TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』1年6か月の記憶  vol. 6

Report

TVアニメ完結!『新幹線変形ロボ シンカリオン』総括&最終話アフレコレポート─平成最後&令和最初のロボアニメが残した記憶と記録

TVアニメ完結!『新幹線変形ロボ シンカリオン』総括&最終話アフレコレポート─平成最後&令和最初のロボアニメが残した記憶と記録

実在する新幹線が、巨大ロボットに進化(チェンジ)する! TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』が最終話の放送を終え、6クール・全76話にわたり続いた物語に幕を下ろした。

新幹線やロボットが好きな子どもたちだけではなく、大人も一緒に夢中になれる作品として話題を集めた本作。最終話放送から間もない2019年7月からは、BS-TBS、TOKYO MXで早くも再放送がスタート。さらに12月には劇場版『新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X』が公開されることも明らかになり、作品としての盛り上がりはこれからも継続していきそうだ。

今回は、そんな『シンカリオン』が歩んできた1年半の歩みや記録をあらためて紹介するとともに、最終話の収録でただならぬ熱気を帯びたアフレコ現場の模様もレポート。放送終了後、すっかり“『シンカリオン』ロス”になっているというファンのみなさんにとってフレッシュな話題としてお届けできれば幸いだ。

構成・文 / 柳 雄大


全76話という記録の持つ意味

新幹線変形ロボ シンカリオン

2018年(平成30年)1月6日の放送スタートから、2019年(令和元年)6月29日まで、全76話を駆け抜けた『シンカリオン』。こうして最終話を終えた今、まず明らかにしておきたいのが「元号またぎの長期放送となったロボットアニメ」であるということ。平成最後にヒットしたロボットアニメであり、令和最初のロボットアニメでもあったという事実は、今後アニメの歴史を振り返ったときにもたびたび思い起こされることになりそうだ。

さらに“76話”という数字はアニメファンの間でも大きな関心を集めている。いわゆるシリーズものではなく、単発の作品で70話を突破できたロボットアニメは平成でも唯一『シンカリオン』のみ。さらに昭和時代を振り返っても、『マジンガーZ』(全92話)に次ぐとされる『太陽の牙ダグラム』(全75話)の記録をもわずかに塗り替え、歴代でも5本の指に入る話数となったからだ。

<参考:TV放送が70話以上続いたロボットアニメの例>
『鉄人28号』(1963~66年放送、全97話)
『マジンガーZ』(1972~74年放送、全92話)
『UFOロボ グレンダイザー』(1975~77年放送、全74話)
『闘士ゴーディアン』(1979~81年放送、全73話)
『太陽の牙ダグラム』(1981~83年放送、全75話)

新幹線変形ロボ シンカリオン

とはいえ、『シンカリオン』の放送がここまで長期化することは制作陣の多くも想定していなかったのではないだろうか。当初は1年間(4クール)の放送予定だったとされるが、しかし、それらをいい意味で裏切ってくれたシリーズの長期化。当サイトで本作プロデューサーに取材を行った昨年11月、「作品はまだまだ続きます」と話を聞いたときの驚きと喜びは大きかった(→当時の記事)。こんな感覚を味あわせてくれるTVアニメはそうそうない。

さらに6クール目(第65話~)からは登場キャラたちの学年が1年上がってシリーズが“新章”に突入したが、そこからはまさかのジェットコースター的展開も見どころとなり……息つく間も与えないまま、2019年6月29日に本作TVシリーズは“終着駅”を迎えることとなった。

長期に渡ったTVシリーズ、それでも盛り上がりが継続できた理由は?

