲を集めるというわけではなくて。“ミラーボールな感じ”の音楽にアレンジするというのがテーマだったので。わかりやすいのはミュージックビデオを観ていただくことかもしれないです。曲は「お祭りマンボ」で作っているんですが、内容は今回のアルバムのコンセプトを表現したものになっているので。最初にエルヴィス・プレスリーみたいに出てきて、バブル時代、TikTokの現代っていうように、僕が七変化して各時代に流行ったダンスを踊っていくっていう。

次から次へといろんなファッションに身を包んだ山崎さんが、さまざまなダンスを踊っている、すごく面白いビデオですね。

途中、ギャル男がパラパラを踊ったりしてるし。ただ撮影は大変でしたね、あれだけ着替えて、いろんな踊りをやるとなると(笑)。

「お祭りマンボ」なんかも、おばあちゃんが歌ってたのを聴いてたのかな

山崎育三郎 エンタメステーションインタビュー

その「お祭りマンボ」もそうですけど、収録曲は山崎さん世代ではない曲のほうが多いくらいですね。

今までカバーしてきた曲は「君薔薇(君は薔薇より美しい)」のような昭和歌謡もありましたけど、わりと2000年代の曲が多かったんですね。でも今回は1950年代、60年代、70年代、80年代、90年代と、世代を超えた名曲が入ってるんで。そういう曲を令和の今のアレンジにしてみたらどうなるのか、っていうのもコンセプトになっていました。今の世代の人が知らない名曲ってたくさんあるじゃないですか。そういうものを新しく提供したら、楽しんでもらえるんじゃないかなと思って。だから最初はすごい数の候補曲で。それを実際に歌ってみて、作りながら決めていったような感じです。

ボーナストラックを含めると13曲収録されていますが、制作に入る前から知っていた曲は何曲くらいありますか。

「Relight My Fire」以外は全部知ってました。歌ったことはなくても聴いたことがあったり。うちは母も祖母も歌が上手で、よく一緒にカラオケに行ったりしてて。だからわりと昔の歌を聴いて育ったところもあるんですね。「お祭りマンボ」なんかも、おばあちゃんが歌ってたのを聴いてたのかなぁ……。気づいたら自分のなかにあるメロディーでしたね。

「高校三年生」もおばあちゃん経由ですか。

これは高校の社会の先生が、授業の頭にかけてた曲なんですよ。

えっ、この曲を?

そう(笑)。すっごいキャラクターの濃い個性的な先生で。高3になったら、毎回、「高校三年生」を流してから授業がスタートするっていう。最初は「なんだこれ?」って思ってたんだけど、1年間ずっと聴いてたんで覚えちゃって。それをカラオケで歌うと、おばあちゃんが喜ぶみたいな(笑)。

途中で入ってくる現役高校生のラップが効果的で面白いですね。時空を超えて高校生が一緒になってるような感じで。

あの時代の高校生と今のスタイルをコラボさせたらどういう空気になるんだろうっていう、ヒャダインさんのアイデアで。また新しいチャレンジができた曲になりましたね。

「かけめぐる青春」は(女子プロレス界のアイドル的存在だったビューティ・ペアの楽曲)、デュエット曲というところから城田優さんと歌うことに?

この曲は、ヒャダインさんが初めからやりたいと言ってくださってて。しかもやるんだったら城田優とって。城田優と山崎育三郎がビューティ・ペアっていうのが絶対面白いって。

実際に歌ってみてどうでしたか。

すぐ終わりました、レコーディングは(笑)。優とはミュージカルをはじめずっと一緒に歌ってきてるので。お互い、相手がどう歌うかわかってますから。またヒャダインさんが考えてきた掛け合いのセリフもあって。どうもそこまでイメージがあったみたいです。

自分はこういう雰囲気を作れるんだ、こんな声もあるんだっていうことに気づいた

山崎育三郎 エンタメステーションインタビュー

今回歌ってみて印象に残った曲ということではどうですか。

「モンキー・マジック」ですね。全部英語で歌ってるんですけど、歌唱的にもあそこまでロックな歌い方は初めてだったので。こういうタイプの楽曲だと、自分はこういう雰囲気を作れるんだ、こんな声もあるんだっていうことに気づいたというか。そういう意味ですごく新鮮でしたね。あと「フレンド・ライク・ミー」も挑戦でした。

映画『アラジン』でジーニーが歌っている曲ですね。

誰もがイメージするのは、山寺宏一さんが歌っているバージョンだと思うんです。もうそれ以外は認めない!くらいの感じで。だからこそ大きなチャレンジだと思ったし、どういうふうに歌ったらいいか、かなりヒャダインさんと話し合ったんです。でも手前味噌ですけど、すごく面白いものができたと思って。山寺さんのジーニーでもない、自分にしかできない新しい「フレンド・ライク・ミー」が作れたなって。

