まず観る!アニメ1話無料  vol. 3

Column

『妖怪人間ベム』オリジナル版を無料で観る。リメイク版でジャズがフィーチャーされているのにはワケがあった!

『妖怪人間ベム』オリジナル版を無料で観る。リメイク版でジャズがフィーチャーされているのにはワケがあった!

各種配信サービスで「1話無料」となっているアニメ作品を視聴し、その感想やウンチクを語っていく連載「まず観る!アニメ1話無料」。自分が生まれる前の作品も手軽に観られるのが配信サービスの良いところですよね。今回は第三回にして、なんと1960年代の作品をチョイスしました。

文 / エンタメステーション編集部


最近、過去の名作アニメのリメイクって多いですよね。『ガッチャマン』『デビルマン』『あしたのジョー』『どろろ』……原作に忠実な再アニメ化から、現代風に世界観をリファインしたもの、作中で流れる時計の針をそのまま現代まで進めた作品までその形は様々ですが、もともとの時代性からか、比較的重めの人間ドラマを追求している作品が多いのは共通項と言えるかもしれません。

今夏放送される『BEM』もそんな作品のひとつ。1968年に放送開始されたアニメ『妖怪人間ベム』がオリジナルです。その1話が無料配信されていました。

『妖怪人間ベム』

(バンダイチャンネルにて1話無料配信中)

「はやく人間になりた~い!」というキャッチフレーズでおなじみの今作。実は2006年にもリメイク版のアニメ(『妖怪人間ベム -HUMANOID MONSTER BEM-』)が放送されているのですね。亀梨和也・杏・鈴木福がそれぞれ妖怪人間を演じた実写ドラマ版も記憶に新しいところです。いずれのバージョンも、ベム・ベラ・ベロという三体の「妖怪人間」が人間になることを目指して邪悪な妖怪や悪人を成敗していく……という基本フォーマットは変わりません。

今回のリメイク版『BEM』は、原作の放送終了年である1969年からちょうど50周年という節目に送り出される作品となります。「リブラシティ」という架空の街を舞台としており、人間側のレギュラーキャラの名前もみな横文字。ベムたちを狙う裏社会的なものの存在も大きく影を落とし、海外のノワール映画的な雰囲気も感じさせます。

今回オリジナル版を観てわかったことですが、海外の街を舞台にしているというのは実は原点回帰なんですよね。1話のゲストキャラクターが「ピーター」という金髪の少年なことからも、どこか西洋の国が舞台であることが匂わされています。そもそも冒頭のナレーションでわかるのですが、彼らはどちらかというとフランケンシュタイン的な、科学実験の産物なんですよね。「妖怪人間」というネーミングから、どうしても和風な存在だと思いがちなんですが。

そんなオリジナル版の第一印象ですが、ベム・ベラ・ベロのやり取りが思ったよりコミカルに描かれているなと。「一つの細胞から三つに分裂した」と解説されているので、つまり親子ではないのですが、それに近い関係性が見られます。とりわけ無邪気な子供そのものなベロの性格は、暗めの世界観にあって清涼剤になっていますね(それだけに、人間の子供たちと仲良くしようとするが、大人たちからは石を投げられる……という内容のED映像が心に痛いのですが)。

シナリオ的には、1話の中に二転三転する展開があり、「昔のアニメ」だからといって退屈することはまったくありません。
ベム・ベラ・ベロは間違いなく正義の心の持ち主なのですが、その異形の姿(普段は人間に近い姿をしているのですが)から、周囲から悪だとのレッテルを張り付けられてしまうかもしれない。
善悪が反転する瞬間がいつ訪れるのか……というスリルがあるわけです。

「なぜ、何度もリメイクされているのか?」という答えの一端がここにあるのでしょう。特に情報社会となった現代においては、絶対的な善悪の価値基準というものがないように思えるからです。

また今回のリメイクで特に問題となってくるのは、オリジナル版において妖怪人間の姿が「醜い」とされていたことでしょう。
最近では「獣娘」のような擬人化ジャンルも人気を集めていますし、ハリウッドでは主要キャラクターの人種に偏りを設けないようにするという、ポリティカル・コレクトネス的な配慮が当然とされています(『BEM』の公式サイトでは解説文に英語も添えられていることから、海外のアニメファンも意識していることは明らかです)。
ベム・ベラ・ベロの「人間になりたい」という欲望の意味合いも、こうした現実の時代性の変化により変わっていくことが予想されます。「彼らはなぜそこまで『人間になる』ことにこだわるのか?」という疑問を通して、視聴者に現代なりの「人間らしさとは?」という問いを投げかける作品になっていくのではないでしょうか。

最後に音楽についても。「おれたちゃよう~かいにんげんなのさ」というおなじみの歌詞が歌われるオリジナル版のOPテーマは、おどろおどろしくも軽快なスウィンギン・ジャズになっています。
『BEM』では、世界を股にかけて活動する日本のジャズ・バンド、SOIL & “PIMP” SESSIONSが劇伴を担当するのですが、このオリジナル版OPテーマを聴いて初めて納得しました。ちゃんとルーツを踏まえているのだな、と!
SOIL & “PIMP” SESSIONSはOPテーマの演奏も担当。その楽曲「宇宙の記憶」はなんと作詞作曲:椎名林檎、歌唱:坂本真綾という豪華すぎる布陣! PVの中でも少し聴けますが、映像が付いたらどんなことになるのかも非常に楽しみです(「はやく人間になりた~い」とは、さすがに言わなさそうですが)。

それではまた次回!

今回ご紹介した作品を「1話無料」で観るならこちら!

妖怪人間ベム 第1話 【バンダイチャンネル】

https://www.b-ch.com/titles/1261/001

新作アニメ『BEM』

【STAFF】
原作:ADKエモーションズ
企画:NAS
プロジェクト協力:Production I.G
監督:小高義規
シリーズ構成:冨岡淳広
キャラクター原案:村田蓮爾
キャラクターデザイン:砂川正和
美術監督:明石聖子
色彩設計:佐々木雅人
CGディレクター:磯部兼士
撮影監督:林 コージロー
編集:丹 彩子
音響監督:亀山俊樹
音楽:SOIL&”PIMP”SESSIONS、未知瑠
音楽制作:フライングドッグ
アニメーション制作:ランドック・スタジオ

【CAST】
ベム:小西克幸
ベラ:M・A・O
ベロ:小野賢章
ソニア・サマーズ:内田真礼
ジョエル・ウッズ:乃村健次
ロディ・ウォーカー:西山宏太朗
ダリル・ブライソン:斉藤壮馬
Dr.リサイクル:諏訪部順一
ヘルムート・フェルト:小野大輔
謎の女:坂本真綾

©ADK EM/BEM製作委員会

連載「まず観る!アニメ1話無料」
次回の更新は7月22日(月)予定です。

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