Interview

大原櫻子が毎回びしょ濡れで演じる水野羽衣。そんな彼女へのエールを込めたドラマ主題歌「I am I」

大原櫻子が毎回びしょ濡れで演じる水野羽衣。そんな彼女へのエールを込めたドラマ主題歌「I am I」

大原櫻子が記念すべき通算10枚目となるニューシングル「I am I」をリリースした。
表題曲は、初主演を務めるドラマ『びしょ濡れ探偵 水野羽衣』の主題歌。自身が主演するドラマで、キャリア初のドラマ主題歌を歌うこととなった契機をどう捉えているのか。デビュー5周年を記念したベストアルバム『CAM-ON!~5th Anniversary Best~』を3月にリリースし、全国ツアーを終えたばかりの彼女に、新たな章の幕開けについて話を聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ


こんなに面白い脚本のドラマの主演をさせていただけるっていうことが嬉しかった

5th Anniversary コンサート「CAM-ON! ~FROM NOW ON!~」を終えた感想から聞かせてください。

今回はオープニングから、他のアーティストさんのライヴにはあまりないような始まり方っていうのも新しかったんじゃないかと思います。

舞台上をスタッフのような演者がうろうろと歩いているうちに、いつの間にかライヴが始まっているという構成でした。

あとは、『ミス・サイゴン』の曲を歌っている小さい頃の映像を流したり(笑)、海外の楽曲をカバーしたり。個人事務所になって初めてのツアーということもあって、いい意味で変化をつけられたライヴになったんじゃないかなと思います。観に来てくれた友達も「ミュージカルを観てるみたいな感覚だった」と言ってくれて。それってすごく新鮮なことだなと自分でも思えて嬉しかったです。

今までは歌手活動と、女優やミュージカル活動をあまり混ぜてはこなかったですよね。でも、今回は演劇的な始まりで、途中にミュージカル曲のカバーもあって。

そうですね。芝居と歌を両方やっているっていうのが私だなとも思うので、今回はいい感じに融合できたのかなって思いますね。

キレキレのダンスも披露していましたね。

武道館以来って感じでしたけど、今回は「踊りたい」って言って踊らせていただきました。ダンスで見せる曲があったり、お芝居みたいに始まったり、いろいろな部分を見せられたら、お客さんも飽きずに楽しめるだろうなと思ったので。ただ、そうなると私自身、やることはとても多くなるんですけど(笑)。でも、私も飽きずに毎回緊張感を持って楽しくやらせていただきました。

大原櫻子 エンタメステーションインタビュー

さらに、ライヴのMCでもドラマ初主演と初の主題歌についての発表もしました。5周年ベストとツアーを経ての新しい始まりはどうしようと考えていましたか?

1年前に撮影した映画『あの日のオルガン』が今年の2月に公開されて、そこで私のお芝居を観てくださったプロデューサーの方が『びしょ濡れ探偵 水野羽衣』のオファーをくださって、3月くらいから撮影が始まったんですけど、そのときも主題歌のことはまだ何も聞いてなくて。しばらく経ってから「主題歌をお願いしたい」って声をかけていただいたんです。だから、わりといろんなことがバタバタと決まっていったので、正直ベストアルバムを出したあとは白紙だったというか……今回は自分自身のことというよりも、ドラマに寄り添おうと思って、こういうシングルが出来たという感じなんです。

では、まず、ドラマ初主演のオファーを受けたときの心境はいかがでしたか?

初主演なので、すごい大役をいただいたなって思いました。でも、主演っていうことの喜びよりも、ブルー&スカイさんが脚本っていうところのほうが大きくて。こんなに面白い脚本のドラマの主演をさせていただけるっていうことが嬉しかったですね。ゲストの方たちもすごく豪華で、いろいろ学びながら進んでいけるんだろうなと思っていましたし、すごくウキウキしていました。

ブルー&スカイというと、シュールなコメディやナンセンスものというイメージがあるんですが。

そんなことないですよ。誰でも笑えるものになっていると思います。非常に観やすいドラマだなって。わかりやすいですし、何も考えずに観ても笑えるというか。フラットな状態で観られるドラマだなって思います。

バケツの水をこんなにかぶっているドラマはほかにない

ドラマの見どころもお伺いできますか?

バケツの水をこんなにかぶっているドラマはほかにないと思います(笑)。そして、たぶんその姿を見るだけでも勇気づけられるんじゃないかなと思っているので、ぜひご覧いただいて、次の日のお仕事も頑張ってもらえたら嬉しいです。

ちなみに、水はちゃんときれいな水をかぶってるんですよね?

