まず観る!アニメ1話無料  vol. 4

Column

『シン・エヴァ』冒頭10分との共通点も! 『ふしぎの海のナディア』第1話を観る

『シン・エヴァ』冒頭10分との共通点も! 『ふしぎの海のナディア』第1話を観る

各種配信サービスで「1話無料」となっているアニメ作品を視聴し、その感想やウンチクを語っていく連載「まず観る!アニメ1話無料」。今回は先日、「冒頭10分」が公開され話題となったあのビッグタイトルに関わる作品をご紹介します。

文 / エンタメステーション編集部


先日ついにその一端が明らかになった『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。フランス・パリで開催された「JAPAN EXPO」で冒頭10分が公開されました。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』0706作戦のレポートはこちら
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2019.07.08

なぜパリで? ということも大いに話題となっていましたが、フタを開けてみると、公開された冒頭部分が実際にパリを舞台にしていたと。
そして、同時にネットで発言が散見されたのが「これって『ナディア』のセルフオマージュでもあるんじゃ?」ということでした。

(昨年の「特報」で一部公開されたシーンにも、パリの街並みが追加されていました)

「ナディア」……庵野秀明の監督作品として、名前は聞いたことがあるけれど、パリが関係していたのか? ならば確かめてみよう! ということで今回の作品は、

『ふしぎの海のナディア』

(バンダイチャンネルにて1話無料配信中)

です。

本作、NHKで放送されていたんですね(OPのクレジットに企画制作:NHKの文字が)。陰鬱でシリアスな『エヴァ』のイメージが強い身からすると、さわやかな冒険活劇といった雰囲気で新鮮です。
クレジットによれば、SF小説の大家、ジュール・ヴェルヌの小説『海底2万マイル』を原案としているとのこと。でも、かなり大胆に改変が加えられているようですね。19世紀という舞台設定ながら、OP映像には海底都市(超古代文明?)を思わせるシルエットも登場。本編にも(後述しますが)ほとんどロボットに近いマシンが出てきて、オーバーテクノロジーが当たり前に出てくる世界観のようです。

さてこの第1話、出会いと冒険とスリルがこれでもかというくらい詰め込まれているんですね。
狂言回しとなる少年・ジャンは眼鏡のオタク系。両親とは死別しているようで、おじ夫婦と一緒に生活していると。同じく発明好きであるおじと、パリで行われている万国博覧会の催し物である、鳥人間コンテスト的なものに出場しに来ています。
そこからは、彼がタイトルにもある少女・ナディアに一目ぼれしアプローチをかけるというボーイミーツガール的な展開が待っています。
でも、実はどちらかというと主人公っぽい存在感なのはナディアなんですね(OP映像でも、キャラが集合した絵の中央に描かれています)。
インド系かアフリカ系か、出生地は第1話の時点では不明(本人もよく知らない)なのですが、いずれにせよメインヒロイン=主人公が褐色の肌を持つ少女というのは、当時からしても先進的だったのではないでしょうか。
またナディアはサーカス団の一員であるためか身体能力も高く、「戦う女性」のイメージも持っています。少女が少年のことを引っ張っていくような構図が見られるわけです(とは言え、積極的にナディアに話しかけたことからもわかるようにジャンも行動力のあるタイプです。ナディアにも天涯孤独の身であるがゆえの弱さがあり、この二人のバランスが絶妙だと思います)。

ナディアは「ブルーウォーター」という宝石(OP曲のタイトルでもあります)を首から下げていて、これを狙う盗賊一味とのチェイス劇が第1話のメインとなります。
明らかにシータの「飛行石」を狙うムスカとドーラ一味……という、『天空の城ラピュタ』へのオマージュを感じさせる導入ですよね(敵役の構成は、女性の統領に太っちょとノッポの子分男性と「タイムボカン」的ですが)。
庵野秀明は大学在学中に『風の谷のナウシカ』に参加したことで業界入りした逸話を持つ「天才アニメーター」でもあるわけですが、やはり「天才アニメーター」でもあり、監督としても多数の作品を送り出している宮崎 駿は、まさに「師匠」と呼ぶにふさわしい存在。
その背中を意識しつつ、超えていくという気持ちが本作の第1話には全面に出ているのではないでしょうか。

