Interview

上白石萌音 YUKI×n-buna(ヨルシカ)のコラボ曲も含む5つの恋物語。約2年ぶりのアルバムの手応えを訊く。

上白石萌音 YUKI×n-buna(ヨルシカ)のコラボ曲も含む5つの恋物語。約2年ぶりのアルバムの手応えを訊く。

女優の上白石萌音が、オリジナルアルバム『and…』からは2年ぶり、フィジカルCDとしては移籍第1弾となるミニアルバム『i』(アイ)をリリースした。
主演映画『L♡DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』の主題歌「ハッピーエンド」やYUKI×n-buna(ヨルシカ)によるコラボレーション楽曲「永遠はきらい」などを収録した新作のテーマは“5つの恋物語”。思わせぶりな恋もあれば、言えない片思いもあり、終わってしまった関係もある。様々な恋愛のショートストーリーズを優しく切なく歌う上白石萌音は現在21歳。映画、ドラマ、舞台、音楽と幅広いフィールドで恋や愛を表現してきた彼女が想う“愛”とは——。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 荻原大志


お芝居をしてる時も、映像の仕事をしてる時も、つねに歌があるんです

上白石萌音 エンタメステーションインタビュー

前作からは実に2年ぶりのアルバムとなります。様々な場所で活躍する萌音さんにとって、音楽活動はどういう位置付けですか?

私は小さい頃から歌が本当に好きでしたし、日常の一部になっていて、お芝居をしてる時も、映像の仕事をしてる時も、つねに歌があるんです。折に触れて、『またCDを出したいな。出せたらいいな』って気持ちはありましたし、CDを出していなくてもテレビの音楽番組に呼んでいただいて歌う機会もありました。そのたびに、歌番組を見た方々から『次のCDはいつですか』って声も少しずついただいたりしていたので、早くできたらいいなって思ってました

人生において決してなくてはならないものなんですね。

そうですね。肩の力を抜いて歌ってる時が一番心が健康な時だと思ってます。私にとってはとても大切なものですし、この2年間ずっと『ああ、早く音楽やりたいな』って思ってました。その思いが、やっと形にできるっていう。純粋にその嬉しさでいっぱいですね、今は。

恋っていうテーマを決めた時点で、心地よいプレッシャーみたいなものが出ましたね、ちゃんと紡がないといけないっていう

上白石萌音 エンタメステーションインタビュー

新作は5曲入りのミニアルバムになってます。どんな作品を作ろうと考えていましたか。

毎回、そんなに明確なイメージはないんですけど、今回は移籍のタイミングで「ハッピーエンド」という曲がすでにあったので、それを筆頭に、恋の曲を集めて、恋を5つの色で表現するっていうコンセプトを決めました。だからこそ、きちんと物語を紡がないといけないなとも思って。やっぱり「ラブストーリー」って言うように、どんな恋にも物語があるんじゃないですか。恋愛って人がいちばん自分らしくなる瞬間なのかなって思っていて。

嫉妬とか甘えとか、ネガティヴなところも相手にさらけ出しますしね。

そうですよね。悶々とした気持ちだったり、いろんなものが渦巻くじゃないですか。それを自分の引き出しの中で、ちゃんと表現できるようにしないとなって。恋っていうテーマを決めた時点で、心地よいプレッシャーみたいなものが出ましたね、ちゃんと紡がないといけないっていう。

では、5つの恋物語についてそれぞれお伺いしたいと思います。まず、アルバム制作の発端となった「ハッピーエンド」の成り立ちからお願いします。

2年前にandropの内澤さんに「ストーリーボード」という楽曲を提供していただいたんですが、その時のもう1つの候補曲だったんです。最後の最後まで迷って、結局「ストーリーボード」になったんです。だから、同じタイミングで生まれてる曲なんですよね。

