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システムで個性際立つ最新作『不思議の幻想郷』遊びかたはひとつじゃない

システムで個性際立つ最新作『不思議の幻想郷』遊びかたはひとつじゃない

上海アリス幻樂団が制作する弾幕シューティングゲーム、書籍、音楽CDなどから成る『東方Project』。原作者ZUN氏が生み出した、人、神、妖怪、河童などが暮らす幻想郷と呼ばれる世界は、あらゆるメディアで展開され、国内外に多数のファンを生み出しながら、現在までに大きく広がっています。
その『東方Project』のファンゲームである『不思議の幻想郷』シリーズは今年10周年を迎え、コンシューマー作品としては3作目となる『不思議の幻想郷 -ロータスラビリンス-』が発売されました。遊ぶたびに変化するダンジョンに、毎回レベル1から挑んでいくというダンジョン探索RPGは“ローグライクゲーム”と呼ばれ、熱狂的なファンが存在するジャンルです。筆者もその魅力に取りつかれたひとりで、今までに何作かのローグライクゲームに寝ることも忘れ熱中しました。その多くは操作キャラクターがひとりから数人、敵味方ともにターン制で行動し、自らの一挙一動にも熟考を重ね何手も先を読みつつ窮地を乗り切る……というもの。どちらかといえばゲームは淡々と進行し、自分の判断ひとつで奇跡的に見事な立ち回りを演じることもできれば、ちょっとしたミスでそれまで積み重ねてきたアイテム、レベル、進行度すべてを失ってしまうというようなドラマティックな展開がプレイの醍醐味なのです。しかし本作は、たくさんのキャラクターを仲間にでき、彼女らをそのまま何人でもダンジョンに連れていって共闘可能です。えっ、そんなことできるの? この感覚は、従来のローグライクゲームをプレイしている人ほどピンとこないかもしれませんね。筆者もプレイしてみるまではそうでした。とにかく、まずはプロモーションムービーで実際のプレイ画面をご覧いただき、そのまま本稿をお読みください。

文 / 内藤ハサミ


性質の違うふたつのダンジョン

本作には物語を追いながら攻略していく“ストーリーダンジョン”と、難度の高い“エクストラダンジョン”の2種類が存在します。ストーリーダンジョンは、途中で倒れてしまってもアイテムや仲間をロストすることはありません。レベル1に戻ってやり直すことにはなりますが、“死んだらすべてを失う”が基本であるローグライクゲームのお約束からすれば、失うものはないに等しいでしょう。ゲームにゆっくりと慣れていけるので、お話を味わいつつ気楽に進めましょう。
ストーリーは、古道具屋の店主“森近霖之助(もりちか りんのすけ)”の手により拾われたWRS(ワールド・レプリケーション・システム)が、道具の扱いに長けた河童“河城にとり(かわしろ にとり)”のもとへと運び込まれるところから始まります。にとりの解析で、電脳世界を舞台としたゲームを生成し体験するための機械であることがわかり、居合わせた“東風谷早苗(こちや さなえ)”と“比那名居天子(ひなない てんし)”は、WRSで生成された電脳世界“ロータスランド”へとログインしゲームを楽しんでいました。しかし、この機械には重大な欠陥があり、現実世界へ重大な影響を与える可能性があることがわかってきます。徐々に奇妙なことが起こり始めるロータスランドと現実世界。早苗と天子は、ふたつの世界を救うため奔走することになるのです。

不思議の幻想郷 ロータスラビリンス エンタメステーションゲームレビュー

▲軽い気持ちでとんでもないものを拾ってきてしまった霖之助……

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▲プレイヤーキャラクターとして、早苗と天子のどちらかを最初に選びます。天子も可愛くて気になったのですが、いずれ両方のルートをプレイするとして、まずは早苗を選択しました。プレイヤーキャラクターによって話の大筋が変わることはありませんが、途中の展開が多少違います

