Interview

ロザリーナ 「Over me」、「ボクラノカタチ」など話題曲をリリース。新進のシンガーソングライターの成長を探る。

ロザリーナ 「Over me」、「ボクラノカタチ」など話題曲をリリース。新進のシンガーソングライターの成長を探る。

2016年に西野亮廣(キングコング)の著書『えんとつ町のプペル』のテーマソングを担当し、一気に知名度を上げたロザリーナ。その後、首都高速道路ETC2.0やauなどのCMソング、『妖怪アパートの幽雅な日常』のテーマソングを手がけた彼女は2018年4月にシングル「タラレバ流星群」でメジャーデビュー。今年に入ってからも「Over me」(アニメ『からくりサーカス』オープニング・テーマ)、「ボクラノカタチ」(ドラマ『長閑の庭』の主題歌)といった話題曲をリリース。さらにはNHK『みんなのうた』への書き下ろしや、10月クールのオリジナルアニメ『歌舞伎町シャーロック』EDテーマ担当が決定するなど、確実に注目度を高めている。
エンタメステーション初登場となる今回は、「Over me」「ボクラノカタチ」をフックにしながら、彼女のクリエイティブに対するスタンスや現在のモードについて語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 森崎純子


もちろんロザリーナの曲なんですが、「『からくりサーカス』の歌になってほしい」という気持ちもあって。両方実現できるようにがんばりました(笑)

ロザリーナ エンタメステーションインタビュー

まずはアニメ『からくりサーカス』のオープニング・テーマ「Over me」について聞かせてください。ロザリーナさんは以前エンディングテーマ「マリオネット」も手がけていますが、「Over me」はどんなテーマで制作されたんですか?

個人的に「『からくりサーカス』のオープニングはこんな感じの曲がいいな」というイメージがあったんですが、アニメの制作サイドが求められていた曲は、想像よりももっとテンポが速かったんです。いままでのロザリーナの曲のなかでもいちばんアップテンポだったし、明るくハッピーという感じではなくて、ちょっとダークで疾走感がある曲というか…。なので、制作はけっこう大変でした(笑)。

ロザリーナとしても、いままでにないトライだった?

そうですね。もちろんロザリーナの曲なんですが、「『からくりサーカス』の歌になってほしい」という気持ちもあって。両方実現できるようにがんばりました(笑)。じつは2曲作ったんです。1曲は主人公目線の曲で、もうひとつは悪役にフォーカスした曲。そんな中、原作の藤田和日郎先生と手紙でやりとりしているなかで、「アニメの最後のクールなので、できれば主人公目線の曲にしたいです」という言葉を受け取って。曲調は“悪役目線”のほうがいいということだったので、それを組み合わせて作ったのが「Over me」です。

藤田先生と直でやりとりしてたんですね。

はい。原作者の方の思いはストレートに受け入れられるというのかな。スタッフのみなさんの意見も大事ですけど、0から(『からくりサーカス』を)生み出した方の意見を汲み取りたかったし、「藤田先生の気持ちに応えたい」という思いもありました。

視聴者の反応については?

気になります、やっぱり。私もアニメが好きだし、好きな主題歌を聴くと作品のことを思い出すんです。「Over me」もそういう曲になってほしいなって。もちろん、全員が「いい」と言ってくれるとは思っていないし、両方の意見があるのが理想じゃないかなって。もともと「誰にも似ていない個性があって、モノマネされるアーティストになりたい」という気持ちもあるので…。ただ、良くない意見を見ちゃうと普通にヘコみます(笑)。

アレンジでいちばんこだわったのはコーラスを重ねることですね

ロザリーナ エンタメステーションインタビュー

6月9日にリリースされたデジタルシングル「ボクラノカタチ」はドラマ『長閑の庭』の主題歌。とても美しいバラードナンバーですが、やはりドラマのストーリーを意識しながら制作したのでしょうか?

じつは以前から作っていた曲なんです。ワンコーラスだけ出来ていて、ドラマの主題歌のお話をいただいたときに「あの曲がピッタリだな」と思って、そこからドラマを意識しながら完成させて。

なるほど。曲の制作に取り掛かったときは、どんなテーマがあったんですか?

