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絶妙のコラボ『ネクロダンサー』+『ゼルダの伝説』曲に合わせて世界を救え!

絶妙のコラボ『ネクロダンサー』+『ゼルダの伝説』曲に合わせて世界を救え!

本作『ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説』は、カナダのデベロッパー・Brace Yourself Gamesの作品である『クリプト・オブ・ネクロダンサー』と『ゼルダの伝説』のコラボ作品。『ネクロダンサー』はローグライクゲームとリズムゲームの性質を持った風変わりなゲームで、敵・味方ともにリズムに乗りながらプレイヤーキャラクターを操作するという個性的なシステムと、その中毒性が話題となりました。もともと、“音楽”と『ゼルダの伝説』はシリーズを通して深いつながりを持っているため、『ネクロダンサー』とのコラボには高い親和性があると予想されますが、『ネクロダンサー』自体が持つ際立った個性と合わさるとどういう化学変化を起こすのでしょう。それを確かめるべくプレイに勤しみめでたくエンディングを迎えた筆者は、リズムに乗りながらPCの電源を入れ、リズムに合わせてファイルをクリックし、リズムを刻むがごとくキーボードを叩き本稿を書いています。……ええ、めちゃくちゃ影響されちゃってます! まずはトレーラー映像で、その独特の雰囲気を感じてみてください。

文 / 内藤ハサミ


ハイラルの冒険はリズムに乗って!

本作の基本的なゲームシステムは『ネクロダンサー』、世界設定は『ゼルダの伝説』から主に採用されています。プレイヤーキャラクターとして、『ネクロダンサー』からケイデンス、『ゼルダの伝説』からリンクとゼルダが参戦。物語の舞台はもちろんハイラル王国です。ゾーラ族やゲルド族など、過去の『ゼルダの伝説』シリーズに登場したキャラクターも登場します。画面だけを見るととくにコラボ要素が主張しない、『ゼルダの伝説』の最新作に見える違和感のない画面ですね。

ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説 エンタメステーションゲームレビュー

▲二頭身のキャラクターがとっても可愛らしいです

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▲初代ディスクシステム版から脈々と受け継がれてきている「みんなには、ナイショだよ!」のセリフ。『ゼルダの伝説』ファンの心をくすぐるような遊び心もたくさん散りばめられています

謎の旅人オクターヴォによって危機に瀕しているハイラル王国を救うのが、ゲームの目的です。神の力であるトライフォースを宿した黄金のリュートを使ってハイラル国王を眠らせたオクターヴォは、国王に代わって王国を支配するようになってしまいます。力の均衡を取り戻すべく、トライフォースは異世界から戦士ケイデンスを召喚。訳もわからず召喚されたケイデンスは、元の世界に戻る手段を探すうちにリンクやゼルダと出会い、打倒・オクターヴォの旅に出ることになるのです。このケイデンスは、2年まえにネクロダンサーと戦って黄金のリュートを破壊したという実績があります。その2年まえの活躍こそが『クリプト・オブ・ネクロダンサー』の物語。トライフォースに選ばれたのには、そういう理由があったのです。

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▲ハイラルに飛ばされたばかりで右も左もわからない状況にもかかわらず、リンクに戦いかたを教えてくれるケイデンス。勇敢で優しいキャラクターです

というわけで、トライフォースの力で交わることになったふたつの世界と3人の主人公たち。オクターヴォの力によって変えられてしまった世界では、彼らの行動に制約があります。それは、“ビートに合わせながら戦わなければならない”ということ。敵のいるフィールドでは、画面下にリズムを刻むビートフォースが現れます。音ゲーで使われるノーツのようなビートフォースに合わせて、1ビート1行動で進んでいくのですが、敵側も全く同じルールで動いています。敵の動きを把握しながらダメージを受けず倒せる立ち回りを状況に合わせて実行していくという、瞬時の判断力が求められるのです。何も操作をしなければ、自分のキャラはその場に留まったままターンが進んでいくだけですが、タイミングよくボタンを押せないとその行動はミスとなり攻撃は当たりません。最初はこのルールにかなり手こずりました。マンツーマンで敵と対峙しているときは特に難しくはないものの、違った行動パターンを持つ数体の敵と同時に戦うときはたびたび倒されてしまいます。各敵の動きを把握する、最適な自分の行動を瞬時に判断する、ビートに乗せて実行するという3つを同時に行う難しさは思った以上だったので、序盤の2時間はこの世界のルールに慣れるよう集中することにして、ひたすらモブ敵を倒しながらマップをウロウロしていました。そうすると無駄なターン数を消費せず、効率よく動いて敵を倒すことの楽しさがわかってきました。おびただしい数の敵を無駄なく倒せたときはスッキリ! どうしても難しい場合は、オプションでノービートモードが選択可能です。自分がひとつ行動したタイミングで敵も動くので熟考しながらプレイできますが、ビートに乗っての操作こそが本作の大きな特徴であり楽しさだと思うので、慣れてきたらぜひ通常のモードでプレイすることをおすすめします。

ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説 エンタメステーションゲームレビュー

▲武器の射程範囲内に敵が入ったら、敵に向かって方向キーを押すだけで攻撃できます。A、B、X、Yボタンにはアイテムをセットして使用します。操作自体は単純なので覚えやすいですね

ローグライクゲームの多くは死んでしまうとすべてのアイテムを失ううえに、レベルも1から、進行度もゼロからやり直しという非常にシビアなルールですが、それこそがこのジャンルの楽しみのひとつだと筆者は思っています。しかし、本作はマップのあちこちに配置されているシーカーストーンをあらかじめ起動させておくと、ライフがゼロになり倒れてしまっても、そこから復活できるようになるという便利な設計です。さらに、いつでも任意のシーカーストーンにワープできるので、目的地まで長い移動をする必要がなくなります。失うものに関しても、もろい壁を掘るシャベル、視界の確保やかがり火に灯火するためのたいまつなど、いくつかの消費アイテムと所持しているルピーがなくなるだけで、それ以外のほとんどは死んでもそのまま手元に残ります。消費アイテムは再度入手しやすく、アイテムの購入などに使うルピーは比較的集めやすいので手痛いペナルティとは言えないでしょう。全てを失うシビアさがローグライクゲームの魅力だと考えてはいましたが、ビートに乗って流れるようにプレイする本作においてはこういった配慮によりプレイのテンポが崩れないので、適した仕様であると感じました。

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▲中央に目玉のような青い模様が描かれたモニュメントが、シーカーストーンです

▲シーカーストーンからは使用キャラクターを切り替えることができますし、ふたりの協力プレイも選べます

アイテムもライフ数も心もとない序盤は苦戦したものの、操作に慣れてくると今まで難しいと思っていたエリアも楽に攻略できるようになり、ノーミスでマップ内の敵をせん滅できることも増えてきました。HPを増やしておくと攻略はグンと楽になるので、戦闘の難度が厳しい場合はシーカーストーン起動とハートのかけらを取ることに注力するといいですね。そのうちに、プレイヤー自身のスキルも追いついてくるでしょう。使うことで消費されないアイテムは、フックショットやブーメランなど謎解きや戦闘に便利なものがそろっていますが、すべてを取らなくてもクリアは可能です。アイテム欄をいっぱいにして悦に入るのもいいですが、逆になるべくアイテムを取らずにクリアを目指すというプレイも楽しそうです。プレイ感はグラフィックのイメージも手伝ってか、スーパーファミコン時代の『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』を思わせる懐かしさで、初めてプレイしたような感じがしませんでした。もともと親和性は高いであろうと予想していた『ネクロダンサー』とのコラボでしたが、ここまでしっくりくるとは。開発者が『ゼルダの伝説』シリーズのファンであり、多大なるリスペクトと愛を込めて作られたということがギュンギュンに伝わってきます。

テンションが高まる、謎解きと音楽の力

本作のフィールドマップとダンジョンは自動生成で作られています。マップはいったんクリアするまでは同じものとなりますが、ダンジョンマップは毎回変わります。これは多くのローグライクゲームファンと同様、筆者も非常に好きな仕様です。特に後半では長いダンジョンに挑む場面が出てきますが、道半ばで倒れてリトライするたび、新たな構成のダンジョンが現れるのには興奮しました。

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▲次回訪れたときも新たな気持ちで探索できます

道中にたびたび現れるギミックは、ひび割れた壁をバクダンで壊したり、フックショットで向こう岸に渡ったりと、手に入れたアイテムを使いながら解いていきます。もっと頭を使えばアイテムの使い道は幾通りにもなり、ギミックを解く方法もひとつではありません。このあたりにも『ゼルダの伝説』シリーズの面白さがうまく融合していると感じます。

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▲ボス部屋のカギをゲット! この部屋に関しても攻略方法はいくつかあります

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▲音符を踏んでメロディを奏でる仕掛け。アッ、そこにいるのは、『ゼルダの伝説』シリーズにたびたび登場するチンクルじゃないですか!