この曲でキャラクターがどんどん変わっていくところは、ミュージカルをやってきた山崎さんだからこそだと思いました。

やっぱり僕は役者でもあるんで、そういうところが一番出せた曲だと思いますね。七変化というか、ヒャダインさんがフレーズごとにキャラクターを決めて、それを僕が演じるスタイルで録ったんですけど。このレコーディングはほんとに面白かったですねぇ。

かと思えば「雨に唄えば」では女性になっていますね(笑)。

ははは、普通には歌わない。女性のパートも自分で歌って、女性と男性のデュエットみたいな形にしてるんで。ちょっとディズニーランドのエレクトリカルパレードみたいなアレンジになってますし。

自分にできる表現を探すという意味でいうと、今回のアルバムは自分がやりたかったことに一番近いかもしれない

山崎育三郎 エンタメステーションインタビュー

「フレンド・ライク・ミー」「雨に唄えば」に限らず、今回はボーカリストとしての遊び心もいろんな形で現れた作品ですね。

曲によって歌い方も全然違いますからね。でもそれが総合的に山崎育三郎の表現なんじゃないかって、改めて思いました。今回はヒャダインさんと一緒に今までの山崎育三郎にないものを作りたい、いろんなことをすべて超えていきたい、そのサプライズや挑戦してるところも伝えたい、というところからスタートしたので。

そのチャレンジ精神のようなことは、毎回のことですよね。新作を聴くたびに、今回はこう来た!と思いますから。

そうかもしれないですね。今はミュージカル俳優であり、歌手であり、ドラマにも映画にも出て、声優もやって、バラエティーもやって、ディナーショーもやって、というようにいろんなエンターテインメントをやっているのが自分なので。ミュージカル俳優、歌手みたいなジャンルの垣根を越えたいし、もうルールはなくていいんじゃないかなって思っていて。そういう、自分にできる表現を探すという意味でいうと、今回のアルバムは自分がやりたかったことに一番近いかもしれない。一つにとどまらないのが自分の表現、というアルバムが作れたことは大きかったと思います。

29歳で出会った『下町ロケット』をきっかけに、ミュージカル以外のテレビの仕事にもチャレンジしてみようと思ってから、いろんな作品と出会えて

山崎育三郎 エンタメステーションインタビュー

一つにとどまらず自由に表現したいと強く思うようになったのは、いつくらいからですか。

この数年、ミュージカル以外の仕事をやらせてもらうようになってからですね。それまではミュージカルしかやらないって決めていたし、それ以外に興味を持てなかったんで。でもそうやって自分で決めてると、それ以上の出会いもないし、自分で自分の可能性を狭めてしまうんですよね。だけど29歳で出会った『下町ロケット』をきっかけに、ミュージカル以外のテレビの仕事にもチャレンジしてみようと思ってから、いろんな作品と出会えて。歌手活動もスタートさせてみたら、自分はこういう表現ができる、こういう声も出せるって、また新しい自分に出会える喜びみたいなのがあって。

いい意味で自分のたがが外れた。

そうですね。ミュージカル界に12歳で入って29歳までやってきて、さらに広くチャレンジしたくなったというか。また目標にしてた『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『モーツアルト!』『エリザベート』という舞台すべてに、29歳までに立てたので。でもミュージカルは歌とお芝居とダンスっていう三つの要素を同じだけできなきゃいけないので、そこで生きてきたから今の広がりがあるとも思ってます。だからこそミュージカルに戻ったときに、自分ももっともっと成長できるんだと思うんですよね。

そういう意味でいうと、今回のアルバムは今の山崎さんそのものな感じの作品ですね。

そうですね。一つのところにとどまってない感じ、ありますよね。

そういうアルバムのボーナストラックにピアノ伴奏だけで歌う「マイ・ウェイ」というのが、いいですね。

これは今回のアルバムのコンセプトとは違う1曲ではあるんですけど。やっぱり1曲はしっとりと自分の声だけで聴いていただけるような曲を入れたいっていうのがあって。ピアノの横に立って、せーので一発録りで録ったんです。ツアーで一緒にやってきてるピアノの(宗本)康兵さんとは息もぴったり合うので、まるで2人で会話してるような感じのテイクになったと思います。

「マイ・ウェイ」はまさに今の自分だと思いました

山崎育三郎 エンタメステーションインタビュー

深読みかもしれないですけど、斬新で遊び心のあるアレンジとボーカルに彩られた12曲を聴いたうえで「マイ・ウェイ」を聴くと、歌う覚悟みたいなことを感じますね。

そう捉えていただけたら嬉しいです。そういう意図もあって最初と最後に短いインスト曲をオーバーチュアとして付けたので。ミュージカルによくある手法なんですけど、舞台の幕開けと終わりのようなイメージで、ここからここまでが本編という感じにしていて。でも「マイ・ウェイ」はまさに今の自分だと思いました。“私には愛する歌があるから 信じたこの道を私は行くだけ すべては心の決めたままに”っていう歌詞のなかに、自分の今の想いがすべてある。……ヒャダインさんからも、今感じるものをすべて歌に乗せてほしいと言われたんですけど、そういう歌になりましたね。