挑戦するたびにレベル1から始まり、ダンジョンの地形や拾えるアイテムは毎回変化する状況のなか、敵を倒してレベルアップしたり、アイテムを拾ったりしながらクリアを目指します。自分がひとつ行動するごとに相手もひとつ行動するというターン制で、相手の出かたを予想しながら慎重に進む必要があります。身ひとつでダンジョンに挑み、手持ちのアイテム、地形、罠、敵の特性など使える物はなんでも利用し、サバイブしていく……。ジャンルのファンならよく知ったシステムでしょう。基本的なゲームのルールはローグライクとしての共通ルールをなぞっているものの、独自のエッセンスを盛り込んだものになっています。

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▲満腹度の設定もあります。行動しているとおなかが空くので、定期的に食事をする必要があります。本作の基本的な食事はパンケーキやおはぎという、腹持ちのよさそうな甘い炭水化物です……

さて、実際のプレイ画面を撮影した下のスクリーンショット、一般的なローグライクゲームにはあまり見られない雰囲気ではないですか? 仲間のキャラクターが画面を埋め尽くす勢いで存在し、もはや主人公の早苗を見失うほどで、筆者が考えていたものとずいぶん違いました。ストーリーダンジョンに仲間を連れていくかどうかは一部の例外を除いて任意で、連れていける人数の制限も設定されていません。せっかくなので、筆者はその時点で仲間になっているキャラクターは必ず全員参加させて攻略しました。彼女らには、積極的に攻撃せずプレイヤーを追従する“同行”、追従しつつも敵を見つけたら積極的に撃破する“応戦”、プレイヤーキャラクターとは別にダンジョンを歩きまわり、敵と出会えば戦う“探索”、その場で動かずにいる“待機”という4種類の指示を出すことができ、その方針に沿って行動させることができます。個々に別の指示を出すことや、何人かの仲間でチームを組ませて集団行動をさせることも可能です。この仲間へ命じる作戦を臨機応変に使い分けながらどう戦わせていくかということが、ストーリーダンジョン攻略における大事なポイントなのです。筆者の場合は、低層階や即死につながるスキルを持つ敵がいないような階では個々に探索を命じ、強い敵が出てくる階や仲間を倒されずにプレイしたい場合などにはチームを編成し集団行動をさせたり、応戦を命じてプレイヤーキャラクターのバックアップをしてもらったりなどの使い分けをしていますが、応戦を指示した場合でも敵に面していないキャラクターは何もせずに待機したままでいることが多く、多くの仲間を有効に動かすことは難しいと感じました。また、仲間が地形に引っかかってしまい、その場で足踏み状態になってしまうことも気になる点です。多くの仲間を同時に動かすという試みは新鮮で、特に『東方Project』ファンにも嬉しい要素だと思うので、今後のアップデートなどでの改善を期待しています。ストーリーダンジョンの難度は低めなので、個々の仲間を自由に探索させていても問題ない場合が多いのですが、ひとつの部屋に大量の敵とアイテムが配置されている“百鬼夜行”は最大のピンチですし、敵の持つスキルや攻撃の組み合わせに運悪くハマると数ターンでごっそりと倒されてしまうこともありますから、あまり気を抜いていると痛い目を見ます。実際、探索中の仲間が入った部屋が百鬼夜行で、自分が駆けつけるのに数十ターンもかかってしまい、あんなに多くいた仲間が全滅寸前……ということもありました。

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▲キャラクター、多い! これでもまだ、実装されている仲間をフルメンバーで連れていっているわけではないのです

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▲特定の条件を満たすことで仲間に加わる、『東方Project』のキャラクターたち

このように、自分の些細な行動次第でその後の運命が変わることを予想して動く、というスタンダードなプレイではなく、自分が司令官となり別動隊の動向を制御しつつ、ダイナミックにダンジョンを攻めていくのが自然かと思います。筆者にとって、これはまさに新感覚でした。大勢の仲間を引き連れダンジョンに挑戦して、大胆に敵を倒しまくり、アイテムも拾いまくり、ダンジョン内でさらに新しい仲間に出会って……というパワフルな流れは爽快です。敵を倒すと、キャラクターと同じく装備品にも経験値が入りレベルアップします。ダンジョンをクリアするとキャラクターのレベルは1に戻りますが、装備品のレベルは維持したままですから、育成の喜びもありますね。特に武器や防具は育てていくとグラフィックも変わるので、モチベーションにつながります。装備品などを含むアイテムは、“フランの帽子”、“鬼の杯”など『東方Project』でよく見たアレやソレをモチーフにしたものが多く、ファンならきっと嬉しく感じるでしょう。

