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橘 龍丸&三浦海里の友情が生み出すハーモニーが物語に深みを与える。『誰ガ為のアルケミスト 舞台版「聖石の追憶」』大ヒット終演!

橘 龍丸&三浦海里の友情が生み出すハーモニーが物語に深みを与える。『誰ガ為のアルケミスト 舞台版「聖石の追憶」』大ヒット終演!

全世界で900万ダウンロードを突破した本格タクティクスRPG『誰ガ為のアルケミスト』が『誰ガ為のアルケミスト 舞台版「聖石の追憶」』として初めて舞台化された。6月26日(水)から30日(日)まで博品館劇場にて上演された本作の出演者、プロデューサーによる囲み取材の模様と公開ゲネプロのレポートをお送りする。

取材・文・撮影 / 西森路代


このメンバーだからこそつくれた『誰ガ為のアルケミスト』

囲み取材に登壇したのは、企画・プロデュースの今泉 潤、出演の橘 龍丸、花影香音、三浦海里、末永みゆ、遊馬晃祐、小笠原 健、中村誠治郎の8名。

まず今泉 潤が「今年は“タガタメ”イヤーとして、ゲームユーザーの方にいろんな体験をしてもらおうということで、映画化したり、小説にしたり、舞台にしたりということをしてきました。ゲームユーザーと舞台にくる観客というのは、家でプレイするのと、劇場に赴くということでも真逆だと思うんですが、舞台ならではの熱いものを、ゲームユーザーの皆さんにもちゃんと届けられたら。3年半続いた“タガタメ”を、新しい“タガタメ”として、何かメッセージや熱いものを持って帰って欲しいですし、このメンバーだからこそそれをつくれたんじゃないかと思います」と、熱い気持ちを語った。

劇中、勇猛な皇帝・オライオンを演じた小笠原 健は、そんな今泉の発言を受けて「素晴らしいですよね、今泉さんの情熱があったからこそ、ここまでこれたと言っても過言ではない。僕たちもそのパワーに引っ張られて、お酒を飲みながら、ああしようこうしようとやってきました」と話す。

また、主人公のクダンシュタインを演じた橘 龍丸も「今泉さんが情熱的なので、本読みが終わってからも、もう一回台本を改めて考えてくださった。役者陣にとっても、ゲームと舞台の距離感を考えるなどと難しいところもあったのですが、個人個人でディスカッションをしながらつくり上げてきました」と稽古を振り返る。

クダンシュタインと義兄弟の契りを結ぶクウザは、舞台版だけのオリジナルキャラクター。クウザを演じた三浦海里は「クウザという人物は、当初は任侠感を持った人物ってことになっていたんですけど、どちらかと言うと任侠感というよりは、粋な男になったと思います」と語る。
今泉が「最初は(中村)誠治郎さんと『任侠ってものをわかってるのか? 殴り合いのケンカをしたことがあるのか?』という会話をしていて、(三浦が)『ない』ということだったので、それじゃあ、海里がやる一番かっこいいものは何かということを探って出来上がったキャラクターです」と、その経緯を明かした。

中村誠治郎は自身の演じた騎士団長・ザインの衣裳が白一色なことから「自分の中の黒い性格を全部白で覆いつくして、本番では騎士団の団長として、光をイメージできたらなと思います」と、その場を笑わせる場面もあった。また、中村は殺陣の振付もしており、「緻密な立ち位置で計算してやっているし、ストーリーを重視した殺陣を付けたので、お客さんが気持ちを込めて見れるようになっていると思います」と語った。

さらに衣裳について聞かれると、カノン 役の花影香音は「衣裳に星が描かれていてキラキラしているのがポイントかなと思います」、カグラ 役の末永みゆは「セクシーなところが特徴。ワダツミ出身のキャラクターは、クウザやチハヤも含めて、和な感じがありますね」、オーティマ 役の遊馬晃祐も「ターンをすると、中の布がひらひらと見えるんですよ。そこが結構好きで、舞台でもたくさん見せられると思う」と、それぞれがコメントした。

最後に見どころを聞かれ、が「このカンパニーの誰が欠けても完成しなかったと思う瞬間が多々ありました。それぞれの正義、それぞれの誓いを胸に、熱量を落とさずここまでやってきましたので、じっくりご鑑賞ください」と語り、今泉も「とにかく、観て胸が熱くなるようなものをつくったし、今までとは違う体験ができるような舞台がつくれたと思う」と熱いコメントで囲み取材を締めた。

愛しいものを守ることが力になる

この物語の舞台は、バベルの塔を臨む大地・バベル大陸。そこには、絶対正義の名のもと、大陸の平和を守るために戦う「聖教騎士団」が存在した。聖教騎士団のメンバーは、「錬金術」の才能を持っていたが、その中でもひと際秀でた力を持つ、「魔槍の黒騎士」と呼ばれているのが、クダンシュタイン(橘 龍丸)だった。

クダンシュタインがかつて駆け出しの聖教騎士であった頃、「ワダツミ」という国で遊学をしていた。そこで、ワダツミの青年・クウザ(三浦海里)と出会うが、遊学を終えてふたりは離れ離れに。そして時は経ち、クダンシュタインは任務で駆けつけた地で、クウザと再会するのだが……。

このふたりの再会のシーンから舞台はスタートする。やがてクダンシュタインとクウザの友情の成り立ち、そして、現在と過去のワダツミの状況などが、次々と明らかになっていき、ゲームを知らない観客も物語にすんなり入り込むことができた。

団長としてのクダンシュタインは、人に深入りをしない。そのためクールぶっている人間だと、団の仲間からは思われている。しかし、そんなクールで人に深入りをしないクダンシュタインが、遊学中に出会ったクウザに心を開いて「義兄弟」になっていく過程を描く回想シーン、ふたりの友情の歳月には特に惹きつけられるものがあった。