恋愛とか愛って、(当事者の)ふたりの話じゃないですか。ふたりの間で、「何かカタチになるのものがほしい」という気持ちが結婚につながったり、指輪とかお揃いのアクセリーだったりすると思うんですけど、そういうことを歌にしてみたいなと思って。どういう形を求めるのか、何を信じるのかは、それぞれに違うかもしれませんが。

私はカタチを求めるタイプで、“お揃い”とかも大好きなんですよ

そこにはロザリーナさん自身の気持ちも反映されているんですか?

そうですね(笑)。私はカタチを求めるタイプで、“お揃い”とかも大好きなんです。女の子の友達とショッピングしていても、「これカワイイ。色違いで買わない?」ってよく言ってます(笑)。仲がいい感じがするし、楽しいじゃないですか。ペアルックもやりたいですけど、男の人は嫌がると思うので、相手次第です(笑)。

(笑)「ボクラノカタチ」のアレンジやサウンドメイクで意識したことは?

サビ感をしっかり出すこともそうですが、アレンジでいちばんこだわったのはコーラスを重ねることです。曲を作ったときからコーラスをたくさん入れたいと思っていたし、スタジオで「こういうラインを入れたらどう?」と話をしながら、どんどん重ねていって、ふだんの倍くらい入れて。レコーディングは大変でしたけど(笑)。「Over me」はテンポが速くて、言葉をはっきり伝えるのがポイントだったんですけど、「ボクラノカタチ」はゆったりしているので、ボーカルのアラが目立つんです。いいテイクがいくつか取れたら、今度はセレクトするのに迷ってしまって。かなり時間もかかりましたけど、イメージ通りになったし、ライブで歌うのも楽しみです。アコースティックバージョンとか、ハーモニーをオケで出して歌うとか、いろいろやり方があると思います。

デビューから1年経って学んだのは、「自分がブレちゃいけない」ということなんです

ロザリーナ エンタメステーションインタビュー

「Over me」「ボクラノカタチ」もロザリーナの個性がはっきり示された楽曲だと思います。2018年のメジャーデビューから1年経ちましたが、自身のオリジナリティを提示できてる手ごたえはありますか?

メジャーになって、いろいろなタイアップのお話をいただけるようになって。やらなくちゃいけないこともあるし、「自分はこうしたい」ということもあって、そのバランスで悩むこともあります。ただ、すべて自分から出てきたものだし、デビューから1年経って学んだのは、「自分がブレちゃいけない」ということです。いろんな人の意見も聞きたいし、みんなでワイワイやりたいんですけど——“お揃い”が好きなくらいなので(笑)——自分がやりたいことを貫いていないと、曲を愛せない気がして。自分がカッコいいと思うのもを突き詰めたいですね。

いろいろなクリエイターの方と話をさせてもらって、自分の知識もふえたし、やりたいことも広がって

メジャーデビューしたことで、やりたいことを具現化できる可能性も大きくなってるのでは?

そうですね。新しい出会いもたくさんありました。アレンジャーやトラックメイカーの方もそうだし、『からくりサーカス』の藤田先生と対談させてもらったり。いろいろなクリエイターの方と話をさせてもらって、自分の知識もふえたし、やりたいことも広がって。「おもしろい人ってたくさんいるな」って思ってます(笑)。

ロザリーナとして描きたい世界も広がっていきそうですね。

そうかも。そう言えばこの前、いままで出してきた曲を聴き直してみたんですけど、「こんな曲、いまは作れないな」と思って。やりたいことは変わってきてると思うし、これからも変わっていくんだろうなと。それがいいことかどうかは、まだわかりません。聴いてくれた人が「いい方向に変わってきてるな」と感じてもらえたら嬉しいです。

曲の作り方自体も変化しているんですか?

変化というか、最初の頃は何も知識がなかったんです。気づかないうちにヘンなこともやってただろうし、その頃の曲をアレンジャーさんに聴いてもらうと「こういう発想は自分にはない」って言われたりするんです。ライブで昔の曲をやるときも、ミュージシャンの方に「構成が普通じゃないから覚えられない」とか(笑)。いまは知識が増えたぶん、ちょっと型にはまってるのかなって。そのあたりも考えないとダメですね。

アレンジのイメージがあるときはがんばって打ち込んでるんですけど、パソコンが嫌いというか、苦手なんです

ロザリーナ エンタメステーションインタビュー

デモ音源も自分で作ってるんですよね?

