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鈴木拡樹、椎名鯛造ら4年ぶりの『最遊記歌劇伝-Darkness-』上演に「ここから始まる新たな旅をお楽しみに!」

鈴木拡樹、椎名鯛造ら4年ぶりの『最遊記歌劇伝-Darkness-』上演に「ここから始まる新たな旅をお楽しみに!」

峰倉かずやの大人気コミック『最遊記』(一迅社刊)シリーズを原作としたミュージカル『最遊記歌劇伝』の新作公演『最遊記歌劇伝-Darkness-』が、2019年6月6日(木)から6月14日(金)までヒューリックホール東京にて上演された。
本シリーズは、2008年に『最遊記歌劇伝-Go to the West-』としてスタートし、11年の間に6作品を上演。約4年ぶりに三蔵一行が登場した本作では、西への旅を続ける彼らの前に“死者を甦らせる術”を持つ異国の司教ヘイゼルと従者ガトが現れ、過去最悪の“闇”が描かれる……。 多くのファンが待ち望む中、再び西へ向けて歩みを進めた三蔵一行。
その公演の模様をレポートで振り返ろう。

取材・文・撮影 / 近藤明子


4年の空白は新たな旅に出るための準備期間

最遊記歌劇伝-Darkness-

「準備はいいか、野郎ども!」 この声を、どれだけ多くのファンが待ち焦がれていた事か……。2015年9月の『最遊記歌劇伝-Reload-』から約4年の時を経て、再び三蔵一行の旅が始まった!

過去に『最遊記歌劇伝』シリーズを観劇した人は、玄奘三蔵役の鈴木拡樹、孫 悟空役の椎名鯛造、沙 悟浄役の鮎川太陽、そして本公演限定で再び一行の旅へ加わった初代・猪 八戒役のさいねい龍二の姿を万感の思いで見つめていたに違いない。

また、各キャストの活躍から『最遊記歌劇伝』を知った人にとっては、ある種“伝説”のようになっていた舞台を生で見る好機(チャンス)を得て、震えるような想いで劇場へと足を運んだことだろう。

雷鳴と共に新たな物語の幕が開け、空白の時間を埋めるように各キャラクターが心情を歌に乗せて紡いでいく……。脈打つ鼓動のようなリズムは次第に強さを増し、今回の物語のキーマンともいえる法月康平が演じるヘイゼルの美しく澄んだ歌声が会場の隅々まで響きわたり、観客を優しく包み込む。

光明三蔵(三上 俊)と你 健一(唐橋 充)のコントのような会話から、これまでのストーリーをザックリおさらいした後は、おなじみのテーマ曲が流れ、玄奘三蔵(鈴木拡樹)の「準備はいいか、野郎ども!」の声と共に、新たな物語の幕が開けた!

最遊記歌劇伝-Darkness-

三蔵一行が立ち寄った街で起こった妖怪たちによる人間への大虐殺。多くの犠牲者を出す中、謎の修道士ヘイゼルは自身の持つペンダントの不思議な力で、死んだはずの人々を次々と蘇らせる。街は平和を取り戻したかのように思われたが、再び血の惨劇が起こり……。

『最遊記歌劇伝』といえば、歌×芝居×アクション×ダンスで原作の壮大な世界観を描いているのが最大の魅力。各自のソロはもちろん、キャスト全員による圧巻のハーモニーも厚みと迫力を増し、さらに今回が『最遊記歌劇伝』初参加となるヘイゼル役の法月康平がけん引する形で“歌劇伝”としての見どころが倍増していた!

多くのミュージカル作品に出演する実力派・法月の参加により、孫 悟空(椎名鯛造)と沙 悟浄(鮎川太陽)を引き連れて軽やかに歌い踊るポップなシーンや、玄奘三蔵(鈴木拡樹)とのコミカルなやり取りなど、今までの『最遊記歌劇伝』シリーズとはまた違う新たな風を吹かせていたように感じられたのだった。

エセ関西弁の何やら“うさんくさい”ヘイゼルとは対照的だったのが、彼の従者であるガト(成松慶彦)の寡黙なキャラクター。二丁拳銃を操るガンアクションや体を張った芝居はもちろん、孫 悟空と心を通わすシーンなど、成松の好演が光っていた。

最遊記歌劇伝-Darkness-

2008年の初演『最遊記歌劇伝-Go to the West-』から玄奘三蔵役を演じてきた鈴木拡樹は、以前取材時に「『最遊記歌劇伝』は僕にとって思い出深い初主演作。いつのまにか三蔵の年齢を超えてしまいましたが(笑)」と笑っていたが、11年の長きに渡って同じ役を演じ、そのクオリティを保ち進化させていくための努力は、想像以上のものだったことだろう。

同じく11年間、孫 悟空役を務めてきた椎名鯛造に至っては、孫 悟空というキャラクターを表現するうえで欠かせない“永遠の少年性”と“激しいアクションに対応する体力維持”は大きな課題であったに違いないが、今作でもアクションのキレがハンパない!

