Interview

足立佳奈 ひと夏のせつない恋模様を編んだ新作で聴かせるボーカルと極まる表現力。その成長について訊く。

足立佳奈 ひと夏のせつない恋模様を編んだ新作で聴かせるボーカルと極まる表現力。その成長について訊く。

AbemaTV「今日、好きになりました。夏休み編」のテーマソングに起用され、大きな注目を集めているのが足立佳奈の新曲「ひとりよがり」だ。ひと夏のせつない恋模様をリアルに描き出した本作は、その落ち着いた大人っぽいボーカリゼーションも含め、自身の表現の幅をさらに押し広げた仕上がりとなっている。7月22日に単曲で先行配信された「ひとりよがり」は、その1ヶ月後にラブソング縛りの3曲入りCDとしてフィジカルリリースされることも決定。今回のインタビューでは、シングルに収録される3曲についての制作エピソードと、8月30日に開催される2周年記念ライブについて話を聞いていく。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 大庭元


主人公を男の子にして、その彼が女の子を思う気持ちを書いてみたかったんです

足立佳奈 エンタメステーションインタビュー

4月にリリースされた「little flower」はLINE MUSICで2位を獲得。今まで以上に多くの人たちへ届いたようですね。

はい。AbemaTVの「今日、好きになりました。」のテーマソングになっていたので、イベントなどでこの曲を歌わせていただくと「キャー!」っていう歓声が上がることも多くて。そういう瞬間に、「あーたくさんの方に聴いていただけているんだな」っていう実感はありました。

「little flower」では凛とした歌の表情にチャレンジしていましたけど、イベントなどで生で歌う機会が多かったことで、その新しい表現がご自身により浸透してきたところもあったんじゃないですか?

確かに新しい表現を自分のものにできているなっていう実感はありますね。声を張って歌う落ちサビのところなんかは、今までにそういう歌い方をしたことがなかったので、ライブで歌っていると「あ、私ってこんな声も出せるようになったんだ!」って自分でもハッとする瞬間があったりもして。そういう部分は、少しずつではありますけど自分に対しての自信にも繋がっているような気がしますね。

そんなアーティストとして良い状況の足立さんから、はやくも新曲「ひとりよがり」が届きます。

今回は夏をテーマにしたせつないラブソングを歌ってみたいなと思ったんです。サウンドプロデューサーのCarlos K.さんと一緒に、細かくやり取りをしながら大切に作っていきましたね。

具体的にはどうやって制作を進めていったんですか?

まず私の中にあった曲のテーマ、イメージをCarlosさんにお伝えしてオケを作っていただいて。そこに私が即興でメロディをつけていった感じでした。「イントロの音はこういう感じはどうですか?」って私からアイデアを出させていただいたところもありましたし、「メロディはこっちのほうがいいんじゃない?」とかCarlosさんから意見をいただくこともありましたし、本当に細かくディスカッションをしながら作っていけたのが楽しかったです。私が言ったことに対して、Carlosさんは柔軟にフットワーク軽く対応していただけるので、すごくやりやすいんですよね。

Carlosさんともお話しながら、設定もかなり細かく決めていったんです

夏の夕暮れを感じさせるトラックの上で、ひと夏のラブストーリーが展開していくわけですが、これほんとにせつなすぎますよね(笑)。

ですよね(笑)。夏を一緒に過ごす中で、付き合っているわけじゃないけど手を繋いだりして距離が近づいていく男女。男の子には自然と恋愛感情が生まれていくわけですよ。でも、女の子の方はあくまで友達として接しているから、最後はさよならも言わずに去って行ってしまうっていう。Carlosさんともお話しながら、設定もかなり細かく決めていったんですよね。

歌詞は男性目線になっていますよね。

はい。主人公を男の子にして、その彼が女の子を思う気持ちを書いてみたかったんです。設定としては、男の子のほうはちょっと素朴な雰囲気で、坊主に近い短髪。髪も染めてない感じですね。逆に女の子のほうは髪をポニーテールしていて、ファッションなんかも今風な感じ。だから男の子にとってはちょっと高嶺の花でもあるっていう。