ふたりは、いつも剣を交えて真剣勝負をしているが、クダンシュタインはクウザに勝てることがなかった。そんなとき、クダンシュタインはクウザから「お前は俺しか見ていない。周りを見ないでいる」と指摘される。クウザはつねに「くだらねえもの」にも目をやるのが主義主張で、「くだらんものに目を向けると、すべてが愛しくなる」と考え、“愛しい者”を守ることが力になるという考え方を持っている。そして、クダンシュタインは「人々が安心して暮らせるように、世界が平和であるため」に騎士団にいると語り、「ふたりで強くなればすむことだ」と兄弟の契りを結び、正義を貫くことを誓い合う。
このシーンを観ていると、先の囲み取材で、クウザが「任侠の人だ」と三浦が話していたことが納得できた。

クダンシュタインとクウザの力に対しての考えや、彼らが“誰が為に”生きているのかがあるように、ワダツミを一夜にして侵略した「獅子王」オライオン(小笠原 健)にも、彼なりの“力”に対する考えと“誰が為に”闘うかの矜持がある。それが決して善ではなくとも……。
グリードダイクの皇帝で、王でありながらも自ら戦場に立つことを辞さず、無類の強さを誇るオライオンの場合は、クウザの「くだらないものを守る」という思いや、クダンシュタインたち聖教騎士団の“絆”をくだらないと一笑に付し、彼自身は「高みを目指さぬ弱者」を切り捨てる、“力”しか信じない弱肉強食の考え方の持ち主であった。

物語に流れるこれらの“力”に対する考え方の違いがキャラクターにも生かされていたが、アクションもそれぞれの“力”に対する考え方に沿った殺陣の連続で、囲み取材で中村誠治郎の言っていた「ストーリーを重視した殺陣」「任侠っていうものをわかっているのか」という言葉が思い出された。

そのほかにも、見どころは多い。劇中には「女が強い師団と言われるが」という台詞があるが、本作の女性キャストは、アクションも華麗で、それぞれにキャラクターもバリエーション豊かであった。ワダツミの出身で高貴な雰囲気を感じさせながらもとにかく明るい考えの持ち主のカグラ(末永みゆ)に、自らが力を身につけバシーニ(山口大地)というちょっと謎めいた部下を持つこととなったカノン(花影香音)。第一騎士団長で優雅ながら2本の剣を華麗に操るヤウラス(梅田 悠)と、第二騎士団長で「非効率」が嫌いな弓使いのセーダ(花奈 澪)のふたりが共に戦うコンビネーションも華麗であった。ワダツミの巫女のチハヤ(石川志織)も舞を舞ったり、感情を込めた演技で物語の重要な部分を担っていた。

シリアスに進む物語のなかで、オーティマを演じる遊馬晃祐と、モンゼインを演じる伊勢大貴による、アドリブたっぷりと思われる一場面で、客先はなごんだ。飄々とした雰囲気で伊勢を翻弄する遊馬に、そのままオーティマのキャラクターが重なって見えた。

全体を振り返ると、新キャラクターに物語のカギを握らせることで、ストーリー展開にも厚みをもたすことができ、またクウザ、主人公のクダンシュタイン、そして立ちはだかるオライオンに「力とは何か?」という考え方の違いを持たせたことで、ゲームファンにも、ゲームをやっていない人にも、今泉が囲み取材冒頭で話していたように何かを投げかける舞台になっていたのではないだろうか。

『誰ガ為のアルケミスト 舞台版「聖石の追憶」』

2019年6月26日(水)〜6月30日(日)博品館劇場

STORY
バベルの塔を臨む大地・バベル大陸にて──。
絶対正義の名のもとに、大陸の平和を守るために戦う「聖教騎士団」。突出した「錬金術」の才を持つ聖教騎士団の中でも、一際秀でた力を持つ、魔槍の黒騎士「クダンシュタイン」。彼は任務で駆けつけた地で、かつての友「クウザ」と再会する。
それは、まだ「ワダツミ」が平和な島国であり、クダンシュタインが駆け出しの聖教騎士であった頃……。遊学先のワダツミにて、クウザと出会ったクダンシュタイン。二人は親睦を深め、共に大陸の未来を語り明かす。だが、バベル大陸の歴史が語る通り、ワダツミは“獅子王”「オライオン」による侵略を受け、一夜にして滅亡する。
「正義を貫き、必ずおライオンを討ち果たさん」
無慈悲な殺戮からワダツミの民を守る為、ふたりは誓い――獅子王「オライオン」の軍勢に挑んだ。だが圧倒的な力を前に、ふたりが誓った未来は、あっけなく崩れ去る。
為す術もなく敗れた無力感は、力への飢えとなり、“彼”の心に、決して消えることのない深い「闇」を落とした──。

原作:今泉 潤 / FgG『誰ガ為のアルケミスト』
主催:Amane / gumi
脚本・演出:宮城陽亮
制作:ファイズマンクリエイティブ レジェンドステージ
企画・プロデュース:今泉 潤

出演
クダンシュタイン 役:橘 龍丸
カノン 役:花影香音
クウザ 役:三浦海里
カグラ 役:末永みゆ
オーティマ 役:遊馬晃祐
モンゼイン 役:伊勢大貴
バシーニ 役:山口大地
ヤウラス 役:梅田 悠
セーダ 役:花奈 澪
チハヤ 役:石川志織
オライオン 役:小笠原 健
ザイン 役:中村誠治郎
舞闘兵団 役:大岩主弥 工藤博樹 福島悠介 望月祐治 石岡遼士 高見彩己子 篠原孝文

©誰ガ為のアルケミスト 舞台版「聖石の追憶」製作委員会

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