ほかにも、同じく初演から你健一/烏哭三蔵 役で出演する唐橋 充のシニカルでコミカルな演技や、美しくも何やら企んでいそうな怪しげな雰囲気が魅力でもある光明三蔵 役の三上 俊、毎回様々な役で登場し作品を支えてきたうじすけ、2014年の『最遊記歌劇伝-God Child-』から共に旅を続ける沙 悟浄役の鮎川太陽、そして今作では初代・猪 八戒役のさいねい龍二が藤原祐規から想いを託され本公演のみ限定出演を果たすなど、これまでのシリーズにかかわってきたキャスト陣の“作品愛”が脈々とつながって、また次の旅へと歩みを進める原動力となっているのだと改めて感じ胸が熱くなった。

三蔵一行は“ヒーローらしくないヒーロー”。だけど、それが魅力なんだと思う。

最遊記歌劇伝-Darkness-

ゲネプロの後の囲み取材には、玄奘三蔵 役の鈴木拡樹とヘイゼル役の法月康平が登壇し、本作への想いを語ってくれたのだが、その中で法月は「このカンパニーは、お芝居をしていることが一番のコミュニケーションになっていて、その居心地の良さで初参加ながら早い段階でこの世界観に飛び込むことができた」と語っていた。その結束力をもって2020年上演の次回作『最遊記歌劇伝-Oasis-』での活躍も期待したい。

鈴木は「懐かしい三蔵一行が帰ってきた事をテーマのひとつにしたい」と『最遊記歌劇伝』シリーズファンの心情にも思いを巡らしながら、「三蔵一行は“ヒーローらしくないヒーロー”で、毎回ゲストで登場する敵キャラの方がメインっぽいんですよね(と、横の法月をチラ見、笑)。次回作の『Oasis』もキャスト&スタッフ一同で気合いを入れて旅を進めていきます」と笑顔で語った。

最遊記歌劇伝-Darkness-

再び回り始めた歯車。大きく踏み出した一歩。そしてその先へと道は続く。
敵か味方か――新たな仲間(?)が加わり、この先の物語はどう展開していくのか。人間と妖怪、それぞれの“命”をテーマに描かれる「ヘイゼル編」の続編となる『最遊記歌劇伝-Oasis-』、2020年の開幕を楽しみに待ちたい。

現在、6月13日(木)14:00/19:00公演が、ニコニコ生放送にてディレイ配信中のほか、『最遊記歌劇伝-Darkness-』DVDが2019年12月4日(水)に発売決定! ディレイ配信のチケット購入方法、および公演情報の詳細は公式サイトを要チェック!

『最遊記歌劇伝-Darkness-』

2019年6月6日(木)〜14日(金) ヒューリックホール東京

原作:峰倉かずや『最遊記』『最遊記RELOAD』(一迅社刊)
脚本・演出:三浦 香
主催:最遊記歌劇伝旅社(CLIE・フロンティアワークス)

出演
玄奘三蔵 役:鈴木拡樹
孫 悟空 役:椎名鯛造
沙 悟浄 役:鮎川太陽
猪 八戒 役:さいねい龍二
ヘイゼル=グロース 役:法月康平
ガト 役:成松慶彦
フィルバート=グロース 役:うじすけ
光明三蔵 役:三上 俊
烏哭三蔵 役:唐橋 充

アンサンブル
河城 英之介/川口空汰(Wキャスト)、坪内 悟、山下 潤、中西 奨、森田 龍、是澤洋文、菅山 望、轟 大輝、小島飛鳥、竹本太朗、森川大輝、深澤悠斗

©峰倉かずや・一迅社/最遊記歌劇伝旅社 2019

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@saiyuki_kgkdn)

原作コミック『最遊記』

原作コミック『最遊記RELOAD』