Interview

Mega Shinnosuke 注目すべき10代の才能は、新作リリースで高まるシーンからの視線をどう感じているのか?

Mega Shinnosuke 注目すべき10代の才能は、新作リリースで高まるシーンからの視線をどう感じているのか?

注目すべき10代の才能として話題を集めるポップ・クリエイターが、5曲入りEP「HONNE」をリリースしたのは6月5日のこと。それからの約1ヶ月間で注目度はさらに高まるばかりという印象だが、当の本人はリリース後の世の中の反応に対してどんなことを感じているのか? そもそも、その曲たちはどんなふうに作られるのか?
7月2日に新宿ロフトで行われたイベントに出演した数日後に設定された取材日、まずは撮影に臨んだその様子を話題にすることから始めて、ライブの感想を踏まえながら曲作りについて聞いた。

取材・文 / 兼田達矢 撮影 / 高木博史


正直、自分がどう写ってるかなんて3日もしたらどうでもよくなるから、もう最初から気にしなくていいかなって今は思っています。

撮影は、わりと平気なんですか。

平気じゃないですよ。

Megaさんのように、インディーズで、しかもキャリアも浅いと、取材で写真を撮られることに慣れていない人が多くて、だいたい表情が硬くなってしまうんですが、Megaさんはそういう感じではなかったですよね。

僕も前はそうだったんですけど、どうせ撮らなきゃいけないし、早く終わらせようっていう思考になりました。

そういうふうに頭ではわかっていても、いざレンズを向けられると、やっぱりカッコよく撮られたいとか、いろんな気持ちが出てきてリラックスできない、ということになるみたいですよ。

僕ももちろん最初はどう写ってるか気になったんですけど、正直、自分がどう写ってるかなんて3日もしたらどうでもよくなるというか、例えばMVで“わあ、このシーン、カッコ悪かったなあ”ってチョー気になってたことが、時間が経つとどうでもよくなるから、もう最初から気にしなくていいかなって今は思っています。

Mega Shinnosuke エンタメステーションインタビュー

それは、こういうふうに取材を受けたりするような立場になって、頭を切り替えたということですか。

そうですね。東京に来てからです。

ただ、こういう立場にならなくても、Megaさんの世代だったら中学くらいで友達同士で写真を撮り合ったりしてただろうし、そうでなくても他人からの見た目というのは気になる、気にするものではないですか。

僕、自分のファッションはめっちゃイケてると思ってるんですけど、感性が追いついてない若者は「何、それ?」って言うんですよね。つまり、誰が見るかによって全然違うから、自然体が一番いいんじゃないかなって。どっちにしろ、わかってない人はわかんないし。わかってると言う人も、わかってるかどうかはわからないので、だから誰がいい/悪いという話でもないと思うんです。というわけで、自然なのが一番いいと思っていて、中学の頃に写真を撮り合ったりする文化には巻き込まれるタイプではなかったですね。

最初に仕事を早く進めようという思考になったと言われましたが、それ以前に自意識の在りようが周りにあまり左右されないんですね。

変にこだわってもしょうがないし、それにファッションは自己満足だと思ってるし。自分が満足できている上での、やる音楽とか発言とか、そういうところが違ってくると思うんですよね。

ちなみに、茶色のレンガ塀の前で撮ったカットで、ジャンパーの青色が一筋入るのが背景とのコントラストでアクセントになることは意識してましたよね。

そうですね。普段から…、ひと言で言うとかわいいものというか、かわいい構図をみつけたら写真を撮るようにしてて。それは単純に趣味なんですけど、そういう発見を人に伝えたりするのが楽しいっていう。だから、自然と写真の構図は考えるようになってますね。

僕のことを知る人が増えれば、それなりの評価を受けるものを作ってると思ってるんで、僕自身はファンが増えたことについて驚きはないです。

先日のライブの話ですが、最後の曲の前に「最後の曲です」とMegaさんが言ったら客席から「ええっ!?」という反応があって、それに対して「やっと最近そういうふうになってきました」と話してましたが、そういう反応の変化はいつ頃から感じていますか。

