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能條愛未があなたの心の闇を照らす光になる。ミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』大ヒット上演中!

能條愛未があなたの心の闇を照らす光になる。ミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』大ヒット上演中!

6月29日(土)より、シアターGロッソにてミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』が上演されている。
本作は、昨年3月に舞台化されたミュージカル『少女革命ウテナ~白き薔薇のつぼみ~』の第2弾にあたる。前作から天上ウテナ 役に能條愛未、姫宮アンシー 役に山内優花ら続投組と今作から出演する役者陣で構成される前作とは違うカラーになったカンパニーが届ける新作ミュージカル。なお、今作も脚本・演出は吉谷光太郎が手がける。
鳳学園高等部の天才・御影草時(徳山秀典)がウテナの親友である篠原若葉(竹内 夢)や有栖川樹璃(立道梨緒奈)の幼馴染である高槻枝織(朝倉ふゆな)たちの心の闇を操り、黒薔薇のデュエリストに仕立ててウテナを追い詰める、原作でも人気の高い「黒薔薇編」を描く。
そんな舞台のゲネプロと囲み取材が行われた。

取材・文・撮影 / 竹下力


物語を照らし出す、天上ウテナの存在感

ミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』 エンタメステーションレポート

「他人の不幸は蜜の味」とは誰が言ったのだろう? 私たちは日常の中でとても窮屈で深い暗闇の世界に押し込められ、必死にもがいている。だからこそ、私たちが救済を求める対象は、己より大きな心の闇を持った他人になる。私たちは自分よりも巨大な心の暗黒に飲まれてしまった人たちを見て安心する生き物なのだ。コミュニケーション不全、憎悪、自己嫌悪、孤独、痛み、寂しさ、そういった感覚に溺れている人たちを眺めながら、「ああ、ここに私よりも苦しんでいる人たちがいるから大丈夫だ」と思ってしまう。それは生贄を求めているのかもしれない。私たちはそうやって、他者を貶めることでしか、生きられないのだろうか?

いや、日常生活にふてくされた私たちの姿勢に断固としてNOを突きつけてくれる存在がここにいる。それが天上ウテナ(能條愛未)だ。今作はそんな彼女の佇まいを真正面から肯定する骨太な舞台であった。

ミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』 エンタメステーションレポート

物語は、前作でウテナが「薔薇の花嫁」の姫宮アンシー(山内優花)とエンゲージし、鳳学園高等部の生徒会メンバーとの死闘を制するところから始まる。そして、壮絶な戦いをくぐり抜けたウテナは、アンシーから兄である鳳学園理事長代行の鳳 暁生(吉岡 佑)を紹介され、新たな学園生活を謳歌しようとしていた。一方、ほころびを見せた生徒会も、天真爛漫な桐生七実(鈴木亜里紗)の呼びかけで活動を再会させていく。
つかの間の平和が学園に訪れようとしていた。しかし、突如としてウテナの元に決闘の果たし状が届く。相手は胸に黒薔薇を刺し、黒い「薔薇の刻印」の指輪をはめた薫幹(樋口裕太)の双子の妹・薫梢(田上真里奈)であった。兄への屈折した愛情をアンシーへと転嫁し、ウテナに襲いかかってくる。複雑な想いを抱きながらウテナは彼女に勝利するも、高槻枝織(朝倉ふゆな)や篠原若葉(竹内 夢)といった友達たちもウテナに決闘を申し込んでくる。彼女たちはみな一様に、妬みや嫉妬を身体中から発散させていた。
いったいなぜ? そんな時にちらつくのは、高等部3年で、御影ゼミ(黒薔薇会)を主宰する天才・御影草時(徳山秀典)と御影のパートーナーである千唾馬宮(こんどうようぢ)の姿だった……。

ミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』 エンタメステーションレポート

まず特筆すべきは、前作以上に研ぎ澄まされたダンス、殺陣、歌のハーモニーが格段にレベルアップしていることだ。一部の隙もない見事な仕上がり。しかも、基調になっているテーマは、前作と同じく、世界、革命、運命、絶対、というどこまでいっても見果てぬ言葉の答えを求めて疾走している少女・少年たちの飽くなき青春を活写している。なので、今作からでも、前作からワクワクしながら観劇した人も、十分に楽しめる。誰にでも当てはまる節が満載のストーリーとなっている。

さらに今作は、シアターGロッソという縦に長い舞台機構をめいいっぱい使い、紗幕に映る巨大な影を巧みに操りながら、役者たちの心の闇を色とりどりのライトが照射することで浮かび上がる人間の根源的なモヤモヤした感情の発露を際立たせている。前作同様、少女・少年たちの思春期の成長主題を扱った普遍的な作品ともいえるだろうが、いずれにせよ、そのモヤモヤが晴れることで彼女・彼は成長するのだ。原作には欠かせないナンセンスなギャグも盛りだくさんで、影絵少女(熊田愛里)が繰り出すシュールなネタは心にクリティカルヒットをもたらしてくれる。それ以上に、ウテナの決闘シーンの前には、あのロック・オペラ調の音楽「絶対運命黙示録」が客席を圧倒し、キャスト一同で歌われると、いやがおうにでもテンションが高まる。

ミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』 エンタメステーションレポート

脚本・演出の吉谷光太郎は、ウテナシリーズでも人気の高い「黒薔薇編」を緻密でいて大胆に再現させながら、台詞から歌をスムーズに転調させることに成功し、ミュージカルとしての醍醐味を舞台上に活き活きと体現していた。なおかつ、彼の演出の特徴であるアンサンブルさえも役者のひとりであるという平等主義に貫かれた、マンパワーの八面六臂の働きがこの舞台の根幹を支えていた。吉谷の手腕が思う存分発揮された舞台でもあるし、毎作品、驚きに満ちた仕掛けを作ってくれて頼もしい。

ミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』 エンタメステーションレポート

ウテナの能條愛未は、台詞の言い回し、殺陣、歌が前作から段違いにスケールアップしていた。彼女は急加速しながら成長する女優なのだとつくづく感心させられる。彼女は心の闇に支配された友達に対するアンチを演じて、悩みながらも明るく前向きに彼らを助けることで、舞台をポジティブなヴァイヴでキラキラと光り輝かせて、多感な少女・少年たちのミューズになっていたと思う。

ミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』 エンタメステーションレポート

その対をなすのが、御影草時の徳山秀典であるが、彼がネガティブな演技に終始することで、この舞台に必要な“希望”の在りどころを示してくれる灯台守のような役割を果たしていた。それを影から支える千唾馬宮のこんどうようぢの献身的な演技や、鳳 暁生の吉岡 佑のフィクサーとしての怪しい芝居も今作においては見どころだろう。

ミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』 エンタメステーションレポート

生徒会の西園寺莢一の吉澤 翼、有栖川樹璃の立道梨緒奈、薫幹の樋口裕太の、一般の生徒からは憧れであり、その立場に反感を買い、やがて嫉妬に変わり、ついに闇に取り込まれて自らの心の弱い部分をさらけ出す迫真の演技は、前作以上にキャラクターに奥行きと深みを与えていた。そして、姫宮アンシーの山内優花のネガにもポジにも染まらない中立的な演技は、この舞台の分水嶺となっていて、決して派手なアクションがあるわけではないのに、異様な存在感を放っていた。なにより、第1弾と同様に彼女の歌のファルセットは美しかった。

ミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』 エンタメステーションレポート

ウテナに襲いかかる負の感情は、目を背けたくなるほどネガティブである。しかし、それをはねのけ、仲間と助け合うことで、少女・少年たちは革命の本当の意味を知る。変化を恐れる必要はない、変化をしたいと願い、変化をした己を感じることが大切なのだと教えてくれる。今作は、どこか人を非難することでマウントを取ろうとしたがる現代日本へのアンチテーゼでもある。さあ、舞台が終わったら、声高に叫びながら街に繰り出せ。「Don’t think, feel!」(考えるな。感じろ!)。