それだけ詳細に設定を決めたからこそリアルに共感できる曲になったんでしょうね。

今回は完全にフィクション、実体験ではない物語として書いたので、そういうリアルさみたいなところはすごく意識しましたね。サビの最後の<このまま時が止まればいいのに>のところは、メロとのハマり具合も含めてすごく気に入ってます。あとは<君のやさしさ/ずるいよ>のところも好き。「好きなの? そうじゃないの? どっちなの?」っていう思わせぶりな感じが恋にはあるのかなと思って、イメージを膨らませて書きましたね。

僕は<最初が君だから/忘れない 忘れられない>のところにグッと来ましたけど。

そこもねー! いいですよね。ただ、スタッフさん含めて議論があったんですよ。「いろんな受け取り方ができる書き方だからどうなのか?」って。

足立さんとしてはどんなイメージで書いたフレーズだったんですか?

私としては、この男の子にとっての“初恋”というイメージで書きました。「僕にとっての最初の恋が君だから忘れられないんだよ」っていう。でも、聴く人ごとの受け取り方があってもいいのかなとは思ってますけどね。

聴いてくださる方への引っ掛かりという意味では、「ひとりよがり」が一番せつなくていいんじゃないかなって

足立佳奈 エンタメステーションインタビュー

で、この曲の物語を一言でまとめる「ひとりよがり」というタイトルがまた秀逸で。

そうなんですよ(笑)。「自分だけが舞い上がってたのか!」っていう。せつないですよねぇ。タイトルに関してもいろいろな案があったんです。「夏の終わり」とか「終わらないで、夏」とか。でも聴いてくださる方への引っ掛かりという意味では、「ひとりよがり」が一番せつなくていいんじゃないかなっていうことになりました。そういう部分も含め、今までの私の曲にはなかったおもしろい曲に仕上がったんじゃないかなとは思いますね。

歌に関してはどんな表情を出そうと思いましたか?

前回の「little flower」に続き、今回もかわいらしさではなく、ちょっと大人な表情で歌いたいなって思いました。この曲の主人公である男女は高校生くらいのイメージではあるんですけど、私もそれと同じイメージで歌っちゃうとまたちょっと違うかなって。そこはかなり意識しましたね。

主人公になりきって歌うのではなく?

そうそう。ちょっと客観的に歌うことで、聴いてくださる方もこの曲の世界に入りやすいかなと思って。主人公になりきって一生懸命歌いすぎると、私の気持ちが出すぎてしまう気がしたので、基本的には一歩引いて歌うことを心掛けましたね。

そのバランスは難しくはなかったですか?

あー確かに、主人公たちと距離を置きすぎると棒読みのような感情が全く入っていない歌になってしまうんですよ。その難しさはありました。そこは何度か歌いながら調整していった感じでしたね。<君の優しさ/ずるいよ>みたいに、相手に向かって言っているようなフレーズのところでは、本人になりきって歌ってみたりもしましたし。1曲の中でいろんなアプローチを盛り込めたような気がします。

いつもの自分、ありのままの自分で歌えたような気がするんです

足立佳奈 エンタメステーションインタビュー

感情をさらけ出しすぎない、落ち着いた声色がせつなさをより倍増させている印象もありますよね。

AメロBメロなんかは特にそうだと思いますね。そこに関しては、私が家で歌っている声の雰囲気にすごく近いと思うんですよ。いつもの自分、ありのままの自分で歌えたような気がするんです。今回はそれが活かせる曲だったし、一緒に作ってくれたCarlosさんが私らしさを尊重してくれたので、音源に落とし込めたんだと思います。それがすごくうれしいんですよね。

サビでは少し感情のこもった強い声が出てもいますよね。そのギャップもいいなと。

サビには「little flower」よりもちょっと高めの音があったので、裏返りそうになってしまうこともあって。そこを踏ん張って、「もう一回お願いします!」って何度か歌わせてもらいました。難しかったけど、確かにAメロBメロとの違いがちゃんと出せて良かったなって思いますね。

ボーカルに関してもCarlosさんがディレクションしてくれたんですか?