そこから2年経って、主演映画の主題歌になってる。

そうです。私が主題歌を歌わせていただけることになって。「誰にどんな曲を書いてほしい?」って言われた時に、『内澤さんのあの曲が歌いたいので、あの曲が今どこにあってどういう状態かを聞いてください』って。めちゃくちゃキャッチーでいい曲だったので、放っておかれるわけがないと思って。私はまだ耳にしてないけど、誰かの元にわたってしまってるかもしれないって思ったんです。でも、内澤さんが「これは萌音ちゃんの声で完成させたかったから」って言って取っておいてくださっていました。

歌詞は当時とは変わってるんですか。

出だしの〈せっかくのケーキも失敗作〉っていうのは一緒です。あとはほぼ変わっていて。内澤さんが映画を観て、それに寄せて書いてくださったんです。

「ストーリーボード」が男の子目線で、「ハッピーエンド」は女の子目線

映画の内容に寄せつつも、“僕”目線だった「ストーリーボード」とも対になっていますよね。

そうなんです。同時期に生まれたっていうのもありましたし、内澤さんも「ストーリーボード」に出てくる言葉を使ってくださって。「ストーリーボード」が男の子目線で、「ハッピーエンド」は女の子目線。私もようやく「ストーリーボード」の恋が報われるというか成就するような気持ちで、物語が1個終わったような気持ちになりましたね。まさにハッピーエンドで終われたなって。

これ、両想いなんですよね。お互いにはまだ気持ちは伝えてないようですが。

そう。言えてないんですよね。そこの微妙な温度差というか、そこが繰り返し聴いてしまう所以なのかなとも思うんですけど。幸せか不幸かで言ったら、この子は絶対幸せなんですよね。全然付き合いもしていない、両想いじゃない、片想いにしてもこの子は幸せだろうなって思って。幸あれ!と思いました(笑)。

あはははは。両想いになってほしいですけどね、「ストーリーボード」の僕と。

そうですね。内澤さんご自身も、2つで1つっていう思いはおありになったみたいなので、ライヴでは必ず2曲続けて歌いたいです(笑)。

(笑)どんな思いで歌いましたか?

レコーディングをしてる時は完全に映画に寄せてっていう気持ちでしたね。映画の中で演じた女の子の気持ちになりつつ、でも、歌詞がすごく個人的なのにすごく普遍的で、恋する人なら誰でも味わったことのある感情だったので、あまりガチガチに固めずに広がりを持たせられればいいなと思って。でも、歌っていて、すごく純粋に幸せな気持ちになれる歌詞なので、やっと歌えるっていう思いも含め、幸福感にどっぷり浸かって幸せな気持ちで歌いました。

ジュディマリさんはもう生まれる前に解散してしまっているんですけど、解散してしまったバンドのロマンみたいなのを勝手に感じてしまっていて(笑)

上白石萌音 エンタメステーションインタビュー

歌声からも幸せそうな笑みがこぼれてるのがわかります。YUKIさんとn-bunaさんに楽曲提供をお願いしたのは?

私はもともとJUDY AND MARYさんが大好きでずっと聴いてたんですけど、私、好きな人に会えないタイプなんです(笑)。タイプっていうか、憧れるがゆえに会っても何もしゃべれないし、会っていい人間じゃないとか思ってしまう。だから、『YUKIさんに詞を!』って言ったわけじゃないんですけど、私が大好きだって知ってて、スタッフさんがお願いしてくださっていました。キューピッドみたいな感じです(笑)。

(笑)萌音さんの年齢で、YUKIちゃんじゃなく、「ジュディマリが好き」っていうのはめずらしいですよね。

もちろんYUKIさんのソロの曲も好きでよく聴いてます。ジュディマリさんは生まれる前に解散してしまっているんですけど、解散してしまったバンドのロマンみたいなのを勝手に感じてしまっていて(笑)。それに、やっぱり、カッコいい男の人たちがガンガン弾いてる前で、無邪気にYUKIさんが跳ねまわりながら歌ってる画がめちゃくちゃ好きで。全体として好きだったんです。で、n-bunaさんも私がお願いしたわけではないんですけど、私の親友がヨルシカの大ファンで、その影響でけっこう私も聴いていて。だから、最初にお名前が上がってきた瞬間に『うわぁぁぁ、n-bunaさんだぁ~』とテンションが上がりました(笑)。

