Interview

『ジョジョ』第5部アニメ、いよいよ最終話へ!「オープニングから欠かさず観てください」大森P&ハセガワダイスケ、『黄金の風』に宿した意志

『ジョジョ』第5部アニメ、いよいよ最終話へ!「オープニングから欠かさず観てください」大森P&ハセガワダイスケ、『黄金の風』に宿した意志

2018年10月から3クール連続で放送されてきたTVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』が、7月28日(日)の2話連続放送で最終回を迎える。主人公のジョルノ・ジョバァーナと彼が属するブチャラティチームは、仲間を失いながらも数々の激戦を乗り越え、ギャング組織「パッショーネ」のボスであるディアボロの秘密を捕捉。事態はまさに最終局面となっているが、その物語の後半戦をさらに熱く盛り上げているのが、ハセガワダイスケが歌うOPテーマ「裏切り者のレクイエム」だ。

TVアニメ『ジョジョ』では恒例となっている特殊OP用に別アレンジバージョンも制作されるなど、『黄金の風』のクライマックスを飾るにふさわしいドラマティックかつ仕掛けの満載なロックチューンに仕上がっている本楽曲。今回は、前作『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』のOPテーマ「Great Days」をはじめ『ジョジョ』とは縁が深いハセガワと、TVアニメ版『ジョジョ』の大森啓幸プロデューサーに取材し、「裏切り者のレクイエム」が生まれた背景とそこに込められた意志について話を聞いた。

取材・文 / 北野 創(リスアニ!)


『黄金の風』のメインテーマやギャングダンスの曲でも歌っています(ハセガワ)

TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』

まずは今回の『黄金の風』後期OPテーマ「裏切り者のレクイエム」の歌い手にハセガワさんを起用された経緯をお聞かせください。

大森プロデューサー 前回の曲(「Fighting Gold」)は「初心に返る」という気持ちもあってCodaさんにお願いしましたが、『ジョジョ』のアニメでは基本的に曲が出来上がってから歌い手を決めるんです。

今回の場合は、締めくくりの曲ということで菅野さん(菅野祐悟/本作の劇伴を担当している音楽家)に書いてもらうことにしたんですが、菅野さんは「誰か推しの歌手がいたら教えてください」と言いながらも、絶対にハセガワくんでいくつもりなんだろうなというのがあったんですよ。目には見えないけどモノローグで伝わってくる感じと言いますか(笑)。ハセガワくんには制作の段階から仮歌を歌ってもらっていたので。

ハセガワダイスケ 菅野さんは1年ぐらい前から曲を作り始めて、何バージョンか制作されてたんですけど、僕はそのときから仮歌を歌わせていただいてたんです。ただ、なんとしても自分が本番も歌いたいと思っていたので、仮歌のときからカラーを出していくようにしていました。

TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』

ハセガワさんと菅野さんは、ハセガワさんの楽曲「Gの閃光」(『ガンダム Gのレコンギスタ』EDテーマ)や映画『ニンジャバットマン』の挿入歌「GAT-TAI」などで以前から縁があります。

ハセガワ 男性ものの歌の場合、わりと僕が仮歌を担当させていただいてるんです。

大森 劇伴でもたくさん歌ってるもんね。「ダイヤモンドは砕けない」のテーマソング(「ダイヤモンドは砕けない~メインテーマ~」)もそうだし、『黄金の風』でもギャングダンスの曲(第7話「セックス・ピストルズ登場 その1」の挿入歌「canzoni preferite」)とかね。

ハセガワ 『黄金の風』のメインテーマ(「il vento d’oro」)でも「ジョジョ~♪」というコーラスワークをやらせてもらいました。そういう意味では、『黄金の風』との関わりで最初にお仕事をいただいたのはギャングダンスの曲で、そのときの仮タイトルは「ナランチャが好きな曲」だったんです。なので歌ったときはあのダンスシーンで流れる曲だとは知らなくて。

TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』

大森 あのシーンは、まず曲を上げて、それに合わせてコンテを切ってダンスを作るやり方だったので、菅野さんには先にテンポ感や参考曲だけを渡して作ってもらったんです。歌詞も意味のある内容だと良くないと思ったので、「毒にも薬にもならない適度な感じ」という風にお願いしたら、菅野さんがそれをハセガワくんに渡したみたいで。出来上がったものを聴いて「この歌詞はハセガワくんが書いてるな」というのは何となくわかりましたね。

ただ、歌詞の中に“I want golden wind”というフレーズがあったり、『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』らしい内容にはなっています。

ハセガワ そうですね。一番ハマったのは“It’s like a burning sunrise”のところだと思うんですけど、僕、目を焼くシーンがあることを完全に忘れてて(※ギャングダンスは、ブチャラティ一行がレンズを使ってズッケェロの眼球を焼くシーンで踊られる)。歌詞ってたまにそういうことがあるんですけど、たまたま連動したのでうれしかったです。

この曲はサウンド感やファルセットの使い方などを含め、どこかプリンスを彷彿させるところがありますが。

ハセガワ 菅野さんからも「プリンスっぽい感じで」と言われたんですけど、音を聴いて参考にしちゃうと寄りすぎてしまうので、僕はあえて聴かなかったんです。元々プリンスがどういうサウンドなのかは知ってましたし。ただ、あのサウンドでファルセットのソウルを歌うとなると、どうしてもああいう歌い方になってしまいました。

TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』

ちなみにハセガワさんは原作の『ジョジョの奇妙な冒険』という作品および第5部について、どのような印象をお持ちですか?