アレンジのイメージがあるときはがんばって打ち込んでるんですけど、パソコンが嫌いというか、苦手なんです。昨日も作業してたら、“レインボーくるくる”(マッキントッシュで採用されているアプリケーションの処理がフリーズ状態に陥っていることを示すカーソル形状)になって。30分後に動き出して、あー良かったって。

(笑)。

「サビの頭はこういうドラムを入れたい」とか「裏メロのシンセはこうしたい」みたいなアイデアがあるときは、自分でデモを作ったほうがいいなって。最近、ちょっとだけデモのクオリティが上がりました(笑)。私、機械音も好きなんです。できればボーカルにもずっとオートチューンをかけたいくらい。

(笑)自分の声質がしっかり伝わったほうがよくないですか?

それは、スタッフの方からもよく言われます(笑)。もともとアコギの弾き語りからはじまってるし、ピアノも好きなので、いろいろなテイストの楽曲をどうまとめるかも考えてます。どの曲を聴いても「ロザリーナだな」と思ってもらえるようになりたいです。

ウソを書きたくないんです、基本的に。だけどシャイだから、比喩を使ってみたりして、いまの形になっているんだろうな

ロザリーナ エンタメステーションインタビュー

歌詞に関してはどうですか? ロザリーナさんの歌詞は、リアルな感情をそのまま歌うというより、しっかり世界観を作り上げている印象もありますが。

自分としては、赤裸々に歌ってるんです。たとえば友達の話をもとに歌詞を作るときも、どんなことがあったのか、何を感じたのかを事細かに聞いて、自分自身がしっかり共感してから書くようにしてるので。ウソを書きたくないんです、基本的に。だけどシャイだから、比喩を使ってみたりして、いまの形になっているんだろうなと。もとになるのは自分の気持ちですけど、それはみんなも感じていることだと思ってるんです。私が「月がきれい」と思ってるときは、同時にたくさんの人も同じように感じてるだろうし。

そこに共感が生まれると。

そうですね。ワンマンライブで自分の曲を口ずさんでくれてるのを見ると、すごく嬉しいんです。“仲間好き”なので(笑)、共感してもらえると「作って良かったな」って。「この曲を聴いて、こう思った」みたいな話も好きで。人としゃべるのは苦手なんですけど(笑)、人に興味があるっていう。ライブでコール&レスポンスもやってみたいんですけど、難しいですね…。

ライブを意識することで曲の幅も増えて

コール&レスポンスできる曲を作ればいいのでは?

実際、ライブを盛り上げるために作った曲もあるんです。普通に作ってると「ボクラノカタチ」みたいなゆったりした曲が多くなるんですけど、ライブを意識することで曲の幅も増えて。ひとりきりで家で曲を作っていた頃とはかなり違いますね。

その他のロザリーナの作品はこちらへ。

ライブ情報

BAYCAMP 2019

9月15日(日) 神奈川県東扇島東公園 特設会場(神奈川)
(*ロザリーナ出演時間は後日発表)

ロザリーナ

キュートなルックスとザラついた声。エッジの効いたサウンド。忘れられない声とその才能に触れた関係者・クリエイターたちが挙って絶賛するシンガーソングライター「ロザリーナ」。その圧倒的個性を放つ声と、誰もが耳を奪われるメロディセンスにデビュー前から注目が集まり、2018年4月、小袋成彬率いるTOKYO RECORDINGS プロデュースによるシングル「タラレバ流星群」が全国40を超えるラジオ局でのパワープレイを獲得しメジャーデ ビューした新進のシンガーソングライター。その後も少年サンデーの”伝説の名作”と呼ばれる「からくりサーカス」ED/OPテーマを担当。その他ドラマの主題歌など、数々のタイアップに抜擢されているほか、NHK「みんなのうた」にも登場が決定しているなど、今注目が注がれている。

オフィシャルサイト
http://lozareena.com/

YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC0atFy5l7MCni__U7fid3wg

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