Review

立体的なライン構築が熱い 工場建設ゲーム『Satisfactory』の魅力

立体的なライン構築が熱い 工場建設ゲーム『Satisfactory』の魅力

昨今、インディーゲーム界隈ではラインや物流を構築するゲームが静かなブームになっていることをご存じだろうか。個人的には2016年にリリースされた『Factorio』と、あの『Minecraft』用にリリースされたMOD(ユーザーが作成した追加コンテンツ)、とりわけ工業系と呼称されるいくつかのMODに猛烈にハマり、すっかり物流系ゲームのトリコになってしまった。自動採掘機や自動工作機などの施設を組み合わせてアイテム作成を自動化するラインを構築するのだが、どの順番にするか、どういうレイアウトにすると効率がいいのか、パズルゲームのように考えるのがとても楽しかったからだ。
物流系ゲームの面白さが認知されるにつれさまざまなアプローチの作品が登場し、筆者もチェックしてきたのだが、ついに『Factorio』と同じレベルの魅力を持つゲームが登場した。それが今回ピックアップする『Satisfactory』である。開発はCoffee Stain Studios。バグだらけの仕上がりと、そのバグが「面白いからそのまま!」と開き直り、逆に長所としてプッシュしたあの問題作『Goat Simulator』の開発スタジオだ。そのため筆者は少々不安を覚えたが、フタを開けてみればまったくの杞憂であった。
というわけで、本作の魅力と物流系ゲームとはなんぞや、ということに関してガッツリ迫っていきたい。
なお、本作はまだ開発段階の早期アクセスゲーム(開発途中で、プレイヤーからのフィードバックが以降の開発に活かされていくゲーム)。まだ実装されていない要素があったり、ローカライズされていない部分があるなど完璧ではない部分もあるが、筆者は現状でも数十時間プレイしたほどの熱中度。今後もアップデートで要素が追加されていく予定で、まだまだ期待できる作品だ。

文 / 板東篤


工場の生産ラインを作る面白さ

本作の主人公は、とある企業のエンジニア。未開の惑星に降り立ち、資源を採掘してアイテムを作り、会社にどんどん納品していくことが目的だ。所持品は降下に使用したポッドと、ハンディタイプの建設・解体マシンのみ。降下ポッドは解体すると専用の素材になり、HUBと呼ばれる拠点を作るときの材料になる。ちなみに採掘機などの施設を解体すると、作成時に使用した素材はロスなく100%戻ってくる。そのため、設置と解体を気軽に行え、遊びやすさに一役買っている。
しかし、ゲームスタート時からすべてのことが行えるワケではない。指定されたアイテムを集め、拠点を強化したり納品することで、新しいレシピや素材、施設などが解禁されていく仕組みだ。
採掘やアイテムの作成は手作業でも行えるが、効率が悪いし、何よりも面倒。そこで、精錬炉や製作機といった施設を建設し、アイテム作成の流れを自動化していくのが本作をはじめとしたライン構築ゲームのキモであり魅力だ。

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲舞台は未開の惑星。マップは固定生成で、スタート地点は3ヶ所から選択可能。バイオマス(生物由来の資源。本作では植物を意味し、バイオマス燃料の材料になる)や鉱床、出没する敵対生物などに違いがある。右に行くほど難度が高いと考えていいだろう

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲ゲームジャンルは一人称視点のシミュレーション。各地にある鉱床などから資源を採掘し、それを元にアイテムを作成していく

最初は単純なラインの構築からスタート。採掘した鉄鉱石を鉄インゴットにし、そこから鉄板を作る。これくらいの小さなラインでも初めて作れたときは楽しいし、無事に稼働している姿を眺めて安堵する嬉しさも味わえる。もちろん、ゲームが進行するとより高度なアイテムが登場し、まず素材となるアイテムを作成するラインを作って……という感じでどんどん複雑化していく。結果、どのようなラインにするのか、パズルゲームのようにじっくり考えてから着手するようになる。これがまた楽しく、終始ラインについて考える面白さを味わえるゲームに仕上がっている。
なお、施設を稼働させるには電力が必要となる。HUBにはバイオマスバーナーという、植物から作る燃料で稼働する発電機が付属しているので、しばらくはお世話になることだろう。もちろん、電力が不足してきたら、バイオマスバーナーを増設したり、新たな発電機を開発するなどして対処していく。

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲採掘機で採掘した鉄鉱石をインゴットに精錬し、それを鉄板に加工する単純なライン。完成したアイテムはコンテナに貯蔵されるようにしている

本作は3Dであることが大きな特徴。先ほど例に挙げた『Factorio』は見下ろし視点の2Dなので、ライン構築は平面で考えればいい。だが本作では立体的に施設を配置できる。つまり2階や3階も作れるわけで、縦にラインを考える面白さも味わえるワケだ。

