LIVE SHUTTLE  vol. 355

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BABYMETAL 全編3人編成フォーメーションが復活した、2019年初のワンマンを振り返る。

BABYMETAL 全編3人編成フォーメーションが復活した、2019年初のワンマンを振り返る。

『BABYMETAL AWAKENS – THE SUN ALSO RISES -』
2019年6月29日 横浜アリーナ

BABYMETALが、6月28日、29日に神奈川・横浜アリーナでワンマンライブ『BABYMETAL AWAKENS – THE SUN ALSO RISES -』を開催した。BABYMETALの2019年初となる今回のワンマンは、全編3人編成フォーメーションの復活や、タイの人気ラッパー・F.HEROをフィーチャーした「PA PA YA!!(feat. F.HERO)」をはじめとする新曲の初披露があった。さらには、10月11日に待望の3rdアルバム『METAL GALAXY』の世界同時リリース、9月から開始するワールドツアーで11月に埼玉と大阪公演が開催されることが発表されたりと話題盛りだくさん。BABYMETALの新たな戦いの始まりとなったワンマンライブの29日の模様をレポートする。

まずは、昨年のワールドツアーを振り返ろう。正直、BABYMETALにとっての2018年は明るい話題ばかりではなかった。衝撃のYUIMETALの脱退があり、SU-METALとMOAMETALは複数のダンサーとライブを作り上げた。ダークサイドに引き込まれたこれまでと違うスタイルのライブも決して悪いものではなかったが、タイミング的にどうしても違和感を感じてしまったのも確かだ。ただそれは、BABYMETALの歴史において必要な時期だったのかもしれない。ツアーを行い困難な状況を乗り越えていったことは、メンバーの自信につながったはず。そうした時期を経ての、新たな夜明けとなる戦いが今回のライブだ。

BABYMETAL エンタメステーションライブレポート

オープニングの映像から、結成当時を彷彿とさせる白いベールを纏った3人がムービングステージで花道を移動。その後ストーリーは進み、“3人の勇敢なアヴェンジャーズ”と紹介されたサポートダンサー3人が登場し、その中から毎回1名が選ばれ、SU-METALとMOAMETALとともにパフォーマンスすることが告げられた。

観客の歓声が渦巻く中、怒涛の神バンドの演奏とともに3人編成のBABYMETALが姿を現し、いきなりの新曲からライブはスタート。突き抜けるようなファストチューンで、会場のテンションは一気に上昇する。メンバーを乗せたステージがアリーナ中央を目指すと、「メギツネ」を披露。ポニーテールのSU-METALが熱唱し、ツインテールのMOAMETALとサポートダンサーはシンクロしまくるダンスで見る者を圧倒する。3人のフォーメーションが問答無用に素晴らしい。この形がBABYMETALの黄金比であることを改めて痛感させられた。強烈なパフォーマンスの中、曲中でSU-METALが、“横浜!もっとみんなの声を聞かせて!”と叫ぶと観客も大歓声で応える。会場は完全にハイボルテージ状態となった。

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ピアノの旋律とヘヴィなサウンドがうねる「Elevator Girl」から、強烈なドラムとギターのイントロから疾走していく「Distortion」の流れも圧巻。SU-METALが観客に“Hey Yokohama!Everybody Scream!!”の声を投げると、観客は拳を突き上げ“wow wow wow wow!!”の大合唱。エキゾチックなサウンドが聴こえてくると、2つ目の新曲が披露された。エスニックなヘヴィチューンは、これまでのBABYMETALになかったタイプの楽曲だ。こうしたところからも、型にはまらず挑戦していくBABYMETALの姿勢を感じ取ることができた。

ここで空気を変えるように、レーザーとブルーの照明の中、幻想的なサウンドと子供のコーラスが響く。それをぶち破るようなハードなサウンドが鳴り「Starlight」が歌唱される。ヘヴィネスと静寂のコントラストがたまらない。ますますスキルアップしたSU-METALの渾身の歌には、神々しさを感じたほどだ。鋭いギターリフがエモーショナルな「シンコペーション」では、フロアの至るところでサークルモッシュが勃発。続けてスカのビートの入った「ヤバッ!」が披露される。様々な音楽性を自分たちのカラーに昇華してしまうBABYMETALの凄味を、まざまざと見せつけていく。

BABYMETAL エンタメステーションライブレポート BABYMETAL エンタメステーションライブレポート

そうしたいい意味での雑食性を思いっきり発揮したのが、新曲の「PA PA YA!!」。BABYMETAL流のレゲエ夏曲とでも言うような爆アゲソング。炎の燃え上がる中、BABYMETALは“踊れ!叫べ!”と観客をお祭り感でクレイジーにしていく。フィーチャリングのタイの人気ラッパーF.HEROが登場し、巨漢のボディからけたたましいラップをこだまさせる。

BABYMETALとF.HEROと観客は、会場の熱気をぐんぐん上昇させ、横浜アリーナを夏先取りの猛暑に突入させた。

このテンションをさらに上昇させたのは「ギミチョコ!!」。MOAMETALとサポートダンサーのバースからSU-METALの歌が入るかわいさとエクストリーム感が合体したサウンドは、まさに鳥肌モノ。続けて披露されたのは、ヘヴィなグルーヴがインパクト大な「KARATE」。戦い続ける思いを渾身の歌とダンスで届けるメンバーの姿には、感動を呼び起こす絶大な説得力が宿っていた。

