LIVE SHUTTLE  vol. 360

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SPYAIR 来年の活動予定も発表! 恒例のコニファーでのステージをレポートする。

SPYAIR 来年の活動予定も発表! 恒例のコニファーでのステージをレポートする。

SPYAIR JUST LIKE THIS 2019 FUJI-Q HIGHLAND CONIFER FOREST
2019年7月27日 富士急ハイランド・コニファーフォレスト

またこの季節がやって来た。SPYAIRの夏の恒例ライブ“JUST LIKE THIS”が、富士急ハイランド・コニファーフォレストで開催される。一昨年の“JUST LIKE THIS”は大雨だった。昨年の“JUST LIKE THIS”は、凄まじい豪雨の中で行なわれた。

今年も事前に台風直撃の天気予報。が、開催日の7月27日早朝、SPYAIRのホームページで決行が発表された。そうとなったら行くしかない。新宿から中央フリーウェイを一路、河口湖へ。

東京を出た時は晴れていたが、山梨県に入ると道路が濡れている。覚悟を決めなければならない。なんといっても、SPYAIRの“JUST LIKE THIS”なのだから。

SPYAIR エンタメステーションライブレポート

コニファーフォレストに、大雨対応装備に身を固めたオーディエンスが次々と入って来る。彼らはSPYAIRのお陰で、年々、タフになっていくようだ。グッズ売り場に行列していた人たちも、三々五々、着席していく。

その頃、開演直前の楽屋で歓声が上がった。こちらに向かっていた台風が、勢力を弱めて熱帯低気圧になったのだ。それを証明するかのように、少し青空がのぞいている。それどころか、オーディエンスがほぼ全員が入場したところで、なんと会場の上空に虹が現われた。これは楽しいライブになりそうだ。

開演を告げるアニメーションがスクリーンに流れると、早くも会場の臨戦態勢が整う。メインステージから中央に伸びるランウェイの先には、センターステージが設置されている。左右にもランウェイが伸びていて、中央のセンターステージで合流できるようになっている。そのランウェイすべてを埋め尽くすように、チア・リーダーやフリースタイル・バスケットボール・プレイヤーたちがステージに雪崩れ込んで来た。

大歓声の中、SPYAIRのメンバーもステージに登場。そう、今年の“JUST LIKE THIS”は、スポーツがテーマだ。メンバーもスポーツウェア風のコスチュームに身を包んでいる。ギター&プログラミングのUZが嬉しそうに会場を見渡す。ボーカルのIKEは、手にオリンピックの聖火リレーで使うようなトーチを持っている。

SPYAIR エンタメステーションライブレポート SPYAIR エンタメステーションライブレポート

KENTAがドラムをドッカーンと鳴らし、いよいよ「B-THE ONE」からライブが始まった。いきなりコール&レスポンスが起こる。雨のない“JUST LIKE THIS”は、快調にスタートを切る。歌い終わるとセンターステージのリフターがIKEを載せたまま上昇し、IKEがトーチを空に突き出すと、正面の照明タワーのてっぺんに据えられた“聖火台”に炎が上がったのだった。

2曲目「0 GAME」はMOMIKENの唸るようなベースから始まり、IKEが激しくあおると、オーディエンスはピョンピョンジャンプしてそれに応える。炎の映像をバックに演奏された「OVER」で、ライブは完全にSPYAIRのペースになった。

「改めましてSPYAIRです! 皆さん、辿り着いてくれてありがとう。周りなんて気にしないで、楽しんだ方が勝ちです。楽しむ準備はできてますか?」とIKEが大声で挨拶する。オープニングからパワフルに歌っていたIKEが、次の「アイム・ア・ビリーバー」でクリアな歌声で歌ってボーカルのバリエーションを披露。続く「COME IN SUMMER」でパレオをまっとた女性ダンサーが登場すると、IKEは「楽しくなってきちゃいました。男性陣、ダンサーさんばっかり見ない、見ない。俺を見ろ!」とIKEらしさを発揮する。会場のみんな揃っての振り付けで、歌のタイトルどおりの夏気分を分け合ったのだった。

SPYAIR エンタメステーションライブレポート
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KENTAの叩くジャングル・ビートが軽快な「C!RCUS」では、カラフルなバルーンが客席に投入されて盛り上がる。そのバルーンが割れると、中から小さなバルーンが飛び出し、オーディエンスは色とりどりのバルーンを手に持ってライブに華を添える。

ここからはハードなロックチューンを立て続けに。2016年の“JUST LIKE THIS”公式テーマソング「THIS IS HOW WE ROCK」を皮切りに、「イマジネーション」、「スクランブル」とアグレッシヴなパフォーマンスを展開する。