Factorio エンタメステーションゲームレビュー

▲こちらは文中で何度か紹介した『Factorio』。筆者はこの作品でライン構築ゲームを経験していたので、『Satisfactory』もすんなり楽しめたのかもしれない。こちらも超面白いのでオススメ

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲アイテムを上階に運搬するコンベアも用意されている。本作は施設が大きいためラインも広くなりがちで、2階や3階を建設せざるを得ない状況も

このとき力強い味方となるのが土台。高さの違いなどで数種類が存在しており、キレイに敷き詰めることができるブロックだ。多少デコボコの土地でも土台を敷き詰めて平らにし、その上に施設を建てていくことで、カッチリとキレイにレイアウトされた工場をカンタンに作れる。土台は物理法則を無視して存在できるため、空中に浮くような配置も可能。地形を完全に無視し、天空に浮くスペシャル工場なんてのも実現可能で夢が広がりまくりだ。ちなみに本作は『Minecraft』などとは異なり、地形は壊せない。そのため、例えば崖の向こうへ行きたい場合や山の頂上まで行ける道を作りたい場合は、この土台が役立つワケだ。

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲実は本作の主役なんじゃないか、と思えるほどに存在感が強い土台ブロック。キレイに並べて配置でき、この上に施設を設置するときも土台に沿ってキレイに配置できる

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲土台やナナメのスロープを活用すれば、橋などを作ることも可能。険しい地形が多いため、ガンガン活用することになるテクニック

思った以上に惑星は広い!!

工場作成に集中しているときはあまり気がつかないが、マップが非常に広大。鉱石をはじめとした資源は段階的に登場するため、新しい鉱石が解禁されてスキャナーで場所を調べるとメチャクチャ遠くに鉱床が存在していたりして、そこで初めて世界の広さに気がつく感じだ。
その新しい鉱石を求めて旅立つことになるワケだが、この探索も楽しい要素のひとつ。最初のスタート地点が草原のため、なんとなく緑豊かな惑星なのかなと思っていたが、とんでもない。砂漠や森、巨大な菌類がはびこるキノコ森など、さまざまなバイオームが用意されている。新たな景色を発見するワクワク感もなかなかなものだ。

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲資源の鉱床などがどこにあるかをスキャンできる。筆者は“草原”でスタートしたのだが、石炭や石油が解禁されたときは、あまりの遠隔地に絶望してしまった。ほかのスタート地点だと、また話は変わってくるのだろうか?

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲ピンク色に染まる砂漠。ヤシ風の木が立ち並ぶ平坦な地域

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲紫色の巨大な葉が生い茂る森。色彩がガラッと変わるため、一気に異世界に来たことを実感する

探索中は敵対的な原生生物、いわゆる敵に注意。こちらを見かけると即襲ってくる。プレイヤーの武器は近接用がメインのためコツをつかむまでは攻撃を受けやすく、また回復アイテムも有限で慣れるまでは少々厳しい戦いを強いられる。倒されてしまった場合はHUBから復活できるが、アイテムは倒された場所に残り、体力も少ししか回復しないため現状復帰に少々手間がかかる。
なお、敵対生物はどうやら復活はしないらしく、一度倒してしまえばその場所は安全となる。工場を襲ってくることもないので、現状では工場の防衛については考えなくていい。『Minecraft』や『Factorio』では拠点が襲われ壊されることもあったが、本作ではそこを気にしなくていいのが特徴といえる。施設を壊されると萎えてしまうのでありがたい。バトルは探索のスパイス的な要素と考えていいだろう。

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲突進攻撃してくるイノシシのような原生生物。倒すと生物由来の素材をドロップし、一部の回復アイテムの材料などで利用できる。残念ながら食材にはならない

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲歩く巨大なクジラみたいな生物。温和な生物で、向こうからは攻撃を仕掛けてこない

さて、探索に話を戻そう。先に述べたように鉱石を求めて遠出することが大半だが、じつは鉱石以外にもレアなアイテムを発見することがある。ひとつはナメクジのような外観をした生物のパワー・スラッグ。これは施設をオーバークロックで稼働させられるアイテム、パワー・シャードの材料となるため多数集めておきたい。採掘機に設置すれば採掘量が増えるし、生産施設につければ生産速度が向上する。同じ時間でより多くのアイテムを作成できるワケだ。ただし、オーバークロックするとそのぶん消費電力も増大するので、運用には電力に気を配る必要がある。

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲崖や木にへばりついているパワー・スラッグ。ちょっと入手しにくい場所にいることが多い、レアな生物

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲施設にパワー・シャードを設置すると、施設のクロック速度を向上させられる。ただし、消費電力も大きく跳ね上がる