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インタールードを挟んで、ライブはいよいよラストスパート。ピアノの旋律とともに、SU-METALは美しいボーカルを会場に響かせ「THE ONE」が始まる。SU-METALの澄み渡る歌声に、会場のすべての人が静かに全身全霊で聴き入る。バンドの力強い演奏でドラマチックに楽曲が進行し、壮大な世界観が展開されていく。メンバーとキツネサインを掲げる観客は“ラララー”の大合唱を巻き起こし、まさしく心をひとつにしていった。

興奮冷めやらない会場に、ほら貝の笛の音が鳴り、SU-METALがフロアを割るような動きを見せる。ついに「Road of Resistance」の時が来た。“1234!”の掛け声から爆音が会場を駆け抜け、観客はWall of Death=強烈なモッシュを繰り広げる。炎の中でメンバーは激しいパフォーマンスを見せ、会場全体で“Wow wow wow”の大合唱が起こり強烈過ぎるほどの一体感が作り上げられた。“We Are!”“BABYMETAL!”のコールアンドレスポンスが行われ、SU-METALのシャウトでライブはフィニッシュとなった。

ステージが終わると、映像で10月11日に3rdアルバム『METAL GALAXY』の世界同時リリースが告げられる。そして、9月から開始するワールドツアーでは、『METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN』と題された日本でのライブが、11月16日、17日にさいたまスーパーアリーナ、11月20日、21日に大阪城ホールで開催されることが発表された。

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全編3人編成のフォーメーションで、エンターテインメント色をそぎ落としライブパフォーマンスに特化したステージを見せつけたBABYMETAL。ライブ終演後の会場には、とてつもない高揚感がみなぎっていた。ダークサイド期の、頭ではわかっていても気持ちが追いついていないもやもや感が完全に昇華されたような感覚すらある。ますます磨きのかかったSU-METALの歌は聴き手の感情を根底から揺さぶるパワーが備わり、MOAMETALのダンスやコーラスは見る者を惹きつけるエナジーがみなぎっていた。さらに、2人のメンバーをサポートするサポートダンサーの見事さも見逃せないポイントだった。メンバーの笑顔が見え、本人たちがライブを楽しんでいることが伝わってきたのも今回のライブの特筆すべき箇所だ。まさに今のBABYMETALには、かわいさとストイックさポジティブなヴァイブスを持つ絶妙なバランスが宿っている。とてもいい状態のBABYMETALがこの横アリ2デイズの翌日(!)30日にイギリスのグラストンベリーフェスに出演し、アウェイの観客を熱狂させたことも追記しておこう。9月から来年まで続く怒涛のスケジュールのワールドツアーで、彼女たちがさらなる変化と進化を遂げることは確実。BABYMETALの新たな戦いがどのような展開を見せるのか、これからの動きに期待したい。

文 / 土屋恵介 撮影 / Taku Fuji

『BABYMETAL AWAKENS – THE SUN ALSO RISES -』
2019年6月29日 横浜アリーナ

SETLIST
1.新曲
2.メギツネ
3.Elevator Girl
4.Distortion
5.新曲
6.Starlight
7.シンコペーション
8.ヤバッ!
9.PA PA YA!!(feat.F.HERO)
10.ギミチョコ!!
11.KARATE
12.Interlude
13.THE ONE
14.Road of Resistance

ライブ情報

METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN

11月16日(土) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ
11月17日(日) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ
11月20日(水) 大阪・大阪城ホール
11月21日(木) 大阪・大阪城ホール

*その他のライブ情報はオフィシャルサイトで

BABYMETAL

2010年結成。
2014年3月には日本武道館ワンマンライブ2DAYSを行い女性アーティスト史上最年少記録を樹立。さらに1stアルバム「BABYMETAL」が全米ビルボード総合チャートにランクイン。同年夏からは初のワールドツアーを行い、イギリスの大型フェス 「Sonisphere Festival UK」ではメインステージに登場し6万5千人の観衆を集め、アメリカではレディー・ガガの北米ツアー5公演のサポートアクトに抜擢される。
2015年5月から北米、中南米、ヨーロッパなど10カ国15公演となるワールドツアーをスタートさせる。イギリスの音楽誌「KERRANG!」と「METAL HAMMER」が主催する2つのミュージックアワードに出席し、日本人アーティスト初となるアワードを受賞する。8月にイギリスの世界的ロックフェス「Reading & Leeds Festival」のメインステージに出演。
2016年4月、2ndアルバム「METAL RESISTANCE」をリリース。全米ビルボードチャートTOP40に、日本人アーティストとして53年ぶりにランクインを果たす。また、同月にはイギリス・ウェンブリーアリーナにて日本人初となるワンマンライブを開催。そして、9月には ワールドツアーファイナルとなる東京ドーム2DAYSで11万人を動員してのワンマンライブを開催。さらには、RED HOT CHILI PEPPERS、METALLICA、GUNS N’ ROSES、KORNのツアーサポートを行う。
BABYMETALの“メタルレジスタンス” の勢いは止まらない。

オフィシャルサイト
http://www.babymetal.com/jp

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