もちろん! 「そうしてください」ってお願いしました(笑)。けど、「あれ? ゴミ入ってるー!」っていうときもありましたけど。

(笑)お気に入りのシーンはありますか。

いっぱいあるんですよ。このドラマ、アドリブがとても多く使われていて。芝居の最後とか、我慢できなくて素で笑っちゃったりもしてるんですよ、私(笑)。だから、そういうアドリブも楽しめるドラマだと思います。

コメディは初ですよね。

すごく楽しかったです! ただ、笑いをこらえて芝居をしなきゃいけないってことが、こんなにも苦しいことなんだって思いましたね。あと、水をかぶるっていうのは暑い時期にするもんだと思いました(笑)。

あはは! 3月に撮ってるんですもんね。

本当に、とても寒かったんですよ(苦笑)。お湯にしてしまうと湯気が出ちゃうので温かくはできなくて。でも、撮影自体は楽しかったです。映画と違って撮影のペースも速いですし、アドリブも多いので、瞬発力の勝負になっていくんですけど、私、そういうのは得意なので、すごく楽しかったですね。あと、ゲストさんが毎回すごく豪華なので、本当に勉強になりました。

特に印象的だった方はいますか?

5話に登場する片桐はいりさんは印象に残っていますし、面白い方です。笑いをこらえるのに大変でしたから。ほかにも、いろんな方が出てくるので豪華キャスト陣も楽しんで欲しいです。

この曲を羽衣ちゃんに届けたい、お客さんにもメッセージが届いて欲しい

そんな初主演ドラマで初めて主題歌を担当することに関してはどう感じました?

ラストに流れるんですけど、自分の作品のラッピングも私ができるみたいな。見栄えも自分で考えられるような感覚なので、すごく嬉しいです。

楽曲制作はどんな進め方でしたか。ドラマ側からのリクエストはありましたか。

私が演じさせていただいている水野羽衣ちゃんの人柄だったり、羽衣ちゃんの思いを楽曲に乗せたいっていう話をしていました。作詞は高橋久美子さんにお願いしたんですけど、羽衣ちゃんの人柄だったり、自分が演じていて思うことだったりを文章にして投げさせていただいて、作っていただいた感じですね。

大原さん演じる水野羽衣はどんな女性ですか?

名前だけを聞くと、ふんわりしている優しい女性なのかなってイメージすると思うので、そのイメージは崩したくないなっていうのが、まずはありました。ただ探偵なので、事件を解決するときの彼女の中に潜んでいる芯の部分は凛としていたいとも思っていましたし、犯人を突き止めても、どこかで犯人に寄り添っている人物というか、人に対してすごく優しい女の子なんです。そういうところを意識して演じました。

歌詞を受け取ったときはどう感じました?

すごく素敵だと思いました。実は、最初のサビの部分は、当初いただいた歌詞とは少し変わっているんです。私のほうから「もっとインパクトがあってわかりやすいフレーズがいいです」ってリクエストをしたら、<びしょ濡れ>っていう単語が上がってきたので、パンチもあるなと思いましたし、覚悟を決めて書いてくださったんだなと感じて。
私、久美子さんの歌詞って、大人っぽさもあるし、可愛らしさもあるのがすごく好きなんですよ。〈ため息を全部はきだして 綿菓子にしてあげよう〉っていうところとか〈私は私を 信じてあげましょう〉とか。たしかに人のことって信用できないこともあるし、信じられるのは自分だけって思うこともあるし、逆に自分のことも信用できなくなるときもある。それって誰もが思うことだと思うんです。この言葉で私も救われましたし、いい言葉だなって改めて思いました。

歌詞には最後に〈君は君〉っていう言葉が出てきますよね。〈私は私〉だけじゃなく。

私から羽衣ちゃんへのメッセージですね。羽衣ちゃんはすごく引っ込み思案というか、タイムリープができるという特殊能力にコンプレックスを感じている女の子なので、この曲を羽衣ちゃんに届けたいし、お客さんにもそういうメッセージが届いて欲しいし、いい歌詞だなって思っていますね。

“私”が、羽衣であって、櫻子でもあって、“君”が、羽衣でもあり、お客さんでもある?

そうですね。大人になっていくと自分の気づかないうちに、他人とか社会とかいろんなものによって塗り替えられて、本当の自分っていうものをどんどん忘れていくと思うんです。でも、もともとの自分っていうものにもっと自信を持って、素直な自分の気持ちを愛してあげようっていうメッセージなんじゃないかなって思いますね。

サウンドに関してはどう感じました? 

新しい風が吹いたなって思いました。イントロを聴いた時点で、今までにない感じだったし、“ザッツ、ドラマのエンディング!”っていう王道な感じもあって。とても明るい気持ちになる曲だけど、ただ元気いっぱいの歌っていうことでもない。そういう微妙なニュアンスがメロディにあったので、自分の中に新しい、いい風が吹いたなって思いました。

レコーディングはどんな気持ちで臨みましたか。羽衣として歌いました?

何も着飾らずに歌っています。非常にフラットに、まっすぐ歌えた楽曲だなとも思います。根本では、羽衣ちゃんを励ます気持ちで歌っていましたけど、この曲を聴いてくれる人、一歩をなかなか踏み出せない人に、勇気を与えられる励ましの曲になったらいいなと思って歌っています。

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