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癒されるだけじゃない!『ドラえもん のび太の牧場物語』リアルな牧場ライフの手応え

癒されるだけじゃない!『ドラえもん のび太の牧場物語』リアルな牧場ライフの手応え

『ドラえもん のび太の牧場物語』が発売されたのは、梅雨入りしてしばらくたった頃だった。ほう、ドラえもんが『牧場物語』とな!? まず、その情報だけで気になった。毎週かかさず『ドラえもん』を観ているし、ここ数年公開された映画はすべて鑑賞しているのだ。気にならないわけがない。タイトルからもわかるように、牧場での生活を体験できるシミュレーションゲーム『牧場物語』シリーズ。それはもう、やるしかないじゃない!! ゆるゆると過ごし、それでいて作物を育てる実感や季節の移ろいを肌で感じるゲームがしたかったのだ! いいタイミングで発売してくれました。
すぐさまソフトをダウンロード購入し、インストールを待っている間に「ドラえもんといっしょに牧場でのんびりとスローライフを送るぞ~♪」……と牧場生活に夢を馳せていた。いやしかし、牧場の生活は甘くない。畑や生き物を相手にしていたらのんびりなんてできない。できるわけがなかった! 今回はそんな現実と、それでも残るたしかな充実感を教えてくれた『ドラえもん のび太の牧場物語』をご紹介!

文 / 大部美智子


助けてドラえもーん!!

夏休みの宿題のために、空き地で拾った未知の種を植えるのび太。するとものすごい早さで成長していき、あっというまに巨木に。そして、突然起こった嵐にのび太と仲間たちは育った木ごと吹き飛ばされ、あれよあれよと見知らぬ世界に来てしまう……。映画版の『ドラえもん』を思わせるストーリーの導入で、あっという間に物語に引き込まれていく。
どうやら嵐に飛ばされている途中で異次元空間も通過しており、その際にドラえもんは“ひみつ道具”のほとんどを紛失してしまい、すぐには帰れない……。たどり着いた町で帰る方法を探すとともに、滞在中は町でお手伝いをすることになった。しずかちゃんは病院、スネ夫は料理屋、ジャイアンは大工屋、ドラえもんは町長の家で働きながらお世話になる。のび太は使われていない牧場を「好きに使っていいよ」と言われ、そこで生活することになった。

ドラえもん のび太の牧場物語 エンタメステーションゲームレビュー

▲ほとんどを紛失してしまった“ひみつ道具”。 “ほんやくコンニャク”は残っていたため、別世界の町の人々と会話ができた

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▲失くした“ひみつ道具”は町の人たちが拾って持っているかも……しかし、仲良くならなくちゃ聞き出せない

元の世界に帰るために必要な4種類の“ひみつ道具”を探すストーリーと思いきや、謎が謎を呼ぶ展開が待っていてなかなか一筋縄ではいかなそうなムード……。この町にじっくりと腰を据えて、謎を解き明かしながら探していくしかない。あと、帰るために必要な4種類以外の“ひみつ道具”もこの世界に置いていけないので、根気よく探さねば。いったい、いくつの“ひみつ道具”を失くしてしまったのやら……。

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▲町には大樹と女神の伝説がある。大樹のふもとに佇むこの女性は女神? それとも……

のび太ひとりの牧場ライフ

それでは、プレイヤーであるのび太の生活を紹介していこう。のび太一行が町で最初に会った少年のランチは、おばあちゃんとふたりで暮らしながら小さな牧場を営んでいた。この町はこどもでも仕事やお手伝いをしなければならないというルールがあり、それは嵐に巻き込まれてきたのび太一行も例外ではないという。誰もが働く町シーゼンタウン。
ひとりだけなかなか仕事が決まらないのび太に、ランチは使っていない牧場と家を提供してくれた。これがとっても広大。ランチがふだん使っている牧場の100倍以上広いのでは? いや、もっとかも。

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▲ひろーい牧場! しかも画面に映っていない部分にも牧場の敷地は広がっている。え、いいの? こんなに立派な牧場を使っても! 画像の上部分に見切れている家も自由に使っていいとか。太っ腹~!

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▲人の手が入らなくなってから長い年月が経っただろう広大な牧場。のび太がひとりで整えていく

「何はなくともまずは畑を使えるようにしないと」と考え、岩や雑草、木をハンマーやオノなどの道具で撤去していく。「小学生が開墾!?  大人でも大変そうなのに」と思った。けっこうな重労働。実際、のび太の体力はぎゅんぎゅん減っていき、気がつくと「もうたおれそう」などの表示が出る。そんなときは昼寝で体力を回復! 1時間寝ると10回復しているのだ。さすが小学生、驚異の回復力に感心。

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▲のび太の特技と言えばあやとり、射撃、昼寝の3つ。寝っ転がって3秒以内に眠れるという素敵体質。うらやましい

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▲体力が0になると倒れてしまう。病院で目を覚ますことになるので注意

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▲岩や雑草、木などを撤去したときに得た石材や木材、海岸で拾った貝殻や畑で収穫した作物など、売りたいものは畑の隅にある出荷箱へ。毎日18時にお金が得られるので、それを使って農具などをグレードアップさせたり、種や動物を購入したりして牧場を運営していくのだ。最初に所持しているお金は種の購入であっという間に消える