「最近」とは言っても、今は毎日いろいろ思うことが多すぎて、僕の中での時間の流れるスピードがみんなとは違うというか、「最近」というのは本当の最近で1ヶ月前のことはかなり昔、という感じになってきてるんです。「ええっ!?」というお客さんの反応に関しては、福岡にいた頃…、3月はあったかな、2月はまだなくて、東京に来てからちょっとずつ増えてきたっていう。僕の勝手な予想ですけど、福岡にいた時にももちろん応援してくれてる子はいましたが、それは同い年の高校生を応援するみたいな感じだったと思うんです。でも、東京に来て、MVが公開されて、それなりの再生数を記録したりすると、ちゃんとアーティストとしてファンになってくれたのかなという感じがしていて、だから例えばライブで「ええっ!?」と言う、みたいな流れも出てきたのかなという気はしています。

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EP「HONNE」がリリースされたのが1ヶ月前ですが、音源がリリースされる前と後とで、自分の音楽に対する反応で何か変化を感じることはありますか。

「HONNE」が世に出たからという流れの中で、MVが公開されたりインタビューが掲載されたり、ということがあったわけですけど、インタビューについては音源から入ってきた人が読んでくれてるという印象はありますけど、僕を全く知らない人が読んでくれてるという印象は全くないです。ただYouTubeというのはすごく回るから、そこで目に留まって気に入ってくれて、ファンがすごく増えたなという印象はあります。ただそれは、例えば僕が作ったものが今まで60点だったのが今回は90点だからすごく広がったとはもちろん思ってなくて。僕としてはその都度やってることの最大限を出したいということしか考えていないし、これまでも安定して80点、90点のものを出してきたので。今回のその結果は単純に僕のことを知った人が増えたというだけだと思うんです。正直、僕のことを知る人が増えれば、それなりの評価を受けるものを作ってると思ってるんで、僕自身はファンが増えたことについて驚きとかはないです。

今の実感としてあるのは、知ってもらうための道筋としては音源をリリースすることよりもYouTubeでMVを公開することのほうが速いし強い、ということですか。

そうですね。

僕が一番楽しいと思うことを出すのがクリエイティブなのかなと思ってるんです。

この「HONNE」を聴き、先日のライブを見て、聞きたくなることの一つは“どうやって音楽を作っているのか?”ということなんですが、道具としてはギターで作るんですか。

ギターが、僕の中では一番弾ける楽器ではあるんですけど、コピーとかは全然してきてないので、引き出しとしてどんなものがあるか自分でもわからないんですよね。曲を作ってる時に、実際に弾いてみたものがあったというだけで、「こういうのもできる」「ああいうのもできる」という自信は全くないんですけど。それでもギターを主体に使って作る曲もあるし、「桃源郷とタクシー」や「O.W.A.」みたいなファンク調の曲はLogic(macOSで使える音楽制作ソフト)のドラマーという機能でリズムの雰囲気を作って、そこから始まる場合もあるし。「憂鬱なラブソング」や「本音」は、その時点で知ってたコードで、弾き語りで作っていきました。「狭い宇宙、広いこの星」も確かドラムから作りましたね。

先日のライブはMegaさんを含め4人編成のバンドでの演奏でしたが、自分の音楽を鳴らす形としてバンドであることはどれくらい重要なことですか。

僕は、ライブをほとんど見に行ったりはしないんですけど、それでもダンス・ボーカル・ユニットよりはバンドのほうが好きなタイプではあったから、曲を作ってる時にも“ギター・ソロを入れてみたいな”と思ったりしたんです。そういう曲をいざライブでやるとなった時に“ギターがいないって……”となるじゃないですか。単純に見せ方として、メンバーがいた方が面白いし、僕自身もライブしてる時に他の人の演奏が見れるから、それでテンションが上がったりしますよね。だから、単純に僕がバンドでやるのが好きということで、曲にしても僕が聴いていいと思ってる曲を出してるわけで、僕が一番楽しいと思うことを出すのがクリエイティブなのかなと思ってるんです。

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音楽を伝える方法としては、さっきも話題になったMVを作って動画サイトに公開したり音源をリリースしたり、いろいろあるわけですが、その中でライブをやることはMegaさんにとってやはり必要なことですか。