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▲武器や防具を育てていくうち、キャラクターが半分以上隠れるくらい大きくて派手な見た目になりました。最大級に大きい武器や防具を身に着けると、早苗の姿はほぼ見えなくなります(笑)

一方のエクストラダンジョンでは、ダンジョンの雰囲気も攻略の方法もガラッと変わります。従来のローグライクゲームに慣れたプレイヤーであれば、こちらのほうがよく知った感覚なのではないでしょうか。アイテムや仲間の持ち込みはできませんし、落ちているアイテムは名前が伏せられ、実際に使ったり鑑定をしないと効果を知ることができません。裸一貫でダンジョンに潜ることになるので、まさに一瞬の油断が命取り。1歩動いたり1回攻撃をするにも、あらゆる可能性とそれに対しての対策を考えつつ進めていきます。筆者はこういうギリギリの状況が大好きです。ピンチであればあるほど、手持ちの道具でどう切り抜けようかとワクワクしてしまいます。練りに練った計画が失敗して倒れてしまい、地団駄を踏むほど悔しい思いをしても、つい「もう一度……」とリトライしてしまうのが本作の魔力。すっかり病みつきになり、ついつい睡眠時間を削って挑戦し続けてしまうんですよね。ただ、直感的とはいえないユーザーインターフェイスは、サクサク動かせるようになるまでに時間がかかりました。操作キーの割り振りについても正直なところ不満があります。誤動作が起こりやすく、特にシビアな状況下においては無用な緊張を生む原因になっていると感じました。キーコンフィグができれば嬉しかったですね。しかし、それを差し引いても魅力的な世界であることに変わりはないので、慣れで克服して今も楽しくプレイを続けています。

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▲レベルが低いうちは、弱い敵にあっけなく倒されてしまう可能性も十分にあります。常に感じる緊張感がエクストラダンジョンの魅力です

どちらのダンジョンもゲーム序盤から遊べるので、ストーリーダンジョンで武器育成に勤しみ、エクストラダンジョンでストイックなチャレンジに興じる、と遊びかたも自由に選べます。ひとりの主人公でエンディングまでたどり着くには、筆者の場合6時間ほどかかりました。武器防具のレベルアップを行わずにクリアだけを目指せば、もっと短い時間でも可能でしょう。繰り返し遊ぶことを想定し、テンポよくクリアできる作りではあるのでしょうが、ストーリー自体のボリュームがかなり抑えられていたので、早苗と天子の活躍や他のキャラクターにまつわるエピソードをもっと見たかったという思いがあります。本作のストーリーには“第一部”と銘打たれているので、今後ダウンロードコンテンツとして“第二部”がリリースされるという期待を持っています。

ファンにもファン以外にも面白い『東方Project』の世界

『東方Project』の魅力のひとつが“魅力的な登場キャラクター”にあることは誰もが認めるところでしょう。本作には、100人以上存在するキャラクターからかなりの人数が登場しています。しかも、豪華声優陣がフルボイスでしゃべりまくるのです。イベント中だけでなく、ダンジョン内で仲間のキャラクターに話しかけてもわりと長めの台詞を喋ってくれます。殺伐としたダンジョンのなかで、特に意味もなく話しかけてほのぼのした時間を楽しむことができるのは癒されます。それに仲間がスキルを発動するときには、人気絵師のカットインがドン! と入るのがまた嬉しいのです。仲間との距離が遠いとカットインは入らないので、お気に入りのキャラクターは追従させて美麗なイラストを何度も楽しんでいます。

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▲複数のキャラクターがスキルを同時に使うと、その数だけ画面が分割されて同時に表示されます