ヒャダインさんとの制作はいかがでしたか。

めちゃくちゃ楽しかったです。一緒にお芝居を作ってるような感覚になるディレクションで。ヒャダインさんは相手の一番深いところを掘り下げるというか、そこから引き出すような人なので。ミュージカルでご一緒した演出家の宮本亜門さんのディレクションに通じるというか。一緒に作品を作るパートナーとして最高だと思いました。パフォーマンスする人の気持ちをわかってくださるし、すごくオープンな気持ちにさせてくれるし、ヒャダインさん自身もすごく楽しみながらやってるのも伝わってくるし。あとアイデアが素晴らしいです。一つ一つの発想があまり人が考えないような、アーティストだなって思う瞬間もある、素晴らしいプロデューサーですね。とにかく一緒にできてよかったです。

そういうディレクションに触発されて、山崎さんのなかからこれまで出てこなかったものまで出てきたり。

もうそんなんばっかりでした。

ライブは正直、大変だと思います。今回は踊りも入れたいんで、これだけ歌いながら踊るって、ねぇ(笑)。

それにしても、このアルバムのツアーはどんなことになるんでしょうね。盛り上がらないでどうする的な収録曲揃いですし。

すごいことになりそうですよね(笑)。ただライブは正直、大変だと思います。今回は踊りも入れたいんで、これだけ歌いながら踊るって、ねぇ(笑)。でも今までで一番盛り上がる、お客様を巻き込んたライブにはなると思いますので、ぜひ楽しみにしてほしいです。

その他の山崎育三郎の作品はこちらへ。


「山崎育三郎カバーアルバム「MIRROR BALL’19」リリース記念イベントミニLIVE&特典会」

イベント内容:ミニLIVE & 握手/ポスターお渡し会
7月4日(木) ・18:00~ タワーレコード渋谷店 B1F「CUTUPSTUDIO」
7月6日(土) ・1部:13:00〜 ・2部:16:00~ イオンレイクタウンkaze 1F光の広場(埼玉県越谷市)

「UNIVERSAL MUSIC STORE 限定特典『MIRROR BALL’19』プレミアムイベント」

2019年8月3日(土) / 8月17日(土)
*詳細はオフィシャルサイトで

ニッポン放送「山崎育三郎のI AM 1936」presents THIS IS IKU 2019

2019年10月11日(金) 18:00開場/19:00開演
東京国際フォーラム・ホールA
【出演】山崎育三郎/ and more

山崎育三郎ファンクラブプレミアムイベント

<第一部>「YAMAZAKI IKUSABURO Premium Live 2019 〜Thanksgiving〜」
【日時】2019年11月3日(日) 開場12:00 / 開演12:30
<第二部>「YAMAZAKI IKUSABURO Premium Dinner Show 2019〜My favorite musical〜」
【日時】2019年11月3日(日)開場18:00 / ディナー18:30 / 開演20:00

山崎育三郎LIVE TOUR 2020 〜MIRROR BALL〜

2020年1月・2月全国ツアー開催

ミュージカル『エリザベート』

ルイジ・ルキーニ役
帝国劇場
2019年6月7日(金)~8月26日(月)
https://www.tohostage.com/elisabeth/

山崎育三郎

俳優、歌手。1986年1月18日生まれ、東京都出身。A型。
2007年、ミュージカル『レ・ミゼラブル』のマリウス役に抜擢。以降、ミュージカル俳優として活動。2015年、ドラマ『下町ロケット』(TBS系)真野賢作役で、一躍注目を浴び、ドラマ『あなたのことはそれほど』ではミステリアスな同僚を演じるなど幅広い演技をみせ、個性派俳優として活躍。2017年7月期には金曜ナイトドラマ『あいの結婚相談所』(テレビ朝日系)主演藍野真伍役を演じ、更に8月16日に自身初めてのオジリナルシングル「Congratulations / あいのデータ」をリリース。
2018年10月期ドラマ10『昭和元禄落語心中』(NHK総合)では、天才落語家助六役を演じ、『第14回コンフィデンスアワード・ドラマ賞』助演男優賞。
2019年1月から、オリジナル・アルバム『I LAND』を引っさげ、2019年1月からスタートしたツアー「山崎育三郎LIVE TOUR 2019 〜ILAND〜」も無事終了。
2019年4月12日公開の劇場版『名探偵コナン 紺青の拳』レオン・ロー役でゲスト声優を担当。5月には、テレビ朝日開局60周年記念5夜連続ドラマスペシャル『白い巨塔』(テレビ朝日系)国平幸一郎役で出演。
現在、ミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役として出演中。

オフィシャルサイト
http://www.ken-on.co.jp/1936/

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