もうひとつが、墜落したポッドのコンテナから見つかるハードドライブ。どうやら主人公が所属している会社はこの惑星の調査を行っていたようで、同社の降下ポッドが墜落している現場がまれに見つかる。このハードドライブを分子分析機で分析すると、代替レシピや新たな技術が解禁される。代替レシピとは、とあるアイテムを別の材料で作れるようになるレシピのこと。より簡単に作成できたり、生産速度が上がるなど、元のレシピよりも使いやすい内容になっている。これらの要素を理解したあとは、ナメクジやハードドライブを求めて世界を探索するのも楽しい。大いにメリットがありモチベーションを高める。

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲たまに墜落した降下ポッドが見つかる。周囲にアイテムが散らばっているほか、ハードドライブも入手できる

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲ハードドライブを分析することで、アイテムの別レシピが解禁される

電車で遠くに出かけられる!?

遠方への探索は徒歩移動が基本となるが、じつは車両や電車といった乗り物も作成物として用意されている。これらを活用すれば、遠距離へのアクセスがとても楽になる。そのなかでも、個人的には電車が気に入っている。電力で作動するためエネルギー源の確保が楽で、移動速度も申し分ない。ただし、利用までの苦労はかなり大きい。
まず、線路の敷設がとても大変。本作の大地は起伏に富んでおり、地形に合わせて敷設するとどうしてもウネウネとした線路になってしまう。線路をキレイに敷設したい場合は、土台を活用して道を作るところから始まる。カーブや坂道ではいい感じで曲がるように調整しながら設置をくり返す必要があり、想像どおりに大変な作業。「もう、徒歩で頑張るほうが楽なんじゃないのか?」と思えてしまうほどだ。
そのぶん、完成して無事に路線が開通したときは、遠くまで移動する場合の利便性が跳ね上がるし、何より達成感をバッチリ味わえるのが嬉しい。「諦めずにやってよかった!」と思えることだろう。本作をプレイする場合は、ぜひ電車を使ってみることをオススメしたい。ライン構築と同じぐらいに楽しい要素だ。

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲先日のアップデートで実装された電車。線路の敷設は大変だが利便性は高く、何より楽しい!

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲車両もいくつか存在。作成は電車より断然楽だが、いわゆるラジコン操作で、思いどおりに動かすのはちょっと難しい

これらの乗り物は自動稼働ができ、アイテムの輸送にも使える。ただし、設定が面倒だったり、上手く機能しないこともあるようで、筆者はまだ二の足を踏んでいる状態。では、遠くにある資源をどのように工場へ運んでいるかというと、コンベア・ベルトを活用している。主に工場の施設同士をつなぎ、アイテムを輸送する場合に使うものだが、これが長距離でも問題なく稼働してくれる。そこで、遠くの資源に自動採掘機を設置し、電気を通して採掘アイテムはコンベア・ベルトで工場まで運んでいるのだ。
工場は施設が密集して、いかにも“工場です!”というレイアウトを楽しめるが、大自然のなかにグーッと長いコンベア・ベルトを敷設し、そこをアイテムが絶え間なく流れていく景色も風情があっていい。先ほど地域によって異なる景観を楽しめる話をしたが、さらに自然と人工物によって作られる風景を楽しめるのも本作の大きな魅力だと感じている。

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲コンベア・ベルトは想像以上の長距離でも問題なくアイテムを運んでくれる。車両でのピストン輸送とは異なり、絶えず流れ続けてくれるので使いやすい

Satisfactory エンタメステーションゲームレビュー

▲あまり土台を使わず、荒野に直接敷設したコンベア・ベルト。こうした風景もいい

コンベア・ベルトは主人公の移動にも使える。上に乗ると歩く歩道のごとく自動で移動し、遠距離への移動手段としてとても便利。コンベア・ベルトは何段階かのグレードがあるが、上位の速い物ほど作りにくいといったバランスではないので、速いコンベア・ベルトを気軽に使えるのも嬉しい。

今回は、ライン構築の魅力を中心に、探索要素や乗り物など本作ならではの楽しみかたを紹介した。次回の記事では、より深く突っ込んだライン構築の魅力とマルチプレイについて触れていきたい。

Satisfactoryロゴ

■タイトル:Satisfactory
■メーカー:Coffee Stain Studios
■対応ハード:PC
■ジャンル:シミュレーション
■対象年齢:――
■配信日:発売中(2019年3月20日)
■価格:3,380円(税込)


『Satisfactory』オフィシャルサイト

©2015 – 2019 Wube Software

© 2019, Coffee Stain Studios AB.All rights reserved.
Coffee Stain、SatisfactoryおよびSatisfactoryのロゴはCoffee Stain Studios ABの商標または登録商標です。