ふだんは寝坊して遅刻ばかりしているイメージののび太だけど、この牧場ではなんと毎朝6時起き! 朝起きて、まずは飼っている子犬を撫でる。そしてニワトリ小屋のニワトリを撫で、卵を回収してから放牧。エサの補充も忘れずに済ます。畑の作物に水を撒き、収穫期の作物は収穫し、空いたスペースには種を植え、売りたいものは出荷箱へ。ここまで済ませてもまだ午前中なので、ツルハシを持って採くつ場に行く。採くつ場で採れる鉱石は道具のグレードアップに欠かせないし、低確率で掘れる化石などはいい収入になる。鉱石や化石類は家具に使うこともできるけど、序盤はやはりグレードアップとそれにかかる料金のために鉱石は保管し、化石は売ってしまいたい。

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▲荷物がいっぱいになると捨ててしまっていたガラクタ。のちのち、必要になるときがあるのでしっかり保管しておこう

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▲22時以降に寝ると体力が全回復しなかったり、3時以降に寝ると6時に起きられなかったりという弊害があるので、やはり小学生らしく21時に寝て6時に起きる早寝早起きを心がけたい。そうすると、夜の時点で体力が限界ギリギリでも朝起きたときには全快している

体力が尽きかけたら地下の採くつ場から上がって数時間昼寝。起きたあとはまた作業。出荷箱に納品したり、15時から開く雑貨屋で苗を買ったり、鍛冶屋で道具をアップデートしたり、ニワトリを小屋に戻したり……。再び昼寝をして採くつに戻ることもあれば、釣竿を持って魚を釣ることもある。かなりハード。でも、これでも1日でやりたいことを全部できているわけではないのだ。ウシやヒツジも飼ってみたいし……牧場暮らしはやることがいっぱい!

牧場の仕事ってこんな感じ

このシーゼンタウンには四季がある。春夏秋冬の各季節は30日ごとに回る。また、季節ごとに育つ作物や採れる虫・魚が違うなど、四季折々でその変化を楽しめる。のび太が牧場で生活を始めるようになったのは春。やはり春は何かが始まる季節なのだ。雑貨屋でかぶの種を買い、耕した畑に植えていく。春に植えられるものはほかの季節に育てることができないのはもちろん、つぎの季節に切り替わったときは枯れてしまうし、雑貨屋でも種を取り扱わなくなってしまう。小麦と牧草は一年中育てられ、雑貨屋にもずっとあるので安心。安定した収入を見込むこともできる。

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▲毎日水をやることで成長していく。かぶのグラフィックのミニチュア感がたまらなく好き

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▲これは秋の畑。畑もだいぶ広くなったけど管理が大変

畑が広くなるとそのぶん水やりも重労働になる。ランチからもらったボロのジョーロでは畑1マスごとに水をやり、20マスごとに水を汲みに行かなきゃいけない。できれば、道具のグレードアップを早めたい。道具はボロ→銅→鉄→……と強化していくことができ、銅のジョーロだと2マスずつ水やりができ、鉄のジョーロだと3マスずつできる。また、道具をグレードアップしたことで水やりの効率が上がったのか、鉄のジョーロだと70マスまでは1回の給水でまかなうことができる。作業時間の大幅カットで、ほかのやりたいことに手が出せるようになった。グレードアップに必要なアイテムやお金に余裕があったら積極的に強化していきたいところ。
道具をグレードアップしたおかげで、いまでは畑が90マスという規模に。牧場としてはまだまだの大きさだけど、丹精込めた作物が画面いっぱいに広がっているのを見るとにんまりしてしまう。土地もまだまだ余っているし、たくさん育ててもっともっと規模を大きくしていきたい。作業が前面に特化したゲームだけど、喜びの見返りがしっかりとあってうれしい気持ちを与えてくれる。

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▲Aボタンを押しっぱなしにすると3マスに撒ける。グレードアップしたクワも同様

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▲グレードアップは鍛冶屋さんで。必要な鉱石は買うこともできる

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▲“スーパー手ぶくろ”があると一度に9マスぶん種が撒けるので、大幅に時間を短縮できる

前述したが、採くつ場ではツルハシを使って鉱石や化石などを採取することができる。ただし、イメージどおり採くつは体力仕事。すぐにヘロヘロになってしまう。が、まれに採れるルビーやダイアモンド、化石などはいい値段で出荷できるのでお金稼ぎにピッタリ。こういうサプライズがアクセントを生み、モチベーションを育む。プレイヤーによっては物語の序盤は畑に手を付けず、朝から晩まで地下で延々と採くつをしているとかなんとか。「えぇっ……“牧場”物語なのに?」と思ったけれど、「それでこそ『牧場物語』だ」という声も聞こえてきて、『牧場物語』シリーズ初プレイの私は困惑している。そうなの!? そうなのか!?

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▲毎日元の状態に戻る不思議な採くつ場。下の階ほど貴重なアイテムが採れるので、穴を見つけながら進む。硬い地層を掘るにはグレードアップしたツルハシが必要となる

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▲何がいくらで売れたかは、町長宅の帳簿で確認できる。あらやだ赤字だわ

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▲捕まえた虫や魚は町長宅の図鑑で確認できる。コンプリートしたーい!

ちなみに、春はタケノコ、夏はセミ……といったように、季節の移り変わりと共に変化が楽しめる山菜や草花の採取、虫取り、魚釣り。厳密には牧場のお仕事じゃないけれど、「売ったものは牧場の収入になる!」ということで、仕事の合間に町を駆けまわって季節を噛みしめている。楽しさや喜びの付与が幅広く待ち構えているのがいい。

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