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三浦宏規&高野 洸 出演! 髭切と膝丸が紡ぐ哀しくも美しい『曽我物語』。ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 ~SOGA~

三浦宏規&高野 洸 出演! 髭切と膝丸が紡ぐ哀しくも美しい『曽我物語』。ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 ~SOGA~

7月4日(木)~14日(日)まで品川プリンスホテル ステラボールにてミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 ~SOGA~が上演された。
ゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」(DMM GAMES/Nitroplus)を原案としたミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ。本作は、源氏の重宝であった太刀の刀剣男士、“髭切”と“膝丸”の2振りによる公演。これまでミュージカル本公演の「つはものどもがゆめのあと」、大型ライブ公演の「真剣乱舞祭」などに出演を重ねてきた兄弟が、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズの挑戦的な作品を務め上げた。
初日前日に行われたゲネプロの模様を可能な範囲でレポートする。

取材・文 / 片桐ユウ 撮影 / 宮内勝


“散る”美しさだけが持つ気迫や切なさ、艶麗さ

髭切役の三浦宏規が、初日コメントで「今作の台本を最初に手にしたとき、その内容に目が飛び出るような衝撃を受けました。それくらいの驚きのある作品で、“刀ミュ”を進化させていくひとつのターニングポイントになるのではないかと思います」と語った本作。

サブタイトルに「SOGA」とあるとおり、ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 ~SOGA~の1部では、日本三大仇討ちのひとつである『曽我物語』が綴られる。

方方に雑草が茂る廃寺のような舞台の床は板の間になっており、三方面に並んだ客席に面するほか、舞台の2階部分には屋根と奥へ続く障子が見える。

そこへ静静と登場するのが、瞽女(加納幸和)。
瞽女(ごぜ)とは盲目の女性芸能者のことであり、一説には『曽我物語』は彼女たちによって語り継がれたとされる。
瞽女が語る横から、台座に乗せられて粛粛と運ばれてきた2振りの顔には仮面が付けられており、浄瑠璃の人形のように動き出したそれらが仮面をはずすと、髭切(三浦宏規)と膝丸(高野 洸)が現れる。

髭切は曽我十郎祐成(すけなり)、膝丸は曽我五郎時致(ときむね)として見得を切ったところで、物語は曽我十郎祐成が一万(いちまん)、曽我五郎時致が筥王(はこおう)と呼ばれていた始まりの時へと遡っていく。

ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 〜SOGA〜

幼い一万と筥王は元気いっぱいに駆け回り、天真爛漫な笑顔。交わすやりとりは無邪気そのもので、父親・河津三郎と母の姿をみとめた途端に駆け寄っていく様が微笑ましい。

だが、親子の幸福は突如として引き裂かれる。
河津三郎は工藤祐経の刃に倒れ、母は嘆き悲しみながらも、幼い子らを育てるために曽我太郎のもとへ再嫁するのだ。
しかし兄弟は父の仇討ちを誓い、鍛錬を始める。
兄は弟のため、弟は兄のためと、互いの存在を胸に仇討ちを志す流れが、哀しくも美しい。

ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 〜SOGA〜

瞽女の語りと、ふたりの歌唱によって時は流れていく。
声色や振る舞いの変化に伴って衣裳や髷も変わり、時の経過を示している。

一万は曽我十郎祐成に、筥王は曽我五郎時致に。兄は曽我家のもとで、弟は預けられた箱根権現で成長し、強くなって再会を果たす。
ついに仇討ちを果たさんと、ふたりが別当に別れを伝えに行くと、弟・五郎は箱根権現に奉納されていた太刀を与えられる。

ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 〜SOGA〜

母のもとで育った兄・十郎が、仇討ちに反対して立ち去ろうとする母を万感の思いを込めて呼び止める場面が胸を打つ。
兄弟は母を説得し、今生の別れを惜しんで共に舞い歌う。
仇討ち場面は、早さや華だけではなく、歌舞伎のように捕り縄を使った立ち回りも入り、様式美も含んだ展開を見せる。
特に、斬られた際に吹き上がる赤い花弁は、仇討ちという悲劇と相まって“散る”美しさだけが持つ気迫や切なさ、艶麗さを感じさせた。

悲願を遂げて、折り重なって倒れる十郎と五郎。
動かなくなったふたりは再び台座に乗せられ、仮面を被せられたところで瞽女が語る“ものがたり”も終わる。

ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 〜SOGA〜

どのパフォーマンスも見応え十分

重厚感のある1部から休憩を挟んだ2部は、ショータイム。
客席にはペンライトの光が溢れ、髭切と膝丸が華やかな衣裳に身を包んで歌い踊る。

ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 〜SOGA〜

髭切を演じる三浦宏規が、バレエで培ったしなやかなダンスで圧倒し、膝丸を演じる高野 洸が身軽なアクロバットでフロアを湧かせる。
共にリズム感が卓越しているためか、振付にそれぞれのカラーを出しながらも、テンポがピタリとハマっているのが心地良い。また歌唱力も伸びており、どのパフォーマンスも見応え十分。

ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 〜SOGA〜

髭切が自分の弟である膝丸の名前を忘れる恒例のやりとりも、1部で新鮮な2振りの様を見届けたあとだと、どこか懐かしく安堵を覚える。「先程は『曽我物語』を演じたわけだが~」と語り合う、ふたりのトークも軽妙だ。

白と黒を基調とした衣裳から、軍服テイスト、着物風、と装いを替えて、全力のダンスパフォーマンスと熱唱で魅せる。後半の『獣』は、大型ライブ公演やTV出演の際にも熱狂を呼んだ楽曲。衣裳の片肩をはだけて汗で光る背中を見せながら、様々な文字をポイで呼び起こし、会場の熱気を天井まで高めた。

ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 〜SOGA〜

続く、『曽我物語』で瞽女/母/箱根権現の別当を演じていた加納幸和による“舞”では、厳かな静寂が空間を埋める。

ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 〜SOGA〜

その後に登場した髭切と膝丸は戦闘服姿。ミュージカル『刀剣乱舞』のテーマ曲に乗せて殺陣を披露したところで、ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 ~SOGA~は終了となった。

ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 〜SOGA〜

2.5次元に収まりきらない舞台。一般の演劇との隔たりを打ち壊したい

演出の茅野イサムが、初日コメントで「2.5次元にはもっと表現の可能性がある、それに挑戦したいとずっと考えてきました。この芝居は、僕や脚本の御笠ノ(忠次)くんが、この4年間ずっと「刀剣乱舞-ONLINE-」に触発され続けてきたからこそ、生まれた作品だと思います。間違いなく 2.5次元だけれど、2.5次元に収まりきらない舞台。結果として、日本の演劇界でもほかに類を見ないものが生まれたと思っています」と述べた本作。

合わせて「僕にとってとても大切なのは、2.5次元ミュージカルが“演劇”であるにもかかわらず、演劇界と分断された特殊な世界になっている現状を打破したい、という思いです。2.5次元は今とても勢いがあり、多くの方に喜んでいただいています。それは非常に嬉しいことで、すごい時代が来たと思っています。ただ、もっと一般の演劇との隔たりを打ち壊したいと思っていて、それは両方に長く携わっている僕だからこそできることだと自負しています。ですから、この公演でそれを実現し、いわば突破口として今後に繋げられたら、と思っています」と語り、現代劇ももちろん、古典芸能にも造詣が深い、花組芝居の加納幸和が出演してくれたことへの感謝と共に「髭切と膝丸は源氏の重宝と言われる刀剣ですが、三浦宏規と高野 洸はいつか日本演劇界の宝になり得る役者です。僕は今回、彼らと一緒に仕事をしていてそれを確信しましたし、大事な才能を預かっているということにとても責任を感じながら作品をつくっています」とも明かしていた。

ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 〜SOGA〜

同じく初日コメントで、髭切役・三浦宏規は「稽古では、演出の茅野さんはじめ、クリエイター陣の意気込みや気迫とも言えるものをひしひしと感じながら、その想いにとにかく応えたいという気持ちで臨んできました」、膝丸役・高野 洸は「稽古中から、この作品に関われていることを日々誇りに感じていて、皆さんがつくり上げてくださったベースが素晴らしいので、僕も楽しんで、さらに自分たちが演じることで素敵なものにして伝えられたらと思います」と意気込みを見せていた。

茅野の熱意に応じたふたりの勇姿を目に焼きつけると同時に、「日本演劇界の宝になり得る役者」と評された、それぞれの未来にも期待が高まった。

ミュージカル『刀剣乱舞』の次回作は、8月から始まるミュージカル『刀剣乱舞』 ~葵咲本紀(きしょうほんぎ)~。挑み続けるシリーズが、新たに紡ぐ歴史もまた楽しみだ。

ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 〜SOGA〜

ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 〜SOGA〜

2019年7月4日(木)〜7月14日(日)品川プリンスホテル ステラボール

原案:「刀剣乱舞-ONLINE-」より(DMM GAMES/Nitroplus)
演出:茅野イサム
脚本:御笠ノ忠次
振付・ステージング:本山新之助 DAZZLE

出演:
髭切 役:三浦宏規
膝丸 役:高野 洸

丸山敬之(花組芝居) 西岡寛修 村上雅貴
笹原英作 河野健太 前原雅樹 竹内秀明

加納幸和(花組芝居)

主催:ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
(ネルケプランニング ニトロプラス DMM GAMES ユークリッド・エージェンシー)

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@musical_touken)

©ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会