モリコメンド 一本釣り  vol. 126

Column

JABBA DA FOOTBALL CLUB ヒップホップとメジャーのポップシーンを行き来する存在に

JABBA DA FOOTBALL CLUB ヒップホップとメジャーのポップシーンを行き来する存在に

フリースタイル・バトルをテーマにした「フリースタイルダンジョン」のヒット、そして、SALU、SKY-HI、Creepy Nuts、BAD HOP、ちゃんみな、AKLO、KID FRESINO、あっこゴリラ、chelmicoなどのブレイクにより、再び盛り上がりを見せている日本のヒップホップ・シーン。ドープな音楽性、幅広い層のリスナーに訴求できるインパクトを備えたアーティストが次々と頭角を現しているなか、また一つ、メジャーシーンで勝負できる可能性を持ったグループが登場した。今年6月にメジャーデビューを果たしたJABBA DA FOOTBALL CLUB。NOLOV、ROVIN、ASHTRAY、BAOBAB MCによるラップクルーだ。

2014年に結成されたJABBA DA FOOTBALL CLUBは精力的なライブ活動を展開するとともに、2015年に1stアルバム『QUEST』を発表。この年に行われた自主企画イベントにはSuchmos、Ykiki Beatなどのバンドが出演しており、結成当初から彼らが(ヒップホップ・シーンはもちろん)幅広いフィールドに目を向けていたことがわかる。

さらに2017年3月に2ndアルバム『OFF THE WALL』を発表。リードトラック「STAY GOLD」のスマッシュヒットをきっかけに、Spotifyが選ぶ注目新人枠“Early Noise”にRIRI、WONKらとともに選出されるなど、昨今のブレイク・アーティストの条件であるサブスクでも注目度を上げ、サマーソニックにも出演するなど、一気に存在感を強めた。

昨年3月にリリースされたEP「FUCKING GOOD MILK SHAKE」には、超注目のバンドTempalayの代表曲「革命前夜」をサンプリングした「月にタッチ」、気鋭のR&Bシンガー・kick a Showをフィーチャーした「THINK RICH, LOOK GOOD feat. Kick a Show」など刺激的なコラボレーション楽曲を収録。音楽性の幅を大きく広げると同時に、これまで以上に幅広い層のリスナーに訴求することに成功。さらにフジロックフェスティバルに初出演するなど、加速度的に活動の幅を広げ続けている。

メジャー1stシングルの表題曲「新世界」は、“いつだってスタートなんだ今 ここが新世界”という超ポジティブなフレーズが高らかに響き渡るナンバー。ソウル、ファンク、ポップスなどがナチュラルに共存するミクスチャー系のサウンド、キャッチーに振り切ったメロディラインなど、このグループの良さが端的に示された楽曲に仕上がっている。

「新世界」のスタートは、ROVINの高揚感に溢れたラップ。しなやかさと鋭さを交えたフロウからは、ラッパーとしての高いスキルを感じ取ってもらえるはずだ。そこにブラックミュージックのテイストを含んだギタープレイ、フロアの盛り上がりを想起させるバウンシーなビートとともに、圧倒的なカタルシスを生み出していることも、この曲の魅力。また、メンバーのキャラと技術をしっかりと活かした構成にも注目してほしい。

カップリングには、“君と一緒にアガってきたい”という真っすぐな欲望を掲げたアッパーチューン「君の街まで」、そして、既にアンセムとなっている「i&i」を(メンバーが敬愛する)ORANGE RANGEのNAOTOがリミックスした「i&i Remixed by naotohiroyama(ORANGE RANGE / delofamilia)」を収録。ジャンルを超越した音楽性をバランスよく表現したシングルとなっている。

JABBA DA FOOTBALL CLUB の音楽性の真ん中にあるのは、ずばり“00年代感”だろう。ファンク、ソウル、ヘビィロック、ポップスなど様々なジャンルの音楽が接近し、“ミクスチャー”がキーワードになっていた00年代は、ヒップホップがメジャーシーンに進出した時期でもある(その中心いたのはもちろん、KICK THE CAN CREWとRIP SLYMEだ)。その当時の空気をトレースしながら、10年代以降の音楽的なトレンドを加味したうえで、独創的に進化させたのがJABBA DA FOOTBALL CLUBのサウンドなのだと思う。彼らの楽曲は00年代の音楽を知っている人には懐かしく、10代のユーザーには新しく聴こえるはずだ。

ほとんどの楽曲のトラックメイクを担当しているBAOBAB MCは、chelmicoへのトラック提供、アイドルグループへの楽曲も手掛けている。また、共同プロデューサーのSUIはディープなヒップホップ・シーンで活動する一方、EXILE SHOKICHI、三浦大知、Nissy、ももいろクローバーZなどの楽曲でも才能を発揮。つまりJABBA DA FOOTBALL CLUBの音楽には、ドープなヒップホップとカラフルなポップネスが同時に描き込まれているというわけだ。

メンバーのキャラが際立っていたり(NOLOV/リーダー&よく喋るグループのまとめ役)、ROVIN/ゲーム好き&質の高いラップ、ASHTRAY/イケメン&流麗なフロウ)、BAOBAB MC(サブカル好き&トラックメイカー)、“どこにでもいるような仲良し4人組がステージに立つと輝きを放つ”というギャップも、このクルーの魅力。彼らがヒップホップとメジャーのポップシーンを行き来する存在になれば、日本の音楽はもっと楽しくなるはずだ。

文 / 森朋之

その他のJABBA DA FOOTBALL CLUBの作品はこちらへ。

オフィシャルサイト
http://jbfc.jp/s/n63/?ima=3743

vol.125
vol.126
vol.127