ギターのリフとか、とてもヨルシカっぽいですよね。

むちゃくちゃ、ぽいですよね。でも、あとでコメントをいただいたんですけど、私の声のレンジに合うメロディラインを徹底的に探って書いてくださったらしくて。私、suisさんの声も大好きなんですけど、メロディを聴いただけでも、また違った面を引き出そうとしてくださってる感じがして。本当にそれぞれの面でカリスマと言われてるお2人で。

3者に接点を見出してなかったので、驚きすら感じる、意外なコラボでした。

そうですよね。私もなんていう経験だろう、なんてありがたいことだって思いました。YUKIさんが仮歌を歌って送ってくださったんですけど、それを聴いた瞬間に「これは新しい扉を、立て付けから始めて開けなきゃいけない」って思って(笑)。お2人に新しい感情というか、新しい音楽との触れあい方を教えてもらった気がしています。

それはどんな扉でしたか。

めちゃくちゃ重厚でしたね。「これ開くかなぁ」みたいな感じだったんですけど、1個取っ掛かりを見つけたら、自分に引き寄せやすいというか。見た目だけで「ああ、これは無理かもしれない」と思っていたけど、メロディや歌詞をじっくり聴きこんで、いろんなことを考えて、自分でも練習したりする中で、自分の中にもないことはない引き出しがちょっと役に立った。それはきっと、お2人が私のことを念頭に置いて書いてくださったからだと思うんですけど、開けてみたらめちゃくちゃ気持ちがいい風が入ってきたみたいな。

「自分の中にもないことはない引き出し」というのは? 「思わせぶりな恋」がテーマになってますよね。

駆け引きめいた、ちょっと魅惑するような歌詞なんですけど、言葉の節々にピュアさが溢れ出ちゃってる感じがして。だから実は誰よりも純粋でまっすぐな子なんだろうなっていうのが私が行きついたイメージだったんです。だから、私はこんなに駆け引きができるタイプじゃないですけど、実は本当に純粋な愛がそこにあるんだろうなって思って。それならいけるかもしれないって思いました。あとは、曲自体にものすごく力があって雰囲気があるので、まっすぐに純粋にこの曲を好きで歌えば、そこに入れる気がしたので、変にこねくり回すことなく、まっすぐ歌いました。

恋愛って永遠を祈ってしまいがちじゃないですか。でも、そこを私はきらい、今がいいっていうその青春感というか、すごく汗を感じるなって

上白石萌音 エンタメステーションインタビュー

最後の〈食べてもいいよ〉ではちょっとドキッとしました。

ああ~、本当ですか。嬉しいです。やっぱりこのフレーズはなかなか難しかったです。なんというか、キスよりも生々しいですよね。でも、それを純粋に言うからこそドキッとするみたいな。例えば、いきなり色っぽく、「頬についたご飯の粒を食べていいよ」って言われても引いちゃうじゃないですか(笑)。でも、本当に近くに感じたいがゆえに見つかったのが、ご飯の粒だったんですよね。その純度100%の気持ちがいるのかなって思って。何回か曲の中に出てくるのでいろんな歌い方をしたんですけど、一番最後なんかはすごくニュートラルに歌ってます。

タイトルはどうとらえました?

いろんな曲で、「永遠なんてない」とか、「永遠じゃない」とかはあるけど、「永遠はきらい」っていうのは……。けっこう恋愛って永遠を祈ってしまいがちじゃないですか。でも、そこを私はきらい、今がいいっていうその青春感というか、すごく汗を感じるなって思って。汗がきらりみたいな。歌い出しも〈神様お疲れ様〉って……普通は恋してたら、「神様どうかお願い」って思うじゃないですか。でも、そこをバッサリ切って、私が行くんだ、みたいな。なんてかわいくもあり、ボーイッシュでもあり、自分の直感と思いに誠実に生きてる子なんだろうと思って。高校時代こういう恋ができたらよかったなって思いました(笑)。

(笑)MVは歌詞の青春感をなぞった内容にはなってないですね。どんなイメージで作りました?