中盤では、お馴染みのアコースティック・コーナーが用意されていた。KENTAが「皆さ~ん、元気ですかぁ?」とセットチェンジの間、MCを担当する。KENTAがしゃべり出すと、会場の雰囲気が一気に和む。昨年は豪雨に見舞われて、このコーナーでは機材トラブルが発生してしまったが、今年はその心配はない。UZが「あれ? KENTAはどこに座るの?」とさりげなく突っ込む。するとKENTAは何と、キーボードの前に座った。

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KENTA このライブのリハの3日目に、UZさんから「KENTA、ピアノでコードぐらいだったら弾けるよね」っていうラインが来まして。まあ、弾けますと。

UZ いつもアコースティック・コーナーはIKEと二人でやるのが多かったんだけど、今日はKENTAも入ってやります。

KENTA これまで生きてきた35年間の中で、いちばん緊張してます。さっきの「スクランブル」の時、ドラムを叩く手が震えてた。

UZ おいおい、「スクランブル」の時に、次のこと考えてたんかい(笑)。

MOMIKEN みんなが感動した「スクランブル」を返してくれ(笑)。

UZ でもKENTAさんはメチャクチャ練習してくれたから、いいピアノを弾いてくれると思います。

IKE 皆さんのお陰で台風も消えました。では今日は4人でアコースティック・コーナーやります。「サクラミツツキ」!

IKEが歌のタイトルを言うと、場内から「オオ!」と歓声が上がる。「サクラミツツキ」は、なんとKENTAのピアノから始まった。KENTAは確かに緊張しているが、この繊細な曲にはかえってその緊張感が似合っている。緊張マックスのKENTAのピアノを、UZのアコギとMOMIKENのアコベがしっかりサポートすると、これまで聴いたことのないSPYAIRのアコースティック・サウンドがコニファーフォレストを包み込む。オーディエンスたちは、静かに耳を傾けたのだった。

最後の1音をKENTAが弾き終わると、大きな拍手がわき起こる。KENTAはタオルで顔を隠して照れている。ここで4人はセンターステージに移動。そこにはいつものKENTA用のカホーンがセットされていて、ここからは通常のSPYAIRアコースティック・セットというわけだ。メンバーが位置に着くと、KENTAが話し始めた。

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KENTA 最初に言っておきますけど、来年も“JUST LIKE THIS”を、ここでやります。SPYAIRは来年、結成15周年、デビュー10周年を迎えます。これまでずっと走り続けてきて、インプットする期間が欲しくなった。なので今日の後、ライブは入ってません。これから修行のような1年間を過ごして、メンバーそれぞれが力をつけて、周年を迎えたい。メモリアルな1年を、来年の“JUST LIKE THIS”から始めようと思ってます。

UZ 『ONE PIECE』にたとえるなら、SPYAIRにとっての“ラフテル”は東京ドームだと思う。俺たちは諦めてない。来年はメモリアルな年だし、新世界に行こうと思ってます。

IKE 一人一人がもっともっと人間力を培っていかないと、バンドを続けることはかなわないと思う。MOMIKENさんは、どうですか? あんまり長くならないように話してくれる。

MOMIKEN えー? 長く話しちゃいけないの…、じゃあ、「サイコ―だ、富士急!!!!」

全員 爆笑

SPYAIRの今後の活動に聞き入る場内はしーんとしていたが、MOMIKENのユーモラスな発言につられて爆笑が起こる。するとIKEがすかさず「じゃ、次はあんまりライブでやらない曲を!」と言って、SPYAIRアコースティック・カバーユニット“キャンプファイヤー”として「MOVIN’ ON」を披露。これはメンバー全員がリードボーカルを取る珍しいナンバーで、それが聴けるとあってオーディエンスが歓声を上げる。まずMOMIKENがボーカルを取って口火を切り、KENTA、UZと歌い進み、IKEへと繋がっていく。♪立ち止まることより くすぶる方がコワい さぁ、行こう ぶっ飛ばして♪というリリックが、メンバーの現在の心境を表わしているように感じられて、胸に迫ってきたのだった。

チアやブレイクダンスをフィーチャーしたハーフタイム・ショーをはさんで、ライブは後半へ。まずはランウェイに並んだチアと一緒に「PRIDE OF LIONS」だ。これは日本体育大学の応援ソングで、チアとの共演がぴったりハマる。

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ここからSPYAIRは本来のロック・スタイルのプレイに集中していく。「Just Do It」、「We’ll Never Die」、「Brand New Days」など、ストイックなまでのパフォーマンスは、派手な演出以上に説得力をもって会場を揺らしていた。