どの話も原点に帰っちゃうんですけど、僕自身が曲をめちゃくちゃ発信してめちゃくちゃリスナーを獲得したいと思っているわけではないし、早く売れて日本一のアーティストになりたいという気持ちもないんです。自分にとって最大限のものを出したいとは思っているんですけど、そこにこだわりがあるだけで、自分がやっていく中で、自分自身が“良い”と納得できていればいいというか。最初のファッションの話にも繋がるんですが、音楽もリスナーの耳でいい/悪いが決まるじゃないですか。普通の人から見れば無茶苦茶な感じの音楽が好きな人だっているし。そういうのが当たり前だと思ってるから、その中で「自分は売れたい!売れたい!」って活動するのは、“それがアーティストの本質なの?”と思っちゃいますよね。「表現したいから表現する」ということを一番に思ってやっているので、だからライブについても自分の表現を広げるために必要かということは考えていなくて、ライブを始めたのは単純にライブをやってみたかったからなんです。

まさに「単純な話」なんですね。

僕はまだ音楽活動のキャリアが長くないので、「いろいろやってきた中でこのスタンスを見つけました」というようなことではないんです。それから、僕はエンターテイナー気質というか(笑)、そういうところがあるような気がするから、見ている人たちが面白いと思うことをやりたいという気持ちもあるとは思います。つまり、一番最初にあるのは自分がライブをやりたいということで、しかもそのライブをファンの人たちが面白いと思うことが僕自身は面白いからやってる、と。単純に、僕が面白いと思うこと、やりたいことをやってるという話で、それはファッションも同じで、全部“趣味の延長”というか、“とことんこだわってる趣味”ということですよね。

僕が書いて、僕がステージに立って、僕の声で歌う意味がある歌詞を書かないといけないと思ってます。

ライブの現場で得た実感が、曲作りに影響することはありますか。

曲って、極端な話、最後のマスタリングの局面でいい曲になったり悪い曲になったりするんですよね。で、ライブで実感を得るようになってからまだ曲を完成させていないので、影響するからどうかはわからないですね。

曲は、作ろうと思って作るんですか。

そうです。僕は基本的に、常に曲を作り続けているタイプではなくて、何かしら作る意味を見出せないと曲は作らないですね。

「HONNE」では、「憂鬱なラブソング」と「本音」が新曲になりますが、この2曲を書いたきっかけはどういうことだったんですか。

まず、先にあった「桃源郷とタクシー」「O.W.A.」「狭い宇宙、広いこの星」とは違うサウンドの作り方に挑戦したいということと、歌詞をよりわかりやすく書けないかなという挑戦でもありました。この2曲はロック的な曲なんですけど、そういう曲のほうが僕としてはファンク系の曲よりも聴いてて歌詞が入ってくると思うんです。音の長さも長いし、言葉をハキハキ強く言っても曲調的に合うので、歌詞をしっかり伝えられるジャンルだなと思って。だから、より自分が素直に歌える歌詞を、よりわかりやすく書こうと思ってました。

やはり、歌詞がちゃんと伝わるということは大事なんですね。

僕が書いて、僕がステージに立って、僕の声で歌う意味がある歌詞を書かないといけないと思ってますし、そこにこだわりを持ってアーティスト活動をして、そういう曲を発信していきたいと思っています。というか、それが普通というか、当たり前のことだと思うんですけどね。

「歌詞をよりわかりやすく書けないかなという挑戦」の意識が出てきたのは、前に作った3曲で“もうちょっと歌詞をわかりやすく書けなかったかな”という反省があったということでしょうか。

いや、そういうことではなくて、「憂鬱なラブソング」と「本音」がロックな曲調だからそういう歌詞を書いたというだけで、逆に先の3曲は強く言葉を発しても曲と合ってなくて浮いているように聞こえてしまうので、そこは敢えて隠喩的な、はっきり言わない歌詞にしたっていう。つまり、曲に歌詞を合わせてるということですね。

ということは、曲を先に作るんですか。

それも場合によっていろいろなんですけど、「憂鬱なラブソング」と「本音」は先に歌詞のテーマがあったので、それを伝えるならロックな曲の方が伝わりやすいと思ったので、そういうサウンドを選んだということです。