よくわからないものを作ろうっていう話だったんです。で、3つの場面でいろんな顔を見せて、よくわからないものを映したりして。私たちも後付け的な感じでそこに意味を見出して。見る人によってもいろんな捉え方ができるものになったら面白いねって。この曲が持つ世界観自体も味わい深いというか、聴くたびに『ここはこうなんじゃないか。いや、はたまたこうなんじゃないか』みたいに、いろんな思考が巡る曲なので、そういう映像になったら面白いよねって思いました。だから、それぞれの場所で、それぞれの服を着て、とにかく自由にやりました。

ちなみに、冒頭に「恋を5つの色で」とおっしゃってましたね。

そうですね。今回はとにかく色が多彩なんです。それぞれにどこまで染まれるかみたいなことだなって思ったので、基本的には真っ白で入って、ちょっとずつ色を取り込んで、みたいなことができたらいいなって思ってました。

この曲は1曲単位の中にも何色もあって。MVでは、赤、黒、白の3色で表現されてます。それぞれの女性のキャラクターはどんなイメージでした?

赤のジャケットを着てるのは、わりと直感的に正直に、どんな感情にたいしてもやっている子です。黒は内向的で、思ってもあまり垂れ流したりしない感じ。白は、全部外に出す。白の時はとにかくうろちょろしてくれって言われて(笑)。だから、落ち着きなく動いてるんですけど、けっこう素の私に近いですね(笑)。

(笑)MVにもジャケットにもリンゴが出てきてますね。

1つアイコニックなものをっていう案があって。なじみのあるものをいろいろと出した中でリンゴになったんですけど、後付けみたいな意味で、甘酸っぱいとか、新鮮とか、でもちょっとずつ朽ちていったりとか……。いろんな顔があるし、これは半分冗談でしたけど、禁断の果実でもある。いろいろ連想できて面白いかなと思ってリンゴになりましたね。

恋が1つ終わる。それは、悲しいことですけど、ちょっと1人になれてホッとする感覚があるなと思って

上白石萌音 エンタメステーションインタビュー

また、楽曲に話を戻しますと、「Ao」は失恋ソングになってますね。

恋が終わっちゃったなっていう曲なんですけど、悲しみではなく、どこかホッとしてる曲がいいですっていうふうにお願いをして作ってもらったんです。恋が1つ終わる。それは、悲しいことですけど、ちょっと1人になれてホッとする感覚があるなと思って。

この曲で描きたかった“ホッとする”感覚というのは?

背伸びをしなくてよくなったっていうところですね。相手に合わせてたんだけど、もうそれはいいやっていう。だから、わりと前向きな感じ。でも、終わったばかりの傷がちょっと痛いなっていうのもありつつ。

歌声も失恋して号泣しているとか、悲しんでるというトーンではないですよね。

そうですね。ドラマチックにしようと思えばめちゃくちゃドラマチックにできたんですけど、それはあまりしたくなくて。終わりたてみたいな、まだ余熱がある感じを出せたらいいなと思って引き算をしましたね。

まだ実感として喪失を感じてない。

うん、きっと、このあとに泣くんだろうなと思います(笑)。まだあ然としてる感じ。失恋して、涙を流す。その狭間みたいな感じですよね。

本当に1曲ずつガラッと主人公が変わっていきますが、4曲目「巡る」は“僕”視点になってます。

1曲、男の子目線で歌いたくて。もともとのキーはもうちょっと高かったんですけど、下げたいですって言って。すごい低音から入るようにしたんですけど、中高生の頃のぐちゃぐちゃなやつですね(笑)。自己嫌悪もそうだし、うらやましい人がいるけど、自分はそうなれない、みたいな、ちょっと傍から見たら無様なものが1曲あったら面白いかなって。

「誰にも言えない恋」を抱えてますが、これも、ひとつの感情ではないですよね。

そうですね。ごちゃまぜ、混沌とした感じ。あきらめもちょっと入ってるかもしれないし、でもまだすがってる感じもある。だから、レコーディングでは、すごいエネルギーがいりましたね。「痩せる~」って言いながら録ってました(笑)。

あはははは。ロートーンで歌ってるのに!?