はい。というより、曲の制作だけでなく、歌のレコーディングに関しても今回はCarlosさんのご自宅のスタジオでやらせていただいたんですよ。だから、その場でいろいろなやり取りをしながら最初から最後まで制作できたんですよね。すごくアットホームな雰囲気で。

音楽を作ることってこんなに楽しいんだなってあらためて感じることもできた

足立佳奈 エンタメステーションインタビュー

そういう環境での制作、レコーディングはやりやすかった?

はい。私にはこのやり方が一番合ってるんじゃないかなって思いましたね。普段のレコーディングではブースの中に入ると他の方の声が一切聞こえないので、ちょっと寂しさがあるし、心細くなることもあったりして。でも今回はみんなが同じひとつの空間にいて、「じゃ歌を録るので静かにしてくださーい」みたいな感じだったんです(笑)。そういう雰囲気だったからこそ、ボーカルに関して普段のありのままの表情を出せたところがあったんだと思いますね。スタジオにはギターの方も来てくださって、「こんな案はどうですか?」って言って目の前で何パターンもフレーズを弾いてくださったりもしたんですよ。で、それに対してみんなで意見を出し合っていくっていう。そうやって音楽に携わる方々の中に私自身もしっかり参加させてもらえた制作だったので、音楽を作ることってこんなに楽しいんだなってあらためて感じることもできたし、また新しいことにチャレンジしてみたい気持ちもどんどん湧き上がってきたんですよ。

例えばどんなことにチャレンジしてみたいですか?

例えば……パソコンを使って曲を作ってみたいな、とかですかね。私はギターとピアノと歌しかできないから、まだまだ勉強しなきゃいけないことはたくさんあると思うんですけど、ちょっとずつ新しいこともやっていきたいんですよね。貪欲に、欲張りな感じでここからも歩んでいきたいです。

3曲全部がラブソングになっています。そういう統一感のあるシングルは実は初めてなんです

「ひとりよがり」は7月22日から先行配信されていますが、8月21日にはCDとしてのフィジカルリリースも決定しています。そちらには2曲のカップリングも収録されるそうですね。

はい。今回は「ひとりよがり」も含め、3曲全部がラブソングになっています。そういう統一感のあるシングルは実は初めてなんですよね。カップリングとなる「恋する気持ち」という曲は、ロート製薬「恋する肌キュン」テーマソングとして書き下ろしさせていただきました。

キラキラしたサウンドで片想いのワクワクする気持ちを伝えてくれる曲になっていますよね。

はい。楽曲は提供していただいたものなんですけど、まさにそのキラキラしたところに惹かれたんですよ。私の場合、なかなか自分ではそういった曲は作れなかったりするので。で、歌詞に関しては、ゆりやんレトリィバァさんが出演されている「恋する肌キュン」movieの内容をイメージして書いていきました。かわいい女の子になって恋を実らせたい、あなたの理想の女の子になりたいよっていう思いを込めて、ゆりやんさんになりきって書きましたね(笑)。

レコーディングの経験を重ねれば重ねるほど、こだわりはどんどん強くなっているような気がしますね

足立佳奈 エンタメステーションインタビュー

ボーカルにもかわいい表情が出ています。

歌詞と同じように、歌に関しても主人公になったつもりで臨みました。事前に「恋する肌キュン」movieの資料を見せていただいていたのであまり悩むこともなく。すごく歌いやすかったですね。ただ、1回録ってみた後で、歌い終わりの雰囲気をもう少し変えたいなとか、最後のメロディをちょっとだけ違う流れにしたいなとか、そういう欲も出てきちゃって。なので、そのあたりを調整して、別の日にもう一度レコーディングさせてもらったんですよね。