融合していると言えば、オクターヴォのまえに戦うこととなる“四獣奏”という4体のボスキャラクターも面白い存在です。四獣奏 の名前どおり4体存在し、それぞれグロッケン、オーボエ、マラカス、ベースギターをモチーフにしたデザインと名前になっているのですが……。

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▲『ゼルダの伝説』シリーズでおなじみのボスキャラクター、ゴーマですね……って、よく見ると“ゴーマラカス”!? ダジャレかいっ! マラカスを振り上げた姿がカワイイじゃないですか~

……という具合に、なんとも憎めない姿が拝めます。このあたりの遊び心は『ネクロダンサー』のテイストでしょうか。ボスはフィールドやダンジョンで戦うモブ敵より格段に強いので、戦闘も歯ごたえ抜群です。

ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説 エンタメステーションゲームレビュー

▲ボス戦では、特に武器選びが重要になるでしょう。なかでも進行方向をずらしながら離れて攻撃できるフレイルは、かなり役立ちました

リズムに乗っての戦闘は『ゼルダの伝説』シリーズの曲をアレンジしたもので、『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』を中心に、いくつもの曲がノリノリにアレンジされて登場します。このグルーヴ感のなかで戦闘する気持ちよさは病みつきになるほどで、リアルの生活でもついついリズムに乗りながら行動してしまうように……。特に、マップのあちこちに点在するショップに近寄ったときに、その高揚感は頂点に達します。BGMに合わせて常に歌っているショップの店主の歌声は、近づくほどに大きくなり、離れると小さく聞こえるのです。動画を撮ったので見てください。

この、全力で朗々と歌い上げる姿がなんともキュートですし、BGM、プレイヤー、店主が3人で合奏しているような感覚にもなって非常にエモーショナル! というわけで、無意味に近づいたり離れたりを繰り返し、特に意味もないターン数を浪費してしまう筆者なのでした。ところで、店主は『ネクロダンサー』からの出演なのですが、彼はケイデンスと一緒に異世界から召喚されてきたのでしょうか……? そのあたりは特にゲーム中で言及されませんが、これは『ネクロダンサー』ファンにも嬉しい要素ですね。
ローグライクゲームとリズムゲームが融合したひと癖もふた癖もある『ネクロダンサー』と、独自の完成された世界を持つ『ゼルダの伝説』のコラボは思った以上にマッチし……いや、出会うべくして出会った2作品と言えるでしょう。互いの個性がすんなりと交じり合った完成度です。筆者の初回クリアまではいろいろと寄り道をしましたが、要した時間は12時間程度。概要を把握した今であれば半分以下にクリアタイムを縮められるはずです。メニュー画面からいつでも見ることができるリーダーボードでは、オンラインで集計されたプレイヤーランキングを見ることができます。そこにはなんと30分を切るプレイヤーが名を連ねていてびっくり。私が6時間ほどかかるゲームなのに30分弱……。おそらく必要最低限のアイテムを取りながら、効率よく攻略しているのでしょうね。このようにクリアまでのボリュームは少なめですが、自動生成マップの周回を想定し、新たな構成のマップや都度内容が変わるダンジョンをスルメのように味わえる楽しさに仕上げてある本作。CO-OPプレイにも対応しており、仲間と一緒にプレイする楽しみだって味わえます。『ネクロダンサー』ファンにも『ゼルダの伝説』ファンにも、新鮮な楽しさを感じさせるゲームです。

フォトギャラリー
ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説ロゴ

■タイトル:ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説
■メーカー:スパイク・チュンソフト
■対応ハード:Nintendo Switch™
■ジャンル:ローグライクリズムアクション
■対象年齢:12歳以上
■発売日:発売中(2019年6月14日)
■価格:ダウンロード版 2,980円(税込)


『ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説』オフィシャルサイト

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