というのも、本作の冒険は大空に向かっていく『ラピュタ』とは真逆なことに、深海を目指していくことが予想されるわけです。
しかし第1話では直ちに海を目指すという形にはなりません。先述したように盗賊団とのチェイス劇が展開されるわけですが、その途中、敵方の操るメカが戦車形態から気球形態に変形するんですね。ナディアを捕えて空へと逃げた盗賊たちを追いかけるべく、ジャンはコンテスト用に持参していたグライダーを活用します。
結果的に、ナディアを助けることには成功しますが、グライダーは壊れ、二人は運河へドボン。それで、船に乗ってジャンの故郷へいったんナディアを連れていくことになる……というシーンで幕を閉じます。
つまり、「少女を少年が助ける」という展開の中に空中戦を入れ込み、律儀にも少年の「空への憧れ」の象徴たるグライダーを壊した上で、海への冒険へと向かわせる構成になっているわけですね。これを『ラピュタ』の構図の乗り越えと言わずになんと言いましょうか!

こうしたアクション満載の映像をイキイキとしたものに仕上げたスタッフには、のちに『エヴァ』のメインスタッフとなる面々の名前がたくさんクレジットされています。
まずキャラクターデザインは貞本義行。アニメで実際に観る絵柄は彼の元の絵柄とはちょっと違う、「世界名作劇場」的な方向性に寄せられていますが、それでも等身のバランスなどに時代性を超えたスタイリッシュさを感じさせます。
音楽は鷺巣詩郎、原画には後に『エヴァ』TVシリーズで副監督を務めることになる鶴巻和哉と、『新劇場版』でも総作画監督など要職を務める本田 雄が参加。なお、本作の後半の話数からは『シン・ゴジラ』特技監督としても名高い、樋口真嗣が「監督」として参加しているとのことです(調べたら、庵野が終盤の作業に集中するためだったとのこと)。

『シン・エヴァ』との関連ということでは結局……パリを舞台にしていたということ以外は、あまり直接的なつながりは見られませんでした。
『ナディア』の冒険はこれから海底へ向かっていくだろうわけで、パリに戻ってくることはないんじゃないかという気もしますが……ファンの発言を断片的に見るかぎり、パリに戻ってくる展開もありそうな感じもしました。
「エヴァがエッフェル塔をぶん投げる」シーンに匹敵するインパクトのシーンはあるのか!? 続きは実際に観てみるしかなさそうですね。

それではまた次回!

今回ご紹介した作品を「1話無料」で観るならこちら!

ふしぎの海のナディア 第1話 【バンダイチャンネル】

https://www.b-ch.com/titles/2798/001

【STAFF】
原案:ジュール・ベルヌ作「海底2万マイル」より
総監督:庵野秀明
キャラクターデザイン:貞本義行
設定:前田真宏
美術監督:菊地正典 佐々木 洋
音楽:鷺巣詩郎
アニメーションプロデューサー:村浜章司 川人憲治郎
制作:丸山健一 久保田 弘
アニメーション:東宝 KORAD
共同制作:NHKエンタープライズ 総合ビジョン
企画制作:NHK

【CAST】
ナディア:鷹森淑乃
ジャン:日高のり子
マリー:水谷優子
グランディス:滝沢久美子
サンソン:堀内賢雄
ハンソン:桜井敏治
ガーゴイル:清川元夢
ネモ:大塚明夫
エレクトラ:井上喜久子

©NHK・総合ビジョン

連載「まず観る!アニメ1話無料」
次回の更新は7月29日(月)予定です。

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