「llittle flower」のときにも2度レコーディングに臨んだとおっしゃっていましたけど、今回もまた妥協することなく、納得いくまで向き合ったわけですね。

ちょっと主張が激しすぎるような気もするんですけど(笑)。でも、録ったものを家で落ち着いて聴き直してみると、「あーここはもうちょっと行けたな」って思ってしまうことがよくあって。なのでそこは納得できるまでやらせてもらったほうがいいかなとは思ってます。レコーディングの経験を重ねれば重ねるほど、こだわりはどんどん強くなっているような気がしますね。

彼氏のいる友達や、ラジオ番組にゲストで来てくださったアーティストの方などに取材をしつつ(笑)

で、もうひとつのカップリング曲ですが、このインタビュー時にはまだ完成しておらず。どんな曲になりそうですか?

もう1曲は片想いソングではなく、そばにいてくれる大切な人への思いを書いたラブソングにしようと思っています。ちょっとアップテンポなサウンドで。

テーマからするとハッピーな内容になるんですかね?

そうですね。基本的には幸せな曲になると思います。ただ、付き合ってる相手に対して言いたいことも出てきたりするじゃないですか(笑)。なのでそのへんもリアルに描けたらいいなと思い、彼氏のいる友達や、ラジオ番組にゲストで来てくださったアーティストの方などに取材をしつつ(笑)、それを自分のフィルターを通して歌詞にできたらいいなとは思っているんですけど。今、まさにイメージを振り絞って書いている最中なので、楽しみにしていてください!

ファンのみなさんと一緒に過ごすライブという空間が一番居心地がいい場所なんです

足立佳奈 エンタメステーションインタビュー

では最後に、8月30日にマイナビBLITZ 赤坂で開催される2周年記念ライブ「2nd Anniversary Live『HOME』」への意気込みを聞かせてください。

はい。私にとっては、ファンのみなさんと一緒に過ごすライブという空間が一番居心地がいい場所なんですよ。まるで“お家”みたいだなって。なので今回のライブタイトルを“HOME”にしました。2周年を迎えられたことへの感謝を伝えつつ、みなさんにとっても居心地のいい場所になるような、そんなライブができたらいいなと思っていますね。この日が19歳最後のワンマンライブになると思うので、いろんな挑戦を盛り込みつつ、10代最後の節目にふさわしい新しさも感じてもらえる内容にしますので、ぜひ遊びにきてください!

その他の足立佳奈の作品はこちらへ。

ライブ情報

2nd Anniversary Live『HOME』

8月30日 マイナビBLITZ 赤坂 SOLD OUT!
*その他のスケジュールはオフィシャルサイトで。

足立佳奈

岐阜県海津市出身のシンガーソングライター。
2014年にLINE×SONY MUSICオーディションで12万5094人の中からグランプリを獲得。
2017年2月、Twitterにアップした15秒動画「キムチ~笑顔の作り方~」が中高生の間で話題となり、そのツイートは2,500万回以上のインプレッションを記録。
その動画を真似してアップする中高生や部活生が多数出現し、学生の中で社会現象となり、その曲をもとに2017年8月に「笑顔の作り方~キムチ~/ココロハレテ」でメジャーデビューを果たす。
LINE MUSICで配信された「笑顔の作り方~キムチ~/ココロハレテ」は大物アーティストを押さえ堂々の1位を獲得。
さらにLINEバイトのヒロインやフジテレビ「新しい波24」のMCに大抜擢されるなど、まさにシンデレラストーリーを駆け上がる、シンデレラガールとなる。
2018年には、TOKYO GIRLS COLLECTIONや超十代、シンデレラフェスなどの大型イベントに出演する一方、
NHK中部フレッシャーズキャンペーンのイメージソングや、NHK Eテレ高校講座「国語表現」のMCに抜擢されるなど多方面での活躍が期待されている。
趣味はスポーツ観戦と食べること、走ること。50メートル走は6.8秒。

オフィシャルサイト
https://www.adachikana.com

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