何回観ても新たな発見が生まれる

ミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』 エンタメステーションレポート

この舞台の前に、囲み取材が行われ、能條愛未、山内優花、吉澤 翼、立道梨緒奈、樋口裕太、吉岡 佑、徳山秀典が登壇した。

ミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』 エンタメステーションレポート

まず、前作から変わった点、今作の特徴を尋ねられ、第1弾からの続投となる能條愛未は「今回から新たに加わったキャラクターの個性が強く、彼らが物語を面白くかき乱して、ウテナの独特の世界観をさらに濃厚にしてくれると思います」と語った。

ミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』 エンタメステーションレポート

ウテナと対立する役を演じることについて、徳山秀典は「僕が演じる御影草時は、感情をあまり表に出すことはないので、歌ひとつにしてもしっかりとみなさんに届くように歌おうと心がけました」とコメントした。

今作の見どころを問われ、樋口裕太は「今回は3度観れば『なるほど』と納得していただけるほど重層的な作品なので、何回観ても新たな発見があると思います」と述べ、立道梨緒奈は「原作のアニメの世界が忠実に再現されています。前作よりもキャラクターが増えて人間模様が緻密に描かれているので、瞬きをせずに観てください」と語った。

一方、吉澤 翼は「アンサンブルの方達が本当に頑張ってくださるので、ダンスも見どころです」と語り、吉岡 佑は「ワンシーンの中に2、3個のストーリーがスピーディーに展開されて目が離せないと思います」とコメントし、山内優花は「今回の物語はキャラクターの心の闇を利用して決闘が行われますが、その闇はお客様にも重なる部分があると思うので感情移入ができると思います」と語った。

ミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』 エンタメステーションレポート

そして、徳山は「曲がたくさんありますが、それらすべてに感動できると思います。映画に流れるような曲や黒薔薇を象徴するような暗い曲が物語に沿って流れているので、ミュージカルらしい作品になっています」とコメントし、最後に能條は「人には言えない秘密や邪悪な部分が出ていて、それをミュージカルでしかできない方法で表現していると思います。心がキリキリするシーンがあるかもしれませんが、その感覚を大切に心にしまって楽しんでください」と述べて囲み取材は終了した。

ミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』 エンタメステーションレポート

公演は6月29日(土)から7月7日(日)までシアターGロッソにて上演される。また、11月20日(水)には、本作のBlu-rayとDVDの発売が決定した。詳細は公式ホームページをチェックしよう。

ミュージカル『少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜』

2019年6月29日(土)~7月7日(日) シアターGロッソ

原作:ビーパパス
脚本・演出:吉谷光太郎
スーパーバイザー:幾原邦彦
主催:ミュージカル「少女革命ウテナ」製作委員会
企画・製作:エグジットチューンズ/ポニーキャニオン
制作:ポリゴンマジック

出演
天上ウテナ 役:能條愛未
姫宮アンシー 役:山内優花
西園寺莢一 役:吉澤 翼
有栖川樹璃 役:立道梨緒奈
薫幹 役:樋口裕太
桐生七実 役:鈴木亜里紗
篠原若葉 役:竹内 夢
高槻枝織 役:朝倉ふゆな
薫梢 役:田上真里奈
影絵少女 役:熊田愛里
千唾馬宮 役:こんどうようぢ
鳳 暁生 役:吉岡 佑
御影草時 役:徳山秀典
仲田祥司
多田 滉
後藤光葵
吉田瑞貴

オフィシャルサイト
http://musical-utena.com
オフィシャルTwitter
@musical_utena

©ビーパパス・さいとうちほ / 小学館・少革委員会・テレビ東京
©ミュージカル「少女革命ウテナ」製作委員会

コミック『少女革命ウテナ』