(歌詞は)全て僕が生きている中で繋がっていて、それをどこで切り取るかによって違ってくるということだと思います。

「作る意味を見出せた時に曲を作る」という話でしたが、例えば歌詞のテーマが浮かんだときは、そういうタイミングですか。

それも場合によるとしか答えられないんですが、ただこの3ヶ月くらいは日常的に歌詞にしたいなと思うことを書き留めたりしていて、それが実際に曲になるかはわからないんですけど…。でも、僕は記憶力がいい方なので、日常のいろんなことをわりとよく憶えていて、それが生きている中で歌詞として出てきてるという感じかもしれないですね。

日常生活の中で歌詞にしたいなと思ったことでも、歌詞にならない事柄や感情というのはありますか。

それはもちろんありますよ。

ある局面では歌詞にならなかった感情が、時を経て局面が変わることで更新されて歌詞になるということはありますか。

そういう可能性はありますけど、僕の日々の流れがさっきも言ったようにすごく速いので、“自分が以前こう思っていたこと”が今となっては違うように思えるということもあるから、そういう歌詞になるかもしれないし。だから、更新されると言うよりは、全て僕が生きている中で繋がっていて、それをどこで切り取るかによって違ってくるということだと思います。

「狭い宇宙、広いこの星」の最後に♪この世はこんなに広いのだなんて言えやしないよ僕はまだ♪という歌詞がありますが、例えばこの歌詞で言おうとしていることも時が経てばまた違ってくるということですよね。

そうですね。

♪僕はまだ♪ということは、いつかは「この世はこんなに広いのだ」と言えたらいいなと思ってるんでしょうか。

というか、僕はまだ言えないような人間だっていう…。ちょっと全部を解説すると、♪無理だとわめく少年♪という歌詞が最初に出てきますけど、これは過去の自分のことなんです。そういう境遇にいる人が世の中にはたくさんいると思って、そういう人たちに対して、今の僕はこうやって音源を出し、ステージで歌っているけど、そういう僕も現実逃避をしたいと思った過去があったし、そういう人がいるんだよっていう。ただ、僕もまだ「この世は広い」と言い切れるほど大した人間じゃないけどねっていうことであって、“言えたらいいな”ということではないですね。いろんなことから逃げている人たちに対して、今ステージに立っている人間として、「誰しも人間そういうことはあるよ」と、共感してあげたいという歌詞ですね。

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この5曲に限らず、曲を作る上で何かずっとベースになっているものがあるというわけではなくて、いつでも曲ごとですか。

僕が素直に歌うということで一貫性が生まれると思うので、だから一貫性ということで言えばMega Shinnosukeが作って歌っているということだと思います。

1年後にはどんな活動をしていると思いますか。

それも、本当に全くわからないですね。こうなっていたいというイメージもないし。単純に、今自分が見えていることに向けて進んでいくということですね。

まずは、次にどんな曲が出てくるのか楽しみにいています。ありがとうございました。

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Mega Shinnosuke

2000年、東京生まれ、福岡育ち。
作詞/作曲/編曲を全て自身で行う。2017年秋より楽曲制作をスタートし、2018年秋に1st Mini EP「momo」をリリース。M1.「桃源郷とタクシー」にはTempalay のメンバーでもある、AAAMYYY がゲストコーラスとして参加。発売後、タワーレコード各店舗(渋谷、名古屋、大阪、福岡)の未流通コーナーでは、常にTOP5をキープし、各種サブスクリプションサービスでは複数のプレイリストにピックアップ。ライター柴那典氏が選ぶ、2019 年のブレイク期待のニューカマー10組として、長谷川白紙、King Gnu、崎山蒼志等と共に紹介される。そして、私立恵比寿中学のアルバム『MUSiC』に人生5曲目に書き上げた楽曲「踊るロクデナシ」が異例の大抜擢。さらに、音楽ストリーミング・サービスSpotifyによる今年大きな飛躍が期待される新進気鋭の国内アーティスト10組“Early Noise 2019”に選出されるなど、各所から注目を集める新世代のクリエイター。好きな食べ物はジェノベーゼと牛タン。どちらかというと、ジェノベーゼの方が好き。

オフィシャルTwitter(@MegaShinnosuke)

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