音の高さ的にはもっと高い曲もあるし、わりと自分が出しやすい声ではあったんですけど、放出するエネルギー量が全然違って。もうどうにでもなれ !みたいな。やけくそな感じにしたかったんですけど、やけくそってすごい大変なんだなって気づきました(笑)。でも、そこまでいっぱいいっぱいにならないと、やけっぱちってならないじゃないですか。だから歌う上でも心の中でもいっぱいいっぱいで歌いました。

言いたいけど言えないとか、言ってるけど伝わらないとか。そういう広い意味での「一方通行」が書けたら

そして、最後にご自身が作詞した「ひとりごと」が入っています。作詞は4曲目ですが、「恋」というテーマで書くのは初めてですよね。

そうですね。だから、すごく書きにくくて(笑)。恋愛に寄っちゃうと、どうしても、朝起きて読むと「気持ち悪っ!」みたいな感じになっちゃうんですよね、自分で(笑)。だから、やめようと思って。恋愛ベースになってるけど、片想いって恋愛だけじゃないなと思って。言いたいけど言えないとか、言ってるけど伝わらないとか。そういう広い意味での「一方通行」が書けたらいいなと思って。私もそういう経験は多いし、今って何かを言ったら即効で返事をしないといけないような、目まぐるしいほどのスピードの速さになってるじゃないですか。

ラインもメールも会話もそうですよね。すぐに返さないといけなくなってる。

そういう中で言葉が出て来なくて、「んー」ってなってる時間は大事だなって思って。私自身、どう伝えたらいいかなって悩んでいる時間を大事にしたいなっていう思いがあるので、それを書いてみました。結果的に、すごく時間がかかりましたし(笑)、書き終わった今でも100点ではないかもしれないなと思うけれど、その時の精いっぱいだし、その瞬間にしか書けないものがあると思います。未熟だけれど、そこも含めてこの1曲にギュッと詰め込んだつもりです。

5曲そろって、ご自身にとってはどんな1枚になりましたか?

自分なりにいろんな声が出せたんじゃないかなって思ってます。歌をお仕事にさせていただいて3年。未だに自分の歌の個性がなんであるかはわからないけど、ちょっとずつ自分と向き合えたかなって思います。あと、いろんな物語を通して、やっぱり私は誰かに寄り添って歌うのが好きだなって思いました。あらためて、歌う幸せ、アルバムにできる幸せを噛みしめた一枚だなって思います。2年っていう時間がよりその気持ちをより強くしてくれたのかなとも思いますね。

最後に聞いていいですか? 21歳の萌音さんにとっては愛って何だと思いますか。

難しいですけど、すごく孤独なものだなと思いました(笑)。その人ひとりについて考えるわけだし、考えてる時はひとりだし、本当に思ってることっていくら恋愛相談してもなかなか言えることじゃないし、結局、決めるのは自分だし。だから、すごくひとりぼっちだけど、その楽しさがあって。ひとりだけど、誰かひとりに向かってるという。

「ハッピーエンド」も幸せそうだけど、思ってる時はまだ一人ですもんね。

そうなんですよね。やっぱり2人でいる時間は満たされているし、幸せだけど、いろんな思いがめぐって、それが歌になるのは結局ひとりの時なのかなって。バイバイしたあととか、会う前とか。結局、ひとりだなっていうのは思いました。

恋愛も当事者と周りの人とでは全然見え方が違ったりするし、そういうのも含めて、多面的なものになるかなと思ってこのタイトルにしました

上白石萌音 エンタメステーションインタビュー

アルバムのタイトル『i』(アイ)にも一人って意味が込められてます?

いろんな意味を持たせられるタイトルがいいなと思って。しかも、小文字の〈i〉にしたのも、見る人によっていろんな考え方ができたらいいなと思ったからなんですね。もちろん、「LOVE」という意味の「愛」でもあるし、「私」っていう意味もあるし、「1」とか、ちょっと人がスクッと立ってるような形にも見える。あと、これは後付けなんですけど、虚数だったりするし。

え!? iとiをかけたら−1になるという意味もあるの?