新幹線変形ロボ シンカリオン

『シンカリオン』が76話もの長期にわたり継続できたことの要因として、“子どもも大人も飽きない仕掛け”を常に作り続けていたことは大きい。そこには脚本家でありシリーズ構成を担当した下山健人ほか、プロデューサー・スタッフ陣の優れた仕事がある。

第15話「北へ!!シンカリオン H5はやぶさ」では、ボーカロイド・初音ミクとのコラボレーションにより生まれたキャラクター「発音ミク」が初登場。ボカロファン、アニメファンを騒がせるトピックとなった。続いて『新世紀エヴァンゲリオン』との超スペシャルコラボによって伝説となったのが第31話「発進!!シンカリオン 500 TYPE EVA」。話題性の大きなキャラクターのコラボとしては、JR東日本の人気キャラクター「Suicaのペンギン」をTVアニメに登場させたこと(第53話「クイズ!!ブラックシンカリオンとペンギン」ほか)も印象的だった。

外部作品のキャラたちが登場する意味合いや頻度はそれぞれ異なるが、いずれもキャラクター・作品への愛あふれるコラボが行われたことで、より広く大人の視聴者にも響いていくこととなる。

これらの展開が従来のファン以外からの注目も集める一方で、メインターゲットである子どもたちには「新しいロボット(シンカリオン)の登場」を軸に真っ向からのアピールを続けてきた。

新幹線変形ロボ シンカリオン

ストーリー上では“ほのぼのギャグ回”として位置づけられてもおかしくない「超進化研究所・大宮支部の大運動会」を描いた第38話では、これまでで最強クラスの大型ロボ「シンカリオン ドクターイエロー」が初登場。これが3クール目終盤というタイミングだったこともあり、いよいよ物語が最終ラウンドに突入するかも……と思わせるだけの強さを見せつけてくれた。

同様のテーマを語るにあたって、避けて通れないのが第64話「超絶進化!!E5はやぶさ MkⅡ」だ。「東京駅・中央迎撃システム」としてまさかのトランスフォームを遂げた東京駅、そこに集結する全国のシンカリオン。最恐の敵・カイレンとの最終決戦……という盛り上がりのピークに、なんと「シンカリオン E5はやぶさ」の後継機「E5はやぶさ MkⅡ」が参戦したこの回。OPテーマなしで始まる本編、そのAパート(CM前)ラストで「MkⅡ」が東京駅に降り立つ演出・展開はまさに激燃え! シリーズ長期化の象徴ともいえる機体の登場、しかしそれを決して蛇足に感じさせない見せ方のうまさが、この第64話には詰まっていたと思う。

『シンカリオン』の演技が生み出される現場に潜入!

新幹線変形ロボ シンカリオン

いくつもの伝説を作ってきた『シンカリオン』、このTVアニメシリーズの集大成となったのが最終話(第76話)『終着!!シンカリオンと新たなる出発』だ。今回は、声の収録を行うアフレコスタジオへ特別にお邪魔することができたので、現場の様子をレポートしていきたい。まずは詳しいエピソードに触れる前に、『シンカリオン』におけるアフレコの基本的な流れから紹介する。

声の出演をするキャスト(声優さん)が台本を持ってブースに入ると、収録スタジオのスタッフはそれをガラスの壁越しに見ながら音声収録を始める。この様子は見たことがある人も多いだろう。スタジオスタッフ側の部屋には監督の板井寛樹、総監督の池添隆博ら数名のメンバーと音響スタッフ、そして音響監督の三間雅文がいる。アフレコ現場の司令塔となるのがこの音響監督だ。

台本を手にしたキャストは、眼前のモニターに映されたアニメの映像にあわせて演技を行う。この時点では、キャストはまだ詳細な動きがつけられる前のアニメを観ながらセリフをあてていくことになる。

この収録現場では、「まずは1パート(CMを挟んでのA・Bパートといった固まり)通しで中断を入れずに台本読み」、「ひと通り演技を聞いた中で、音響監督が気になったシーンまでさかのぼって修正指示」「OKになるまで各シーン録り直し」といった流れが繰り返し行われた。音響監督は普段マイクを使い部屋のガラス越しに指示を出すが、より細かいニュアンスが必要なシーンになると、キャストの集まるブースに直接出向いて伝えにいくこともある。

また、話を進めていくうえで実際にキャストの演技を聞いていく中で、監督らとの間で意見が交わされ“より良い芝居”を作っていくためのセリフ修正も少なくない。三間氏のディレクションは、基本的な部分はキャストを信頼して委ねつつも、あらゆるシーンにおいて繊細なニュアンスまでこだわり表現していくというものだった。

1 2 >
vol.5
vol.6
vol.7