ハセガワ マンガであり、芸術作品という印象です。特に第5部の頃は画も独特になっていって、ファッションも普通の人には想像もつかないようなものになってるじゃないですか。ジョルノのハート型だったり、ブチャラティがおかっぱだったり。だけどめちゃくちゃかっこいいし、普通ではないことを普通にやっている感じがアートっぽいと思って。

原作を初めて読んだのは中学ぐらいの頃だったんですけど、そのときは大人のお洒落な人が読むマンガだと思ったんです。当時の僕の感性では追いつけなかった。でも今はそれにようやく追いつくことができて、すごくリスペクトしている作品です。

『ジョジョ』の曲には簡単に歌えるものがないんです(大森)

TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』

今回の「裏切り者のレクイエム」はどのようなコンセプトで制作されたのでしょうか?

大森 まずはボス(ディアボロ)との対決という絵面が鮮明に浮かぶもの。それと後ろの無い者たちが覚悟を持って戦うような雰囲気が欲しいと。前面にあるのはそういう部分で、芯にあるのは原作に登場する「真実から出た『誠の行動』は、決して滅びはしない」という言葉を詞曲で表すことができれば、と考えていました。

前回の「Fighting Gold」は駆け抜けていく感じでしたが、同じく切羽詰まった焦燥感のようなものを残しながらも、今回はよりドラマチックにしたかったのでオーケストレーションを入れて、最終回を見終わった後も曲が頭の中に響いて残るようなものになればと思い……菅野さんにはそんなお話をしたうえで曲をお願いしたのですが、最終的には3回ほど作り直していただくことになりました。

作詞は、富永TOMMY弘明「ジョジョ ~その血の運命~」、橋本 仁「STAND PROUD」、JO☆STARS「ジョジョ その血の記憶~end of THE WORLD~」などのシリーズ主題歌を手がけてこられた藤林聖子さんです。

大森 最初はコンペを行っていたのですが、なかなかしっくりいかなかったので、藤林さんにお願いすることにしたんです。

先ほどのコンセプトを説明しつつ、他にお伝えしたキーワードは「真実に向かおうとする意志」「今にも落ちてきそうな空の下で」「われわれはみんな“運命の奴隷”」。そこから藤林さんに書いていただいた歌詞は、部分的には変更していただいたところもありましたが、大筋は変わっていなくて、「ジョジョ ~その血の運命~」のときと同じくらいすんなりと決まりました。

TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』

ハセガワさんは仮歌のときから何度も歌われていたと思いますが、本番ではどのようなこだわりを持ってレコーディングに臨まれましたか?

ハセガワ 大森プロデューサーからいただいた唯一のディレクションは「リミッターを外してほしい」だったのですが、僕は普段わりと綺麗に歌いがちなシンガーなので、そこはすごく苦悩しました。

歌いながら「本当の意味でリミッターを外すというのは?」ということを探りつつの作業で。これはレコーディングが終わったあとに気づいたんですが、帰り道で魂が抜けたみたいになっちゃってたんですよ。そこで「ああ、(リミッターを)超えられてたのかな」と気づける瞬間があって、結果良かったなと思いました。気を抜いていたら置いていかれてしまうような曲なので、レコーディング中は本当に(曲に)しがみつくような感じで。この曲、シンプルに難しいんですよ。息継ぎするところがわからなくて。

TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』

大森 『ジョジョ』の曲には簡単に歌えるものがないんです。最初にシリーズを始める時は「カラオケでみんなで歌える曲を目指そう」と言ってたんですけど、それを田中公平さん(「ジョジョ ~その血の運命~」の作曲者)が見事に覆してくださったので(笑)。

ハセガワくんは歌がすごくうまいんですけど、今回はうまさよりも暴れてほしかったんですよね。例えば音程が外れててもいいし、ガナッててもいいと思ってたぐらいで。

ハセガワ 現に音がうまく取れてないところも(音源に)残ってるので。

大森 そこはあまり直さないように頼んだんですよね。音程がバッチリあってると素晴らしい曲かと言うとそうでもなくて、人が聴いて感動するのは歌心とか気持ちだと思うんですよ。

歌がうまい人は真面目に音を取ってしまいますけど、『黄金の風』のキャラクターというのはみんなギャングじゃないですか。なので、いかにワルになってもらうかみたいなところがありました。ワガママで悪い感じだと、歌にも切羽詰まった雰囲気が出るんじゃないかと思って。レコーディングもあえて切羽詰まるような状況で行いましたし。

TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』

ハセガワ スタジオを3時間しか押さえてなかったので、結果2時間半で2曲を録ったんです。戻る道もなく、今思い出しただけでも手に汗をかきます。でも、おかげさまで勉強になりました。スタジオも、自分が昔にバイトしていたことがある憧れのスタジオだったので、『ジョジョ』という作品で歌うことができてうれしかったです。

大森 今回の歌は、今までよりも荒々しい力強さを感じたけど、あれは何をイメージして歌ってました?

ハセガワ やっぱり曲自体が怒ってるんですよね。歌詞の内容しかり、すごく怒ってるし、切羽詰まってる。帰る場所を全部絶っている人たち。その苦境の中の荒々しさみたいなものを、レコーディングの時間が3時間しかないという、自分自身が置かれていた立場とも重ねて。ただ、自分の状況と曲に求められているものがリンクしていたのは感謝ですね。あとは喉を枯らさないように注意しつつ。

大森 でも後半ちょっと枯れてきてたよね。だからびっくりしたんですよ。

ハセガワ そうなんです。僕、喉はめっちゃ強いんですけど。

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