ふふふ。いろんなとらえかたができるんですよね。恋愛も当事者と周りの人とでは全然見え方が違ったりするし、そういうのも含めて、多面的なものになるかなと思ってこのタイトルにしました。あとは移籍第一弾っていうのもありますし、いろんなことを後付けのように考えてます(笑)。

では、萌音さんの「理想の恋愛」とはどんなものですか。

楽~な感じ(笑)。究極しゃべらなくてもずっと一緒にいられるみたいな。

家族みたいな感じ?

結局、そうですよね。親や妹とは全然しゃべらなくてもいいじゃないですか。そうなれるのは究極だよなって思って。でも、なかなか出会わないですよね、そんな相手なんて。だけど、この人だったらしゃべらなくても伝わるなとか、だからこそ言葉が大事に思えたりとか。それぞれ大切にするものがあって、「それいいね」「それは違うんじゃない」って言える関係性っていうのは、すごい大人だし、素敵だなって。そういう人と夫婦になるんだろうなって思います。

今はとにかくライヴがしたいです(笑)

今後の音楽活動についてはどう考えていますか。

すでにいろいろと録ってある曲もありまして、喜んでもらえるものができていると思います。今回もけっこう新たな扉を開けていただいたので、アルバムが届いて初めてそれがどう思われるのか、どういうものを皆さんが聴きたいのかもわかる気がしていて。だけど、とにかく自分が好きだなとか、楽しいなって思うものに一生懸命になれたらいいのかなって思いますね。今はとにかくライヴがしたいです(笑)。

ワンマンライヴが観たいですね。本作にはスタジオライヴの音源も入ってますね。

それも私がボーナストラック入れたいですって言ってお願いして録ったんですけど、もともと「ハッピーエンド」はシンプルな楽器で作られてて、それがすごく好きだったんです。映画のために歌った「ハッピーエンド」とはまた別に、ちょっと時間も経って、もっと力を抜いて、より自分に寄せた歌い方ができたらいいなと思って。すごいお気に入りです。

付き合いだした2人が、あとから当時のことを思い出して歌っているようなあったかい雰囲気を感じました。

ああ、うれしいです~。ちょっと安定っていうか(笑)。最初に録った時に、内澤さんに「サビで屋外に出て歌って」って言われたんですけど、このスタジオライヴはグッと室内で歌うイメージでしたね。だから、そう思っていただけて嬉しいです。

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上白石萌音

1998年1月27日生まれ。2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞。
同年、NHK大河「江〜姫たちの戦国〜」にて女優デビュー。
初主演映画『舞妓はレディ』(14)では、第38回日本アカデミー賞新人俳優賞など、多くの賞を受賞。
大ヒット映画『君の名は。』(16)では、ヒロイン:三葉の声を演じると共に、挿入歌の一曲である「なんでもないや」(RADWIMPS)のカバーを含めたミニアルバム「chouchou」で歌手デビューも果たす。
以降、ドラマ「ホクサイと飯さえあれば」(17)や「陸王」(17)、映画『ちはやふる』シリーズ、『羊と鋼の森』(18)のほか、舞台「火星の二人」(18)やミュージカル「ナイツ・テイルー騎士物語―」(18)などに出演。また、演技だけでなく「風景の足跡」(テレビ東京)や「彩〜日本遺産〜」(BS-TBS)といったレギュラーナレーション番組を持つなど、幅広く活躍。
19年は、ドラマ「記憶捜査〜新宿東署事件ファイル〜」や、ジェームズ・キャメロンプロデュース映画『アリータ:バトル・エンジェル』での主人公アリータの日本語吹替、主題歌「ハッピーエンド」も担当した映画『L♡DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』に主演で出演。
今後も、主演映画『スタートアップ・ガールズ』(9/6)の公開や、井上ひさし最後の戯曲『組曲虐殺』(10月より天王洲銀河劇場〜11月より各地)の公演を控えている。

オフィシャルサイト
https://kamishiraishimone.com

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