それから、“パートナースキルシステム”がロマンたっぷりなので紹介します。本作では、特定の仲間が持っているスキルは装備品と同じように取り外しができ、ほかのメンバーに持たせて使わせることができます。さらに、ある程度スキルが上がるとスキル自体が複製されることもあるのです。これを利用すれば、魔理沙と霊夢が同時にマスタースパークを放つ……といったような燃える展開も作り出すことができますし、ひとりのキャラクターにどんどんスキルをつけて超性能に仕立て上げることもできます。これは、本作のシステムのなかで筆者が気に入っている点です。

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▲本作では電脳世界の案内役となる、阿求と小鈴。ふたりの絆が感じられる展開もアツい!

先ほどボリュームがないと書きましたが、ファンでなくても楽しめるストーリーは魅力的です。個人がきちんと主張をし、ときにはぶつかることがありながらも互いの存在を認め合っているという描写は特に良くて、多くの人を虜にするでしょう。だからこそ、もっともっと彼女らの活躍を見たいのです。追加シナリオを激しく希望します!

自分の判断でピンチがチャンスに変わる快感、逆に判断ミスで一転してピンチに陥る焦り……。こういった従来のローグライクゲームの楽しさを踏まえつつ、独自のシステムを大胆に取り入れたモードをメインに据えることで、ひときわ個性を放つ作品に仕上がった『不思議の幻想郷 -ロータスラビリンス-』。美しいイラストで表現された『東方Project』の登場人物たちには華があり、従来のファン以外にも訴えかける力があると感じます。この魅力を味わってしまったからこそ、ボリュームがない点や直感的とはいえないユーザーインターフェイスなどがついつい気になってしまうのですが、繰り返し遊ぶダンジョンRPGとしての出来はいいです。ストーリークリア後に追加されたダンジョンやエクストラダンジョンは筆者もまだまだやり込みが足りないので、今後も『東方Project』の世界に浸りながらコツコツと遊んでいきたいと思います。

フォトギャラリー

【募集終了】抽選で各1名様、計2名様に『不思議の幻想郷 -ロータスラビリンス-』PlayStation®4版、Nintendo Switch™版パッケージソフトウェアをプレゼント!

『不思議の幻想郷 -ロータスラビリンス-』PlayStation®4版、Nintendo Switch™版パッケージ

左:PlayStation®4版 右:Nintendo Switch™版

応募期間

※募集期間は終了致しました。

7月31日(水)~8月7日(水)消印有効

・応募は日本国内にお住まいの方に限らせていただきます。
・当選の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。落選者へのご連絡はございませんのでご了承ください。
・ご住所や転居先が不明などの理由で賞品のお届けが出来ない場合は、ご当選を無効とさせていただく場合がございますので、予めご了承ください。
・賞品および当選の権利は当選者本人のものとし、第三者へ譲渡・転売することは一切禁止させていただきます。譲渡・転売が発覚した場合、当選を取り消し賞品をお返しいただく場合があります。

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・お客様からいただいた個人情報は、当キャンペーン当選者様へのお問い合わせのために利用いたします。なお、個人情報を当該業務の委託に必要な委託先に提供する場合や関係法令により求められた場合を除き、お客様の事前の承諾なく第三者に提供することはありません。上記をご承諾くださる方のみご応募ください。


『不思議の幻想郷 -ロータスラビリンス-』ロゴ

■タイトル:不思議の幻想郷 -ロータスラビリンス-
■メーカー:UNTIES(開発:AQUA STYLE)
■対応ハード:PlayStation®4、Nintendo Switch™
■ジャンル:ダンジョン探索 RPG
■対象年齢:12歳以上
■発売日:発売中(2019年7月18日)
■価格:パッケージ版 6,400円+税、ダウンロード版 5,800円+税

PlayStation®4版『不思議の幻想郷 -ロータスラビリンス-』

『不思議の幻想郷 -ロータスラビリンス-』オフィシャルサイト

©上海アリス幻樂団 © AQUASTYLE
Published by Sony Music Entertainment (Japan) Inc