オーディエンスにSPYAIRのロック・スピリットを刻み込んだ後、演奏はさらに研ぎ澄まされていく。特に「感情ディスコード」では、これまでの9年間に蓄えたパワーを見せつける。一方、IKEは、再び雨の落ちてきた空を見上げて話し出す。「僕は雨が嫌いじゃありません。心が洗われるような気がします。プレッシャーを感じて、ステージを降りたくなったこともありました。でも約束します。来年は這ってでも、必ずこのステージに戻ってきます」。そう言って歌った「Little Summer」は、肩の力が抜けていて、この日、いちばんのボーカル・パフォーマンスとなった。ステージ上方に吊られたミラーボールが回り、イエローの光を放つ。その光が雨粒をキラキラと照らし出していた。

終盤、メンバーはさらに音に集中していく。内側に向かう意識と、外側に向かう表現が、ちょうどいいバランスを保ってライブを作っていく。ある意味、ロックバンドにとって理想の境地に入る。

ステージ上手からIKE、UZ、MOMIKENの3人がトロッコに乗り込み、「I want a place」を演奏しながらアリーナを進んで行く。そんな状況で聴く「サムライハート(Some Like It Hot!!)」は、最高だった。IKEが「タオルを回せ!」とオーディエンスに叫びながら、自分も思い切りタオルを回す。♪寂しげに映った自分 ムカつくんだ そんな自分も♪というリリックは、アーティストとしての葛藤を正直にさらけ出した先ほどのMCとリンクして、メンバーそれぞれの怒りと孤独を見事に伝えていた。

ラストナンバー「Goldship」を歌う前に、IKEは今日という日と、オーディエンスとメンバーとスタッフに感謝を述べ、最後に「バンドやってきて、よかったです。生まれてきて、よかったです」と加えた。雨が強くなってくる。しかしそれは昨年とは違って、SPYAIRの未来を祝福するように感じられた。

いつものアンコールを求める15,000人の観客の歌声が、優しい雨を降らす空に響く。ステージに戻ってきたSPYAIRは、「現状ディストラクション」を爆音で鳴らし、駆け引きなしでオーディエンスを圧倒する。

終わると、スクリーンに来年以降のSPYAIRのスケジュールが映し出される。2020年夏の“JUST LIKE THIS”、秋冬の全国ホールツアー、2021年春のZeppツアーが発表されると、そのいちいちに喜びと安堵の歓声が上がった。

「10周年でまた逢おうぜ! イケるのか、富士急!!」とIKEがシャウトする。最後の「SINGING」では会場上空に花火が次々に炸裂。パパーンと爽快に響く破裂音は、きっと来年までこの場所にこだましているに違いない。こうして“JUST LIKE THIS 2019”は、ドラマティックに幕を閉じたのだった。

SPYAIR エンタメステーションライブレポート

文 / 平山雄一 撮影 / 平野タカシ

SPYAIR JUST LIKE THIS 2019 FUJI-Q HIGHLAND CONIFER FOREST 2019年7月27日 富士急ハイランド・コニファーフォレスト

01. B-THE ONE
02. 0 GAME
03. OVER
04. アイム・ア・ビリーバー
05. COME IN SUMMER
06. C!RCUS
07. THIS IS HOW WE ROCK
08. イマジネーション
09. スクランブル
10. サクラミツツキ(Acoustic ver.)
11. MOVIN’ ON (Acoustic ver.)
12. PRIDE OF LIONS
13. Just Do It
14. We’ll Never Die
15. Brand New Days
16. ROCKIN’ OUT
17. 感情ディスコード
18. Little Summer
19. JUST LIKE THIS
20. I want a place
21. サムライハート (Some Like It Hot!!)
22. Goldship  
– Encore –
en1. 現状ディストラクション
en2. SINGING

SPYAIR

IKE(Vocal)/ UZ(Guitar & Programming)/ MOMIKEN(Bass)/ KENTA(Drums)の4人から成る愛知県出身4人組ロックバンド。2005年結成。バンド名の由来は、どこかで見かけた「SPYWARE」(コンピューターウイルス)という言葉の響きに惹かれ、検索して一発で出てくるように少し変えて「SPYAIR」となった。「ライブハウスでファンを“待つ”のではなく、自分たちを知らない人のところへ“行く”。」という単純で純粋な気持ちから名古屋の繁華街のど真ん中にある「栄広場」での野外LIVEを活動場所として選ぶ。インディーズ時代最後となった野外LIVE100本目は2000人を集客。
2010年メジャーデビュー以降、積極的なリリースと圧倒的なライブパフォーマンスで人気を博す。
東京ドームでのステージをバンドの次なる目標に掲げ、毎年恒例となっている夏の野外単独ライブには富士急ハイランド・コニファーフォレストに15,000 人を動員するなど夢の実現に向けて邁進中。
2018年はアメリカ・南米・ヨーロッパ・アジアと約3ヶ月間にわたり世界23都市を巡る自身初のワールドツアーを完遂。
海外にも活躍の場を広げている。

オフィシャルサイト
https://www.spyair.net

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